第47回日本アカデミー賞優秀作品一覧に戻る
日時: 2024(令和6)年3月8日(金)
場所: グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール
司会: 羽鳥慎一/岸井ゆきの

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優秀作品賞
最優秀賞/優秀賞
(C)2023 TOHO CO., LTD.

最優秀作品賞 「ゴジラ-1.0」


【最優秀受賞コメント】
途中から牙が1本1本抜かれていくので、ゴジラ死んじゃうのかなと思いましたが(笑)、最後にいただけて嬉しいです。[臼井 央/エクゼクティブ・プロデューサー]
作品賞は全員でお祝いできるので、いちばん嬉しいです。[山崎貴/監督]
ゴジラに皆が一丸となって立ち向かい、引っ張ってもらいました。[神木隆之介] 
全ての方にこのブロンズ像を切り刻んでお渡ししたいほど、感謝の気持ちでいっぱいです。[浜辺美波] 
歴史ある「ゴジラ」に関われて本当に嬉しいです。[安藤サクラ] 
ゴジラの牙の一部として、ここに立てていることを誇りに思います。[山田裕貴]

【作品紹介】
「ゴジラ」第1作より前の1945年~47年を舞台に、第二次世界大戦で傷ついた民間人たちが力を振り絞って、超難敵・ゴジラとの戦いに挑むさまを、活き活きとした人物描写と見事なVFX技術で描き出したエンターテインメント大作。国産実写ゴジラ映画として通算30作目、ゴジラ生誕70周年記念作品。日本におけるVFXの第一人者で、ゴジラ愛も強い山崎貴監督が、VFX、脚本、そしてゴジラのデザインも手掛けている。第48回報知映画賞監督賞、第66回ブルーリボン賞作品賞、主演男優賞、助演女優賞を受賞。今回の日本アカデミー賞では12部門で優秀賞を受賞。日本での興行収入は59億円を突破しており、モノクロ版「ゴジラ-1.0/C」も公開され好評を博した。アメリカ、イギリスなどでは歴代邦画実写作品の興収1位を記録。日本映画史上初めて米アカデミー賞視覚効果賞にノミネートされている。

監督・脚本:山崎 貴
製作:東宝
(C)2023「怪物」製作委員会

優秀作品賞 「怪物」


【作品紹介】
日仏共同製作の映画「真実」(19)、韓国映画「ベイビー・ブローカー」(22)と近年海外での活躍も目立つ是枝裕和監督。「万引き家族」(18)以来となる日本映画で、「花束みたいな恋をした」(21)などの脚本家・坂元裕二と初タッグを組んだ。一人息子の異変の原因を追及するシングルマザー、掴みどころのない担任教師、そしていじめ行為を疑われる子供たち。3つの視点からエピソードを描き、次々と新事実が明らかになる展開で見る者を驚かせ、正義とは何か、「怪物」とは何かを問いかける。是枝監督が自分以外の脚本を映画化するのはデビュー作「幻の光」(95)ぶりのこと。本作が最後の劇伴となった坂本龍一の音楽が物語に寄り添い、彩っている。第76回カンヌ国際映画祭で脚本賞、およびLGBTQを扱った作品から選ばれるクィア・パルム賞を受賞。今回の日本アカデミー賞では9部門の優秀賞と新人俳優賞(2名)を受賞。

監督:是枝裕和 脚本:坂元裕二
製作:東宝/フジテレビジョン/ギャガ/AOI Pro./分福
(C)2023「こんにちは、母さん」製作委員会

優秀作品賞 「こんにちは、母さん」


【作品紹介】
劇作家・演出家の永井愛による戯曲『こんにちは、母さん』を原作に、スカイツリーをのぞむ現代の東京・下町を舞台に繰り広げられるユーモアとペーソスに満ちた人間ドラマ。仕事でもプライベートでも悩みを抱えるサラリーマンの悲哀と、その母親のピュアな恋物語を軸に、時代が変わっても変わらない人の心、賑やかな下町の日常をテンポよく描く。60年以上にわたり第一線で走り続ける山田洋次監督にとって90本目の映画作品で、登場人物に寄り添った温かな目線と円熟味溢れる手腕が光る一本。吉永小百合にとっては山田監督とタッグを組んだ「母べえ」(08)「母と暮せば」(15)に続く「母」三部作の集大成といえる作品で、初共演となった息子役の大泉洋ほか、永野芽郁、寺尾聰らキャスト陣との息の合った掛け合いで楽しませる。今回の日本アカデミー賞では11部門で優秀賞を受賞。

監督:山田洋次 脚本:山田洋次/朝原雄三
製作:松竹/木下グループ/テレビ朝日/住友商事/松竹ブロードキャスティング/アミューズ/博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ/読売新聞社/
LINEヤフー/朝日放送テレビ/BS朝日/日本出版販売/クリエイティブオフィスキュー/講談社/メ~テレ/北海道テレビ/静岡朝日テレビ/九州朝日放送
(C)「福田村事件」プロジェクト2023

優秀作品賞 「福田村事件」


【作品紹介】
1923年9月6日、関東大地震から5日後。朝鮮人が放火や暴動を起こしているというデマが飛び交う中、千葉県東葛飾郡福田村の村人たちが四国・讃岐から来た行商団を朝鮮人と決めつけ、妊婦や子供も含む9人を殺害した福田村事件。これまでほとんど表に出ることのなかった実話を題材に、数々のドキュメンタリー作品で世のタブーに切り込んできた森達也監督が自身初の劇映画として映像化。根深い差別意識、真実を隠し情報を捻じ曲げるメディア、群衆を暴徒化させる集団心理の恐ろしさなど、今の時代にも通じる問題を真正面から描き、見る者に強く訴えかけた。製作資金の一部はクラウドファンディングによって集められ、2000人以上の方々の支援が映画化の後押しとなった。第28回釜山国際映画祭、新人監督部門の最優秀作品賞(ニューカレンツ賞)を受賞。今回の日本アカデミー賞では3部門で優秀賞を受賞。

監督:森 達也 脚本:佐伯俊道/井上淳一/荒井晴彦
製作:テンカラット/カタログハウス/辻野弥生/ピカンテサーカス/MBS/ドッグシュガー/太秦
(C) 2023 MASTER MIND Ltd.

