レビュー一覧
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小塚すずゆさん 「流浪の月」 TOHOシネマズ日比谷 |
原作は未読ですが、本屋大賞受賞作品ということもあり、気になって劇場に足を運びました。最初は2時間半という長い上映時間に不安を抱いていましたが、ほんの一瞬だったのではないかと思うくらい物語にすぐに引き込まれました。 誘拐事件の『被害者と誘拐犯』のレッテルを張られた少女・更紗と大学生の文が15年後に再会したところから物語が大きく始まります。15年前、そして再会後の2つの時間軸を行き来しながら進みますが、広瀬すずさん演じる更紗が抱える苦悩、葛藤、そして文の前でしか見せない幸せ、それらが繊細に描かれています。多くはない台詞の中で、登場人物たちは何を感じているのだろうと考え、特に文と更紗の2人だけの世界と心のつながりに胸を打たれました。 また、本作で非常に印象的だったのは木漏れ日や月の光などの美しい映像です。悲しくなるような雨のシーンも更紗が部屋で目覚めた時の朝の木漏れ日も、どのシーンも美しく目を奪われました。 私は原作を読んでいなかったのですが、あの世界観をもう一度頭の中で再生したいと考え、早速本を買いに行こうと思います。既に読まれた方も未読の方も、ぜひこの美しい映画を映画館で見てください。 |
細井ゆうきさん 「ハケンアニメ!」 |
『刺され、誰かの胸に』 これは劇中の台詞です。私は、いつもこの映画レポートを書く際、誰かの心に届いたら…普段観ない作品と出会うきっかけになったら…という想いを込めています。今回は、そんなささやかな私の想いと重なった映画(勝手にそう思っただけなのですが)「ハケンアニメ!」をご紹介いたします。 タイトルを聞いて、派遣社員の話?と思っている方も多いのではないでしょうか。少なくとも、私はそう思っていました。実は『派遣』ではなく『覇権』。『覇権アニメ』とは、クール及び一年間の売り上げが一位のアニメに対する呼称です。(既に知っていたらすみません) 本作は、アニメ業界の覇権争いに奮闘する人々を描いた群像劇なのです。『良いものを届けたい』という熱い心を持った人々が制作する『日本アニメ』の偉大さを改めて感じました。さすが、アニメ大国の日本! 更に劇中では2つのオリジナルアニメが登場します。両作とも、今をときめく声優陣が名を連ね、アニメ映像もかなり秀逸です。普段アニメに触れない方がみても、アニメ好きの方がみても確実に楽しめる作品だと思います。 最後に…鑑賞後は、大手スイーツ店さんの『あるもの』を買って帰りたくなるはずです。可能であれば、スイーツ店が営業している時間での鑑賞をお勧めします。気になった方は是非チェックしてください。 |