レビュー一覧
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林 道治さん 「君たちはどう生きるか」 7月17日(月) TOHOシネマズ 日比谷にて鑑賞 |
ジブリ作品を映画館で鑑賞できる機会が再び訪れました。今作はあえてプロモーション活動を行っていません。『宣伝を行わない宣伝』なのです。そのため、内容は全くわからず、予告映像すら観ることがないままの鑑賞となります。 「風立ちぬ」以降、巨匠宮崎駿監督10年ぶりの新作長編映画ということもあり、私が鑑賞した公開初日には多くのジブリファンが集結していました。平日、朝の上映回が満員に埋まる作品はそうそうないと思いますし、その現象だけでも待ちに待ったファンの期待の高さが伝わりますね。 前述した通り内容は非公開の作品なので、ネタバレに繋がる部分は記載できませんが、『ジブリを感じられる時間』が確かに存在していた、とだけ記しておきます。「となりのトトロ」(88) 「もののけ姫」(97)「千と千尋の神隠し」(01)…など、数え上げればきりがない名作の数々。日本人ならばだれしも心に残る、思い出の一作があるはずです。 事前情報がないからこそ、スクリーンに映像が映し出される瞬間のワクワクする気持ちと観客全員が同時に息を呑むフィーリング。これこそ劇場で味わえる至高の映画体験であり、スタジオジブリが築きあげてきた誇るべき文化だと思います。童心に帰り、懐かしき感情と邂逅できる温かな一時を是非劇場で体感してみてください。 |
村上梨緒さん 「アイスクリームフィーバー」 7月20日(木) TOHOシネマズ新宿にて鑑賞 |
まだ名前を付けることは出来ないけど、ときめきで浮足立って思わず走り出したくなるような感情。憎たらしい部分もあるけど、本当はそれ以上にとても愛おしいと思う感情。「アイスクリームフィーバー」は、そんな複雑な感情を抱く女性たちに焦点を置いて描き、映画というよりも、女性たちの生活の一部分を眺めるような作品でした。 川上未映子さんの『アイスクリーム熱』が原作として挙げられていますが、これは男女の恋愛を描いた10ページ弱の短編小説だそうです。そのイメージを基に女性同士の恋愛と連帯を描いた約100分の映像作品に膨らませることが出来たのは、千原監督の豊かな発想力と吉岡里穂さんや松本まりかさんといった俳優たちの溢れる魅力ゆえでしょう。唐突に止まる映像や少し突飛な展開はあまり馴染みがない演出ですが、それすらもこの世界観を構成する魅力と化していました。 都会で緩やかに連帯して生きる女性たちを描いたこの作品は、クラクラしそうな暑さの中で食べる甘くて冷たいアイスクリームのような、日々の中で小さな救いとなる作品でした。あ~~アイスクリーム食べたい! |