優秀作品賞 「PERFECT DAYS」


【作品紹介】
渋谷区の公共事業である“THE TOKYO TOILET” プロジェクトで働くひとりのトイレ清掃員・平山の同じように見えて同じでない日々を、ドイツを代表する映画監督の一人、ヴィム・ヴェンダースが丹念に描き出す人間賛歌。役所広司演じる平山は、驚くほど無口でほとんど言葉を発さないが、規則正しく生活し、仕事熱心で、音楽を愛し、ささやかな喜びを見つけては純真な笑顔を見せる。ヴェンダース監督は、平山のチャーミングな表情をたくさん映しとっているが、なかでもニーナ・シモンの「Feeling Good」が流れるラストシーンの演技は圧巻で、本作を象徴する名シーンの一つとなった。第76回カンヌ国際映画祭最優秀男優賞、エキュメニカル審査員賞受賞。第96回米アカデミー賞に日本代表としてエントリーし、国際長編映画賞(旧外国語映画賞)にノミネートされた。今回の日本アカデミー賞では3部門で優秀賞を受賞。

監督:ヴィム・ヴェンダース 脚本:ヴィム・ヴェンダース/高崎卓馬
製作:MASTER MIND
優秀アニメーション作品賞
最優秀賞/優秀賞
(C)2023 Studio Ghibli

最優秀アニメーション作品賞 「君たちはどう生きるか」


【最優秀受賞コメント】
本作は、宮﨑駿監督の前作公開から10年後に完成しました。本作を作りたい気持ちが徐々に高まった宮﨑監督は、引退撤回してまで作ることになったので、そこまでする以上は自由に作ってもらいたいと、完成時期を決めなかった。60年やってきた手描きのアニメーションを徹底的に追求し、ひたすらコツコツと作り続け、結局7年かけて完成しました。それが栄誉ある賞をいただき、本当にありがたいと思います。[野中晋輔/スタジオジブリ執行役員] 
キャストを代表し、ありがとうございます。[菅田将暉]

【作品紹介】
宮﨑駿の「風立ちぬ」(13)以来10年ぶりの長編映画となる冒険ファンタジー。太平洋戦争の戦時中、母を亡くした小学6年生の眞人は、父と共に母方の実家へ疎開。父は母と瓜二つの叔母と再婚し、妊娠させていた。現状に馴染めない眞人は、屋敷に現れた言葉を喋る謎の青サギに誘われ、生と死が交錯する世界に迷い込み、その秘密を知ることになる。題名は劇中で眞人が読む吉野源三郎の小説と同名だが、物語は宮﨑の自伝的要素を詰め込んだオリジナル。日本のトップアニメーターたちが約7年をかけ、手書きアニメの最高峰的作品を生んだ。日本では宣伝せずに公開されたが、日本はもちろん世界中で大ヒット。第81回ゴールデングローブ賞最優秀長編アニメーション映画賞、第78回毎日映画コンクール大藤信郎賞など国内外で多数の映画賞を獲得。第96回米アカデミー賞でも長編アニメーション映画賞にノミネートされた。

監督・脚本:宮﨑 駿
製作:スタジオジブリ
(C)映画「鬼太郎誕生ゲゲゲの謎」製作委員会

優秀アニメーション作品賞 「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」


【作品紹介】
半世紀以上愛され続ける国民的アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』シリーズの最新作を、TVアニメ第6期シリーズに参加したキャストやスタッフにより、原作者の水木しげるの生誕100周年記念作品として製作。現代から約70年前、いまや廃墟となった哭倉村には、目玉おやじと因縁深い出来事があった。昭和31年、復員兵で出世の野心を持つサラリーマンの水木と、幽霊族の妻を探す鬼太郎の父は、日本の政財界を裏で牛耳る龍賀一族によって支配されていた哭倉村を訪れ、跡継ぎ争いと怪異の連鎖、そして残酷な運命に巻き込まれる。原作にも繋がる鬼太郎誕生秘話を、水木プロダクションも製作に参加したオリジナルストーリーで、サスペンスやアクションも盛り込んだ大人向けの伝奇ホラーとして描き、原作ファンから若い女性層まで幅広い観客層の高い支持を得て、現在もロングランヒットしている。

監督:古賀 豪 脚本:吉野弘幸
製作:東映アニメーション/東映/水木プロダクション
(C)黒柳徹子/2023映画『窓ぎわのトットちゃん』製作委員会

優秀アニメーション作品賞 「映画『窓ぎわのトットちゃん』」


【作品紹介】
黒柳徹子が自身の幼少期を描き、全世界で累計発行部数2500万部超えのベストセラーとなっている自伝的小説を、初めてアニメ映画化。現代から約80年前の第二次世界大戦末期の日本。落ち着きのないことを理由に小学校を退学させられたトットちゃんは、独自の教育方針を持つトモエ学園に転校。トットちゃんは、同園の校長先生や生徒たち、そして優しい両親に囲まれて愉快な日常を過ごしつつ成長するが、次第に戦争の影が忍び寄ってくる。レトロだが鮮やかで温かみのあるビジュアルと共に、個性の尊重や家族・友人たちとの深い愛情を感動的に描きつつ、戦争がささやかな幸せの日々を奪う様子も、子どもの目線を通して実感豊かに映し出す。監督は「映画ドラえもん」シリーズの監督を3作務めている八鍬新之介。声優には、大野りりあな、役所広司、小栗旬、杏、滝沢カレンらが参加し、主題歌はあいみょんが書き下ろしている。

監督:八鍬新之介 脚本:八鍬新之介/鈴木洋介
製作:シンエイ動画/テレビ朝日/東宝/吉田事務所/講談社/東急/東急エージェンシー/電通/NBCユニバーサル・エンターテインメント
(C)2023 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

優秀アニメーション作品賞 「劇場版『名探偵コナン 黒鉄(くろがね)の魚影(サブマリン)』」


【作品紹介】
青山剛昌の国民的大人気漫画をアニメ化した劇場版シリーズ第26作。東京・八丈島近海に建設された、世界中の警察が持つ防犯カメラを繋ぐための海洋施設「パシフィック・ブイ」で、顔認証システムを応用した「新技術」が黒ずくめの組織に奪われる事件が発生。偶然にも江戸川コナンら少年探偵団は八丈島にホエールウォッチングに来ており、灰原哀が黒ずくめの組織に連れ去られてしまう。奪われた新技術は灰原の正体がバレる危険性も持ち、コナンは決死の救出に向かう。メインキャラの灰原とコナンの宿敵・黒ずくめの組織が深く関わり、安室透や赤井秀一ら人気キャラも多数登場するファン垂涎の物語が、海を舞台に壮大なスケールで展開する。脚本は同劇場版シリーズ6作目で『科捜研の女』シリーズなども手掛ける櫻井武晴。同シリーズ初の興行収入100億円超えを達成し、興収138.8億円のメガヒットを記録した。

監督:立川 譲 脚本:櫻井武晴
製作:小学館/読売テレビ/日本テレビ/ShoPro/東宝/トムス・エンタテインメント
(C)2023 映画「BLUE GIANT」製作委員会 (C)2013 石塚真一/小学館

優秀アニメーション作品賞 「BLUE GIANT」


【作品紹介】
世界一のジャズプレーヤーを目指す青年の情熱と成長を描いた石塚真一の大人気漫画を初映像化。ジャズに魅了され、テナーサックスを始めた仙台の高校生・宮本大は、卒業を機にジャズのため上京。大は、同世代の凄腕ピアニスト沢辺雪祈と素人だった高校の同級生・玉田俊二と3人でジャズバンド“JASS”を結成し、日本最高のジャズクラブ出演を目指す。音楽は本作で優秀音楽賞を受賞した世界的ピアニストの上原ひろみが務め、劇中演奏も上原と豪華アーティストがセッション。そのLIVEシーン演出でも独自の映像表現をみせ、ジャズファンでなくても心を熱く揺さぶる音楽映画を作りあげた。監督は「劇場版『名探偵コナン黒鉄の魚影』」も大ヒットさせた立川譲。脚本は連載開始前からの担当編集者で現在は原作漫画にstorydirectorとして名を連ねるNUMBER 8。山田裕貴、間宮祥太朗、岡山天音らが声優を務めている。

