第48回日本アカデミー賞優秀作品一覧に戻る
日時: 2025(令和7)年3月14日(金)
場所: グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール
司会: 羽鳥慎一/安藤サクラ

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優秀作品賞
最優秀賞/優秀賞
©2024未来映画社

最優秀作品賞 「侍タイムスリッパー」


【最優秀受賞コメント】
本当に驚いております。最後まで物事を諦めずにやることを教えてくれた亡き父と、頑張っていれば誰かがどこかで見ていてくれるといつもおっしゃっていた福本清三さんに、見せてあげたいです。[安田淳一/監督] 
たくさんの方に助けてもらい、皆さんの思いが詰まった作品を一緒に作り上げることができたのが嬉しくて幸せです。[沙倉ゆうの/出演・助監督] 
心臓が飛び出るかと思いました。この映画が与えてくれたすべてのことが、折に触れ今後の自分の還る場所になると思います。[山口馬木也/主演]

【作品紹介】
本作が自主映画の長編3本目となる安田淳一監督が私財も投げ打って製作し、脚本・撮影・照明・編集・整音・VFX・車両など10役以上を務めて作り上げたオリジナル作品。幕末を生きる会津藩士・高坂新左衛門が、雷に打たれ現代の京都太秦の撮影所にタイムスリップし、時代劇の“斬られ役”の仕事にのめりこんでいく。映画、そして時代劇への愛とリスペクトに溢れた、笑いあり涙ありの物語。自主映画で時代劇を撮るというチャレンジングな企画だったが、東映京都撮影所で時代劇の製作を支えるプロたちが特別協力。当初は1館のみでの公開が、評判を呼びやがて全国300館以上に拡大されるなど、一大旋風を巻き起こした。第37回日刊スポーツ映画大賞作品賞、第67回ブルーリボン賞作品賞を受賞。今回の日本アカデミー賞では7部門を受賞(うち安田監督は5部門受賞)。

監督・脚本:安田淳一
製作:未来映画社
©原泰久/集英社 ©2024映画「キングダム」製作委員会

優秀作品賞 「キングダム 大将軍の帰還」


06年から『週刊ヤングジャンプ』(集英社)に連載され、単行本の累計発行部数が24年12月時点で1億1000万部を突破している大人気漫画『キングダム』の実写映画4作目。脚本はこれまでの3作品同様、『キングダム』原作者・原泰久と脚本家・黒岩勉が共同で担当し、佐藤信介が監督を務めた。舞台は中国、紀元前の春秋戦国時代。天下の大将軍になるという夢を持ち、自らの隊である飛信隊を率いるまでになった主人公・信と、その憧れの存在で秦国六大将軍の一人・王騎が、趙軍を相手に繰り広げる“馬陽の戦い”の結末を描く。ここまでの集大成的な位置づけとなる作品で、キャスト、スタッフの熱量がスクリーンからほとばしる。全編がクライマックスと言っても過言ではない、エンターテインメント超大作。3作連続で50億円を突破していた興行収入は、4作目にしてシリーズ最高となる80億円を突破。今回の日本アカデミー賞では10部門で優秀賞を受賞。

監督:佐藤信介 脚本:黒岩 勉/原 泰久
製作:集英社/日本テレビ放送網/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/東宝/読売テレビ放送/CREDEUS/ジェイアール東日本企画/東急エージェンシー/博報堂/ぴえろ/LINEヤフー
©2024 映画「正体」製作委員会

優秀作品賞 「正体」


【作品紹介】
「新聞記者」(19)「余命10年」(22)の藤井道人監督と、俳優・横浜流星。約10年前から親交があるという二人が、長編映画では「青の帰り道」(18)、「ヴィレッジ」(23)に続く3度目のタッグを組んだ作品。「横浜流星主演で長編映画を作る」と約4年前に立ち上げられた企画が実現した形で、「最終形態に近いぐらいお互いを知り尽くしている」と藤井監督が語るタイミングで満を持しての映像化となった。原作は作家・染井為人による同名小説。死刑判決を受け、服役中に刑務所から脱走した青年・鏑木は、何度も容姿を変えながら、警察の追跡をかわし、決死の逃亡を続ける。アクション、サスペンスとしての要素に加え、鏑木の人間性が明らかになっていく過程も丁寧に映し出されるエモーショナルなドラマ。第49回報知映画賞作品賞受賞。今回の日本アカデミー賞では12部門で13賞(助演女優賞は2名)と新人俳優賞を受賞。

監督:藤井道人 脚本:小寺和久/藤井道人
製作:TBSテレビ/松竹/毎日放送/TCエンタテインメント/CBCテレビ/ジェイアール東日本企画/RKB毎日放送/TBSスパークル/サイバーエージェント/北海道放送/光文社
©瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会

優秀作品賞 「夜明けのすべて」


【作品紹介】
『そして、バトンは渡された』(18)で本屋大賞を受賞した瀬尾まいこによる同名小説を「ケイコ 目を澄ませて」(22)などの三宅唱監督が、松村北斗と上白石萌音を主演に迎え映画化。二人が演じるのは、パニック障害を抱える男性・山添くんとPMS(月経前症候群)の女性・藤沢さん。それぞれに生き辛さを抱えているが、職場の同僚として顔を合わせるうちに少しずつお互いを知り、助け合いながら、何でも言える同志のような関係になっていく。フィルムで撮影された素朴な質感の映像も、何気ない会話も、飾り気がなくそれでいて温かい。二人を取り巻く人々も穏やかで、思いやりがある優しい世界が広がり、登場人物たちはもちろん見る者の背中をそっと押してくれる珠玉の一本。第46回ヨコハマ映画祭作品賞、第79回毎日映画コンクール日本映画大賞、第98回キネマ旬報ベスト・テン日本映画作品賞受賞。今回の日本アカデミー賞では3部門を受賞。

監督:三宅 唱 脚本:和田清人/三宅 唱 
製作:バンダイナムコフィルムワークス/アスミック・エース/KDDI/ストームレーベルズ/ホリプロ/ザフール/日本出版販売/博報堂DYミュージック&ピクチャーズ/水鈴社/東宝芸能/ギャンビット
©2024 映画『ラストマイル』製作委員会

優秀作品賞 「ラストマイル」


【作品紹介】
不自然死の原因を究明する法医学者たちのドラマ『アンナチュラル』(18)、警視庁の機動捜査隊のドラマ『MIU404』(20)を世に送り出してきたチーム(監督・塚原あゆ子、脚本・野木亜紀子、プロデューサー・新井順子)によるオリジナルストーリー。物通業界の超繁忙期であるブラックフライデーの前夜、世界規模のショッピングサイトから配送された荷物が爆発し、やがて連続爆破事件へと発展していく。物流で働く者たちのプロフェッショナルとしての矜持、ジレンマ、業界の闇などを盛り込みながら、事件解決に向けた緊迫の4日間を描く、スピード感溢れるエンターテインメント。TVドラマ『アンナチュラル』『MIU404』と同じ世界線で展開するシェアード・ユニバースとして、ドラマの登場人物も要所で登場し作品を盛り立てる。興行収入は約59.6億円を記録。今回の日本アカデミー賞では、10部門を受賞。

監督:塚原あゆ子 脚本:野木亜紀子
製作:TBSスパークル/TBSテレビ/東宝/毎日放送/CBCテレビ/RKB毎日放送/北海道放送
優秀アニメーション作品賞
最優秀賞/優秀賞
©藤本タツキ/集英社 ©2024「ルックバック」製作委員会

最優秀アニメーション作品賞 「ルックバック」


【最優秀受賞コメント】
アニメーションという表現は、個人の技術によって支えられており、それなくして映画を作ることはできません。ここに一緒に立っている井上俊之さんら本作に関わってくれた優秀なアニメーターの方々を始め、日本のアニメーション業界を支えてくださっている多くのスタッフがいます。そういう方たちと共に産み出した作品だとも思っています。[押山清高/監督] 
世界の皆さんに届くことをワクワクして待っていました。私はとても本作のことを誇りに思っていますし、関わられた皆さんに敬意を表したいです。[河合優実]

【作品紹介】
大人気漫画『チェンソーマン』の原作者・藤本タツキが21年に集英社のアプリ&WEBサイト『少年ジャンプ+』で公開した143頁の読み切り漫画を、58分の中編として劇場アニメ化。学年新聞で4コマ漫画を連載する小学生の藤野と不登校の同級生・京本は、漫画へのひたむきな思いによって繋がるが、ある日、すべてを打ち砕く事件が起こる。押山清高監督自身が半数以上のカットを手掛け、8人の凄腕アニメーターのみで作画。主演に抜擢された河合優実と吉田美月喜も声優初挑戦ながら好演。クリエイターの喜びや葛藤を子どもの感情や友情も交えて繊細に描いた物語と、巧みな作画技術は、第49回報知映画賞作品賞・アニメ部門受賞や第52回アニー賞長編インディペンデント作品賞ノミネートなど、国内外で高い評価を受けた。口コミで好評が広まり封切り時の119館から拡大公開し、興行収入20.4億円の大ヒットを記録した。

監督・脚本:押山清高
製作:エイベックス・ピクチャーズ/集英社/スタジオドリアン/Amazon MGM Studios
©がんばっていきまっしょい製作委員会

優秀アニメーション作品賞 「がんばっていきまっしょい」


【作品紹介】
第4回坊っちゃん文学賞を受賞し、実写映画化(98)やTVドラマ化(05)もされた敷村良子の同名青春小説を、「あした世界が終わるとしても」(19)でアヌシー国際アニメーション映画祭コンペティション部門にノミネートされた櫻木優平監督が、設定を現代に変えて3DCGアニメ化。才能もないのに頑張っても仕方ないと、一生懸命になることを諦めてばかりいた愛媛県松山の高校2年生の村上悦子は、転入生の高橋梨衣奈に巻き込まれ、幼馴染の佐伯姫と共に廃部状態のボート部復活に渋々ながら協力。兵頭妙子と井本真優美も入部して5人が揃い、大会に初出場するも惨敗し、“上手くなりたい”“勝ちたい”という意欲に目覚めた悦子たちは、猛練習に励む。松山のきらめく海や美しい自然を背景に、ボート(ローイング)競技に挑む松山の女子高校生たちの眩しい青春を、3DCGを活かした迫力の競技シーンを交えて感動的に綴る。

監督:櫻木優平 脚本:櫻木優平/大知慶一郎
製作:松竹/VAP/テレビ東京/WOWOW/愛媛新聞社/南海放送/テレビ愛媛/あいテレビ/愛媛朝日テレビ/FM愛媛
©SUNRISE

優秀アニメーション作品賞 「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」


【作品紹介】
02~05年にTVアニメ2シリーズを放送した『機動戦士ガンダムSEED』シリーズの続編。遺伝子調整で優れた身体能力や頭脳を持って生まれた人類(コーディネイター)と自然のままに生まれた人類(ナチュラル)が存在する時代“C.E(. コズミック・イラ)”。二つの人類間で起きた戦争は多くの犠牲を経て終結したはずだったが、その対立と憎しみは各地にくすぶり続けていた。地球連合加盟国からの独立運動やコーディネイター排斥団体のテロ活動が起きるなか、世界平和監視機構“コンパス”が創設され、キラたちはその一員として各地の戦闘に介入していく。放送開始から約22年、劇場版製作発表から約18年を経て完成、公開したが、待ち侘びていた根強いファンから熱狂的な支持を受け、興行収入53.8億円を記録。劇場版『ガンダム』シリーズ最大のヒット作となり、西川貴教と小室哲哉による主題歌も大ヒットした。

監督:福田己津央 脚本:両澤千晶/後藤リウ/福田己津央
製作:バンダイナムコフィルムワークス
©2024「ハイキュー‼」製作委員会 ©古舘春一/集英社

優秀アニメーション作品賞 「劇場版ハイキュー‼ ゴミ捨て場の決戦」


【作品紹介】
古舘春一が12~20年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載し、コミック全45巻の累計発行部数7000万部を突破した、バレーボールに懸ける高校生たちの熱い青春スポーツ漫画『ハイキュー‼』。その14年から20年の第4期まで放送してきたTVアニメシリーズの続編で、原作のクライマックスを描く劇場版FINALシリーズの第1作。宮城県代表の烏野高校は、幾度となく練習試合を重ねるも現メンバーでの公式戦対戦がなかった因縁のライバル校・音駒高校と、春の全日本高校バレー選手権3回戦で遂に激突。超攻撃型の烏野と超守備型の音駒という真逆のプレースタイルの両雄が、カラス対ネコの“ゴミ捨て場の決戦”と称される接戦を繰り広げる。Production I.Gがアニメならではの表現技術を駆使して、実際の試合時間に近い85分の上映時間で、臨場感溢れる迫真の大熱戦を映像化。興行収入116.4億円のメガヒットを記録した。

