レビュー一覧
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宮本さん(女性/19歳/学生) 「BRAVE HEARTS 海猿」 7月14日 新宿ピカデリーにて |
シリーズモノの宿命というかなんというか…作品の性質上“物語のパターンが決まってしまう”ということはありますが、それを含めても2時間の映画作品として素晴らしいものでした。 伊藤英明さん演じる仙崎と佐藤隆太さん演じる吉岡の微笑ましい掛け合い、そして緊迫感のあるギリギリの救助活動…ストーリーの緩急の付け方がとても良くて、でも緩いところでも観客の気持ちを離さないんですよね。毎回毎回、仙崎と吉岡の男子トークの絶妙なバカっぷりがお上手!バカっぽいのにそんな男の子たちがかわいいと感じてしまう、ギリギリのところで。(笑) さて、今回は仙崎も仲間たちも海上保安官として成長し切っていて、周りはプロばかり。そんな安定感のあるチームでの救助活動は今までのシリーズとはまた違った臨場感と緊迫感がありました。また、今回は“海難救助”以外にもうひとつ大きなテーマがあったように思います。第二子妊娠中である仙崎の妻、環菜は子供が『今の時代に産まれるのは幸福なのか』と不安を抱えています。そんな中起こった大事故では、事故発生直後に海上保安庁、警察、自衛隊、日本赤十字、その他看護学生や民間の船所有者までの様々な人々が一丸となって協力に集まりました。昨年の大震災を経験した日本人にとっては何か感じるものが大きいシーンであったと思います。「今の世の中も捨てたものじゃないよね」と素直に思えて、タイトル同様“勇気”を感じられる映画でした。 最初に『物語のパターンが決まってしまう』と書きましたが、そのパターンって素晴らしいんだなぁと。その中でも常に新しい面白さと感動を作っていくのは並大抵のことではなく、すごいなあと改めて感心しちゃいました。 |
MIKIさん(女性/50歳/会社員) 「おおかみこどもの雨と雪」 6月18日 試写会にて |
「時をかける少女」(2006)「サマーウォーズ」(2009)の細田守監督の最新作ということで、今回はいったいどんなととっても楽しみにしていた作品。一足お先に完成披露試写会を見に行ってきました。 大学生の花が恋した男は、『おおかみおとこ』だった。そして生まれた『おおかみこども』の雨と雪。昼夜ない子育ては誰にも頼る人もなく、街中の小さなアパートでは周囲の人に『おおかみこども』と知られないよう気を配り、医者に診てもらうのもためらい、一体この状況をどうやって乗りきるのかとはらはらしながら見ていた。子供が伸び伸びと育つことが出来るようにと田舎での生活を選んだ花。田舎のだだっ広い家は近所といっても結構距離があり、これなら周りの人に知られずに暮らせそう。日々の暮らしは自分たちだけはなく、ご近所や堅物なお爺ちゃんとの交流なども楽しく描かれている。なるほど、田舎暮らしって、皆が協力し合って日々の暮らしが成り立っているんだと感じた。また雨と雪が大きくなり、近所の人との交流が増えるにつれ、『おおかみこども』と気づかれはしまいかと見ている私も思わずはらはらしながら見ていた。 小学校高学年になった雪は、転校生からの一言がとても気になってしまう。このまま周りの人にわかってしまうのか? 人前でおおかみになっちゃダメとのお母さんとの約束は守れるの? 雪はどうするのだろうかと見守る気持ち。そして、おとなしかった雨も先生と知り合うことで大きく成長したが、もしかしたらこのままと花は感じているのではと思った。悪天候の中、子供のことが心配で探す花の姿に、雨は大丈夫なの? 雪はどうなるの? もし私ならどう行動しただろう、花のような行動をしただろうか、花は大丈夫だろうかとドキドキしながら見ていた。そして少し大人になった雨と雪に子供ってこうやって大人になっていくんだなと思った。 子供のために一生懸命な花がとっても生き生きと描かれていて、大変さ以上に子育てってこんなに楽しいものなのかと思った。主人公の大学生から子供を持つお母さんまで幅広い年齢の声を演じる宮﨑あおいさん、自然に花自身になっているなぁと感じた。観終わった後、雪と雨の二人の姿をもっと見ていたい、どんな思春期を迎え大人になっていくのか、その時花はどんな思いをするのか続編が見たくなった。 |
丸茂さん(女性/26歳/販売業) 「アメイジング・スパイダーマン」7月2日 TOHOシネマズ渋谷にて |
甘酸っぱ~~~い!どこぞの芸人さんの様に私も思わず思いの丈を叫びたくなった。なにせ「アメイジング・スパイダーマン」は、アメコミヒーローの要素に加え、青春のキラメキ度120%超えの物語に仕上がっているからだ。 主人公ピーター・パーカーは、カメラとスケボーと同級生のグウェンが好きな普通の高校生だが、幼い頃に両親が失踪し伯父夫婦と暮らしている。ある日、失踪した父の手がかりを探るべく潜入したオズコープ社の研究室で、ピーターは特殊な蜘蛛に噛まれてしまう。それ以来、壁に張り付けるなど蜘蛛のごとく特殊な能力が身についたピーターは、ある事件をキッカケに街の平和を守るべく自らスパイダーマンとなり、自分の過去をも巻き込む壮絶な運命へと導かれていく…。 新たなキャスト・監督の下で再スタートした本作は、とても『若さ』に満ち溢れている。主人公が高校生という設定なのはもちろん、それだけに留まらない現代の『若さ』をよりリアルに深く掘り下げている様に感じた。優しさと静かな正義感を秘めているが、過信しやすく自分を見失いがち。工作が得意でネット検索は速いのに、人間関係には不器用でどこか孤独を抱えているピーターの若さゆえの葛藤を丁寧に描き、その葛藤をスパイダーマンとしての在り方・闘い方にも盛り込んでいる。また、グウェンとの恋模様はとてもリアルで、若い2人の瑞々しい絶妙な距離感は、観ていて発狂モノである。 本作のマーク・ウェブ監督は「(500)日のサマー」(2009)という、現代の若者像と恋愛事情をポップに生々しく描写した名作を生み出しており、そこでの手腕が本作でも遺憾なく発揮されている。更に、新生スパイダーマンはイケメン(特に、黒縁眼鏡&スパイダーマンのコスチュームを着ているが顔のマスクだけ外れている姿に萌え!)&新生ヒロインは超可愛い(ポニーテールに萌え!!) これらの甘酸っぱ~く爽やかな青春模様に、スピード感溢れる迫力のアクションが見事にマッチし、現代のピーター・パーカー=スパイダーマンを見事に描き出した作品となっている。全3部作となるシリーズを通して、はたして、ピーターはアメイジングなスパイダーマンになれるのか?残り2作での、彼の成長を見守りたい。 |