監督:立川 譲 脚本:NUMBER 8
製作:東宝/小学館/ユニバーサルミュージック/小学館集英社プロダクション/JR東日本企画 /レイ/TOKYO MX
優秀監督賞
(C)2023 MASTER MIND Ltd.
最優秀賞ヴィム・ヴェンダース「PERFECT DAYS」


【受賞コメント】
この度、受賞できたことをとても感謝しています。また、優秀な日本人監督4名と共に優秀監督賞を受賞できたことを非常に嬉しく思います。そして今回が外国人監督の初めての受賞だと聞き、更に光栄だと感じております。この賞を是非、私が愛してやまない偉大な師匠、小津安二郎監督に捧げたいと思います。

【受賞歴】
初受賞。他に本作で第97回キネマ旬報ベスト・テン日本映画監督賞受賞
優秀賞是枝裕和「怪物」


【受賞コメント】
6年ぶりに国内で制作、監督した作品がこのような評価を頂けて嬉しいです。ありがとうございます。映画は常に新しいチャレンジの連続で、それは海外であろうが、馴染み深い日本であろうが変わりません。今回は坂元裕二さんという最も尊敬する脚本家との初タッグで、果たして坂元さんや、スタッフキャストの期待に応えられるだろうかという不安もあったのですが、成熟したスタッフワークに支えられて、僕自身は楽しく映画と向き合うことが出来ました。

【受賞歴】
第42回「万引き家族」第41回「三度目の殺人」第39回「海街diary」で最優秀賞、第37回「そして父になる」で優秀受賞
優秀賞成田洋一「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」


【受賞コメント】
二作目にも関わらず大作をオファーしていただいた松竹、全く時間のない中プライドを持って完璧な仕事をしてくれたスタッフ、重い役に全身全霊を込めて演じてくれた俳優部。この賞は本作に関わったすべてのみなさんのおかげです。映画は恐ろしく大変ですが最高です。戦争に対する怒りが、多くの人に伝わることを願ってやみません。

【受賞歴】
初受賞
優秀賞森 達也「福田村事件」


【受賞コメント】
ずっと抱えてきたテーマをようやく形にできました。作品としての悔いはたくさんあるけれど、これが今の自分の力量だと思っています。今後も作り続けます。

【受賞歴】
初受賞
優秀賞山崎 貴「ゴジラ-1.0」


【受賞コメント】
他ならぬ「ゴジラ」で日本アカデミー賞に帰って来られたことを幸せに感じています。困難に次ぐ困難を乗り越えてくれたスタッフ、キャスト。想像を絶する物量とクオリティーの要求に答えてくれたVFXチーム。ゴジラに相応しい世界観を構築してくれたポスプロチーム。皆でやれることは全てやって作り上げたゴジラを評価してくださったことに感謝します。

【受賞歴】
第38回「永遠の0」第29回「ALWAYS 三丁目の夕日」で最優秀賞、第31回「ALWAYS 続・三丁目の夕日」で優秀賞受賞。他に本作で第48回報知映画賞監督賞受賞
優秀脚本賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞山崎 貴「ゴジラ-1.0」


【受賞歴】
第29回「ALWAYS 三丁目の夕日」で最優秀賞、第38回「永遠の0」第31回「ALWAYS 続・三丁目の夕日」で優秀賞受賞
優秀賞佐伯俊道/井上淳一/荒井晴彦「福田村事件」


【受賞コメント】
井上:関東大震災の朝鮮人虐殺、誤って殺された被害者は被差別部落の方々。日本映画が描いてこなかったタブーを描いた映画がヒットするだけでも驚いたのに、まさかあの日本アカデミー賞に評価されるなんて夢にも思いませんでした。この受賞が、こういう映画を作りたいけど、でも、と躊躇っている人たちの背中を押すことになれば幸いです。

【受賞歴】
佐伯:初受賞
井上:初受賞
荒井:第35回「大鹿村騒動記」第9回「Wの悲劇」「ひとひらの雪」第5回「遠雷」「嗚呼!おんなたち・猥歌」で優秀賞受賞の他、第3回「赫い髪の女」「神様のくれた赤ん坊」「ワニ分署」でノミネート
優秀賞ツバキミチオ「シャイロックの子供たち」


【受賞コメント】
「シャイロックの子供たち」の原作は、極めて映像化が難しい作品です。これに正面から挑んだ脚本で栄誉ある賞を頂戴したことは、喜びとともに身の引き締まる思いです。今後は、日本におけるエンターテインメントのクオリティを底上げするような作品に挑戦していきたいと思います。

【受賞歴】
初受賞
優秀賞山浦雅大/成田洋一「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」


【受賞コメント】
山浦:プロットも原稿も、ひたすら楽しく書けました。子供のように楽しみ抜いたので、脚本の神様がご褒美をくれたように思います。とても嬉しい、ありがとうございます。
成田:昨今の戦争に対する原作の汐見さんと私の怒りを、ファンタジーとはいえできる限り脚本にリアルに昇華しようと試みました。受賞は素直に嬉しいです。世界が平和でありますように。

【受賞歴】
共に初受賞
優秀賞山田洋次/朝原雄三「こんにちは、母さん」


【受賞コメント】
朝原:原作の力をお借りしながらも、難産の脚本づくりでした。昨年も百花繚乱だった日本映画の中で、古めかしくも、往年の「明るく楽しい」松竹映画に連なることになった本作品を評価いただき大変うれしく思います。

【受賞歴】
山田:最優秀賞は第1回「幸福の黄色いハンカチ」を始め4回受賞。他に優秀賞は17回受賞
朝原:第45回「キネマの神様」第44回「男はつらいよ お帰り 寅さん」で優秀賞受賞
優秀主演男優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞役所広司「PERFECT DAYS」


【最優秀受賞コメント】
自分の俳優人生の中、ここでヴィム・ヴェンダース監督の作品に出会えるとは思ってもみなかった。この映画は企画・プロデュースの柳井康治さんの思いからスタートしていて、今まで自分が携わってきた映画とは全然違う、やったことのないものでした。世界中のお客さんが本作を楽しんでくださっていることに感謝します。(ブロンズ像を見つめつつ)本当に嬉しいものですね。ゴジラの牙をちょっと抜いた感じがします(笑)。