監督・脚本:満仲 勧
製作:東宝/集英社/MBS/電通/Production I.G/ソニー・ミュージックエンタテインメント/ムービック
©2024 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

優秀アニメーション作品賞 「劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』」


【作品紹介】
青山剛昌が94年から『週刊少年サンデー』(小学館)に連載中で、96年からTVアニメ化されている国民的大人気ミステリー漫画『名探偵コナン』の劇場版アニメシリーズ第27作。北海道・函館の斧江財閥の収蔵庫に、怪盗キッドから新選組副長・土方歳三にまつわる日本刀を狙う予告状が届く。ちょうど西の名探偵・服部平次とコナンも剣道大会で函館を訪れており、キッドをギリギリまで追い詰める。同時期に斧江財閥の弁護士の遺体が函館倉庫街で見つかり、キッドが狙った刀との関連を察知したコナンと平次は、斧江家初代当主が函館のどこかに隠したとされるお宝争奪戦に巻き込まれていく。今回も原作者の青山自身が制作に参加し、劇場版ならではの大スケールの物語が展開。ラストでは原作漫画に先駆けて重大な真実が明かされ、ファンを驚愕させた。年間興行収入トップの158億円を稼ぎ出し、シリーズ最高記録を大幅更新している。

監督:永岡智佳 脚本:大倉崇裕
製作:小学館/読売テレビ/日本テレビ/ShoPro/東宝/トムス・エンタテインメント
優秀監督賞
©日本アカデミー賞協会
最優秀賞藤井道人「正体」


【最優秀受賞コメント】
新人気分だった「新聞記者」から5年を経て、また勉強しなおしてこの場に立てたのは、本当に仲間たちや皆様のおかげです。映画の現場は楽しくなきゃいけないし、その場を作るのは自分の責任だと、今日、映画人の先輩方や仲間たちの言葉を聴いて、強く思いました。これからもインディーズスピリッツで作り続けたいですし、驕ることなく感謝の気持ちを忘れず、楽しい映画業界を作っていけるよう、日々、映画道を精進したいです。

【受賞歴】第43回「新聞記者」で優秀監督賞と優秀脚本賞を初受賞
優秀賞佐藤信介「キングダム 大将軍の帰還」


【受賞コメント】
みんなで手塩にかけて作った映画も、シリーズ4作目となりました。こうして1作目から数年の時を経て、再び優秀賞をいただくことができ、本当に嬉しく思います。苦楽を共にしたキャスト・スタッフの皆様に感謝の想いを馳せつつ、華々しい舞台を記憶に残したいと思います。

【受賞歴】第43回「キングダム」で優秀賞受賞
優秀賞塚原あゆ子「ラストマイル」


【受賞コメント】
この度は、身に余る賞を有り難う御座います。物流に関するオリジナル映画という内容が、こうして評価されたのが本当に嬉しいです。キャスト、スタッフの皆様、ただただ感謝申し上げます。

【受賞歴】初受賞。他に本作で第49回報知映画賞監督賞受賞
優秀賞三宅 唱「夜明けのすべて」


【受賞コメント】
各部の素晴らしい仕事ぶりを見ているだけでも本当に幸せな現場でした(メイキングをぜひ見てほしいです、例えば照明部同士の会話が最高です)。自分に関しては反省点ばかりで、まだまだです。もっといい現場を、もっといい映画を作れるように、次の準備をしたいと思います。

【受賞歴】初受賞。他に本作で第98回キネマ旬報ベスト・テン、第79回毎日映画コンクール、第46回ヨコハマ映画祭などの監督賞受賞
優秀賞安田淳一「侍タイムスリッパー」


【受賞コメント】
自主映画として劇場公開し、せめて製作費を回収できれば、との思いでしたので“日本アカデミー賞”の複数の部門で優秀賞をいただけたと言うことが未だに信じられません。「一生懸命頑張っていれば誰かが見ていてくれる」大好きな福本清三さんの言葉をしみじみと噛みしめています。この成功を見ずに他界した父にもこの喜びを届けたいです。ありがとうございました。

【受賞歴】初受賞。他に本作で第37回日刊スポーツ映画大賞監督賞と新藤兼人賞銀賞受賞
優秀脚本賞
©日本アカデミー賞協会
最優秀賞野木亜紀子「ラストマイル」


【最優秀受賞コメント】
4年前、原作のある「罪の声」で最優秀賞をいただき、その壇上で今度はオリジナル脚本でというようなことを言いましたが、無事戻ってくることができました。信頼するスタッフやキャストの方々との作品で受賞できて大変光栄です。映画にとって脚本は設計図で、その上にどんな家を建ててくれるのか、スタッフやキャストの皆さんの力があってのことなので、今後もみんなが納得して打ち込んで作っていけるような脚本を書いていきたいです。

【受賞歴】第44回「罪の声」で最優秀脚本賞初受賞、本作で第98回キネマ旬報ベスト・テン日本映画脚本賞、本作と「カラオケ行こ!」で第46回ヨコハマ映画祭脚本賞受賞
優秀賞入江 悠「あんのこと」


【受賞コメント】
この賞を、コロナ禍で一生懸命生きたある一人の女性と、その方についての記事を書かれた記者の方に捧げます。

【受賞歴】初受賞。他に本作で第67回ブルーリボン賞と第46回ヨコハマ映画祭の監督賞受賞
優秀賞大島里美「九十歳。何がめでたい」


【受賞コメント】
原作の佐藤愛子先生から「時代遅れのお婆さんを面白く描いてほしい。この原作からユーモアを取ったらクソみたいな作品になる」とのお言葉を頂き、かっこよさに痺れました。公開時、愛子先生百歳、草笛さん九十歳。こんなにもめでたくチャーミングな映画が完成しお客様に笑っていただけたことが何より嬉しく、この映画を作った全ての方に感謝します。

【受賞歴】初受賞
優秀賞小寺和久/藤井道人「正体」


【受賞コメント】
小寺:本作に関わった皆さま全員に感謝したいと思います。社会的なテーマとエンタメを両立させるため複雑なパズルを解くような仕事でしたが、俳優部・技術スタッフ全員の感性のおかげで完成まで導かれたという感覚が強く、感謝しきりです。ありがとうございました!

【受賞歴】小寺:初受賞
藤井:第43回「新聞記者」で優秀脚本賞と優秀監督賞を初受賞
優秀賞野木亜紀子「カラオケ行こ!」


【受賞コメント】
和山やま先生のユニークで鮮烈な原作を、映画脚本にするという難題でしたが、楽しく書きました。山下監督が必ずぴったりなリズムと世界観で撮ってくれるという信頼が、そこにはありました。陽炎のような狂児。フレッシュな聡実たちの青い煌めき。スタッフ・キャスト、皆々様のおかげで、美しいフィルムになりました。

【受賞歴】第44回「罪の声」で最優秀脚本賞初受賞。他に本作で第46回ヨコハマ映画祭脚本賞受賞
優秀賞安田淳一「侍タイムスリッパー」


【受賞歴】初受賞。
優秀主演男優賞
©日本アカデミー賞協会
最優秀賞横浜流星「正体」


【最優秀受賞コメント】
藤井道人監督と出会って10年。5年前に自分は新人俳優賞、藤井さんは「新聞記者」で最優秀作品賞をとった時、心の底から喜び、いつか一緒にこの場に立ちたいと思っていたので、今回は自分の中で大きな意味があります。自分は芝居は上手くないし、人間としても遊びがなく、頑固でつまらない人間です。だからこそ芝居のことを毎日考え、作品に身命を賭す覚悟で向き合っています。それが少し認めていただけたような気がして励みになりました。

【受賞者紹介】
藤井道人監督と約3年にわたり、脚本やセリフのやり取りをするなどし、満を持して長編映画3度目のタッグを組んだ。凶悪事件の犯人として死刑判決を受けるも、刑務所から脱走した青年・鏑木役。名を変え、容姿を変え、職を転々としながら逃亡を続ける過程で、様々な表情や感情、そしてアクションも求められる役柄を見事に演じ切り、作品を牽引。主演としての実力と限りないポテンシャルを感じさせた。

【受賞歴】第46回「流浪の月」で優秀助演男優賞、第43回「愛唄-約束のナクヒト-」「いなくなれ、群青」「チア男子!!」で新人俳優賞受賞。他に本作で第79回毎日映画コンクール主演俳優賞と第49回報知映画賞主演男優賞受賞
優秀賞綾野剛「カラオケ行こ!」


【受賞者紹介】
人気同名漫画を原作に、「ラストマイル」も手掛けた野木亜紀子による脚本を山下敦弘監督の手で映画化した作品で、ある事情で切実に歌が上手くなりたいヤクザ・成田狂児に扮した。合唱部で部長を務める中学生・岡聡実にいきなり声をかけ、半ば強引に指導を依頼。だが、聡実と交流するうち、情に厚く、優しく、真摯な一面がどんどん表れてくる。チャーミングなキャラクターを巧みに演じ、見る者の心を鷲掴みにする。

【受賞歴】第43回「閉鎖病棟-それぞれの朝-」で優秀助演男優賞、第40回「日本で一番悪い奴ら」で優秀主演男優賞、第37回「横道世之介」「夏の終り」で新人俳優賞受賞
優秀賞草彅剛「碁盤斬り」


【受賞者紹介】
古典落語の演目『柳田格之進』をもとにした物語で、本作が初時代劇作品となる白石和彌監督と初タッグ。一人娘のお絹と暮らす、実直な武士・柳田格之進役を演じた。濡れ衣を着せられ、妻を亡くし、故郷の彦根藩を追われた過去がある格之進は、事の真相を知り、復讐を決意する。普段ほとんど感情を表に出さない格之進だが、武士としての誇りを傷つけられたり、因縁の相手と対峙するシーンでは感情が爆発。その凄みに圧倒される。

【受賞歴】第44回「ミッドナイトスワン」で最優秀主演男優賞受賞
優秀賞山口馬木也「侍タイムスリッパー」


【受賞者紹介】
映画初主演となった本作で、現代にタイムスリップする会津藩士・高坂新左衛門役を演じた。幕末とのギャップに戸惑う姿でくすっと笑わせたかと思えば、侍としての揺るぎない信念で見る者の胸を打つ。その精悍な顔つき、腰を落とした姿勢、鮮やかな剣さばきなど、まぎれもなく侍の佇まいで、現代を生きる人間とは異質のオーラを身にまとってスクリーンに存在。圧巻の説得力で観客を物語に引きこんだ。

【受賞歴】初受賞。他に本作で第67回ブルーリボン賞と第37回日刊スポーツ映画大賞の主演男優賞受賞
優秀賞山﨑賢人「キングダム 大将軍の帰還」


【受賞者紹介】
日本映画史に残る大ヒットシリーズの一つとなった「キングダム」シリーズで主人公・信役を務めた。1作目で、天下の大将軍になる夢を無邪気に語っていた戦災孤児の少年・信は、作品を経るごとに肉体的にも精神的にも逞しく成長。本作では憧れの将軍・王騎の生き様を目の当たりにすることで将軍とは何たるか、その覚悟と重みを知ることに。ピュアでエネルギッシュな愛すべきキャラクターをまっすぐに、感情豊かに演じ、本作はもちろんシリーズ全体を成功に導いた。

【受賞歴】第39回「orange-オレンジ-」「ヒロイン失格」で新人俳優賞受賞
優秀主演女優賞
©日本アカデミー賞協会
最優秀賞河合優実「あんのこと」


【最優秀受賞コメント】
この会場にいること自体も夢のようですし、信じられない気持ちです。私は本当に未熟で新参者ですが、こうして敬愛する大先輩の方々に囲まれて、映画の世界に足を踏み入れて本当に良かったなと心の底から思っています。この映画は言葉では言い表せないほど特別な作品で、ずっと自分の心に残り続ける大切な作品になるだろうと思っています。この映画に人生の時間を貸してくれたすべての人に改めて感謝を伝えたいと思います。

