レビュー一覧
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林 道治さん 「PERFECT DAYS」 12月25日(月) TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて鑑賞 |
一年を通じ、ぴあ特別会員として寄稿する機会を与えて頂き感謝しております。私にとって、大変貴重であり実りのあるかけがえのない経験となりました。スクリーンから放たれる『作り手の思い』を受け取ることに集中し、映画の持つ魅力を伝えたい想い。漠然と作品を鑑賞していた頃には芽生えなかった気持ちです。記事の一つ一つが皆様の作品選びの一助になれていたら嬉しく感じます。 そして、最後にセレクトした作品が「PERFECT DAYS」です。ヴィム・ヴェンダース監督が描き出す世界観と主演を務める役所広司さんの表現する平山の生きざまが体の隅々まで浸透していく物語。彼は渋谷のトイレ清掃員です。毎朝決まった時間に起床し丁寧に仕事へ励む姿、平山はとても満ち足りているように見えます。 普遍的な日常、日々の出来事に喜びを感じることができたならば、明日を迎えるのが待ち遠しくもなるのでしょう。まさに「PERFECT DAYS」ですね。劇中では特別な出来事は何も起こりません。生活することが愛おしく思え、心に寄り添うような温かで優しい肌触りの映画でした。是非、劇場で彼の精緻な生き様を追体験してみてください。 |
高山はる菜さん 「映画 窓ぎわのトットちゃん」 12月14日(木) 新宿ピカデリーにて鑑賞 |
週に何度も、1日に何本も、映画館に通い映画を観たこの1年間は、本当に贅沢で豊かな日々でした。3日連続で映画館を訪れたり、都内一帯の映画館を渡り歩いたり、スクリーンを出てすぐまた5分後の上映の半券を購入したり、頭が痛くなりながらも4本鑑賞し続けたりしたことは、まさに一生に一度できるかできないかの経験だったと思います。 そのような中で、この1年どころか映画人生で最も泣き、愛おしく大切にしたい作品の1つとなったのが、「窓ぎわのトットちゃん」です。子どもが持つ限りない力と心と、子どもと向き合う大人の理想の姿が、あらゆるアニメーション技法により可愛く優しく描かれており、私にとって宝物にしたい教科書のような映画になりました。黒柳徹子さんご自身のナレーション、『小林先生の子どもを思う愛情は、学校を包む炎よりも大きかった』は、鑑賞から1ヶ月が経過しようとする今も復唱できます。まだ観られていないという方は映画初めの作品として、どうか皆さんに観てもらいたい! 今年私は社会人になるのですが、映画館に通う中でお見かけした、仕事帰りであろうスーツで一人平日のレイトショーに足を運ぶ先輩方を目標に、今後も沢山の映画に出会いに行きたいです。 |
村上梨緒さん 「きっと、それは愛じゃない」 |
ルーズな性格の私が唯一続けてきた習慣があります。それは、メモ程度ながらも映画の感想を残すことです。そんな習慣が、今年度は特別な意味を持つことになりました。私の感想が栄えある日本アカデミー賞のサイトに掲載されることになったのです。 さて、そんな私が最後に紹介する作品は「きっと、それは愛じゃない」です。ロンドンで暮らすゾーイは、パキスタンからの移民の子である幼馴染のカズからお見合いをすると聞きます。『お見合いなんて古い悪習だ』と思ったゾーイですが、彼の話を聞くうちに、お見合いも一種の愛の築き方であると気づかされます。恋愛映画の王道を進みながらも、お見合いも一種の価値ある関係として認めていたり、イギリスにおける移民の状況についてわかったりと、楽しくも学びのある作品でした。 貴重な機会を頂いた1年間でしたが、特に印象深い出来事があります。ご縁があり「燃えあがる女性記者たち」の配給担当者様にお会いする機会があったため、感想を伝えたくて本レポートをお見せしたところ『小規模な配給であり此方の広報では限界があるため、こういったサイトに感想を掲載していただけて有難い』と言っていただきました。こんな風に、私のレポートが誰かに少しでも良い影響を与えられていたなら光栄です。会員としての活動は終わりますが、今後も多くの映画を観て色んな人と感想を共有していきたいと思っております。 |