【受賞者紹介】
ドイツの巨匠、ヴィム・ヴェンダース監督との初タッグで、東京・渋谷のトイレ清掃員として働く主人公・平山役。演じるにあたっては清掃の手順を完璧にマスターし、平山そのものとしてカメラの前に存在。その表情、佇まいで平山の豊かな内面や人となりを見事に表現している。第76回カンヌ国際映画祭最優秀男優賞受賞。ヴェンダース監督に「彼こそが俳優である」と言わしめた。

【受賞歴】
最優秀主演男優賞を3回、最優秀助演男優賞を1回、優秀主演男優賞を16回、優秀助演男優賞を1回受賞。他に本作で第97回キネマ旬報ベスト・テン主演男優賞などを受賞
優秀賞阿部サダヲ「シャイロックの子供たち」


【受賞者紹介】
映像化困難と言われた池井戸潤の同名小説を、本木克英監督がメガホンをとったエンターテインメント作品で、現金紛失事件が起こった銀行の行員・西木雅博役。窮地に追い込まれた部下を信じてかばう理想的な上司だが、私生活では意外な一面も。一見飄々としているが、現金紛失の件に対しては鋭い観察眼を発揮し、真相にぐいぐいと迫っていく。振り幅の大きい西木のキャラクターをしなやかに演じ、作品を牽引した。

【受賞歴】
第46回「死刑にいたる病」第31回「舞妓Haaaan!!!」で優秀主演男優賞受賞
優秀賞神木隆之介「ゴジラ-1.0」


【受賞者紹介】
第二次世界大戦末期に自らの意思で特攻を回避し、帰還したものの、自分だけが生き残ったことに負い目を感じている敷島浩一少尉に扮した。とてつもなく深い心の傷と苦悩を抱え、ゴジラに対しても絶望感を抱いているが、やがて自分の中で終わっていなかった戦争に区切りをつけ前に進む覚悟を持つようになる。どん底から這い上がっていく敷島の感情を魂をこめた演技で体現し、観客の心を揺さぶった。

【受賞歴】
第29回「妖怪大戦争」で新人俳優賞受賞
優秀賞鈴木亮平「エゴイスト」


【受賞者紹介】
エッセイスト、編集者の高山真による自伝的小説を「トイレのピエタ」(15)などの松永大司監督が映画化した作品で、高山氏をモデルにした人物・斉藤浩輔に扮した。宮沢氷魚演じる龍太と惹かれ合う浩輔の、大切な人に出会えた喜びと愛するがゆえの苦しみをリアルに表現。剥き出しの感情が見る者の胸に刺さる。柔らかな物腰に加え、ユーモア、知性、優しさと脆さなど浩輔の内面もナチュラルに演じ切った。

【受賞歴】
第45回「孤狼の血 LEVEL2」で最優秀助演男優賞初受賞。他に本作で第78回毎日映画コンクール男優主演賞、本作などで第45回ヨコハマ映画祭と第38回日刊スポーツ映画大賞の主演男優賞や第15回TAMA映画賞最優秀男優賞受賞
優秀賞水上恒司「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」


【受賞者紹介】
同名ベストセラー小説の実写化で、国のため、未来のためと志願して特攻隊員になった佐久間彰役。現代から突然やってきたヒロイン・百合の不器用なまでのまっすぐさを受け止め、何度も窮地から救い、守り抜く。百合にとってのヒーロー的存在で、ゆるぎない信念を持つ、ブレない男を鮮やかに演じ切り、今の時代を生きる者たちに何気ない日常のありがたみを改めて感じさせた。

【受賞歴】
第44回「望み」「ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-」「弥生、三月 -君を愛した30年-」で新人俳優賞受賞
優秀主演女優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞安藤サクラ「怪物」


【最優秀受賞コメント】
今回は主役の黒川想矢と柊木陽太の二人が、どう見る方に映るか、どう演じるべきかということを、とにかく考えていました。いつも是枝裕和監督は、年齢も部署も問わず、みんなの意見を取り入れてくださる。すごく安心感を抱きながら撮影できる特別な場所です。皆さんと一緒に作っているという感覚がとても心地良い現場でした。この受賞でゴジラの牙をまた1本抜いたけど、なんか複雑(笑)。ありがとうございます!

【受賞者紹介】
是枝裕和監督と「万引き家族」(18)に続くタッグで、小学生の一人息子を懸命に育てるシングルマザー・麦野早織役。息子の担任教師に不信感を抱き、学校に抗議するも誠意が感じられず怒りを爆発させる。3つの視点から描かれる物語の最初の視点となる早織役を担い、観客を物語に引きこむ重要な役割を果たした。息子を大切に思うがゆえの行動、感情表現が見る者の胸を打つ。

【受賞歴】
第42回「万引き家族」第39回「百円の恋」で最優秀主演女優賞、第46回「ある男」で最優秀助演女優賞、第38回「0.5ミリ」で優秀主演女優賞受賞
優秀賞綾瀬はるか「リボルバー・リリー」


【受賞者紹介】
ハードボイルド作家・長浦京の代表作が、豪華キャストが揃ったエンターテインメント大作として映画化。行定勲監督と約21年ぶりのタッグで、元敏腕スパイの小曾根百合、通称リボルバー・リリーに扮し、その魅力を炸裂させた。見事な身体能力でトレードマークのS&W M1917リボルバーを鮮やかに扱い、華麗なアクションを披露する他、物語の舞台である大正時代の華やかなファッションでも見る者を楽しませる。

【受賞歴】
第39回「海街diary」で優秀主演女優賞、第33回「おっぱいバレー」で優秀主演女優賞と話題賞受賞
優秀賞杉咲 花「市子」


【受賞者紹介】
戸田彬弘監督が自身の主宰する劇団で上演した戯曲『川辺市子のために』を原作に映画化。監督から熱いオファーを受けてタイトルロールの市子を演じた。物語が進むにつれ、その壮絶な過去が徐々に明らかになっていくミステリアスなキャラクターを表情、佇まいはもちろん、実在感を持たせて生々しく体現。その逞しくも切ない生き様をスクリーンに焼き付け、強いインパクトを残した。

【受賞歴】
第40回「湯を沸かすほどの熱い愛」で最優秀助演女優賞と新人俳優賞受賞。他に本作で第78回毎日映画コンクール女優主演賞受賞
優秀賞浜辺美波「ゴジラ-1.0」


【受賞者紹介】
神木隆之介と共演し好評を博した連続テレビ小説『らんまん』(23/NHK)より先に撮影されていた本作で、神木演じる敷島浩一の人生に影響を与えるヒロイン・大石典子役。戦災孤児の赤ちゃんを引き受けたものの行くあてもなく、偶然出会った敷島の家に転がり込む。華奢だが内面はタフで、過酷な時代を生き抜く強い意志を持つ典子を演じ切り、ゴジラに遭遇するシーンでは迫真の演技で見る者にスリルを与えた。