【受賞者紹介】
実在の人物をモチーフに、入江悠監督が脚本も執筆した本作で、壮絶な生き方を強いられた少女・杏を演じた。母親に虐待され、売春させられ、ドラッグにも手を染めている杏。救いの手を掴み少しずつ前を向いていこうとするが、コロナ禍がとどめを刺してくる。杏が懸命に生きた日々が、そこにあった喜びと痛みが、ダイレクトに伝わるような純度の高い表現で、見る者の心に杏の存在を深く刻み付けた。

【受賞歴】初受賞。他に本作などで第98回キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞と第67回ブルーリボン賞の主演女優賞、第79回毎日映画コンクール主演俳優賞、第16回TAMA映画祭最優秀女優賞受賞
優秀賞石原さとみ「ミッシング」


【受賞者紹介】
どんな役でもいいから出たい、と出演を熱望していたという白田篤監督作品で、彼が失踪し平穏な日常を失った女性・直子を演じる。娘の見つからない焦燥感に苛まれ、心がすり減らされ、自由の亡霊の如く、SNSのメッセージに魅入られていく母の姿には胸が締めつけられる。圧倒的な表現力で、物語の主軸を支える演技に審査員全員が心揺さぶられ、見る者の胸に突き刺さる。

【略歴】第45回『そして、バトンは渡された』第40回『シン・ゴジラ』第29回『北の桜⽥』で優秀助演⼥優賞、第27回『わたしのグランパ』で新人俳優賞受賞。他に本作で第94回映画⻘年主演⼥優賞受賞
優秀賞上白石萌音「夜明けのすべて」


【受賞者紹介】
自身も以前からファンだという瀬尾まいこによる小説『夜明けのすべて』。その映画化作品で、月に一度イライラが抑えきれなくなるPMS(月経前症候群)を抱える女性・藤沢さん役を演じた。症状が出ないときは気遣い屋さんで、それでいて気取りがなくサバサバしていて、思ったことをズバッと言ったり、おせっかいで天然なところもある。藤沢さんの魅力を余すところなく体現し、存在感を見せた。

【受賞歴】第38回「舞妓はレディ」新人俳優賞受賞。他に本作で第16回TAMA映画祭最優秀女優賞受賞
優秀賞草笛光子「九十歳。何がめでたい」


【受賞者紹介】
デビュー以来、120本以上の映画に出演し、今回が映画単独初主演。作家・佐藤愛子の100万部突破の同名ベストセラーエッセイを、前田哲監督がメガホンを取り映画化した本作で、佐藤愛子役を演じた。一度は断筆宣言をするも、編集者に口説かれエッセイの連載を始め、歯に衣着せぬ物言いで人の心を動かしていく。ちょうど自らが90歳の誕生日を迎える時期に、90歳役を演じた唯一無二の女優が、熟練の演技で魅せた。

【受賞歴】第45回で会長功労賞と優秀助演女優賞(「老後の資金がありません!」)受賞。他に本作で第49回報知映画賞特別賞と第37回日刊スポーツ映画大賞の主演女優賞、第46回ヨコハマ映画祭特別大賞受賞
優秀賞満島ひかり「ラストマイル」


【受賞者紹介】
ブラックフライデー直前、日本最大級の物流倉庫にセンター長として赴任してきた舟渡エレナ役。仕事にプライドを持ち、明るくて機転が利くタフな女性で、トラブルがあっても動じず、てきぱきと解決法を示していくが、物語が進むにつれて別の一面が明らかに。“30代後半の女性が主人公となるサスペンス映画”を目指した製作チームがあて書きした役柄を、颯爽と、チャーミングに演じ、作品を牽引している。

【受賞歴】第39回「駆込み女と駆出し男」第36回「北のカナリアたち」第35回「一命」第34回「悪人」で優秀助演女優賞受賞
優秀助演男優賞
©日本アカデミー賞協会
最優秀賞大沢たかお「キングダム 大将軍の帰還」


【最優秀受賞コメント】
本当にこの作品でいただけて嬉しく思います。助演として主演の山﨑賢人君をどう盛り上げるのかを7年間ずっと考え続けていましたが、気付けばその山﨑君を始めとしたキャストやスタッフの皆さんに、ずっと助けられながら演じさせていただいたと思っています。この賞は僕というよりも、そんな支えてくれた皆さんのおかげです。そして劇場に足を運んでいただいたたくさんの方々、改めて本当にありがとうございました。

【受賞者紹介】
漫画『キングダム』シリーズ初期の人気キャラクターである、秦国の大将軍・王騎役。鍛え上げられた巨体に、余裕を感じさせる笑み、独特の癖のある話し方などが特徴的な人間離れしたキャラクターを、熟達の演技力に加え、約20キロ体重を増やすなど自らの肉体でも
体現。シリーズを通じて献身的な役作りで、山﨑賢人演じる信に将軍の生き様と戦い方を身をもって示す王騎をこの上なく魅力的に演じ、作品に貢献した。

【受賞歴】第30回「地下鉄(メトロ)に乗って」で優秀助演男優賞、第28回「解夏」で優秀主演男優賞受賞。他に本作で第67回ブルーリボン賞助演男優賞受賞
優秀賞内野聖陽「八犬伝」


【受賞者紹介】
滝沢馬琴の約28年にわたる『八犬伝』の執筆過程を見守る親友で人気絵師の葛飾北斎を演じた。度々、馬琴の作品に挿絵を描いてきたが意見の衝突も多く、新作『八犬伝』の挿絵は断固拒否。それでもしょっちゅう馬琴のもとを訪れては言いたいことを言い、ときに毒舌も吐く。人間味溢れるキャラクターを活き活きと、ユーモアを交えて表現。役所広司演じる馬琴とのテンポの良いやりとりでも楽しませた。

【受賞歴】第39回「海難1890」で優秀主演男優賞、第20回「(ハル)」で新人俳優賞受賞
優秀賞岡田将生「ラストマイル」


【受賞者コメント】
満島ひかり演じる物流センター長・舟渡エレナの下で働く、チームマネージャー・梨本孔役。エレナとは対照的に、常に淡々としているが自分の仕事はきっちりこなす、どこか冷めたところのある人物を好演。荷物の爆破事件が起こった際は、いつのまにかエレナに巻き込まれ、共に解決策を探ることになる観客目線に近いキャラクターをナチュラルに演じた。スクリーンに愛される存在感で作品を彩り、盛り立てている。

【受賞歴】第34回「悪人」「告白」で優秀助演男優賞、第33回「ホノカアボーイ」「僕の初恋をキミに捧ぐ」「重力ピエロ」で新人俳優賞受賞
優秀賞佐藤二朗「あんのこと」


【受賞者紹介】
壮絶な生い立ちからドラッグ中毒となった主人公・杏を更生させようと尽力する、ベテラン刑事・多々羅保役。薬物更生者の自助グループを主宰するなど、人を助けたいという強い思いを持っており、杏にとっての救世主となるが、品行方正な善人ではなく、人間の多面性を浮き彫りにする。口数が多く、豪快で、時に乱暴な物言いもするが、憎めない。ユーモアと温かみも兼ね備えた多々羅をバイタリティ溢れる演技で見せた。

【受賞歴】初受賞
優秀賞山田孝之「正体」


凶悪殺人事件の犯人として主人公・鏑木を捕らえた刑事・又貫征吾役。鏑木が逃亡後もどこまでも追いかけ、追い詰める、冷静沈着で硬派なキャラクター。手強い存在感が、鏑木の逃亡劇をよりスリリングなものにしている。上司の指示には素直に従い、職務をこなしているように見えて、ほんの一瞬の表情や瞳の動きから、わずかな心の揺れも感じさせる。抑制された繊細な演技で、深みのある人物像を作り上げた。

【受賞歴】初受賞
優秀助演女優賞
©日本アカデミー賞協会
最優秀賞吉岡里帆「正体」


【最優秀受賞コメント】
私の人生において、とても重要な作品になりました。全員が心からいい作品を作りたいと一致団結して手を取り合ったときに、ものすごいパワーを発揮する映画というものに自分も携わっていきたいと思っていますし、どんな場所にも時代を超えてエネルギーを残していくものだと思っています。そんな一人として、少しでも見ていただける方のパワーになれるように、これからも精進していきたいです。私は藤井組に出会えて幸せです

【受賞者紹介】
鏑木が潜伏中に、那須という偽名を使ってフリーライターとして働いていた際、那須を信頼して仕事を任せていた安藤沙耶香を演じた。那須が指名手配犯の鏑木だと気づいた後も、自分の感じたことを信じ、自分の見てきた鏑木を信じる。自身も父親の冤罪を晴らすべく闘っており、周りに流されない、しなやかな強さのある女性を好演。そのまっすぐなまなざしは、鏑木にとっても作品にとっても希望であり、救いとなった。

【受賞歴】第46回「ハケンアニメ!」で優秀主演女優賞、第43回「見えない目撃者」「パラレルワールド・ラブストーリー」で新人俳優賞受賞。他に本作で第49回報知映画賞助演女優賞受賞
優秀賞芦田愛菜「はたらく細胞」


【受賞者紹介】
武内英樹監督が同名人気漫画を映画化したエンターテインメント作品で、聡明な高校生・漆崎日胡を演じた。母を亡くしてから、父娘二人で暮らし、父の健康に気を配り、世話を焼いていたが、自らの体内で細胞たちが壮絶な戦いを繰り広げることに。誰もがその幸せを願わずにはいられない、笑顔のキュートな日胡をナチュラルに体現。父役の阿部サダヲとの、お互いを思いやるやり取りも熱い感動をもたらした。

【受賞歴】第34回「ゴースト もういちど抱きしめたい」で新人俳優賞受賞
優秀賞清原果耶「碁盤斬り」


草彅剛演じる浪人・柳田格之進の一人娘で、凛とした美しさが印象的なお絹役。濡れ衣を着せられ彦根藩を追われた父と、江戸で二人暮らしをしていたが、父の汚名をそそぐため、ある大きな決断を下す。父親をリスペクトし、支えようとする気立ての良いしっかり者で、強さや包容力までも感じさせるキャラクターを、確かな演技力で表現。素直で健気なお絹の献身が見る者の胸を打つ。

【受賞歴】第45回「護られなかった者たちへ」で最優秀助演女優賞受賞
優秀賞土屋太鳳「八犬伝」


【受賞者紹介】
『八犬伝』作者・滝沢馬琴が登場する、実話部分の“実”のパートと、彼の書く『八犬伝』をビジュアル化した“虚”のパートのある本作で、“虚”のパートに出演。里見家の姫・伏姫に扮した。父親の戯言の責任を取り、愛犬・八房の嫁となり、八房に取り憑いた怨霊を浄化。さらに里見家の呪いを解くための“八犬士”を生み出し、八犬伝の物語が始まるきっかけを作る。儚くも美しい伏姫を好演し、鮮烈な印象を残した。

【受賞歴】第41回「8年越しの花嫁 奇跡の実話」で優秀主演女優賞、第39回「orange-オレンジ-」で新人俳優賞受賞
優秀賞山田杏奈「正体」


【受賞者紹介】
桜井という偽名で介護施設で働いていた鏑木の同僚となる酒井舞役。東京で挫折し地元に戻り、鬱屈した日々を送る中、ルックスが良い上に誠実な桜井に惹かれていくが、桜井が逃亡犯の鏑木であること、またそれが舞のSNS投稿が原因で明らかになったことで、感情が大きく揺れ動く。鏑木と出会い触発され、前を向いて生きていこうとする舞の心情と、人としての成長にリアリティをもたせ、等身大のキャラクターを演じ切った。

【受賞歴】初受賞。今回新人俳優賞受賞。他に本作などで第37回日刊スポーツ映画大賞助演女優賞受賞。
優秀音楽賞
©日本アカデミー賞協会
最優秀賞世武裕子「カラオケ行こ!」


【最優秀受賞コメント】
小さい頃からずっと映画音楽を作りたいと考えて生きてきたなか、実際に映画音楽が作れるようになって本作と出会い、ここに選んでいただき、びっくりしています。始めに主演の綾野剛さんの背中を見た時に「このテーマ曲だ!」と思って作った曲が、皆さんに愛されて嬉しいです。この受賞は、本作のチームと映画を好きな皆さんのおかげだと思います。

