レビュー一覧
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齋藤 睦さん 「Arc アーク」6月13日 試写会にて鑑賞 |
今年はSF作品が多く、ファンとしては嬉しい一年です。タイムループやタイムトラベルものの作品もあり、体が入れ替わるという設定もドラマや映画で増えつつあり、どれも面白いものばかりです。本作もSFのテーマの一つである『不老不死』を描いた作品で、芳根京子さん演じるリナを通して不老化という選択肢がある世界が描かれています
『不老不死』といえば人類の最終到達点のイメージだったのですが、薬によって徐々に広まっていく様子は、昨今の状況に似通った点があり、意外と近い未来のように感じました。 プラスティネーション(遺体を永久保存する技術)で死んだ人を留めておこうとするエマ、不老化技術を開発しようとする天音、島で出会う芙美と利仁夫婦、それぞれの選択を見ていく中で、自分ならどちらを選ぶだろうかと選択肢の間を行ったり来たりしていました。 石川慶監督の前作「蜜蜂と遠雷」(19)もとても好きなのですが、本作でも人の身体を用いた魅せ方に目を惹かれたり、急なモノクロシーンがあったりと演出方法が多様で面白かったです。『死ぬ』ということにどのような意味を見出すのか、一度それがない世界を体験することで、改めて死生観を見つめ直すことができると思います。人生100年時代と言われる現在におすすめの作品です。 |
神月 淳さん 私の好きな映画「陰謀のセオリー」(1997年公開作品) |
好んで映画を観るようになって、20数年が経ち、結構な数の作品を観てきたと自負しているのですが、なんと…未だにその感動値を更新出来ない大好きな作品があります。今回は1997年に公開された、その映画「陰謀のセオリー」をご紹介いたします。 監督はリチャード・ドナー、出演はメル・ギブソンとジュリア・ロバーツ。ジャンルは、サスペンス/スリラー/アクション等と表記されている事が多いのだけど…私的にはラブストーリーの感覚も強く、メル・ギブソンの役柄と独自独特な快演のためか、どこかファンタジーの要素も感じる不思議な作品なのです。そして、物語の中でキーワード的な役割を果たす『モノ』達のチョイスも絶妙で、挿入歌なんて流れる度にもうドキドキしてしまうのです。『この世は陰謀で満ち溢れている』人々の生活もすべて何か大きな組織に管理、支配されているのだ…と陰謀説を唱え、自身もそれに抗うべく、極端に慎重な日常を送る風変わりな男ジェリーと、彼が想いを寄せる美女アリスとの不思議な関係。 彼が訴える陰謀説は、ただの思想家の妄想なのか?はたまた真実なのか…?物語序盤から、中盤の展開、終盤、ラストシーンに至るまで一切の抜かりがなく、知的興奮と大きな感動を味わえる映画作品です。私は、何十回と鑑賞していますが、毎回感涙してしまいます。疫病や宇宙計画…様々な陰謀説が実際にありますが、そういった類いがお好きな方から純愛ものがお好きな方まで、幅広くお薦めしたい作品です。 |