【受賞歴】
第41回「君の膵臓をたべたい」で新人俳優賞受賞。他に本作などで第66回ブルーリボン賞助演女優賞を受賞
優秀賞吉永小百合「こんにちは、母さん」


【受賞者紹介】
夫亡きあと、一人で下町の店を切り盛りしている神崎福江役。恋をしてうきうきと心弾む様子で、久しぶりに会った息子を驚かせる。自身にとって初のおばあちゃん役となったが、人生を楽しみ、朗らかに生きる女性を溌溂と演じ、スクリーンで輝いた。「男はつらいよ 柴又慕情」(72)以来、何度も組んでいる山田洋次監督作
品で、映画出演は123本目となった。

【受賞歴】
「北の零年」「長崎ぶらぶら節」などで最優秀主演女優賞を4回、優秀主演女優賞を16回受賞。他に本作で第66回ブルーリボン賞主演女優賞を受賞
優秀助演男優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞磯村勇斗「月」


【最優秀受賞コメント】
この映画は、お客様の前に届けることがどれだけ大変なことかをすごく痛感した作品でした。自分は、亡き河村光庸プロデューサーにお声掛けいただき、石井裕也監督やスタッフ、キャストの皆さんと共に、この難しい作品に挑戦し、覚悟を持って臨んだので、この受賞の喜びは、一緒に作り上げ公開することができたチームの皆さんと分かち合いたいです。素足でしっかり地に足をつけ、またスクリーンで生きていきたいです。

【受賞者紹介】
実際の障害者殺傷事件を題材にした辺見庸による小説『月』を原作に、石井裕也監督が映画化。演じたさとくんは、重度障害者施設の職員で殺傷事件の犯人となる青年。人当たり良く、入所者への対応も丁寧な一方で、心がない人間は生きる意味も価値もなく、排除すべきという確固たる考えを持つ。その言動、論理を見る者がどう感じるか。それぞれが思考する余白を残した、純度の高い演技が光る。

【受賞歴】
第45回「ヤクザと家族 The Family」「劇場版『きのう何食べた?』」で新人俳優賞受賞。他に本作などで第97回キネマ旬報ベスト・テン、第48回報知映画賞、第38回日刊スポーツ映画大賞などの助演男優賞受賞
優秀賞伊藤健太郎「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」


【受賞者紹介】
水上恒司演じる佐久間と同じ特攻隊に配属され、瞬く間に親友となった石丸役。得意技も趣味も“元気”で、大きな声ではきはきと話し、常に周りを盛り立てる。誰からも愛されるムードメーカーをエネルギッシュに体現し、作品に一層のバイタリティーを与えた。いつかくる突撃の日を意識しながらも、不安を一ミリも見せず明るく振舞う石丸の姿は、健気で、それゆえの切なさも感じさせる。

【受賞歴】
第42回「コーヒーが冷めないうちに」で新人俳優賞と話題賞受賞
優秀賞大泉 洋「こんにちは、母さん」


【受賞者紹介】
妻とは離婚の危機にあり、娘との仲もギクシャク。実家の母は恋をして別人のようで、会社では人事部長としてリストラの担当もするなど悩みの種が尽きない。哀愁漂う、大企業勤めのサラリーマン・神崎昭夫を演じた。自身の持ち前の明るさ、親しみやすさが役柄に活かされ、ぼやく姿もどこかチャーミング。可笑しくも切ない独特の存在感を見せ、下町の人情味溢れる物語に深みをもたらした。

【受賞歴】
第46回「月の満ち欠け」第41回「探偵はBARにいる3」第39回「駆込み女と駆出し男」第35回「探偵はBARにいる」で優秀主演男優賞受賞
優秀賞加瀬 亮「首」


【受賞者紹介】
本能寺の変をテーマに、北野武監督が構想に30年を費やし、原作、脚本、編集、さらにビートたけし名義で羽柴秀吉役として主演も務めた作品で、監督たっての希望で織田信長役を演じた。今までに様々な役者によって演じられてきた信長だが、本作ではこれまでになくハイテンションでクレイジーなキャラクター。尾張弁を捲し立て、不敵な笑みと共に繰り出される暴力、狂気、残忍さで観客の度肝を抜く怪演を見せた。

【受賞歴】
第31回「それでもボクはやってない」で優秀主演男優賞初受賞
優秀賞菅田将暉「銀河鉄道の父」


【受賞者紹介】
かねてから宮沢賢治の映画を撮りたかったという成島出監督が、第158回直木賞を受賞した門井慶喜による同名小説を映画化。賢治の没後90年に公開された本作で賢治役に扮した。父親役の役所広司と共に、心温まる親子関係や家族の絆をときにコミカルに、ときにシリアスに表現。父親や家族の愛を一身に受けながら、自分にできることを探しもがく賢治の姿を瑞々しく、感情豊かに演じ、作品に貢献した。

【受賞歴】
第41回「あゝ、荒野 前篇」で最優秀主演男優賞と話題賞、第45回「花束みたいな恋をした」で優秀主演男優賞と話題賞、第44回「糸」第43回「アルキメデスの大戦」で優秀主演男優賞、第37回「共喰い」で新人俳優賞受賞
優秀助演女優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞安藤サクラ「ゴジラ-1.0」


【最優秀受賞コメント】
(自分の名前を読み上げる)まさかの展開に声が出なくなってすみません。すごいですねゴジラ。私はこの映画の中でゴジラを見てもいませんし、ゴジラが来る恐怖も感じておりません(笑)。ただゴジラの勢いに乗せていただいた感じで、皆様のおかげで、近所のおばちゃん役を演じた私がこのような賞をいただくことができました。亡き阿部秀司さん(エグゼクティブ・プロデューサー)に「まさかの受賞をさせていただけたよ」と伝えたいです。

【受賞者紹介】
第二次世界大戦で子どもを失った女性・太田澄子を演じた。神木隆之介演じる敷島浩一の隣人で、戦地から帰還した敷島に対し、「お前たちのせいで負けた」ときつい言葉を浴びせてしまうが、その憎まれ口の裏にある絶望、やるせなさまでも深みのある演技で表現している。敷島の家に転がり込んだ大石典子と戦災孤児の明子を気にかけ、世話を焼くうちに、本来の優しさを取り戻す姿も印象的に見せた。

【受賞歴】
第42回「万引き家族」第39回「百円の恋」で最優秀主演女優賞、第46回「ある男」で最優秀助演女優賞、第38回「0.5ミリ」で優秀主演女優賞受賞
優秀賞上戸 彩「シャイロックの子供たち」


【受賞者紹介】
池井戸潤原作の作品には、『半沢直樹』(13・20/TBS)シリーズ以来となる参加で、銀行員の北川愛理を演じ、約6年ぶりの映画出演となった。仕事をてきぱきとこなし、同僚からの信頼も厚いが、行内で現金紛失が発生したとき、ひょんなことから疑いの目を向けられる。汚名返上すべく阿部サダヲ演じる西木らとの絶妙なコンビネーションで真犯人を追う、凛とした女性を確かな演技力で表現し、作品を支えた。