【受賞歴】初受賞
優秀賞大間々 昂「正体」


【受賞コメント】
このような名誉ある賞を、藤井組の作品で受賞できたこととても嬉しく思っています。各チームの熱量とクリエティブな発想からたくさんアイディアを頂きながら制作に取り組みつつ、まるで文化祭のように楽しく仕上げに向かう日々でした。そんな現場を支えてくれたそれぞれの仲間と家族にも感謝の気持ちでいっぱいです。

【受賞歴】初受賞
優秀賞得田真裕「ラストマイル」


【受賞コメント】
この度は名誉ある賞を頂き感謝の気持ちで一杯です。私一人の力ではなく、共に作品を作り上げた監督やスタッフの皆様、素晴らしい作品との出会い、そして何よりこれまで関わって頂いた多くの人との出会いがあってこその賞だと思います。またこの作品を愛してくれた皆様にも心よりお礼申し上げます。ありがとうございます。

【受賞歴】初受賞
優秀賞やまだ豊「キングダム 大将軍の帰還」


【受賞コメント】
この度、優秀音楽賞を頂きました事、大変光栄に思います。今作はシリーズ第4作目であり、物語前半の集大成と言える作品です。壮大なスケールの中で、音楽が物語やキャラクターの感情をさらに引き立てられるよう、チーム一丸となって制作に取り組みました。この作品が皆様の心に響き、感動を共有できたことを嬉しく思います。本作品の制作に携わった全ての方々、そして応援してくださった皆様に心より感謝申し上げます。

【受賞歴】第43回「キングダム」で優秀賞初受賞
優秀賞Face 2 fAKE「はたらく細胞」


【受賞コメント】
この度の受賞、大変光栄です。これ程エンタメ要素が詰まった作品は中々ない上、そんな素晴らしい作品に関わらせて頂けた事を心から感謝致します。監督やプロデューサーと何度も意見を交わし、これまで以上に細部にまで拘り抜き、細胞たちの物語を音楽で支える新たな挑戦を形にする事が出来て、新境地を開けた事は大変貴重な経験でした。その上、受賞を頂けた事、評価された事をとても嬉しく感謝致します。

【受賞歴】第43回「翔んで埼玉」で優秀賞初受賞
優秀撮影賞
©日本アカデミー賞協会
最優秀賞佐光 朗「キングダム 大将軍の帰還」


【最優秀受賞コメント】
信じられないくらい最高のスタッフとキャストで作られた最高の作品です。いろんな方に助けていただいたので、みんなの賞だと思います。なかでも特にBキャメの田中悟君、特機の松田弘志君、カラリストの山下哲司君、DITの星子駿光さん、岩見周平君を筆頭に僕のワガママな撮影を笑顔で助けていただいた撮影助手さんたちに感謝しています。

【受賞歴】第47回「キングダム 運命の炎」第46回「キングダム2 遥かなる大地へ」第26回「ピンポン」で優秀賞受賞
優秀賞川上智之「正体」


【受賞コメント】
今回このような賞をいただき大変うれしく思っております。自分が作品にどれだけ貢献できたのかはわかりませんが、監督、役者の方々、藤井組全スタッフに導かれるようにして辿り着いた結果だと思っています。みなさん、ありがとうございました。

【受賞歴】初受賞
優秀賞関 毅「ラストマイル」


【受賞コメント】
日本を代表する名誉ある映画賞をいただき、本当にありがとうございます。10年来のチームで満を持しての作品を多くの方に観てもらえた事が嬉しくて堪らないです。緊張感あるシーンが多かったのですが、笑顔を忘れずに良いリラックスを持って撮影を続けられるチームに感謝します。

【受賞歴】初受賞
優秀賞相馬大輔「ゴールデンカムイ」


【受賞コメント】
ヒンナヒンナ!
ありがとうございます。
あの雪の中、朝日が出るのを凍えながらもワクワクして待っていた撮影当時のスタッフ・キャストに伝えたいです。この映画は、確実に誰かに届いて行きますよ、と。極寒の中、瓦礫の戦場の中、北海道の大地、様々なロケーションで、出会えた仲間達、戦い抜いた仲間達に感謝です。やったぜ。

【受賞歴】初受賞
優秀賞安田淳一「侍タイムスリッパー」


【受賞歴】初受賞。
優秀照明賞
©日本アカデミー賞協会
最優秀賞加瀬弘行「キングダム 大将軍の帰還」


【最優秀受賞コメント】
まずはこの「キングダム」に参加させてもらえたことに感謝したいと思います。やっぱり「キングダム」は偉大でした。普段、裏方なので光を浴びることはまずないのですが、やはり今日の光はすごく眩しいです。この喜びを善き仲間たちと分かち合いたいと思います。ありがとうございました。

【受賞歴】第47回「キングダム 運命の炎」第46回「キングダム2 遥かなる大地へ」第27回「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」で優秀賞受賞
優秀賞上野甲子朗「正体」


【受賞コメント】
素晴らしい作品ばかりの中で、「正体」が作品賞と各部門で優秀賞を頂いたことに、評価して下さった方々に心から感謝申し上げます。関係者全員が頑張ったからこその賞だと思います。これからも良い作品に出会い、貢献できるよう努力して行きたいと思います。
誘って頂いた皆さんありがとうございました。

【受賞歴】初受賞
優秀賞川里一幸「ラストマイル」


【受賞コメント】
この度は、名誉ある賞を頂き大変光栄に思います。最高のチームで受賞出来た作品だと思っております。スタッフ、キャストの皆様に感謝したい気持ちで一杯です。
ありがとうございます。

【受賞歴】初受賞
優秀賞佐藤浩太「ゴールデンカムイ」


【受賞コメント】
活劇映画にワクワクしていた学生時代、映画ばかり観て怒られていましたが、30年後に自分が活劇映画に携わり賞まで頂けるとは感激です。極寒の雪の中戦ったキャスト、スタッフ達の活躍を今もワクワクして見れる映画の現場が大好きです。

【受賞歴】初受賞
優秀賞土居欣也/はのひろし/安田淳一「侍タイムスリッパー」


【受賞コメント】
土居:私には一生縁のない賞だと思ってたのですが受賞の話を聞き驚いてます。照明人生で今までのどの作品も現場に対するスタッフ全員の思い入れは素晴らしいものです。今回の「侍タイムスリッパ-」も並々ならぬ熱量でした。スタッフ、俳優陣の思いが観てもらった人達に届いて感無量です。

はの:自主映画なので、普段の映画、TV、CM等の撮影の様に整った機材もなく、助手さんも居なく1人で切り盛りをするという、忙しい現場でしたが、半端ない監督の拘り、思い、役者陣の芝居に対する熱意に乗せられて、とても楽しめた作品でした。この作品での受賞はとても嬉しい限りです。

【受賞歴】共に初受賞
優秀美術賞
©日本アカデミー賞協会
最優秀賞三浦真澄「はたらく細胞」


【最優秀受賞コメント】
実は「ゴジラ-1.0」の美術にも参加しておりまして、2年連続で最優秀賞をとれるような作品に関われたことを幸せに感じております。この作品に関しては、美術部・装飾部も大事ですが、特に制作部のロケーションや画の奥行でいうとCG部の力も本当に大きかったので、今日はその各部と共に喜びを分かち合いたいと思います。

【受賞歴】初受賞
優秀賞磯見俊裕/露木恵美子「ゴールデンカムイ」


【受賞コメント】
人と人が殺し合う戦争・北のウォール街、小樽の活況・相対するアイヌとカムイとの共生。この三点をしっかり描けたらと作品に臨みました。特にフチのアイヌコタンとその生活、あり方。コタン建設、小道具作製と全てのアイヌのあり方を教えて頂き、共に創って頂いた二風谷の皆様の力が評価して頂けたと、とても嬉しく思います。有難う御座いました!(磯見俊裕・露木恵美子)

【受賞歴】磯見:第46回「ラーゲリより愛を込めて」第44回「罪の声」第40回「64-ロクヨン-前編」第28回「血と骨」で優秀賞受賞露木:第46回「ラーゲリより愛を込めて」第44回「罪の声」で優秀賞受賞
優秀賞沖原正純「十一人の賊軍」


【受賞コメント】
この度は、輝かしい賞を頂戴し誠に光栄に思います。このような賞が頂けるとは想像にもしていなかったので大変驚いています。砦のセットは皆で猛暑の夏の中、苦労し作りました。美術、装飾スタッフとそれに関わって頂いたすべての方に感謝申し上げます。今後も皆様のお力添えを頂き、これまで以上に一生懸命仕事に尽力していきます。

【受賞歴】初受賞
優秀賞小澤秀高「キングダム 大将軍の帰還」


【受賞コメント】
コロナ禍で、準備していた中国ロケが出来ずスタッフ皆苦労しました。広い範囲の画は中国で撮る事とし、その一部を長野、山梨、千葉 他に建造しましたが美術パートにかかる負荷は膨大でした。ご協力頂いた各地の工務店の皆様と東映、東宝撮影所の美術関連の皆様に心より御礼申し上げます。

【受賞歴】第46回「キングダム2 遥かなる大地へ」第21回「失楽園」で優秀賞受賞
優秀賞松本真太朗「正体」


【受賞コメント】
この度は、素敵な賞をいただきましてありがとうございます。この映画に関わるとことができたこと、大変光栄に思います。美術スタッフ、藤井監督始め全スタッフ、全キャストの皆さまに感謝します。

【受賞歴】初受賞
優秀録音賞
©日本アカデミー賞協会
最優秀賞横野一氏工「キングダム 大将軍の帰還」


【最優秀受賞コメント】
どうもありがとうございました。とれると思っていませんでした。「キングダム」って、一流の俳優と一流のスタッフで作ったすごい作品なんですよね。すごいやりがいのある作品です。今回、主演の山﨑賢人君や他のスタッフ・キャストもこの場にいて、最高です。どうもありがとうございました。

【受賞歴】第46回「キングダム2 遥かなる大地へ」第43回「キングダム」で優秀賞受賞
優秀賞浦田和治「十一人の賊軍」


【受賞コメント】
「十一人の賊軍」の現場はいつもの白石組にも増して、前が見えないほどの激しい雨降らし、そして新たに大扇風機の使用と録音部にとって、3ヶ月間の撮影は緊張の連続でしたが、助手さん達の頑張りにより無事終えることが出来ました。仕上はアフレコを10日間以上行い、私自身初めてのドルビーアトモスの仕上げ、5ヶ月間の仕上げとなりました。「やり切ったーーー」という思いが素直な感想です。

【受賞歴】第42回「孤狼の血」で最優秀賞、第45回「孤狼の血LEVEL2」で優秀賞受賞。他に本作で第79回毎日映画コンクール
優秀賞金杉貴史「はたらく細胞」


【受賞コメント】
撮影現場はとても大変でしたが、武内監督がポジティブで楽しい方なので、監督に引っ張られ作業は楽しく真剣に妥協なく取り組む事が出来ました。また多くの方にこの作品を楽しんで貰えて本当に光栄です。ありがとうございました。

【受賞歴】初受賞
優秀賞西條博介「ラストマイル」


【受賞コメント】
今回の受賞は、様々な縁によるものだと思っており、自分は「ラストマイル」からの塚原組の参加ですが、「アンナチュラル」「MIU404」のチームに受け入れてもらえ、ドラマの音声チームから引き受けたバトンを繋いで結実させたと思っております。
この度は栄えある賞に選んで頂き、ありがとうございます。

【受賞歴】初受賞
優秀賞米澤 徹/浜田洋輔「正体」


【受賞コメント】
米澤:私にとって映画での初技師作品で、このような名誉ある賞を頂けたこと、心から感謝いたします。キャスト、スタッフ共に一切の妥協なく臨み、素晴らしい作品になりました。プレッシャーもありましたが、皆様の支えのお陰で乗り越えることが出来ました。本当にありがとうございました。

浜田:この度は選出していただきありがとうございます。藤井監督とはこれまでも多くの作品をご一緒してきましたが、いつも藤井さんの演出やアイデアに刺激を受けながら音作りをしています。また、今回も音楽の大間々昂さんをはじめ、音響効果の勝俣まさとしさん、ダイアログエディター樋口奈穂果さんなど多くの方々とのチームワークのおかげで良い作品が出来たと思います。

