レビュー一覧
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北 奈々さん(女性/30代) 「ハクソー・リッジ」7月1日 TOHOシネマズ新宿にて |
『真実の物語』として始まる映画「ハクソー・リッジ」は、戦場では銃を持たず、多くの命を救った衛生兵、デズモンド・ドスの半生を描く戦争映画です。久しぶりにメル・ギブソン監督作品ということもあり一時話題となりました。 第二次世界大戦中、デズモンド青年は志願兵となりますが、苦しい訓練に耐えながらも宗教上の理由などから武器を持つことだけは拒否をします。そのことがきっかけで上官からの圧力や同期からのいじめ、しまいには軍法会議にかけられたりします。しかし、そんな状況下でも自らの信念を貫き通そうとするのです。そして、その信念こそが、その後悲惨な戦場においても多くの命を救うことにもつながるのでした。 この作品の素晴らしい点としては、まず役者の演技。主役のアンドリュー・ガーフィールドは、純朴ながらも芯の強い青年を演じています。「沈黙‐サイレンス‐」(17)では敬虔な宣教師を演じていましたが、その役とは似て非なる青年として信仰に篤い役柄を演じ分けていたのが印象的でした。 また、その父役であるヒューゴ・ウィーヴィングの演技にも驚かされます。これまで、SFやファンタジー作品でのイメージが強かったのですが、本作ではそのイメージを一新。第一次世界大戦によるPTSDに悩み苦しむ元兵士の姿にグッと心を掴まされました。 次に、強く印象に残ったのは、やはり後半における戦場のシーンです。映像では、できる限りそのリアルさを追求しているようで、生々しい光景に時には目を覆いたくなるようなシーンも紛れ込んでいます。しかしながら、これこそが戦争の現実なのだろうと思えてくるのです。戦争の恐ろしさ、惨さ、痛ましさ、哀しさなど、様々な感情が強く揺さぶられることでしょう。また、この戦いのシーンは日本人として複雑な思いに駆られることになりました。そのような想いを抱くからこそ、この作品に対しては目を背けていけないのだ、と思わずにはいられませんでした。 最後まで戦場に残り、敵味方関係なく一人でも多くの命を助けようとしたデズモンドは、共に戦う仲間にとって希望であり、まるで光のような存在です。それは、結局はデズモンド自身に、どこにあっても決して揺るがない信念があったからこそだと思うのです。そのような人間の信念の在り方についても考えさせられるような作品です。 |
なおとさん(男性/30代) 「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」7月4日 TOHOシネマズ渋谷にて |
「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ、またジョニー・デップのファンなので、公開を楽しみにしていました。ジョニー・デップ演じる海賊ジャック・スパロウ、オーランド・ブルーム演じるウィル、キーラ・ナイトレイ演じるエリザベスといったおなじみの登場人物に加え、新たにサラザール役のハビエル・バルデム、ウィルの息子ヘンリー役のブレントン・スウェイツ、天文学者カリーナ役のカヤ・スコデラリオが登場します。ジャック・スパロウに恨みを持つ海の死神サラザールが、魔の三角海域から解き放たれてしまい、サラザールからの復讐を阻止するには秘宝「ポセイドンの槍」を手に入れなければならなくなってしまいました。 海の中での、ジョニー・デップと海の死神たちの戦いは、映像がキレイでとてもリアリティーがありました。ジャック・スパロウ達が銀行の建物ごと盗むシーンは、力強く感じ流石ハリウッド映画だと思いました。船も大きくて格好良かったです。 演出は迫力があり、思わず興奮してしまいます。ストーリーはシリーズの中でもコンパクトでわかりやすい内容でした。俳優陣は皆ユニークで、中でもヘンリー役の演技が魅力的です。海の死神たちを退治して平和になり、ウィルとヘンリーの再会で絆が深まり、カリーナが微笑んでいたことが印象的でした。小さいおサルが出て来たのですが、とてもかわいかったです。最期にグッドエンドを迎えることが出来たことが素晴らしかったです。「パイレーツ」シリーズのファンだけでなく、あらゆる年齢層の方々が楽しめる作品です。 |