【受賞歴】
第37回「武士の献立」で優秀主演女優賞、第27回「あずみ」で優秀主演女優賞と新人俳優賞と話題賞受賞
優秀賞永野芽郁「こんにちは、母さん」


【受賞者紹介】
「キネマの神様」(21)に続く山田洋次監督作品への出演で、おばあちゃんのことが大好きな孫・神崎舞をのびやかに演じている。将来に不安を感じ、離婚危機にある両親に反発するも、おばあちゃんの恋愛は先入観なく受け入れ応援する。透明感のある笑顔が素敵な孫娘を元気いっぱい、表情豊かに表現し、どこか懐かしい下町の風景に爽やかな風を吹き込んだ。

【受賞歴】
第46回「母性」で優秀助演女優賞、第45回「そして、バトンは渡された」で優秀主演女優賞受賞
優秀賞浜辺美波「シン・仮面ライダー」


【受賞者紹介】
「シン・ゴジラ」(16)などの庵野秀明が監督・脚本を務めた仮面ライダー生誕50周年企画作品で、仮面ライダーの生みの親といえる緑川博士の娘・緑川ルリ子に扮した。革のロングコートとヒールのブーツ姿がさまになる、強気でクールで美しいヒロインを好演。かつて所属していた秘密結社・SHOCKERに反旗を翻し、ガンアクションも披露するなど、新たな一面を見せた。

【受賞歴】
第41回「君の膵臓をたべたい」で新人俳優賞受賞。他に本作などで第66回ブルーリボン賞助演女優賞を受賞
優秀賞松坂慶子「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」


【受賞者紹介】
戦時下で皆が食べるのにも苦労する中、現代から昭和20年に突然やってきて、行く当てのないヒロイン・百合を受け入れ、自らが切り盛りする食堂に住み込みで働かせる女将・ツル役。心の奥底に自らの悲しみも抱えながら、店にやってくる兵隊たちをまるで家族のように温かく迎えもてなす。太陽みたいな明るさで、物語の中でほっと一息つける存在となった。

【受賞歴】
「死の棘」「蒲田行進曲」「青春の門」などで最優秀主演女優賞を3回、優秀主演女優賞を4回受賞。第3回・第2回で主演女優賞にノミネートの他、第3回話題賞受賞
優秀音楽賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞上原ひろみ「BLUE GIANT」


【最優秀受賞コメント】
アニメーター、スタッフ、ミュージシャンや声優の皆さん、原作者の石塚真一さん、皆さんに感謝です。そして一人一人の“きっと伝わる”という思いを敬意をもって纏めてくださった立川譲監督、音が映像を刺激し、映像が音を刺激する作品にしてくださって本当にありがとうございました。一緒に仕事ができて幸せでした。

【受賞歴】
初受賞
優秀賞小林武史「キリエのうた」


【受賞コメント】
岩井俊二監督とともに関わった皆さん(特にアイナ・ジ・エンドさん)と、音楽映画であることを思いながら進んできました。僕はその代表だというだけですが、評価されたこと、感謝しています。

【受賞歴】
第14回「稲村ジェーン」で優秀賞初受賞
優秀賞坂本龍一「怪物」


【受賞コメント】
怪物と言われると誰が怪物なんだと探し回ってしまうんだが、それはうまくいかない。誰が怪物かというのはとても難しい問いで、その難しい問いをこの映画は投げかけている。さて、その難解なテーマの映画にどんな音楽をつければいいのだろう。救いは子供たちの生の気持ち。それに導かれて指がピアノの上を動いた。正解はない。今回残念ながらスコア全体をお引き受けする体力はなかった。監督からのたってのご所望でピアノ曲2曲を提出した。新しいアルバム「12」からの曲や、古い曲を使って全体を構成してくださった。※「怪物」プログラムより抜粋

【受賞歴】
第47回会長特別賞、第10回「子猫物語」第7回「戦場のメリークリスマス」で優秀賞受賞
優秀賞佐藤直紀「ゴジラ-1.0」


【受賞コメント】
日本が世界に誇るコンテンツである「ゴジラ」、そのシリーズに関わらせていただけたことを大変嬉しく思っております。そしてゴジラにとって絶対に欠かせないあの名曲を生んだ、尊敬する伊福部昭先生のお手伝いは緊張と喜びが混ざり合う、貴重で至福な経験でした。

【受賞歴】
第29回「ALWAYS 三丁目の夕日」で最優秀賞、第44回「罪の声」第40回「海賊とよばれた男」第38回「永遠の0」第31回「ALWAYS 続・三丁目の夕日」で優秀賞受賞
優秀賞千住 明「こんにちは、母さん」


【受賞コメント】
20年ぶり4度目の優秀音楽賞、ありがとうございます。少し時間がかかりましたが戻って参りました。とても感慨深い思いです。山田監督との仕事を通して、今一度初心にかえれた清々しい仕事でした。日本映画の可能性と魅力、継承する責任を感じています。

【受賞歴】
第27回「黄泉〈よみ〉がえり」第22回「愛を乞うひと」第20回「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」で優秀賞受賞
優秀撮影賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞柴崎幸三「ゴジラ-1.0」


【最優秀賞受賞コメント】
28年前に、初めて制作会社のロボットさんに仕事をさせていただいてから、多くの人、多くの作品に出合わせていただきました。とうとうゴジラにも会えました。阿部秀司さんありがとうございました!

【受賞歴】
第38回「永遠の0」第29回「ALWAYS 三丁目の夕日」第22回「愛を乞うひと」で最優秀賞、第43回「閉鎖病棟-それぞれの朝-」第41回「DESTINY 鎌倉ものがたり」第40回「海賊とよばれた男」第31回「ALWAYS 続・三丁目の夕日」で優秀賞受賞
優秀賞近藤龍人「怪物」


【受賞コメント】
今作にたずさわった素晴らしいスタッフ・技術パートを代表して、優秀撮影賞をいただけたこと、大変嬉しく思っております。監督・キャスト・スタッフのイメージがスクリーンを観ている人たちに伝わったと、ホッとしております。ありがとうございます。

【受賞歴】
第42回「万引き家族」で最優秀賞、第46回「ある男」で優秀賞受
優秀賞佐光 朗「キングダム 運命の炎」


【受賞コメント】
スタッフ、キャストのメッチャ熱い想いで作った作品がこのように評価されるのはとても素晴らしい事だと思います。撮影、照明だけではこの作品は出来ません。皆さんの頑張りが映像にしっかりと表現され、このように認めて頂いたのだと思います。ありがとうございます。

【受賞歴】
第46回「キングダム2 遥かなる大地へ」第26回「ピンポン」で優秀賞受賞
優秀賞近森眞史「こんにちは、母さん」


【受賞コメント】
台本を読んでみて思ったのは、この世界は小津の世界ではないのか?ならば、撮影スタイルも模倣してみようと。が、しかし、監督の山田さんは芝居を長回しで撮りたいと仰るではないか。脆くも崩れた撮影のカタチであった。なのに優秀賞をいただいてしまいました。受賞ありがとうございます。

【受賞歴】
第45回「キネマの神様」第44回「男はつらいよ お帰り寅さん」第41回「家族はつらいよ2」第40回「家族はつらいよ」第39回「母と暮せば」第38回「小さいおうち」第37回「東京家族」第34回「おとうと」で優秀賞受賞
優秀賞浜田 毅「首」