【受賞歴】共に初受賞
優秀編集賞
©日本アカデミー賞協会
最優秀賞安田淳一「侍タイムスリッパー」


【最優秀受賞コメント】
まさかいただけるとは思わなかったので、驚いております。本当に俳優さんたちが一生懸命にいいお芝居をしてくださったので、なるべくたくさんのシーンをいい形で編集するように頑張ったつもりでございます。本当にありがとうございました。

【受賞歴】初受賞
優秀賞板部浩章「ラストマイル」


【受賞コメント】
このような賞を頂けるとは想像していなかったので驚きの気持ちでいっぱいです。映画「ラストマイル」はテレビドラマ「アンナチュラル」「MIU404」からの流れでテンポ感と情感を特に大事に編集しました。これまでテレビドラマを通じて知り合った多くのスタッフや、今回初めてお世話になった東宝スタジオの仕上げスタッフの皆様の力の結晶で頂けた賞だと感謝の気持ちでいっぱいです。今後も映像編集という立場でより良い作品作りに尽力していきたいと思います。

【受賞歴】初受賞
優秀賞今井剛「キングダム 大将軍の帰還」


【受賞コメント】
シリーズとしては4本目にあたる本作品ですが、それでもこのような栄誉ある賞を頂けたこと、大変光栄に思います。
前作よりも、更に良い作品を。その想いで繋ぎ紡いできた編集作品が評価されたというのは、キャスト、スタッフの皆様の表現の手助けがあってのことだと思います。本作品に関わった全ての方々に感謝いたします。

【受賞歴】第25回「GO」で最優秀賞、第43回「キングダム」第40回「怒り」第34回「悪人」第30回「フラガール」第29回「北の零年」「春の雪」第28回「世界の中心で、愛をさけぶ」で優秀賞受賞
優秀賞古川達馬「正体」


【受賞コメント】
この「正体」で優秀編集賞をいただけること、大変嬉しく思います。追われる者のサスペンスを維持しつつ、事件にまつわる多くの情報、語り部となる視点の変化、複数の過去回想などの要素を扱いかつ、出会う人々とのドラマを発展させるという、全編を通して編集技術が問われる作品でした。支えてくれた家族に無限の感謝を。

【受賞歴】第43回「新聞記者」で優秀賞初受賞
優秀賞松尾浩「はたらく細胞」


【受賞コメント】
とても嬉しいです!
スタッフ全員の、はたらく細胞の如く、想いが詰まった素材を頂き、一年に及ぶ仕上げの中、音チームと一緒に受賞できる喜びと、また多くの人に観てもらえる作品に携わり、さらにこの様な賞を頂いて大変誇りに思います。

【受賞歴】第22回「踊る大捜査線」で優秀賞受賞
優秀外国作品賞
© Universal Pictures. All Rights Reserved.
最優秀賞オッペンハイマー


【最優秀受賞コメント】
ありがとうございます。本作が日本アカデミー賞という、日本の映画人の方々に選んでいただく賞を受賞できたことは、とても意義のあることで、嬉しいことだと思います。この作品のスタッフ、キャストの方々に代わって、お礼を申し上げます。この作品を日本でもたくさんの方々に見ていただきました。その観客の方々、そしてその公開にあたってご尽力いただいた皆さんに感謝を申し上げます。ありがとうございました。[定井勇二/ビターズ・エンド代表取締役]

【作品紹介】
ピューリッツァー賞受賞の評伝を原作に、原子爆弾を開発した天才科学者の栄光と没落の生涯をクリストファー・ノーランの監督・脚本で映画化。第二次世界大戦下のアメリカで、極秘プロジェクト“マンハッタン計画”に参加した J・ロバート・オッペンハイマーは、優秀な科学者たちを率いて世界初の原爆開発に成功。しかしその実戦投下後の惨状を聞いた彼は、深い苦悩と葛藤を抱えることとなる。冷戦や赤狩りなど、激動の時代の波に呑まれる波乱の人生を、時系列を交錯させつつ、異なる視点のモノクロ映像も交えたノーラン監督ならではの緻密な構成で描く。第96回米アカデミー賞で7部門、第81回ゴールデングローブ賞ドラマ部門で5部門、第77回英アカデミー賞で7部門のうち、それぞれ作品賞・監督賞・主演男優賞を受賞するなど、多数の映画賞に輝いた。

原題:Oppenheimer 監督・脚本:クリストファー・ノーラン 
配給:ビターズ・エンド
©2025 Searchlight Pictures.
優秀賞哀れなるものたち


【作品紹介】
「女王陛下のお気に入り」(19)のヨルゴス・ランティモス監督が、アラスター・グレイの小説を映画化したSFロマンス。自ら命を絶った妊婦が、風変わりな天才外科医にお腹の胎児の脳を移植され、ベラとして蘇る。急速に知性を発達させ世界を知りたい欲求に駆られた彼女は、大陸横断の冒険に旅立つ。外見は大人だが中身は子どものベラは、時代の偏見から解き放たれて真の自由と平等を知り、驚くべき成長を遂げていく。パラレルワールドの19世紀後半の欧州を独創的な世界観と華麗な映像美で表現し、第96回米アカデミー賞では製作にも参加した主演のエマ・ストーンの自身2度目の主演女優賞を含め、美術賞など計4部門受賞。第81回ゴールデングローブ賞ミュージカル・コメディ部門最優秀作品賞、第80回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞など多数の賞を獲得した。

原題:POOR THINGS 監督:ヨルゴス・ランティモス 脚本:トニー・マクナマラ 
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©Two Wolves Films Limited, Extreme Emotions BIS Limited, Soft Money LLC and Channel Four Television Corporation 2023. All Rights Reserved.
優秀賞関心領域


【作品紹介】
マーティン・エイミスの同名小説を基に、「アンダー・ザ・スキン 種の捕食」(14)のジョナサン・グレイザー監督が映画化。第二次世界大戦下を舞台に、大量の犠牲者を出したアウシュヴィッツ強制収容所の隣に建つ邸宅で幸せそうに暮らす所長とその家族の日常生活を通して、壁一枚隔てた収容所の中と外では全く異なる世界が広がっていた残酷な現実を描く。収容者から奪った財産による贅沢な暮らしぶりや収容者処分の焼却炉建設計画が会話や日常描写で明かされる他、収容所内からの煙や異音によって、直接描かれない収容所の存在や恐怖を浮き彫りにしており、隣の収容所内に無関心な家族の様子と共に、戦争の狂気を焙り出す。第96回米アカデミー賞で国際長編映画賞と音響賞、第76回カンヌ国際映画祭でグランプリと国際映画批評家連盟賞など、多数の賞を受賞した。

原題:The Zone of Interest 監督・脚本:ジョナサン・グレイザー 
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2023 Miller Avenue Rights LLC; IPR.VC Fund II KY. All Rights Reserved.
優秀賞シビル・ウォー アメリカ最後の日


【作品紹介】
A24が史上最高の製作費を投じ、同社作品で史上最高の全米オープニング記録を樹立。「エクス・マキナ」(16)のアレックス・ガーランドが監督・脚本を務めた、近未来の内戦中のアメリカが舞台のポリティカル・アクションスリラー。連邦政府から19の州が離脱したアメリカで、テキサスとカリフォルニアが同盟した“西部勢力”と政府軍の間で内戦が勃発。NYに滞在していた4人の記者は、14カ月も取材を受けていない権威主義的な大統領に単独インタビューを行うため、車で陥落目前のホワイトハウスへ向かう。しかし、戦場を進む過酷な旅路は、記者たちを内戦の恐怖と狂気に呑み込んでいく。社会の分断が進行した近未来というリアリティある設定と臨場感溢れる戦闘描写などが圧倒的な没入感と緊張感を生み、ディストピアを体感する迫真のロードムービーとなっている。

原題:CIVIL WAR 監督・脚本:アレックス・ガーランド 
配給:ハピネットファントム・スタジオ
© Aamir Khan Films LLP 2024
優秀賞花嫁はどこへ?


【作品紹介】
「きっと、うまくいく」(13)に主演したインドの国民的俳優アーミル・カーンがプロデュースした、笑いと涙の人間ドラマ。01年、とある村で結婚式を終え、花婿の家に向かうため同じ満員列車に乗り合わせた2人の花嫁、プールとジャヤは、たまたま同じ赤いベールで顔が隠れていたことから、勘違いしたプールの夫がジャヤを連れ帰ってしまう。運命のいたずらで育ちも性格も全く異なる女性の人生が交錯し、想定外の未知の旅をすることになるが、新たな価値観と可能性を得た二人は、自ら人生を切り開いていく。見合い結婚や圧倒的な男性社会など、古い価値観が色濃く残る約20年前のインドを舞台に、自立した女性が逆境を幸せに変えていく痛快な姿が大きな感動を呼ぶ。様々なインドの文化が描かれ、第97回アカデミー賞国際長編映画賞のインド代表作品にも選ばれた。

原題:Laapataa Ladies(लापता ल ेड ीज) 監督:キラン・ラオ 脚本:スネーハー・デサイ 
配給:松竹
新人俳優賞
©日本アカデミー賞協会
優秀賞赤楚衛二「六人の嘘つきな大学生」「もしも徳川家康が総理大臣になったら」


【受賞コメント】
一方の作品はワンシチュエーションの会話劇で、モノづくりの現場の面白さを学びました。もう一方の作品は坂本龍馬という大役に監督と共に死ぬ気で向き合い、何とか演じることができました。スタッフ、キャストの皆さんに心から感謝したいです。

【受賞者紹介】
名古屋での芸能活動を経て、15年より俳優業に進出。17~18年の『仮面ライダービルド』(EX)、20年の主演ドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(TX)などで注目される。「六人の嘘つきな大学生」では就活生の波多野祥吾、「もしも徳川家康が総理大臣になったら」ではAIとホログラムで現代に再現された坂本龍馬をそれぞれ演じた。就活で人生を狂わされる穏やかな大学生と精悍でワイルドな男気溢れる歴史的偉人という振り幅の大きい役柄をそれぞれ巧みに演じ、各々の個性を浮き彫りにした。
優秀賞板垣李光人「八犬伝」「はたらく細胞」「陰陽師0」


【受賞コメント】
素晴らしい作品との出合いや身近で支えてくださる方々など、幸運なご縁に恵まれていることを痛感しています。時に自分を見失って彷徨ってしまうもう一人の自分に、あなたの居場所はここでいいんだと伝えたいです。一層精進してまいります。幸せです。

【受賞者紹介】
2歳からモデルとして活動し、12年に俳優デビュー。「八犬伝」では劇中劇『南総里見八犬伝』の八犬士の一人で美貌を誇る犬坂毛野、「はたらく細胞」ではブラックな体内環境で働く擬人化された新米赤血球、「陰陽師0」では醍醐天皇の第14皇子のプレイボーイ的な帝(村上天皇)を演じた。24年は他に「劇場版 君と世界が終わる日に FINAL」「ブルーピリオド」もあり、ファンタジー作品の登場人物から等身大の青年役まで、あらゆる作品にリアリティを与える独自の存在感と演技力の高さを印象付けた。
優秀賞越山敬達「ぼくのお日さま」


【受賞コメント】
昨年、京都で撮影時にTVで見た授賞式に、まさか僕が立っているとは思わず、不思議だけど幸せです。僕がゼロの状態で撮影した本作では、たくさんの出会い、学び、経験など貴重なものをいただき、僕の基盤になっています。一歩一歩大切に、歩んでいきます。

【受賞者紹介】
15年よりキッズモデルとして活動開始。TVドラマや映画で登場人物の幼少期役などを演じ、23年と24年のドラマ『天狗の台所』シリーズ(BS-TBS)では中心人物の一人を務めた。オーディションで主演に抜擢された本作では、フィギュアスケートの練習をする少女さくらに惹かれて自身もアイスダンスに挑戦する吃音症の少年タクヤを演じ、自然体の瑞々しい演技が観客の心を揺さぶった。本作で、第98回キネマ旬報ベスト・テン、第79回毎日映画コンクールなど多数の新人賞を受賞。24年は他に「夏目アラタの結婚」がある。
優秀賞齋藤飛鳥「【推しの子】-The Final Act-」


