レビュー一覧
|
南 星佳さん(女性/10代) 「糸」9月9日 新宿ピカデリーにて鑑賞 |
映画館は再開したものの、通常の50パーセントの入場という、今までにないあり方に正直最初はとまどいました。しかし、やはり私はこの環境が好きなんだなと再度実感しました。さて、今回紹介する映画は中島みゆきさんの名曲、『糸』を映画化した物語です。 この作品を見て、今の環境が当たり前ではない。すべてのことが奇跡と運命でできていると思いました。物事は決して偶然ではなく、決められたシナリオ、つまり運命でできているものである。そう教えてくれました。 二人の少年と少女が違う道を歩むことを決め、別れて進むものの何度も出会ってしまう。まさに、『糸』のように離れないと感じました。人と人とのつながりは運命で、時に絡まったり、ほつれたり、切れたりする。それでも再び幸せを求め、運命を探す。『逢うべき糸に出会えることを人は仕合わせと呼びます』と歌詞にも書かれているように、出会えることは運命であり、そのために人は生きているのでしょうか。 『人は出会うべき時に人と出会う』人は一日に9000回の選択をしていると言われています。その9000回の選択の中で、出会うべき人と出会えるというのは、『運命』以外に合う言葉は見当たりません。それに、だからこそ、今の環境、友人、家族に感謝し、一日一日を大切にしていきたいと思いました。この映画は、一人のなんてことない行動や当たり前の行動、それが運命の人と出会えるものだと、教えてくれる作品です。ぜひご覧ください! |
宮崎 智也さん(男性/20代) 「ミッドナイトスワン」8月23日 試写会にて鑑賞 |
育児放棄によって愛を知らずに育った少女が、心と体の不一致により孤独に苦しみながら生きるトランスジェンダーの男性との出会いを描いた作品。作品のテーマは、世間の「普通」や「常識」は時として残酷なほど人を苦しめてしまうこと、そしてこの世界にはいろんな人達の日常があって、その中にいろんな形の愛があることだと感じました。 主演の草彅剛さんは、主人公の凪沙を演じるにあたり、多くのトランスジェンダーの方にインタビューをし、彼らの経験や苦悩をもとに、細やかな表情や動きまでをも表現されています。またヒロインの服部樹咲さんは、新人女優でありながらも、複雑な家庭環境や思春期真っ只中にある少女の心の機微を見事に演じ切っています。 LGBTという言葉は年々、浸透しつつあります。それでも、人それぞれに捉え方や理解の度合いも異なり、無自覚故の偏見や差別だって後を絶たちません。劇中において目の当たりにする数多くのセリフが、日本の現状を色濃く表現していると感じました。 社会派映画というものは、鑑賞のハードルがどうしても高くなってしまうものです。しかし、この作品の先にはLGBTへの理解がより一層深まるだけでなく、誰もが様々な悩みを抱える中でも、強く、強く生きねばならないという深いメッセージが込められています。 |