レビュー一覧
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mayaさん(女性/20代) 「恋は雨上がりのように」5月29日 TOHOシネマズ新宿にて |
怒涛の少女漫画の映画化が続く中、見終わってとても満足した作品でした。女子高生あきらが、冴えないファミレスの店長の近藤に恋するお話です。ポスター等のビジュアルが発表された時から、小松菜奈さん演じる女子高生あきらはとにかくイメージ通りで、大泉洋さんは見た目というより原作のキャラクターにぴったりだなと思い、楽しみにしていました。 監督も「世界から猫が消えたなら」(16)や「帝一の國」(17)を担当している永井聡監督だと聞いて納得。どちらの作品も映画館で鑑賞していますが、公開前に発表されるポスターからキャスティング、キャラクター、予告篇、主題歌から本編まで全てに期待を裏切ることなく満足出来た作品であり、今回の作品も言わずもがなです。 予告篇では、主題歌である神聖かまってちゃんの楽曲を鈴木瑛美子さんと亀田誠治さんがカバーした『フロントメモリー』と、劇中の名場面である『デートしてくれるんですか!』と小松菜奈ちゃんが店長に迫るシーンが堪らなく印象的でしたが、映画でも裏切られることなく名シーン&名曲でした。特に主題歌は原作者である眉月じゅんさんが、元々漫画の連載中から気に入っていて、この漫画のイメージにぴったりだと思って聴いていたというだけあって、カバーとは思えずすんなり入ってくる曲です。 ポップかつ疾走感あるメロディーと、挫折した女の子が右往左往しながらもまた前向きに頑張ろうとしている歌詞がなんとなく映画のイメージに合っていて、サビの『ガンバれないよガンバれないよ』という歌詞も耳に残り、思わず上映後購入してしまいました。映画も2時間という短い時間の中で、漫画の長いストーリーを表現すると、細かいシーンが漫画を読んでる人にしか伝わらなくなりがちですが、この映画はぎりぎりのラインで伝わるように描かれており、映画を観た後に漫画を読むとより理解が深まっておもしろさが増しました。アキラの真っ直ぐでキラキラした店長への想いが愛おしく、それを受ける店長のリアクションは劇中で何度も笑わせてくれます。 終わり方もほっこりとして、漫画と相乗効果があるように描かれていると感じました。小松菜奈さんは、本当に妖艶で、作品によって演じる役が全く違ってもどれも魅力的なのですが、今回の小松菜奈さん演じる恋する女子高生役あきらはとにかくかわいいく、そんなあきらにデレデレする店長大泉洋さんを羨ましいなと思いました。ぜひ観て欲しい映画です。 |
林さん(女性/20代) 「50回目のファーストキス」6月4日 T・ジョイSEIBU大泉にて |
オアフ島のツアーガイドでプレイボーイの大輔は、ある日の朝、カフェで瑠衣という女性に一目惚れをします。毎日のように違う女性とデートを楽しんでいた大輔ですが、目を輝かせて必死に口説こうとする姿はそれまでの彼とは対照的で、彼女への恋心が伝わってきます。しかし、翌日出会った彼女は何故か大輔のことをすっかり忘れていました。実は彼女は交通事故の後遺症によって、事故前日までの記憶は残っていますが、以後の記憶が全て一晩でリセットされてしまうという短期記憶喪失障害だったのです。 毎日が大輔と瑠衣にとっては初対面。初めのうちは大輔による突然のアプローチに嫌な顔をすることの多かった瑠衣ですが、大輔の懸命な努力により二人はついに付き合い始めることになります。 私がこの作品の中で心を揺さぶられたのは、瑠衣の家族による彼女への愛情です。娘の為に父親と弟は毎日事故の次の日を繰り返す日々を送ります。新聞は特注品を用意し、自身の誕生日を毎日娘に祝われ笑顔で応える父親と共に、毎晩弟も彼女の描いた絵をペンキで白く塗り潰し、何事もなかったように彼女に接します。障害を本人に隠すことで、彼女が毎日を笑って過ごせるようにと考えての生活は、それが果たして正しい選択なのか分からないまま、葛藤を抱えながらも瑠衣の幸せを想う家族愛が表現されていて心に響きました。 また、この作品はコメディに定評のある福田監督が指揮を執り、監督ならではのハイクオリティな笑いが散りばめられているのですが、コメディ作品とは違ってその笑いがギャグシーンのみに完結せず、恋愛や友愛、家族愛へと絶妙な塩梅で組み込まれていく所が、作品を何倍も魅力的にさせる要素となってるので、注目してほしいと思います。 彼女に愛を注ぎながらも天文学という道に捨てきれない夢を持つ大輔。そんな彼を縛りたくないと葛藤し始める瑠衣。彼らを待ち構えている結末を、是非劇場で見届けてほしいです。 |