【受賞コメント】
これまでも運がいいなと実感するようなことが多々ありましたが、今回、私はかなり運がいいと確信しました。差し伸べられた手を掴むことを怖がらず、支えてくれる仲間がいることを実感し、これからも自分に出来ることを精一杯、取り組ませていただきたいです。

【受賞者紹介】
12年にCDデビューした乃木坂46の一期生として22年まで活動。18年に同名台湾映画のリメイク作「あの頃、君を追いかけた」のヒロイン役で映画初出演。本作では、作品の象徴的アイドルの星野アイを演じ、自身のキャリアを活かした圧倒的LIVEパフォーマンスを披露。親の愛を知らぬままシングルマザーとなり、子どもの存在を隠しつつ表面上は明るいトップアイドルとして振る舞う複雑な役柄を具現化し、大人気漫画の実写化の成功に大きく貢献した。24年は他に「映画 マイホームヒーロー」がある。
優秀賞齋藤 潤「カラオケ行こ!」


【受賞コメント】
僕のことを支え、一緒に歩み、応援してくださる方々のおかげで今があると実感しています。僕はお芝居が大好きです。自分の世界が広がって弱さや矛盾を知り、苦しみに立ち向かえることが素敵だなと思います。これからも誠心誠意、生き抜いていきたいです。

【受賞者紹介】
20年に第5回テアトルアカデミーモデルグランプリのユース部門男性グランプリ受賞を経て活動開始。オーディションで選ばれた本作では、主人公のヤクザ・狂児に懇願されて渋々歌唱指導をすることになった合唱部部長の中学生・岡聡実を演じ、主演の綾野剛と真っ向勝負で丁々発止のやり取りを繰り広げるバディ的な大役を見事に務め上げ、さらにはクライマックスで絶唱までも披露して見せた。24年は他に「瞼の転校生」映画「からかい上手の高木さん」「室井慎二 敗れざる者/生き続ける者」がある。
優秀賞渋谷凪咲「あのコはだぁれ?」


【受賞コメント】
とても幸せで心から感謝しています。お芝居の奥深さとモノづくりの魅力に惹かれ、俳優の道を志すと決めました。目の前のことに真摯に向き合い、一つ一つを大切に無邪気に挑戦し続け、胸の中に広がっている多くの夢を一つずつ叶えていけると嬉しいです。

【受賞者紹介】
大阪・難波が拠点のNMB48の第4期生として12~23年まで活動。芸人顔負けの笑いのセンスが注目を浴び、大喜利番組など多数のバラエティ番組で活躍。18年の映画「海辺の週刊大衆」や23年のドラマ『だが、情熱はある』(NTV)などの出演を経て、初主演映画の本作から夢だった女優業を本格化。本作では、生徒を守るため恐怖に立ち向かう中学校教師の君島ほのかを演じ、トレードマークの笑顔を封印。観客を惹きつける力強いホラーヒロインを担い、女優としても非凡な新しい顔を見せた。
優秀賞森本慎太郎「正体」


【受賞コメント】
一生に一度しかとれない賞をいただけて光栄です。撮影していた時はすごく怖くて不安でしたが、この場に立てるよう導いてくれた素晴らしいキャストとスタッフの皆さんに本当に感謝しています。また胸を張ってここに帰ってこられるよう、精進します。

【受賞者紹介】
06年よりアイドルとして活動を開始し、様々なステージに立つ。07年のTVドラマで俳優デビューし、09年にはオーディションに合格して「スノープリンス 禁じられた恋のメロディ」で映画初出演&初主演。15年結成のSixTONESのメンバーとして、20年にCDデビュー。本作では、主人公・鏑木が逃亡中に親交を深める日雇い労働者の同僚・野々村和也を演じ、粗暴さの中にも人の良さや弱さを感じさせる人間臭さと、主人公との出会いで変化していく姿を実直に表現し、群像劇としての魅力を高めた。
優秀賞山田杏奈「ゴールデンカムイ」「正体」


【受賞コメント】
どちらの作品も、こんなに充実した現場にいられるなんて幸せだなと思う日々の中で撮影させてもらい、本当に楽しく演じさせていただきました。これからも一緒にやりたいと思っていただけるような、人間であり、俳優でいられるように努力していきたいです。

【受賞者紹介】
11年に少女漫画雑誌のモデルオーディションのグランプリを経て、13年のTVドラマで女優デビュー。18年の「ミスミソウ」で映画初主演。「ゴールデンカムイ」ではヒロインで主人公・杉元の相棒のアイヌの少女アシㇼパを演じ、雪山での長期撮影でアクションシーンからコミカルな変顔まで多様な芝居に挑戦。「正体」では主人公・鏑木が逃亡中、最後に出会う酒井舞を演じてクライマックスのキーマンを務め、目力の強さと幅広い演技力が注目された。「正体」で優秀助演女優賞の他、両作で第37回日刊スポーツ映画大賞助演女優賞も受賞。
協会特別賞
©日本アカデミー賞協会
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優秀賞市丸 洋【装飾・小道具】


【受賞コメント】
装飾・小道具の仕事は、楽しく面白いもので、自分にとってはすごく良かったです。すごく楽しい仕事でしたので、皆さんにお礼を申し上げたいと思います。今日はこのような賞をいただき大変に幸せです。ありがとうございました。

【受賞者紹介】
映画に登場する生活用品や家具什器、備品陳列品など環境表現に重要な小道具、そして登場人物の身分、生活、職業、趣味などを表わす持道具を扱う市丸氏は、この分野の第一人者として活躍されてきた。フリーランスを経て、74年東宝美術(現在の東宝映像美術)に入社後、市川崑監督「吾輩は猫である」(75)「犬神家の一族」(76)「四十七人の刺客」(94)や高倉健主演作品「海峡」(82)「居酒屋兆治」(83)「海へ ~See you~」(88)「あなたへ」(12)などの他、「天平の甍」(80)「ゴジラ」(84)などバラエティに富んだ多数の撮影現場に参加。金田一耕助のトランクや等々力警部の胃薬など様々な工夫を凝らし登場人物の印象的なキャラクターづくりに貢献する。現場での奇抜な発想力や温和な人柄に信頼を寄せる俳優も多く、同じ役者の現場に度々呼ばれ、引出物の相談を受けることもあった。キャリアの後半には東宝映像美術、装飾部門の責任者として8万点に及ぶ装飾品、小道具を管理した。時代でデザインが変化を遂げるビール瓶や新聞など日常に使う小道具も年代ごとに全て保管管理し、長年の撮影で蓄積されてきた品々を新たな作品で再活用させることにも尽力し、後進のスタッフ育成にも力を注いだ。
優秀賞河東 努【ドルビーサウンドコンサルタント】


【受賞コメント】
私は子供の頃から音が好きで、音に関する仕事がしたいと思って、この職に就きました。皆様にいろんな教えをいただきながら続けてまいりました。ただ、やはり映画あってこその仕事ですから、これまでに出会ってきた映画関係者の方々やたくさんの作品に感謝したいと思います。

【受賞者紹介】
1992年よりコンチネンタル ファーイースト社のドルビーフィルム製作部に入社。先任者の森幹生氏と共にDolbyLaboratories Inc.認定のドルビーサウンドコンサルタントとして、30年以上にわたり実写・アニメを問わず1000本以上の日本映画の音響制作に関わる。一例として初期ドルビーデジタル作品「もののけ姫」(97)や音響の新しい幕開けを感じた国内初のドルビーアトモス作品「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」(15)など。その仕事は多岐にわたり、ダビングステージの音響特性の維持管理への協力、ドルビー・デジタルやドルビー・アトモスなどDolbyLaboratories Inc.が開発した映画サウンド・フォーマット採用作品のマスタリング、映画館の音響アドバイザー、35mmフィルム作品の音声トラックのアーカイブの技術協力、録音技師・効果技師およびスタジオ関係者に対する助言など、映画制作者の意図した音響演出が映画館の観客に適切に伝わるためのサポートおよび新旧の映画音響技術のコンサルタントとして、日本の映画産業に貢献している。現在も日本で唯一のドルビーサウンドコンサルタントとしてDolbyJapan社と技術提携をしてフリーランスで活動するほか、“audience”の屋号でドルビーの技術にこだわらないフィルムサウンドコンサルタントとしても活躍中。
優秀賞百瀬達夫【塗装・エイジング】


【受賞コメント】
協会特別賞ありがとうございます。36年間、この仕事をしてきました。毎日、塗っては汚し、塗っては汚し、また明日も塗っては汚すでしょう。ありがとうございました。

【受賞者紹介】
セツ・モードセミナー卒業後に吉田美術に入社。東宝映像美術の塗装部に出向となり以降、塗装という仕事の道に入る。1999年にブラシ株式会社を創業し、代表取締役を務める。オープンセットからロケセットまで様々な現場の美術セットにおいて、塗装やエイジングを行っている。脚本を読み込み、美術セットに劇中舞台の時代に沿った建物に見えるよう自然な経年劣化を表現したり、作品の世界観にあった汚しを施し、作品にリアリティを生む仕事ぶりが多くの監督や美術監督から信頼を集めている。また、小説家でもある辻仁成監督の「千年旅人」(99)「ほとけ」(01)「FILAMENT フィラメント」(02)に参加した際、その手腕が高く評価され、同監督の著書『太陽待ち』(文藝春秋)で主人公のモチーフになったこともある。主な参加作品に、「顔」(00)「阿弥陀堂だより」(02)「北の零年」(05)「椿三十郎」(07)「パコと魔法の絵本」(08)「空気人形」(09)「悪人」(10)「まほろ駅前多田便利軒」(11)「テルマエ・ロマエ」(12)「許されざる者」「舟を編む」(共に13)「蜩ノ記」「バンクーバーの朝日」(共に14)「バクマン。」(15)「散り椿」(18)「花束みたいな恋をした」(21)「十一人の賊軍」「正体」(共に24)など。
優秀賞森 賢正【ラインプロデューサー】


【受賞コメント】
この報せを妻に伝えたら、これからも映画屋の女房としてやっていくと言ってくれました。その一言に僕の今までやってきたことが尽きます。助けてくれた諸先輩方もいて僕がいるので、これから業界入りする若者たちがもっといい環境で仕事ができるよう、サポートできたらと思っています。

【受賞者紹介】
撮影現場での責任者であるラインプロデューサーは現場での撮影が支障なく円滑かつ効率良く進行するよう監督の演出プランに応じて、技術パートとの共同作業でロケ地を含む場所、その候補地の地形、建造物、気象条件、交通状況など緻密な調査を行い検討する映画の要となる存在である。その第一線で永年日本映画界を支えてきた森氏は大学卒業後、映画の仕事を希望して近代映画協会に入り、新藤兼人監督の下で制作進行のキャリアをスタートする。高いスキルと経験により確かな判断力を発揮している。制作担当として「ファンシイダンス」(89)「おろしや国酔夢譚」(92)「三文役者」(00)、ラインプロデューサーとして「ザ・マジックアワー」(08)「任侠ヘルパー」(12)「進撃の巨人ATTACK ON TITAN」(15 )「マスカレード・ホテル」(19)「シン・ウルトラマン」(22)「スオミの話をしよう」(24)などに携わり、監督やスタッフからの信頼も厚い。「作品を事故もなく、スムーズに完成させることを目標にしている」「学生や若い方々の業界に入る環境を考えながら、できるだけのサポートをしていきたい」というその言葉は実際に多くの優秀な人材を育成し輩出し続けた森氏ならではの映画への情熱に溢れている。
会長功労賞
©日本アカデミー賞協会
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優秀賞倉本聰【脚本】


