レビュー一覧
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はるかさん(女性/25歳) 「つむぐもの」4月1日 有楽町スバル座にて |
初めての映画レポートは犬童一利監督の「つむぐもの」。越前和紙の里、福井県丹南市を舞台に、頑固で人の言うことを聞かない和紙職人の剛生とワーキングホリデーで剛生の元にやってきた韓国人のヨナのお話です。 私が最初にすごいと思ったのは、冒頭から映し出される紙漉きの映像の美しさ。水の音と木と木が触れ合う優しい音につられてすぐに映画の世界に惹きこまれていきました。 和紙作りのお手伝いとして住み込みで働くつもりだったヨナは、脳腫瘍で半身まひになった剛生の介護もすることに。しかし、人の手を借りたくない剛生と気の強いヨナは反発し合います。剛生を演じる主演の石倉三郎さんは、いつもの豪快な演技というよりは内なる感情を全身で表していて、偏屈な剛生の不器用さも愛しく思えました。そんな剛生と打ち解けていくヨナを演じるキム・コッピさんの屈託のない素直な言葉や表情はストレートに心に響き、すごく魅力的な女性だなと思いました。さらに自由気ままなヨナに介護を教える介護職員の複雑な心境や葛藤も描かれており、「その人のため」とは何なのかも考えさせられました。 私の好きだったシーンは、剛生とヨナがお酒を交えるシーンと二人が背中で全てを語るシーンです。観ているこっちが、感情が溢れてくる素敵なシーンでした。それぞれの価値観をぶつけ合い過ごしていくうちに、世代や国籍など全く関係ない一人の「人」と「人」とのつながりの大切さを描いた心温まる作品でした。ぜひ劇場で。 |
後藤早苗さん(女性/30代) 「99分,世界美味めぐり」3月4日 角川シネマ有楽町にて |
邦題から内容をイメージしにくかったですが、FOODIES(フーディーズ)と呼ばれる世界の美食家たちとそれを取り巻く現代の環境や料理界の話です。日本でも口コミは店を選ぶ際の大きな要素となっており、また雑誌でも「食ブロガー」という肩書きを持つ人をよく目にするようになりました。それだけを見ると評価する側(フーディーズ)がされる側(料理人)より優位性を持っているように感じますが、実際のところを知りたくてこの映画に興味を持ちました。 映画には様々なレストランやシェフが登場し、5人のフーディーズが感激しながら味わい感想を述べたり、辛口で評価したりします。シェフの彼らに対する評価も聞く事が出来ます。料理を提供する側、料理を味わう側のそれぞれの主張や想いを客観的に描写している点が、「食」というある意味抽象的なテーマを具体的なものにしており、とてもわかりやすかったです。そしてその様子はテンポよく場面が切り替わり、まるで世界旅行をしてるような気持ちで楽しめました。 映画の中で印象的だったのは、少し記憶が曖昧ですが、料理の共通認識というか、共通の評価基準を明確化すべきである、というひとりのフーディーズの意見でした。「美味しい」の感覚は人それぞれだと思っていたので、私には思い付かない感覚でとても新鮮でした。 映画の面白みは、どんな映画でも作り手の主義主張が必ず映画のどこかに隠されていて、それを探し出して自分なりに理解しそれについて考えてみる事だと思っています。 |
陳 珍九さん(女性/38歳) |