【受賞コメント】
初めての北野武監督作品で受賞できた事を心から嬉しく思ってます。70歳になっての最初の作品でもあり最高の古希のお祝いです。他人事になりつつあった日本アカデミー賞に「もう少し頑張れ」と言われたようで、エネルギーを頂きました。ありがとうございます。

【受賞歴】
第32回「おくりびと」で最優秀賞、第42回「北の桜守」第37回「利休にたずねよ」第36回「天地明察」第28回「血と骨」第27回「壬生義士伝」第17回「僕らはみんな生きている」で優秀賞受賞
優秀照明賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞上田なりゆき「ゴジラ-1.0」


【最優秀賞受賞コメント】
1954年に「ゴジラ」の第一作が公開されて、その年に僕が産まれました。そして今回ゴジラ生誕70周年、シリーズ30作品目ということで、何かすごく縁のようなものを感じています。本当に嬉しいです。感謝します。

【受賞歴】
第38回「永遠の0」第22回「愛を乞うひと」で最優秀賞、第43回「閉鎖病棟-それぞれの朝-」第41回「DESTINY 鎌倉ものがたり」第40回「海賊とよばれた男」で優秀賞受賞
優秀賞尾下栄治「怪物」


【受賞コメント】
とても難しい題材の作品をどう映画にして行くか、初めての体験でした。完成した作品を観た時に今までにない素晴らしい映画が出来上がり、誇りに思っています。映画「怪物」に参加させて頂き是枝裕和監督、脚本坂元裕二さま、音楽を提供してくださいました坂本龍一さま、全てのスタッフ、キャストに感謝しております。

【受賞歴】
第33回「ディア・ドクター」で優秀賞初受賞
優秀賞加瀬弘行「キングダム 運命の炎」


【受賞コメント】
前年度に続き、『キングダム3』が受賞出来た事に改めて作品の偉大さを感じます。そして監督から役者の表情を豊かにして欲しいと言われた事を守りとおした結果でもあると思います。苦楽を共にした仲間たちに感謝です。

【受賞歴】
第46回「キングダム2 遥かなる大地へ」第27回「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」で優秀賞受賞
優秀賞土山正人「こんにちは、母さん」


【受賞コメント】
受賞は大変有難く、嬉しい限りです。映画は監督のもと、個々の力が形となって出来上がる総合芸術であり娯楽と思っています。本作は「セット劇」であると、自分でのテーマを決めライティングに臨みました。日本を代表する俳優陣、素晴らしいセットを照らせた事は幸せの極みです。関係者・お客様に感謝いたします。

【受賞歴】
第45回「キネマの神様」第44回「男はつらいよ お帰り 寅さん」で優秀賞受賞
優秀賞髙屋 齋「首」


【受賞コメント】
この度はこのような賞をいただき大変光栄です。北野監督を中心に皆で作り上げた作品がこうして評価されとても嬉しく思います。一緒に関わってくれたスタッフ、キャスト、すべての関係者に感謝申し上げます。なにより北野武監督作品を一緒にまたこうして世に送り出せたことを喜ばしく思います。

【受賞歴】
第32回「おくりびと」第27回「座頭市」第25回「GO」で最優秀賞、第42回「北の桜守」第28回「血と骨」第26回「Dolls<ドールズ>」第22回「HANA-BI」第17回「僕らはみんな生きている」で優秀賞受賞
優秀美術賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞上條安里「ゴジラ-1.0」


【最優秀受賞コメント】
日本の男性、特に60代以上は、「ゴジラ」で育った人も多いと思うし、僕も好きでした。今回の仕事に携われて光栄で満足でしたが、賞までいただけて感激です。小学生の時にプラモデルを作って遊んでいた幻の戦闘機・震電を、まさか50年後に実物大で作るとは感無量です。阿部秀司さんにこの賞を捧げたいです。

【受賞歴】
第38回「永遠の0」第29回「ALWAYS 三丁目の夕日」で最優秀賞、第43回「アルキメデスの大戦」第41回「DESTINY 鎌倉ものがたり」第31回「ALWAYS 続・三丁目の夕日」で優秀賞受賞。他に本作で第78回毎日映画コンクール美術賞受賞
優秀賞瀨下幸治「首」


【受賞コメント】
優秀美術賞有難うございます。映画「首」が北野組初参加です。北野監督原作時代劇、それも戦国もので、セット、ロケーションは盛り沢山でした。いい意味でプレッシャーもありましたが、美術、装飾、他多くのスタッフ皆で撮影に臨むことが出来たと思っています。皆さんに感謝です。

【受賞歴】
第44回「Fukushima 50」で最優秀賞、第33回「ゼロの焦点」で優秀賞受賞
優秀賞西村貴志「こんにちは、母さん」


【受賞コメント】
「こんにちは、母さん」の主な舞台となる神崎足袋店を創作する過程で、下町を散策したり、参考映画を観たりしながら山田監督の言葉を聞き、形にしていく作業は、私にとっての貴重な経験と財産になりました。数多くの素晴らしい作品の中から高い評価をいただいたことを大変うれしく思います。

【受賞歴】
第45回「キネマの神様」第42回「空飛ぶタイヤ」で優秀賞受賞
優秀賞橋本 創レジェンド&バタフライ


【受賞コメント】
東映70周年記念の作品でこのような賞を頂けて大変嬉しく思います。信長という人物はこれまでも多く映像化されてきた題材です。史実は踏襲しつつ、これまで見たことのない作品を目指して、キャスト、スタッフ一丸となって作品に臨みました。一緒に戦った仲間、僕たちの思いを感じてくれた方、全てに感謝します。

【受賞歴】
初受賞
優秀賞三ツ松けいこ/徐 賢先「怪物」


【受賞コメント】
三ツ松:脚本を初めて読んだ時、脚本と監督の融合に心が躍りました。そして子供達が作る秘密基地が生き生きすること。この廃線跡地は、、作るのか、、本物を探してくるのか、、監督は本物が好きかもしれないな、、、でも作った方が理想的な夢の場所に膨らませられる。無事に作ることが叶いとても嬉しく思います。
徐:三ツ松さんと一緒に受賞するのは恐れ多いですが嬉しいです。この作品ではたくさんの人たちに助けてもらいました。わたしはその人たちの代理で賞を頂いたと思っています。この場を借りて皆さんにお礼が言いたいです。ありがとうございました。

【受賞歴】
三ツ松:第42回「万引き家族」第39回「海街diary」で優秀賞受賞
徐:初受賞
優秀録音賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞竹内久史「ゴジラ-1.0」


【最優秀受賞コメント】
本作を音で構成するにあたり、山崎貴監督と体感型を意識して作りました。そのためDolby AtmosやIMAXなどのラージフォーマットを使い、没入感や恐怖感を与えることに成功しました。この受賞はスタッフや関係者の皆さん、一緒にやってきた音響効果の井上奈津子さん、そして阿部秀司さんのおかげだと思います。

