レビュー一覧
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Shioriさん(女性/20代) 「オール・ユー・ニード・イズ・キル」 7月24日 TOHOシネマズ川崎にて |
ループものの映画の多くは難しいな・・と感じてしまう事がありますが、時間が戻るたびに戦いに素人な主人公が、その場を理解し進化することで敵や物事に近づいていく、と言う設定はまるでゲームのようで、激しいバトルシーンも手伝ってスピード感があり見やすく理解しやすいと思いました。 主人公の成長や部隊の仲間との友情を時にユーモラスに描き、死んで強くなると言う設定だからこそ死の尊さや人間ドラマをより魅力的に描いていると思います。またリセットされるたびに距離が縮まる主人公ケイジとヒロイン・リタのユニークなラブストーリーも見所です。 また弱くダメな主人公ケイジがリセットされるたびに成長していく過程を見ていると『人生は簡単にはいかないが、失敗して大きくなっていくんだ』と言うメッセージも感じました。 日本の観客に受け入れられるように作ったとインタビューで読んだとおり、原作の設定と重厚感も尊重され失われることなくもなく、劇中に響く日本語などトム・クルーズや監督により日本への愛も随所に感じられる映画です。大作ですがインディペンデント映画のような雰囲気も感じとても個性のある作品に仕上がっています。 |
早川和希さん(女性/20代) 「ホットロード」7月13日 試写会にて |
公開に先駆け完成披露試写会で、鑑賞しました。夜明けの蒼い道、赤いテイルランプ…あの頃のあの子たちが確かにスクリーンの中にありました。 私は実際、漫画で描かれている時代を生きていたわけではないですが、漫画ホットロードの世界観が描かれていました。中学生の時に読んでからずっと好きなマンガの実写化。まさか20年以上前の作品が、実写化されるなんて、現代に置き換えられてしまうのではないか、今映画にして世界観は壊されないのかと不安でしたが、監督が三木監督ということで、景色が本当に綺麗でキャストの方含め、漫画の世界そのものでした。 この映画は、ママと二人暮らし、自分は必要とされていないのではと孤独を感じる14歳の少女和希と横浜の暴走族の一員でもある16歳の春山の純愛物語であり、母と娘の物語でもあります。観るまでは不安ばかりでしたが、今まで平面に描かれていたものに色が着き、そして動きだし、和希とママの部屋が本当に忠実に再現され、和希と春山の見ていたものを見ることができ凄く嬉しかったです。 キャストが発表され、お芝居が初めてということもあり、一番不安だった春山役の登坂広臣さんは、モヤモヤしていた時間が無駄に思えたほど、とても自然で春山でした。好きなセリフが音になることでより、キュンとして、春山はやっぱりカッコいいのだと再認識しました(笑)。 大きなプレッシャーの中演じてくれた登坂さんに新人賞を差し上げたいくらいです! ママを演じた木村佳乃さんもママそのものでした。和希への思いが伝わるシーンはグッときました。 全4巻ある作品を2時間にまとめているので好きなシーンがカットされていることもありましたが、私も、母(同じく原作ファン)も満足だったので、原作が好きな方も安心して大丈夫だと思います。傷つけあいながらも惹かれあう二人、親から子への愛を湘南の風景を交えながら、丁寧に描いた映画になっています。ホットロードを知らない10代、20代の人、親世代…どんな人にも響く作品だと思うので、世代問わず多くの人に観てほしいです。ぜひ、家族、友人、大切な人を誘って観てください! |
山本さん(男性/30代) 「るろうに剣心 京都大火編」 8月4日 TOHOシネマズ渋谷にて |
前作の公開から2年。日本のアクション界に突如放たれた火は大火となって更なる猛威を振るっている。2年前とのレベルの違いは明らかでした。製作費30億円という日本映画では破格のスケール。それを可能にするスタッフとキャストが生み出す作品にパワーダウンなんてあり得ない。 開始から音とシルエットによる演出を使い、対峙する相手を観客に推測させることで、原作を知っていても知らなくてもそれが誰かわからない。誰も置き去りにしない展開が緊張感を与え一気に観客を引き込んでいきます。オープニングから作品のクオリティは十二分に感じることができます(個人的にオープニング大賞みたいなものがあればこのオープニングに1票です)。大作の名の通りスケールの大きなシーンはとても力強く興奮を覚えます。音楽も重厚且つ壮大であり、アクションシーンをもドラマチックに染めています。しかし、作品はもっと繊細に作られているようにも感じました。大きなシーンも繊細なものの集合であることは承知していますが、たとえば“火”。この火に関する表現には様々な意味が込められているように感じています。劇中に登場する人物を動かす動機という火。 それを火種に起きる事件。時をまたいで火はあちこちで生まれ、燃え、炎となり広がっていく。花火という人を笑顔にする火も、不吉な表現に使われており、焼かれた村に残る木を見ても、その形状や色が人の内面や傷を具現化したようにところどころイビツな形をしています。焼かれたものは何なのか。焼け残ったものはどうなってしまうのか。簡単に広がる火となかなか大きくならない火、簡単に消えるものや消せないものなど様々です。火を意識すると一見するシーンに別の発見ができるのではないでしょうか。 いい映画はたくさんありますが、日本映画の成長を見させてくれる1本だと思います。きっとこのレベルがスタンダードになり、その頃、このるろうにチームはそれぞれの場所でもっと面白い映画を手掛け、火の勢いを強めているに違いありません。この燃え広がるエンタテインメントの大火は9月の続編へ繋がっています。「伝説の最期編」。こちらの“伝説”にもまた“火”のように意味があるように感じられます。 |