過渡期に混迷を極める日本映画界の未来を照らす今年の1本はこれだ!と見極めたい等々、大それた自己アピールを情熱のまま長々と書き送信ボタンを押したあの日。こんな勘違い素人が選ばれる訳ないと急に赤面反省した。それなのに!!感謝!!ここ数年期待を裏切られる事が多く、日本映画以外を鑑賞する事が自然と増えていた。1年間、日本映画と愚直に向き合い稚拙でも自分なりに一生懸命レポートさせて頂きます。 1つめは出演者・斉藤工さんが「この映画がヒットしないようなら日本映画はダメ」等語った「無伴奏」。確かに今のテレビの映像表現に慣れた方には本来の面白さが伝わりにくそう。濡れ場シーンの話題だけ世間で独り歩きしているのも残念。2つめは人気漫画が原作の「僕だけがいない街」。長い原作を1本の映画に頑張って上手くまとめた事は評価できるが、原作と映画のメッセージが少し違う様で一部がっかりする原作ファンも見かけた。2作品とも俳優陣が熱演なだけに残念な点だ。3つ目は石倉三郎さん初主演映画「つむぐもの」。私は「百円の恋」(14)の躍進を思い出した。この映画も今後大きく育つ気がする。頑固な和紙職人の老人を演じる石倉さんのいぶし銀・迫真の演技を是非沢山の方に観て欲しい!相手役のキム・コッピさんも韓国人女優として骨太な演技を見せ、2人は素晴らしい化学反応だった。オリジナル脚本で、作り手が届けたい思いを現場で丁寧に映画にした情熱と愛にあふれていた。 |
中島 杏さん(女性/19歳) |
正直、自分が日本アカデミー賞協会会員になったと知らせを受けたとき全く実感がなく驚きでいっぱいでした。しかし、資料が届いたりしてこれからを想像していくと、喜びと共に今回の経験を将来に活かせるような一年間にしたいという思いが芽生えてきました。 高校1年の頃に映画が好きだと気づき、それからDVDレンタルが常に家にあるのが当たり前で、バイトや部活から帰っては観て、1日空いていれば3本も4本も立て続けに観ていました。去年、大学生になって映画館でバイトができるようになり、私より遥かに映画を観ている人に出会うことで、私が名前をあげた俳優さんや作品を瞬時に理解してくれる人がいることが本当に幸せで仕方がありません。そして今年はさらに日本アカデミー賞協会会員という新しいことに挑戦ができることに胸が高鳴っています。 今までは映画を観たら、映画が好きな人と会話をするか、自分の中で思い返しては大切にしまい込むことがほとんどでした。しかし、この機会を得た今、素敵な作品を私なりにみなさまに伝えることができる場があることはとても恵まれていることだと感じています。 今年は映画館のバイトと日本アカデミー賞協会会員として全力で多くの作品と向き合い、また視野を広げていきたいと思っています。映画レポートも上手く書けるか不安ではありますが、私の感じたままを素直に書いていくつもりです。 |
阪本佳純さん(女性/20歳) 「黒崎くんの言いなりになんてならない」3月28日 TOHOシネマズ渋谷にて |
さっそく日本アカデミー賞協会特別会員として沢山の映画を観ることができ、とても楽しい日々を送っています。これから少しでも面白いレポートを書けるよう頑張ります。 最初は、先月観た27本の映画の中から2016年上半期、一番映画館で笑った「黒崎くんの言いなりになんてならない」をレポートしたいと思います。ストーリーは、高校デビューした主人公、赤羽由宇が学園の黒と白の正反対の王子に翻弄されるエロキュン王道ラブストーリーで“超絶ドSの黒王子黒崎くん、天使のように甘い白河君。あなたならどっちを選ぶ?!”まさにこのキャッチコピーのような映画で、王子ふたりから由宇への顎クイ・壁ドン・耳噛みなどキュンなところも見所ですが普通はありえない少女漫画原作ならではのツッコミ所の多く笑えるシーンも盛り沢山です。 三人を取り囲むクラスメートの一人である梶くんは、キャラが強烈で黒王子に甘えるも相手にされず、面白いことを言ってもだれも聞いておらず滑ってばかり。一生懸命なのに空回る姿がシュールで可愛くもあり一挙一動注目してしまいました。観にいくきっかけは小松菜奈さんが好きだったことが大きいですが、もう一度梶くんを観に行こうかと思います(笑)。最後に由宇が選ぶのは不器用な黒王子か、それとも優しい白王子か?私は断然不器用だけど真っ直ぐさが良い黒派ですが、やはり梶くんの言いなりになりたい! これから一年、一生懸命観て、書く年になるのが楽しみです。 |