レビュー一覧
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山本さん(男性/30代) 「LIFE!」 3月25日 TOHOシネマズ渋谷にて |
シンプルの妙。どこまでも簡単に分かりやすく作られていました。親しみやすい作風で年齢を問わず楽しめる1本です。簡潔にまとめるならば。 しかし、それがどういうことを意味するのかが伝わる作品でもありました。簡単にみえるものがいかに見えない多くのものに支えられているのか。人物、言動、写真など、様々な要素を利用した描写でそれらが巧みに表現されていました。表面だけを見れば、職場で妄想に浸る上の空になりがちな主人公は観客にはおもしろく、上司にとってはリストラの対象でしかないが、主人公の性格や仕事に対する情熱など隠れている部分を知るにつれ、観客は自身を投影しながらいつのまにか主人公の目線で物語を見始めてしまう。 作中に登場するLIFE誌の表紙も同様に表面的には歴史や人物を納めた写真です。しかし、その写真が撮られた環境やカメラマン自身など、背景を知ることで無意識の内に見方を変えることができるのです。 “壁の裏側を見よう”という言葉がLIFE誌の標語として登場するのですが、これぞカギです。とにかく簡単が侮れない。分かりやすい描写の数々は簡単に見えて実は目を凝らすとそこに比喩があり、その発見がもたらす感動の連鎖がスクリーンの中を旅する主人公のスケールとシンクロしていく。見えない所で物事が動くそこにはいつも人がいて、人の決断の裏にはきっと誰かの存在がある。あちこちに秘められたそんな仕掛けとメッセージを魅力に感じた作品でした。 |
早川和希さん(女性/20代) 「永遠の0」 3月19日 TOHOシネマズ府中にて |
先日、プレミアスクリーンで上映されていたので、6回目の鑑賞をしてきました。初めて試写会で観た時は、原作を読んでいたからか、冒頭で涙してしまいました。原作を読んでから観ると大抵の映画は好きなシーンがカットされていて満足できないのですが、この映画はカットされたシーンもありましたが大満足でした!! 現代パートでは夏八木勲さん、橋爪功さん、特に田中泯さんの演技に鳥肌が立ちました!!過去パートでは岡田くんはもちろん、染谷将太くん、新井浩文さん、濱田岳さんの演技も凄くて、素敵な役者さんがたくさん出ている映画だなと思いました。それぞれの宮部さんへの思いを知るたびに涙が出ました。そして、最後の宮部さんの表情が何ともいえず、エンドロール中も涙が止まりませんでした。 6回目の鑑賞は最後に観てから2カ月ほど経ってからの鑑賞でした。主題歌の『蛍』の間奏で宮部さんの零戦のエンジン音がすると知りそれを聞きたくて観に行きました。この映画を観るたびに自分が今生きていることは当たり前ではないこと、戦争は二度と起こってはいけないことだと感じます。普段映画を観ない友人達も観たと言ってくれて凄く嬉しかったです。 この映画は映画館で観るべき映画だと思います!私は、V6の岡田くんが主演と知り原作を読み始めました。この本を読むきっかけをくれた、素敵な映画を届けてくれた、岡田くんに感謝です。 |
Shioriさん(女性/20代) 「アナと雪の女王」 3月28日 TOHOシネマズ川崎&109シネマズ川崎 |
私は普段あまりアニメを観ないのですが、TVスポットに心を掴まれ同日に字幕と吹き替えの両方を鑑賞しました。王国を離れると同時にひとりでいることによって自己を取り戻したエルサの曲”Let it go”は、我慢と後悔に囚われた身から解放される曲。この1曲でエルサの心の変化を見事に演じきったイディナ・メンゼルのエモーショナルなパワーボイスはさすがの一言! アナのために距離を持ったエルサとそれを知らないアナ、2人を別けて細かく描写することで、視点を変えて何度も楽しめる作品になっています。おとぎ話に必須の真実の愛の意外な結末にもやられた。 ディズニー映画初の2人のプリンセスが、王子様だけに頼らない強い女性であることやディズニー長編アニメの監督に初めて女性監督が起用された等、女性パワーも強く現代を象徴していると思いました。