【映画人生を振り返って】
一生に一本。人にお見せできる映像がもしも作れたらという思いでスタートしました。
気がつけば90歳になっていました。皆さんに感謝です。

【受賞者紹介】
「海へ ~see you~」(88)以来36年ぶりとなった最新映画脚本作「海の沈黙」(24)でも衰えぬ創作意欲を示した倉本氏は、東京大学文学部美学科を卒業後、59年ニッポン放送入社。同社に勤務する傍ら倉本聰のペンネームで脚本を手掛ける。59年のTVドラマ『パパ起きてちょうだい』(NTV)で脚本家デビューし、63年の退社後はフリーに。TVドラマの他、日活中心に青春映画や歌謡映画の脚本を手掛け、東大時代の友人であった中島貞夫のデビュー作で「くノ一忍法」(64)では中島氏に懇願され脚本を担当しその後しばらく東映に籍を置いた。70年代以降は山田太一や向田邦子と並ぶTVドラマ脚本の第一人者として活躍する。TVドラマ脚本の代表作として『前略おふくろ様』(75~77)『北の国から』(81~)『昨日、悲別で』(84)『風のガーデン』(08)『やすらぎの郷』(17)などがあり、映画脚本では「月曜日のユカ」(64)「冬の華」「ブルークリスマス」(共に78)「駅 STATION」(81)などの他、5年をかけて撮影した「時計 AdieuI’Hiver」(86)では脚本・監督も手掛けた。社会に対する疑問や怒りをテーマに人間とは何かを、不器用に生きることしか出来ない人々を通して描き、見る者の心を揺さぶり訴えかける。77年に北海道富良野に移住。84年から役者やシナリオライターを養成する『富良野塾』を26年間主宰し、友澤晃一や吉田紀子などを輩出した。06年より『NPO法人C・C・C富良野自然塾』を主宰し、閉鎖したゴルフ場を森に還すなど環境問題にも力を入れている。77年に芸術選奨文部大臣賞、00年に紫綬褒章、10年に旭日小綬章を受章。

【受賞歴】第5回「駅 STATION」で最優秀脚本賞、第10回「時計 Adieu I'Hiver」で優秀脚本賞受賞
優秀賞木村大作【監督・撮影】


【受賞スピーチ】
僕は日本アカデミー賞が大好き。第1回から出ていて自分の歴史にもなっている。僕が生きていく糧は映画の現場に立つこと。現場にいればまだまだ頑張れる。2年前にこの賞を受賞した草笛光子さんが今回は主演女優賞を受賞されたのを見習って、また僕も(正賞で)出てくるぞー!(会場拍手喝采)

【映画人生を振り返って】
無茶なことを沢山しました。全て本気。徹底して自分流。
「劔岳 点の記」に自分の言葉をセリフとして使いました。
“何ものにもとらわれず 何ものも恐れず 心のままに” まさにそんな人生だ。
映画の現場は厳しいが、楽しい大好きな自分の居場所であり、腹をくくって生き抜きたい!

【受賞者紹介】
58年東宝に入社し、黒澤明、岡本喜八作品などに撮影助手としてつき、須川栄三監督「野獣狩り」(73)で撮影技師としてデビュー。この作品ではオールシーン手持ちカメラで撮影し、その臨場感あふれる映像に若手ながら一目置かれる存在となる。森谷司郎監督「八甲田山」(77)では厳寒の地という過酷な状況下で大自然と人間に対峙し、日本映画撮影監督協会第21回三浦賞を受賞する。以後、自身の撮影哲学を貫き、降旗康男監督、高倉健主演で「駅 STATION」(81)「居酒屋兆治」(83)「あ・うん」(89)「鉄道員」(99)「ホタル」(01)など数々のヒット作を生んだ。深作欣二監督とも「復活の日」(80)「火宅の人」(86)「華の乱」(88)「おもちゃ」(99)などで組む。そして銀座、新宿でのゲリラ撮影が注目された「誘拐」(97)や「極道の妻たち」シリーズ(89~96)、「わが愛の譜 滝廉太郎物語」(93)など、自然光やセッティングに拘り、現場に生まれる役者の息づかい、その空気感までもフィルムに焼き付けた。監督としても「劔岳 点の記」(09)でデビューし実際に山岳登山をして過酷な自然環境の中でこそ生まれる演技や表情のリアリティと映像美を作品に収め、日本アカデミー賞、ブルーリボン賞など数々の賞を受賞。「春を背負って」(14)「散り椿」(18)なども監督した。03年紫綬褒章、10年に旭日小綬章を受章、20年には文化功労者に選ばれる。著書に『誰かが行かねば、道はできない 木村大作と映画の映像』(金澤誠氏と共著/キネマ旬報社)がある。
【受賞歴】優秀撮影賞を22回受賞し(第1回の技術賞ノミネート、第23回に「おもちゃ」「鉄道員」の1回を含む)、最優秀撮影賞5回受賞。第33回「劔岳 点の記」では最優秀監督賞と優秀脚本賞を受賞
優秀賞里見浩太朗【俳優】


【受賞スピーチ】
長年頑張ってきたお土産をもらったようで本当に嬉しい。素晴らしい先輩やスタッフの方々、母のような温かい愛と心でサポートしてくれている妻、それにファンの皆様方がいなければここまでこられなかった。お世話になった全ての皆様に大声で「ありがとー!」と心から言いたいです。

【映画人生を振り返って】
私 八十八才を迎え、まるで米寿のお祝いを頂いた様な思いでおります。
今日までこつこつと俳優の路を歩んで来た幸せを今、しみじみと感じております。

【受賞者紹介】
56年東映ニューフェイス第3期に合格後、東映京都撮影所専属となる。鏡小五郎の芸名で「上方演芸 底抜け捕物帖」(57)で映画初出演の後、「天狗街道」(57)で本格デビューし、里見浩太郎と名のる。“里見”は当時大当たりした東映作品「里見八犬伝」から“縁起がいい”と命名された。「金獅子紋ゆくところ」(58)で初主演、主題歌も歌い歌手デビューも果たす。以後、「緋鯉大名」(59)「さいころ無宿」(60)「十三人の刺客」(63)「大殺陣」(64)など多数出演し、東映時代劇スターとして人気を博す。「お染久松 そよ風日傘」(59)など美空ひばりとの共演も多い。東映が任侠路線に転じると活躍の場をテレビに移し、70年には里見浩太朗と改名。視聴率40%超えの国民的TVシリーズ『水戸黄門』では二代目助さん(71~88)、五代目黄門(02~11)、そして主題歌も担当。映画版「水戸黄門 天下の副将軍」(59)では格さんを演じており、唯一3役をコンプリートした俳優となる。他に『大江戸捜査網』(74~79)『長七郎江戸日記』(83~91)などにも主演し、時代劇スターとして押しも押されもせぬ存在となる。85年から92年にかけて放送された『年末年始の時代劇スペシャル』(NTV系列)で最多6度の主演・準主演を果たす。近年の映画出演作は「北のカナリアたち」(12)「エイプリルフールズ」(15)など。現在もNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』に出演中。著書に『ゆっくりと一歩:駆けずの浩太朗半生の記』(日本テレビ放送網)がある。
優秀賞渡辺美佐子【俳優】


【映画人生を振り返って】
まだTVが普及してなくて、映画だけが最大の楽しみだった頃、沢山の映画に出演させて頂いたことは、私の人生の中の大切な宝物です。監督さんをはじめ現場のスタッフの燃えるようなエネルギーが懐かしいです。

【受賞者紹介】
高校卒業後、俳優座養成所に3期生として入所し、卒業後の51年に劇団新人会入団。今井正監督「ひめゆりの塔」(53)に女生徒のひとりとして映画初出演。舞台への出演を経て、日活と専属契約をかわし「逆光線」(56)で本格的に銀幕デビュー。以後「街燈」(57)「陽のあたる坂道」(58)「われらの時代」(59)「あいつと私」(61)など多くの日活作品や独立プロ作品「武器なき斗い」(60)にも意欲的に出演。「果しなき欲望」(58)で第9回ブルーリボン助演女優賞受賞。フリーになってからも「怪談」(65)「美しさと哀しみと」(65)「華岡青洲の妻」(67)「やさしいにっぽん人」(71)「悪魔の手毬唄」(77)「月光の夏」(93)「アカシアの道」(01)などやTVドラマにも数多く出演する。舞台では、『オッペケペ』『小林一茶』で第14回紀伊國屋演劇賞個人賞、井上ひさし作の一人芝居『化粧』で第33回芸術選奨文部大臣賞、第21回ゴールデン・アロー賞を受賞。舞台女優として確固たる地位を確立する。一人舞台『化粧』はライフワークとして2010年まで28年間、全国で648回上演し海外公演も行った。原爆についての朗読劇『この子たちの夏』や『夏の雲は忘れない』の公演も35年間続けた。22年『美しきものの伝説』で舞台女優としての活動を終了する事を発表。しかし舞台以外の活動は継続する。近年の映画では「誰がために憲法はある」(19)で日本国憲法を擬人化した憲法くん、「ルート29」(24)では時計屋のおばあさんを演じ、存在感を放った。87年には著書『ひとり旅一人芝居』(講談社)で、第35回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。97年紫綬褒章、04年旭日小綬章受章。
協会栄誉賞
©日本アカデミー賞協会
優秀賞西田敏行


新作「劇場版ドクターX FINAL」の制作発表会見にも出席し、元気な姿を見せてくれた直後の突然の訃報だけにその衝撃は大きい。TVドラマ『池中玄太80キロ』シリーズ(80~92/NTV)の主人公・池中玄太、「釣りバカ日誌」シリーズ(88~09)の浜ちゃん、バラエティ番組『探偵!ナイトスクープ』(01~19)の2代目局長と人情味溢れる人柄と確かな演技力で幅広く活躍された西田さんへの思い出は尽きない。明治大学中退、日本演技アカデミーを経て、TVドラマ『渥美清の泣いてたまるか』(TBS)で俳優デビュー。70年に青年座俳優養成所を卒業して座員となる。舞台で活躍後、TVドラマ『西遊記』(78)の猪八戒役や『池中玄太80キロ』(80)NHK大河ドラマ『おんな太閤記』(81)などでお茶の間の人気者となる。映画では「沖田総司」(74)でデビュー後、「悪魔が来りて笛を吹く」(79)で初主演。以降も「学校」シリーズ(93、96)や「虹をつかむ男」シリーズ(96、97)などの山田洋次作品や「THE有頂天ホテル」(06)「ステキな金縛り」(11)の三谷幸喜作品、「アウトレイジ」2作(12、17)の他、アニメ「がんばれ‼タブチくん‼」シリーズ(79~80)「北斎漫画」(81)「植村直己物語」(86)「敦煌」(88)「陽はまた昇る」(02)「ゲロッパ!」(03)「火天の城」(09)「星守る犬」(11)「遺体 明日への十日間」(13)「ナミヤ雑貨店の奇蹟」(17)などに出演。歌手としても『もしもピアノが弾けたなら』の大ヒットでNHK紅白歌合戦にも出場。ふるさとの福島を愛し、東日本震災時には現地に駆けつけて支援した。08年紫綬褒章、18年旭日小授章を受章。日本俳優連合理事を長年務めた。また、日本アカデミー賞組織委員会副理事を歴任した他、第13、19、20回、第37~42回と合計9回務めた授賞式の司会では若手、ベテランの分け隔てなく俳優たちを敬い、得意のアドリブで大いに盛り上げてくださるなど本協会にも貢献していただいた。

【受賞歴】
第33回で会長功労賞、第17回「学校」「釣りバカ日誌6」第12回「敦煌」で最優秀主演男優賞、第27回「ゲロッパ!」第26回「陽はまた昇る」第20回「学校Ⅱ」第16回「寒椿」「釣りバカ日誌5」第10回「植村直己物語」で優秀主演男優賞、第41回「ナミヤ雑貨店の奇蹟」第16回「 おろしや国酔夢譚」「天国の大罪」第8回「天国の駅」第5回「北斎漫画」で優秀助演男優賞受賞
特別追悼
優秀賞岡瀬晶彦【音響効果】


4月24日没 享年56
代表作:「ピンポン」(02 )「ノルウェイの森」(10)「八日目の蟬」(11)「永遠の0」(13)「海街diary」(15)「万引き家族」(18)「いのちの停車場」(21)「怪物」(23)「夜明けのすべて」(24)

【受賞歴】第40回協会特別賞受賞
優秀賞井川徳道【美術】


5月16日没 享年95
代表作:「柳生一族の陰謀」(78)「序の舞」(84)「夢千代日記」(85)「東雲楼 女の乱」(94)

【受賞歴】第47回で会長功労賞受賞。優秀美術賞を8回受賞し(第2回の技術賞ノミネート含む)、そのうち第5回「魔界転生」で最優秀美術賞受賞
優秀賞白鳥あかね【スクリプター・脚本】


9月14日没 享年92
代表作:記録「Love Letter」(95)「身も心も」(97)「絆 きずな」(98)「女学生の友」(01)「油断大敵」(04)、脚本「隠し妻」(72)「わたしのSEX白書 絶頂度」(76)「鍵」(97)「折り梅」(02)「脇役物語」(10)

