川端七成さん 「コーダ あいのうた」 池袋HUMAXシネマズ |
同じ映画を2回観ることほど、尊いと思える行為はない。すでに知っている物語をなぞりながら、同じところで笑ったり、違うところで泣いたりする。過去と今の自分の、間違い探しみたいな感覚が面白くて、日々違う自分を生きているのだと感じる。もう1度観たいと思う理由は作品によって様々で、「コーダ あいのうた」を2回観たのは、とある歌詞のためだった。 『私は愛を両側から眺める 愛の本当の姿を私は何も知らない』。この歌詞を、ずっと忘れない気がする。そう思えるくらい『青春の光と影』を紡ぐ言葉は美しく、わたしの心を締めつけた。ルビーが抱く、歌と家族へのまっすぐな愛。父の無意識な愛と、母の未完成な愛。そして 兄の不器用な愛。そのどれもが、紛れもなく愛でしかなくて、この世界にはわたしの知らない愛し方や、愛され方がたくさんあるのだと知った。 劇場を出たあと、この歌詞をもう1度見たくてすぐにネットで調べたが、同じ翻訳のものはどこにも見つからなかった。ならば再び観に行かなければ、と思っている間に、米アカデミー賞の作品賞を受賞していた。そしてまた、劇場へ足を運ぶと、やっぱり同じところで泣いた。ここで見た素敵な言葉の数々を、すべては持って帰れないから、目に焼きつけて、心の中に大事にしまっておきたいと思う。 これから1年間、よろしくお願いします。 |
小塚すずゆさん 「ファンタスティック・ビースト ダンブルドアの秘密」 TOHOシネマズ日比谷 |
ずっと楽しみにしていた本作が公開され、劇場に早速足を運びました。「ハリーポッター」シリーズのファンである私は興奮しながら鑑賞しました。 本作はハリーポッターシリーズとはまた違った作風であるにもかかわらず、出てくる呪文はお馴染みで、完全な魔法ワールドへと観客を誘ってくれます。また、今まで謎に包まれていた存在である『ダンブルドア』の過去が物語のキーとなっており、『ダンブルドア』に対して今までとは違うイメージを持つようになった人もいるでしょう。秘密についてはここには書けませんので、ぜひ鑑賞して確かめてください。 本作の魅力と言えば、もちろん、可愛らしく、突拍子もない行動に出る魔法動物でもありますが、私はファッションや街並みにも目を惹かれました。1930年代が舞台となっており、主人公ニュート、その仲間たちが個性あふれるファッションで輝いています。敵役のグリンデルバルドのスーツの着こなしもかっこいいです。 魔法、ファッション、動物たち、と目が忙しくなるくらい、たくさんの要素が詰まっていて、時間を忘れるくらい楽しめる作品です。これから一年間、映画の楽しみを共有していきますので、よろしくお願いいたします。 |
細井ゆうきさん 「チェリまほTHE MOVIE 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」 グランドシネマサンシャイン池袋 |
皆さま「アバウト・タイム 愛おしい時間」をご存じでしょうか。私の大好きな作品の一つです。この作品との出会いは、映画「思い、思われ、ふり、ふられ」の劇中で和臣が朱里に『じゃあアバウト・タイムがいいかも』とお薦めするシーンがきっかけでした。今回『ぴあ特別会員』という光栄なお役目を頂いたからには、皆様にとっての『和臣くん』となれるよう、精一杯レポートさせて頂きます。一年間よろしくお願い致します。 さて、私からご紹介させて頂く1作目は、「ふりふら」の和臣を演じた赤楚衛二さん主演の「チェリまほTHE MOVIE」です。本作は2020年テレビ東京の深夜枠で放送されたドラマの劇場版です。男子同士の恋なのに、コミカル&ピュアなストーリー展開で、SNSを中心に瞬く間に話題!テレビ版は、Twitterトレンド世界5位、第58回ギャラクシー賞テレビ部門奨励賞を獲得した注目作です。一方で、『自分には関係のないジャンル』と線引きしている映画ファンの方も多いのではないでしょうか。実は私もその1人でした。しかし私は、むしろそういう方にこそ見てほしいと思います。 セクシャルマイノリティと言うデリケートな題材を、コミカルに、時に繊細に、バランスよく描かれている作品でした。多様性の時代、このような作品が世に出ることはとても意味のある事だと感じます。監督は「チア男子!!」の風間太樹監督。とにかく絵が綺麗です!!気になった方は是非チェックしてみてください。 |