オリジナルキャストは海外ドラマファンの間ではお馴染みの俳優であり、ブロードウェイのトップスター。そこにどう日本の俳優陣が挑むのかドキドキしていたが、字幕版同様圧倒されっぱなしだった。松さんの伸びやかな声はエルサの悲しみが観客の心に浸透していくようで涙を誘い、アナ役の神田さんは1つの曲の中でアナの様々な表情をころころと変え可愛らしく演じていて吃驚しました!日本の俳優陣の本気の吹き替えは鳥肌ものです。今後、イベントなどあれば是非皆さんの歌声を生で聞いてみたい! 皆さんが劇場へ足を運ぶ参考となるような感想を目指し1年間頑張ります。宜しくお願い致します。 |
矢嶋杏奈さん(女性/20代) 「アデル、ブルーは熱い色」 4月1日 試写にて |
私は大学で映画の勉強をしていますが、映画の批評は正直言って苦手分野です。今も「レポートなんて書けないよ〜」と弱気になりながらパソコンのキーを叩いています。でも、ポジティブになろうと思います。これまで自分の頭の中でなんとなく考えていたことを文字に起こす良い機会を与えてもらったのですから!拙い文章ですが、一年間お付き合いいただけると幸いです。 さて、先日「アデル、ブルーは熱い色」を試写会で鑑賞しました。主人公のアデルは生活に物足りなさを感じていて、私はそんな彼女を観ていると息が詰まる様な思いがしたのですが、エマと出会ってからは愛とアイデンティティを求めて力強く生き始めます。クローズアップによって切り取られた二人の眼差しの中には、いつまでも眺めていたい心地よさを感じました。しかし、あるときエマの髪がブルーではなく普通の色に戻り、話の舞台が何年か後に移ったのだと気づきます。そしてこの「ブルーの消失」から二人の関係が少しずつ変わっていきます。ラストシーンでのブルーの使い方にはグッとくるものがあり、胸が痛みました。 とにかく、主演の二人がとても魅力的です。ブルーの髪と涼しげな瞳が印象的な美大生のエマを演じたレア・セドゥは、「イングロリアス・バスターズ」(09)や「ミッション:インポッシブル/ゴーストプロトコル」(11)で目にしたことがあるはずなのに、印象が違いすぎて全く気づかず・・・。アデル役のアデル・エグザルコプロスは、食事のシーンになると魅力が増します。驚きました。どうしてこうもスパゲッティを官能的に食べられるのでしょうか!この映画を観てボロネーゼが食べたくなった人、私以外にもたくさんいるんだろうな~。 |
小室明子さん(女性/30代) 「白ゆき姫殺人事件」4月5日 渋谷シネパレスにて |
この度2014年度日本アカデミー賞ぴあ特別会員に当選いたしました小室明子と申します。今年の3月上旬に当選した事を知り狂喜したのですが、会員証が届くまで2週間ほど時間がかかった事から「あれはもしやガセネタ?」という疑念が渦巻き、眠れぬ日々を過ごしておりました。しかし3月下旬にやっと会員証が届き、あまりの嬉しさに更に狂喜乱舞。現在、映画三昧の日々を過ごしております(笑)これまでに特別会員として見たのは6本。その内一番印象的だった作品「白ゆき姫殺人事件」について描きたいと思います。 「白ゆき姫殺人事件」はネットやマスコミの作り上げたデマや噂が真実をねじ曲げることの恐ろしさを描いた作品です。真実を見ようとしないマスコミによって主人公城野美姫の人生は追いつめられて行き、個人情報があっという間に無関係の人達によって晒され、作り上げた勝手なイメージだけが一人歩きしていき、城野美姫は自殺を決意します。 決してこれは他人事ではないのだ、というメッセージ性の高い作品であり、いかに真実を見ようとしない人達が多いか、という皮肉も込められています。簡単に個人情報を晒し、晒されてしまう現代人への戒めのように感じました。 ラストに差し掛かった頃、主人公城野美姫と友人ダイアナの交わす言葉のないコミュニケーションは、原始的なのに新鮮。人をいたわり合う気持ちが言葉を超える瞬間、思わず涙が込み上げます。是非劇場にてご鑑賞ください! |