【受賞歴】第37回協会特別賞受賞
優秀賞村瀬継蔵【特殊美術造型】


10月14日没 享年89
代表作:「大怪獣バラン」(58)「キングコング対ゴジラ」(62)「メカゴジラの逆襲」(75)「北京原人の逆襲」(78)「ゴジラVSキングギドラ」(91)「ゴジラVSモスラ」(92)「カミノフデ ~怪獣たちのいる島~」(24)

【受賞歴】第47回協会特別賞受賞
優秀賞山田好男【装飾】


11月22日没 享年70
代表作:「復讐するは我にあり」(79)「うなぎ」(97)「寝ずの番」(06)「ゲゲゲの鬼太郎」(07)「ガマの油」(09)「桐島、部活やめるってよ」(12)「新宿スワンⅡ」(17)「ゴールド・ボーイ」(24)「366日」(25)

【受賞歴】第43回協会特別賞受賞
優秀賞小池直実【装飾】


11月29日没 享年75
代表作:「ションベン・ライダー」(83)「王手」(91)「誘拐」「ラヂオの時間」(97)「ホワイトアウト」(00)「武士の一分」(06)「おくりびと」(08)「沈まぬ太陽」(09)「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」(17)

【受賞歴】第46回協会特別賞受賞
会長特別賞
©日本アカデミー賞協会
©日本アカデミー賞協会
優秀賞小原乃梨子【声優】 7月12日没 享年88


【受賞者紹介】
小学5年生の時に劇団併設の児童合唱団『虹の橋』に入団し、子役として舞台やNHKの子ども番組などに出演。一時は芸能活動を休止していたが、高校卒業後にプロダクションに所属し、草創期の民放のTVドラマやラジオドラマに出演。生放送だった50年代の黎明期から洋画の吹替も行い、映画好きだったことからその面白さに目覚める。結婚や出産を経て声優業を本格化し、ブリジット・バルドー、シャーリー・マクレーン、ジェーン・フォンダ、ダイアン・キートン、クラウディア・カルディナーレ、ミレーヌ・ドモンジョなどの吹替を担当。60年代後半からは洋画の吹替と並行してアニメのアフレコも増加。『海底少年マリン』(66)で初の少年役、『ハリスの旋風』(66)のメガネ役が人気を得て以降、『アルプスの少女ハイジ』(74)のペーター、『未来少年コナン』(78)のコナンなど、TVアニメで少年役を演じる機会も増え、79年からは『ドラえもん』の野比のび太の声を26年にわたって担当。ドロンジョなど『タイムボカン』シリーズの女ボス役でも長年レギュラーを務めた。繊細な心情表現とハスキーな声を活かし、セクシーな大人の女性から少年まで幅広い役を演じ分け、声優界の第一人者の一人として活躍。88年頃より講演や詩と童話の朗読の活動も行うようになり、朗読や読み聞かせをライフワークとして、その指導・研究も行う。07年には第1回声優アワード功労賞を受賞した。
優秀賞大山のぶ代【声優】 9月29日没 享年90


【受賞者紹介】
高校在学中に俳優座養成所第6期生として入所。56年のNHKドラマ『この瞳』で俳優デビュー。養成所卒業後の57年に劇団新人会に入団し、草創期の民放TVドラマなどに出演。幼少期はコンプレックスだったともいう独特な声を買われて、57年の『名犬ラッシー』で初の吹替を行って以降、声優業にも進出。NHK人形劇『ブーフーウー』(60~67)のブー(二代目)の他、『ハッスルパンチ』(65~66)のパンチ、『ハリスの旋風』(66~67)の石田国松、『ハゼドン』(72~73)のハゼドン、『無敵超人ザンボット3』(77~78)の神勝平など、TVアニメの主演声優を務める。79年からはTVアニメ『ドラえもん』のドラえもんの声を26年にわたって演じ、80~04年の「映画ドラえもん」シリーズ25作品も大ヒット。ドラえもんを一心同体の存在や我が子のように深く愛し、担当期間は他のアニメ声優の仕事はほとんど受けないほど大切に演じていた。声優業と並行して、女優業、タレント業、料理研究家としてレシピ本の出版、講演活動など、マルチに活躍。誰もが知る個性的な声と親しみやすい人柄は、子どもから大人まで幅広く愛された。07~11年には音響芸術専門学校の校長として後進も育成。05年に放送ウーマン賞を受賞した他、『ドラえもん』のレギュラー陣と共に、06年の第11回アニメーション神戸で特別賞や東京国際アニメフェア2007で第3回功労賞も受賞している。

鈴木 歓
【編集】 
1月28日没 享年69
叶井俊太郎
【映画プロデューサー】
2月16日没 享年56
山本陽子
【俳優】 
2月20日没 享年81
TARAKO
【声優ナレーター】
3月4日没 享年63
寺田 農
【俳優・声優】
3月14日没 享年81
佐川満男
【歌手・俳優】
4月12日没 享年84
丘 さとみ
【俳優】
4月24日没 享年88
田口拓也
【編集】
4月25日没 享年57
中尾 彬
【俳優】
5月16日没 享年81
久我美子
【俳優】
6月9日没 享年93
松野太紀
【声優・俳優】
6月26日没 享年56
赤塚真人
【俳優】
7月4日没 享年73
中村靖日
【俳優】
7月10日没 享年51
湯浅譲二
【音楽】
7月21日没 享年94
弓 恵子
【俳優】
8月17日没 享年87
渡辺武信
【映画評論】
9月8日没 享年86
白井佳夫
【映画評論】
10月5日没 享年92
楳図かずお
【漫画家】
10月28日没 享年88
火野正平
【俳優】
11月14日没 享年75
中山美穂
【俳優・歌手】
12月6日没 享年54

映画界に多大なる功績を残され2024年に逝去された映画人(没日順)

話題賞
©2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会

作品部門:「帰ってきた あぶない刑事」


登壇者コメント
舘ひろし:タカとユージは8年前にリタイアしたはずが帰ってきちゃって、申し訳ない。
柴田恭兵:ファンの皆さんのおかげで撮らせてもらってきた作品。

監督:原 廣利 脚本:大川俊道/岡 芳郎
製作:東映/日本テレビ放送網/舘プロ/東映ビデオ/セントラル・アーツ/読売テレビ放送/中京テレビ放送/札幌テレビ放送/宮城テレビ放送/静岡第一テレビ/広島テレビ放送/福岡放送
©2024 映画「正体」製作委員会

俳優部門:森本慎太郎


登壇者コメント
光栄です。アイドルとしていろんなステージに立っていますが、この舞台は緊張で膝がガクガクします

対象作品 「正体」
クリエイティブ貢献賞
©日本アカデミー賞協会
優秀賞大庭信正/松本吉正/柳澤 武「ゴールデンカムイ」装飾


【受賞紹介】
「ゴールデンカムイ」における装飾美術は、物語を支える重要な要素となっている。既存の小道具や調度品を調達するだけでなく、時代考証は勿論、アイヌ文化を尊重して創作した猟道具や生活用品などの装飾美術を加えることによって、原作の世界観を再現することに成功した。また緻密に作り込んだそれら装飾美術や小道具は、各キャラクターを際立たせ、スケールの大きなアクションや迫力ある映像表現に力を与えた。

【受賞者コメント】
大庭:この様な賞を頂き光栄です。でも自分は何もしていません。一緒にやってくれた装飾、小道具、美術部のみんなのおかげです。
松本:まずはすべての関係者の方々に感謝とお礼を申し上げます。アイヌ関係の装飾担当でしたが文化の奥深さを感じる日々でした。素晴らしい文化の語り部たる映画に参加できたことを本当に嬉しく思います。
柳澤:この度は、特別な賞を頂戴し誠にありがとうございます。正直、畏れ多い気持ちです。これを機に映画の現場における装飾、小道具の世界に少しでも興味が湧く若者が増える事を願います。
©日本アカデミー賞協会
優秀賞押山清高井上俊之/下司祐也/新沼拓也/北田勝彦/小原秀一/タサン/秦 綾子「ルックバック」原動画スタッフ


【受賞紹介】
「ルックバック」では、原画アニメーターの描線をそのまま画面に反映させるという、特殊な制作手法を採用している。この手法により、絵を描く者の意志をより直接的に感じられる表現が実現され、手描きの魅力が一層引き立てられている。また、手描きアニメーションならではの躍動感を生み出し、物語の中でも象徴的で印象的なシーンを際立たせている。この野心的な表現は、日本のアニメーションの可能性を広げると同時に、視覚効果という点に於いても技術的な工夫が見られ、新たな地平を切り拓いた。なお、“原動画”として初めてクレジットされ、今回注目すべき新たな職種となった。

【受賞者代表コメント】
押山:アニメーターによる手描きのアニメーション表現は、絵であるからこそ日本独自の色が際立ち、その職能は世界から注目される芸術的・技術的・科学的価値を持つものだと思います。「ルックバック」に限らず、多様化する映画表現や職能スタッフを分け隔てなく顕彰する日本アカデミー賞の姿勢は、日本の映画芸術の発展に大きく寄与するものだと思います。
井上:この度はアニメーション制作の一工程である作画スタッフに賞を頂けると言うこと大変感動しております。これを機にアニメーションの作画を担うアニメーターの仕事にこれまで以上に関心を持っていただけると嬉しく思います。
第48回特別賞
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優秀賞「キングダム 大将軍の帰還」VFXチーム


【受賞紹介】
中国春秋戦国時代を舞台に壮大なスケールで描く「キングダム」シリーズにおいて、VFX(視覚効果)の担う役割は計り知れない。原作の漫画独特の迫力のある表現、世界観を見事に実写で描き出した。雄大な背景、10万を超える兵と馬の群衆、戦いのシーンでの衝撃描写など、実際の撮影映像に加え、一つ一つ作り込んだ膨大なデジタル映像を積み重ねるという作業で立体的に再現し、臨場感を作り出した。19年1作目が公開され、その後の原作物語のスケールも大きくなっていく中、常に前作を超えるという使命のもと、デジタルスペックの進歩と、技術者の卓越した感性によって、かつてない表現で観客を魅了した。さらに本作ではパンデミックによってエキストラの人数制限やメインロケ中止という窮地に立たされたが、VFXの技術によってリカバーした。佐藤信介監督曰く “10年前だったら描けなかった”と唸らせた説得力のある映像にし、日本のエンターテインメント映画の基準を底上げした。

【受賞代表コメント】
このたびはこのような賞を頂き、大変光栄に思います。当作品では、開発も含めて4年の歳月をかけ、海外スタッフを含めた350人体制で1400を超えるVFXカットを制作しました。 広大な戦場や迫力あるアクションをリアルに表現するための試行錯誤が実り、今回の栄誉につながったことを嬉しく思います。 小坂一順(VFXスーパーバイザー)
主題歌賞
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優秀賞Mrs. GREEN APPLE対象作品 「ディア・ファミリー」主題歌『Dear』


【受賞コメント】
大森:主題歌は映画と歌の架け橋だと思っています。丹精込めて作られた映画を決して邪魔せず、映画に関わった全ての方々に最大のラブレターを贈るつもりで、精一杯、真心を込めて作らせていただいております。この映画は私達にとっても大切な作品です。今後の糧や自信となる賞をいただき、心より感謝申し上げます。

【受賞者紹介】
大森元貴(Vo&Gt)、若井滉斗(Gt)、藤澤涼架(Key)による3人組バンド。2013年結成。15年ミニアルバム『Variety』でメジャーデビュー。20年ベストアルバム『5』をリリースするも突如活動を休止。約1年8ヶ月の休止期間を経て現在のメンバーとなり、22年3月に活動を再開。本作「ディア・ファミリー」は家族の絆を描く実話で、作詞・作曲を担当した大森は、事前に資料や映画を見て書き下ろした。作品から得たエネルギーや生きる活力を、壮大でエモーショナルな楽曲にのせて観客に届け、エンディングにさわやかな余韻を残し感動を深めた。24年映画主題歌として他に「サイレントラブ」の『ナハトムジーク』、映画「聖☆おにいさん THE MOVIE ~ホーリーメンVS悪魔軍団~」の『ビターバカンス』も担当するなど、映画と主題歌の融合をみせた。