レビュー一覧
|
小塚すずゆさん 「イニシェリン島の精霊」 1月27日(金) TOHOシネマズ日本橋にて鑑賞 |
この1年間は映画をより身近に感じ、自分にとって新たなジャンルの映画の扉をたたくことができた年でした。ぴあ特別会員に選んでいただけたことに心より感謝しています。そして、何よりただ映画をエンタメとして消費するのではなく、鑑賞後に映画レポートを書くという行為によって、その映画について考え直すことは意外に面白いと気付くことができました。まだまだ知識不足な面もあるため、これから映画を楽しむためにも日々精進していきたいです。 さて、最後に私が紹介する作品は「イニシェリン島の精霊」(23)です。アイルランドの架空の島を舞台に仲良しだった男性2人がある日突然絶交し、島に少しの亀裂をもたらします。アイルランドの荘厳な風景の中で男性同士の静かな喧嘩はヒートアップし、島という狭い世界にとある死をもたらすことになります。アイルランドの歴史や文化はまだまだ分からないことだらけで、もっと知識があったらこの映画も理解できるのではないかと感じるような難解な映画でした。 ぜひ皆さんもこの映画について考察してみてください。私は、分からないという感情も含めてこれからも楽しみながら映画を観続けようと思います! |
川端七成さん |
人生で最も多くの映画に触れたこの1年を経て、気付いたことがいくつかあります。ひとつは、沢山の映画を観れば観るほど、自分の心の輪郭がはっきりとしていったこと。このような機会をいただき、今まで触れてこなかったジャンルの作品も観るようになりました。その中で、新たな好きを見つけたり、苦手なものの理由を考えたり、元から好きだったものを改めて好きだと思えたりして、それは私がどういう人間であるかを捉え直すことにも繋がりました。 もうひとつは、自分が映画を好きな理由を見つけられたこと。「ハケンアニメ!」(22)に、こんな台詞がありました。『ごくたまに、君をわかってくれる気がするようなものを見ることもある』。この言葉は私の真ん中に届いて、心の中で何度も噛み締めました。私もそういう物語と出会うために、映画を観ていたのだと気付きました。ずっと覚えている台詞だと思います。 1年間、こんなに沢山の映画を観てもなお、映画を好きなままでいられたことがすごく嬉しかったです。私はこの1年のことをずっと大事に抱えて生きていくのだと思います。映画が好きでよかった。これからも自分の輪郭を縁取るような作品と出会えるよう、映画館に足を運びたいです。 |
細井ゆうきさん 「今夜、世界からこの恋が消えても」 8月1日(月) TOHOシネマズ日比谷にて鑑賞 |
日本で昨年8月に公開された「今夜、世界からこの恋が消えても」(22)が、韓国でバズっていることをご存知でしょうか。韓国では昨年11月から公開され、今なお上映が続くロングランとなっているそうです。主演・道枝駿佑さんも「ミチゲッタシュンスケ(=韓国語で狂いそうな程好き)」の愛称で大フィーバーを起こしていると、先日ワイドショーで見かけました。 私は原作を拝読していますが、映画化により、物語が一層輝いたと感じました。 三木孝浩監督の綺麗な映像、「カノジョは噓を愛しすぎてる」(13)の音楽プロデューサー・亀田誠治さんによる胸が高鳴る音楽。そして、難しい物語構成を2時間に纏めあげた秀逸な脚本。全てが素晴らしいです。このような素敵な日本映画が「言語」と「文化」を超えて海外で愛される事は、日本人として大変誇らしく思います。 さて、私の映画レポートは今回が最後です。一年間、私の拙い文章にお付き合い頂き、本当にありがとうございました。多くの作品を皆様と共有出来た事、とても幸せに思っています。私のレポートが、皆様にとって新しい映画と出会うきっかけの一つになれていたら光栄です。私は、洋画邦画問わず鑑賞しますが、日本映画を応援しています。そして、過去の名作達も愛しています。今後も素晴らしい日本映画が多く創られ、その魅力が世界へ届き大きく発展する事を心から願っています。 |