レビュー一覧
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はるかさん(女性/25歳) 「ロスト・バケーション」7月27日 新宿ピカデリーにて |
海外ドラマ『ゴシップガール』でセリーナ役を演じていたブレイク・ライブリー主演ということで鑑賞しました。サーファーで医学生の主人公ナンシーが、突然現れた人食いサメと対峙するサバイバルアクション映画です。 まず、冒頭部分からブレイク・ライブリーのサーファー姿に惹きつけられました。加えて世界遺産であるロードハウ島の美しさを惜しみ無く撮っている前半部分のサーフィンの映像は本当にきれいです。水面下と水上の音の違いをうまく利用している音楽はリアリティもあって、美しい女性、美しい海と相乗してMVを観ているようでした。その美しい映像から一転、サメと出くわすことにより一気に映画の雰囲気が変わっていきます。 PG12ということで、思わず目をつぶってしまう痛々しい映像もあるのですが、そこも主人公の職業やその場の危機的状況を上手く表現していてどんどん物語に入り込んでいきました。更に、負傷する場面以外にも、いつサメが襲ってきてもおかしくないハラハラ感や、サメから逃げて這い上がった小さな岩礁すら満ち潮でなくなってしまうかもしれないというドキドキ感に目が離せません。 そして、そろそろ助かってもいいんじゃないかという場面に出くわしてからそれまでの迫力や臨場感を超える展開があり予想を上回る面白さでした。 特にナンシーがサメに立ち向かって戦うときに、サメが勢いよく向かってくる迫力満点のシーンはこの映画一番の興奮でした。 サメと対峙するという一つのテーマとしての面白さはもちろんなのですが、母親を亡くしたことで自分の人生についても悩んでいた主人公のナンシーが、少しずつ変わっていく様子が描かれているところもこの映画の面白さではないかなと思いました。スピルバーグの傑作「ジョーズ」(’75)とはまた違った魅力のあるサメ映画でした。 |
後藤早苗さん(女性/30代) 「ロング・トレイル!」 7月31日 ヒューマントラストシネマ渋谷にて |
ここ数年で女性を主人公にした旅モノ映画がいくつか公開されていて、「女性の自分探しの旅」的な映画にはあまり共感できずにいたのですが(自分は女性ですが)おじさん二人が主人公ということで面白そうな予感があり、この作品の公開をずっと心待ちにしていました。予想通り客席から笑い声が聞こえるようなコメディタッチで話は進みますが、道中で様々なトラブルや人との触れ合いがあったり、美しい自然が描かれたり遠く離れた家族への愛があったり、のんびりした雰囲気の中にも人生を豊かにするためのヒントがたくさん隠された素晴らしい映画でした。 観ていて感じたのは、「アパラチアン・トレイル」を歩くということは、過酷な山登りというより自然を感じながらその土地の人々やカルチャーと触れ合ったり旅に近い感覚なんだろうということ。そして普段の生活では通り過ごしてしまいそうなことも、ひたすら森を歩き続けることは非日常の世界で感情が敏感になっている為に一つ一つ丁寧に向き合えるということ。”自分自身と向き合う”と言うと哲学的に聞こえますが、歩く・食べる・寝る以外には時間がたっぷりあるので、普段は時間が無くて出来ないような考え事が思い浮かぶということです。私自身学生時代にバックパッカーとして旅をし、なぜか急に離れた場所にいる家族に対する愛情を感じたり、長年続く友情に思いを巡らせたり一人感慨深くなっていたことを思い出して大変共感を覚えました。 映画の中でとても印象的なフレーズがありました。”興味を持つことはとても面白いこと”人生を豊かにしてきた定年間近の主人公が、トレイルの途中あまり細かい事には興味を持たない友人に向かって言う言葉です。改めてその意味を考え、人生の先輩からまた一つ学んだ気持ちになりました。また原題の「A WALK IN THE WOODS」の意味についても考えました。直訳すれば「森の中で散歩」散歩=歩くこと、つまり広い世界で一歩ずつ歩んで行くことの大切さを伝えたかったのではないかと感じました。 定年を間近に控えた上司や、仕事に忙殺されていてゆっくり人生について考える時間の無い友人、それから改めて夫婦愛を感じて貰いたい中高年夫婦にも是非お勧めしたい、夏にぴったりの爽やかで素敵な映画でした。 |
阪本佳純さん(女性/20歳) 「シン・ゴジラ」 7月29日 TOHOシネマズ新宿にて |
公開を待ちきれなかった私は、公開初日に最速深夜上映が行われると知り、28日の25時半から観ました。劇場ロビーにつくとゴジラファンで賑わっており、ゴジラグッズを身に着けた人、フィギュアを持ってきた人、外国人のファンの方でゴジラTシャツを着た人もたくさんいて、私もさらに期待が高まりわくわくと最速で観られる喜びでいっぱいでした。また、25日にゴジラロードで行われた「シン・ゴジラ」のレッドカーペットイベントにも参加できたので本当に感激でした。 「シン・ゴジラ」は、ゴジラシリーズ第29作目で、日本製作のゴジラ作品としては12年ぶりです。内容は現代日本にゴジラが上陸したらという設定で、現実VS虚構のキャッチコピー通り、ファンタジーなのはゴジラだけで、上陸後に起こるさまざまな問題、立ち向かう日本政府などは現実にフォーカスし、徹底してリル感が追及され、現代社会にリンクする部分や描写も多いので各々共感する場面や思い思いに感じられるものがある映画だと思います。私はこの作品のエキストラに9回、参加させていただきましたが、ゴジラはいないものの、現場ではなにかに追われているような緊迫感や緊張感があり、本当に巨大不明生物がやってきてしまった場合こういう状況なのかと、ファンタジーでありつつ妙にリアルで少し怖かったのを覚えています。 本当に無駄な部分がない映画で、何を言ってもネタバレになってしまいそうで怖いので、とにかくちょっとでも情報が公開される前に早く観てほしいです。期待を軽く上回って、長年のゴジラファンもうならせるような巧妙な展開、ダイナミックな特撮、圧倒的存在感と迫力をかねそなえるゴジラと決死の覚悟で立ち向かう日本政府との対決という、新しいゴジラ映画が観られると思います。私はすでに三回観ましたが、一回観終わったらすぐもう一度観直したくなる、観るたびに新しい発見、観方がかわる映画です。 |