レビュー一覧
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川澄典子さん(女性/38歳) 「王妃の館」 5月4日 109シネマズ ムービルにて |
テレビドラマ『相棒』(ANB)映画「少年H」(13)の水谷豊さんの花柄スーツ姿とパッツン前髪、そしてパリの美しい映像に惹かれ映画館を訪れた。現実と小説の世界とを行き来しながら、人生を豊かに素敵に生きるヒントを与えてくれた作品である。 まず初めにパリの街並みの美しさに感激した。劇場の大画面で見るベルサイユ宮殿とルーブル美術館は一見の価値がある。登場人物に自分を重ねながらたくさんのパリの見どころを楽しむことが出来、まるで実際にツアーに参加していたかのような2時間を過ごすことが出来た。 前半では美しく壮大なパリの建造物に心奪われながら、何度も訪れる笑いの渦に飲み込まれながらも、個性豊かな登場人物が何故パリを訪れたのかを知りたくてたまらなくなった。後半に入り、それぞれが様々な思いを抱えながらパリに訪れていることを知る。水谷豊さん演じる小説家とツアー参加者達との心温まる関わりやルーブル美術館やベルサイユ宮殿、晴れ渡るパリの美しい空を観ていたら、パリに行きたくてたまらなくなった。 脇役の方々の名演技、特にショーパブスターを演じる中村倫也さんと警察官役の青木崇高さんの演技が、天才小説家を演じる水谷豊さんの世界と数々の名言をさらに盛り上げ、この作品をどの年代にもそして世界にも通じるコメディーに仕上げている。また、究極のコメディーでありながらも水谷豊さんにしか出せない、溢れ出る優しさと説得力のある名言、そして彼の書いた小説にラストでは涙が止まらなくなる。 間違いなく水谷豊さんの代表作品となるであろう「王妃の館」は、フランス史をもっと知りたいという好奇心と一度きりの自分の人生を大切にそして大胆に生きたいという冒険心を私に持たせてくれた。水谷豊さんの魅了とパリの魅力を堪能しに是非劇場へ足をお運び頂きたい。私ももう一度観に行こうと思う。 |
水姫クミさん(女性/30代) 「シンデレラ」 4月29日 TOHOシネマズ日劇にて |
作品を見終わった人達が、こんなにも幸せな笑顔で溢れた劇場を今まで見たことがありません。全てのシーンが美しく、ぜひ大きなスクリーンで観てほしい作品です。ガラスの靴にカボチャの馬車…誰もが知っているお馴染みのディズニーの「シンデレラ」の実写版で、一見お子様や女性向けだと思われるかもしれません。でも実は、男性も共感できる作品だと思います。今まであまり描かれていない王と王子…父と息子の愛情も描かれており、普段クールな夫が涙を流しているのを見てしまいました! この映画の魅力をより一層、際立たせているのがサンディ・パウエルさんの衣装です。どの役の衣装もデザイン、色彩、シルエットが溜息が出るほど美しく、今まで観た映画の中で一番美しい衣装ではないかと思ってしまうほど。シンデレラが着ているブルーの美しいドレスの胸元に綺麗な蝶々が散りばめられています。この蝶々は、宮本遥香さんという日本人の方が手作りされているそうです。一着に30匹の蝶々が付いていて、何かあった時の為に9着のドレスが製作され、なんと合計270匹の蝶々を手作りされたんだとか!とても大変だったと思いますが、映画を象徴するドレスに日本の方が関わっていて、なんだか嬉しく感じました。 キャストも素晴らしく、リリー・ジェームスさんから溢れ出る優しさと強さと品の良さ、チャーミングでクラッシックな顔立ちが、どんな悲しい時でも優しさを忘れないシンデレラにピッタリ。王子役のリチャード・マッデンさんの、なんと素敵なこと!王子役だから…という事ではなく、彼が演じたから魅力的な王子になったに違いありません。男性から見ても、カッコ良い王子だと思います。ケイト・ブランシェットさんが演じる継母は、さすが、バレエで培った所作の美しさが際立ち、悪役なのに思わず引き込まれてしまいます。 エンドロールが終わるまで立ち上がる人が殆どおらず、大人も子供もウットリの見事な「シンデレラ」なので、日本語吹替え版も鑑賞!高畑充希さんと城田優さんの声が役に合い、演技もピュアで物語にスッと入る事ができました。ミュージカルで活躍しているお二人が主役のキャスティングは大正解。全世界で日本だけの素敵なデュエットソングも必聴です。 大人になると色々あって、夢や希望が信じられなくなる時もあるかもしれません。でも勇気と優しさがあれば、夢は叶うという事を思い出させてくれる映画です。 |
坂本 彩さん(女性/20代) 「龍三と七人の子分たち」 5月5日 イオンシネマ新百合ヶ丘にて |
平均年齢72歳のベテラン俳優達がスクリーン狭しと暴れまわる、北野武監督最新作です。『元ヤクザのジジイがオレオレ詐欺に騙された!?』というキャッチコピーに心掴まれ、劇場に足を運びました。 まず映画の内容もあってか、観客の半分以上がご年配の方々で、なんともほのぼのした雰囲気が漂っていたのが印象的でした。そして、日本の映画館では珍しいであろう、観客が声を出して笑うという現象が起きていて、観客一体となって映画を楽しめたという感覚があり、映画館で見る意義があった作品でした。『ヤクザのジジイが大暴れ』という分かりやすい設定で、前作の「アウトレイジ ビヨンド」(12)とは打って変わってポップで笑える作品になっていました。 題名の通り、7人の元ヤクザのジジイが出てきますが、とにかく全員のキャラが濃いのです。その昔、ヤクザとして活躍した輝かしい過去が忘れられない7人が、若い詐欺グループの勢力に押されまいと、再結集します。しかし、『世直しだ!』と威勢は良いけれど、全員ジジイになってしまったので、身体が心の勢いについていかないというギャップが何とも可愛く見えました。銃を撃つにも、釘を投げるにも、刃を向けるにも、手がプルプル震えてなかなか上手く戦えないのです。 現在社会問題として高齢化が挙げられていますが、あんな『アクティブシニア』で日本が溢れたら楽しいだろうな、なんて考えてしまいました(笑)。分かりやすい笑いで、疲れることなく見ることが出来るため、家族や友達と楽しめる作品だと思います。 |