【受賞歴】
初受賞
優秀賞鈴木健太郎「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」


【受賞コメント】
こんなに素晴らしい作品を沢山のお客様にご覧になって頂く事が出来て、成田組、皆の頑張りが報われて本当に嬉しいです。

【受賞歴】
初受賞
優秀賞髙野泰雄「首」


【受賞コメント】
「首」にて優秀録音賞選出ありがとうございます。この世界に入って40年が経ち初めての経験が少なくなる歳になった自分にとても刺激的な楽しい時間を「首」が教えてくれました。長期に亘りこの作品に関わった数多くの皆様のお力添えがあっての受賞だと思っております。

【受賞歴】
第28回「半落ち」で優秀賞初受賞
優秀賞冨田和彦「怪物」


【受賞コメント】
坂元裕二さん是枝裕和監督とそして坂本龍一さんと共に映画作りができ光栄でした。また子供たちのキラキラした目が今でも忘れられません。長野の諏訪地域が舞台だったので、細部まで諏訪の音で映画を構成したつもりです。火災現場の消防車のサイレンの音も地元の協力を得られ、山奥で実際に録音しました。

【受賞歴】
第42回「万引き家族」第41回「三度目の殺人」で優秀賞受賞
優秀賞長村翔太「こんにちは、母さん」


【受賞コメント】
受賞の報せを聞き、たいへん光栄に思っております。お芝居の魅力を余すところなく伝えられるよう、明瞭かつ自然に聴こえる音作りを目指しました。現場から仕上げまで、多くの方のお力添えを頂きました事、心から感謝申し上げます。

【受賞歴】
第45回「キネマの神様」で優秀賞初受賞
優秀編集賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞宮島竜治「ゴジラ-1.0」


【最優秀受賞コメント】
山崎組に参加させていただくと、必ず見たことのない景色を見せてもらえて、僕は毎回、興奮しています。今回は特にチームワークで作ることができたと思うので、編集助手の小林美優さんと菅原あかりさんにも感謝を述べたいです。皆さんと同じく、阿部秀司さん本当にありがとうございましたと、強く思っています。

【受賞歴】
第38回「永遠の0」第29回「ALWAYS 三丁目の夕日」第28回「スウィングガールズ」で最優秀賞、第43回「アルキメデスの大戦」第40回「海賊とよばれた男」第33回「ディア・ドクター」第31回「ALWAYS 続・三丁目の夕日」第25回「ウォーターボーイズ」で優秀賞受賞
優秀賞岩間徳裕「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」


【受賞コメント】
このような歴史ある賞を頂くことができ、驚きと幸せと感謝の気持ちでいっぱいです。この賞は、多くのアイデアを与えてくれた監督やスタッフの皆さんと一緒に頂いたものだと思っています。この作品から教わったことを、これからも大切にしていきます。

【受賞歴】
初受賞
優秀賞北野 武/太田義則「首」


【受賞コメント】
太田:戦国時代のスケールの大きな群像劇として、強い個性の武将、農民、忍者などの人物が登場し残酷の中に笑いがある楽しい作品でした。北野監督との編集はいつも緊張の中に新鮮な驚きと大きな喜びのある作業でした。本作での編集賞受賞、感謝しています。ありがとうございます。

【受賞歴】
北野:優秀監督賞を2回、優秀脚本賞を2回、優秀編集賞を4回受賞
太田:第41回「アウトレイジ 最終章」第27回「座頭市」第22回「HANA-BI」で優秀賞受賞
優秀賞是枝裕和「怪物」


【受賞歴】
第41回「三度目の殺人」で最優秀賞、第42回「万引き家族」第39回「海街diary」第37回「そして父になる」で優秀賞受賞
優秀賞杉本博史「こんにちは、母さん」


【受賞コメント】
この度、栄誉ある賞をいただき、とても嬉しく思っています。私のような若輩者が受賞できたのも、優しく、時には厳しく支えてくださった山田監督をはじめ、素晴らしいスタッフの皆様のお陰です。ありがとうございました。この受賞を励みにして、日本映画を少しでも盛り上げるため、より一層精進してまいります。

【受賞歴】
初受賞
優秀外国作品賞
(C)2023 PARAMOUNT PICTURES.
最優秀賞ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE


【最優秀受賞コメント】
昨年、この壇上に「トップガン マーヴェリック」で連れてきてくれたのもトム・クルーズでした。世界のスーパースターの彼は稀代のプロデューサーでもあり、コロナ後の洋画界を盛り上げるべく奮闘してくれて、去年も日本に来る予定でしたが、俳優組合のストライキで来られなくなりました。俳優仲間を裏切るわけにいかなかったのだと思います。来年はこのシリーズ次作を引っ提げて、日本に必ず来るよと言ってくれています。ありがとうございました。[山﨑 敏/東和ピクチャーズ]

【作品紹介】
トム・クルーズが、極秘諜報組織IMFのエージェントを演じる大人気スパイアクションシリーズの第7弾。監督は、本シリーズの監督として3度目、トムとは脚本などを含むと9度組んでいるクリストファー・マッカリー。IMFのイーサン・ハントは、全人類を脅かす新兵器が悪の手に渡る前に見つけ出すという究極のミッションを受ける。イーサンと彼のチームはその新兵器を巡り、イーサンの逃れられない過去を知るガブリエルらと世界各地で命懸けの攻防を繰り広げる。どんな犠牲を払っても絶対に達成させなければならない任務のなか、イーサンは任務か仲間かという、史上最大の決断を迫られることになる。欧州市街地での激しいカーチェイス、激走する列車上での格闘、そして断崖絶壁からの大ジャンプなど、アクション映画の限界を更新してきたトムが、「俳優人生で最も危険」と語るスパイアクションに挑戦している超大作。

原題:Mission: Impossible ‒ Dead Reckoning Part One 監督:クリストファー・マッカリー 
脚本:クリストファー・マッカリー、エリック・ジェンドレセン 配給:東和ピクチャーズ
Courtesy of Apple
優秀賞キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン


【作品紹介】
巨匠マーティン・スコセッシ監督が、6度目のレオナルド・ディカプリオ、11度目のロバート・デ・ニーロと最強トリオを組んだ上映時間206分の歴史サスペンス超大作。1919年、地元の有力者の叔父ウィリアムを頼ってオクラホマに移住した復員兵のアーネストは、先住民族オセージ族の女性モリーと結婚。同地区では先住民族の殺人事件が頻発しており、町は混乱と暴力に包まれていく。デヴィッド・グランのノンフィクションを原作に、オクラホマ州で実際に起きた先住民族の連続殺人事件をスリリングに描き、犯罪と人種差別を巡る米の歴史の闇を焙り出す。第95回ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞の作品賞含む4部門、第89回NY映画批評家協会賞の作品賞と主演女優賞、第81回ゴールデングローブ賞最優秀主演女優賞(ドラマ部門)などを受賞。第96回米アカデミー賞では作品賞など10部門にノミネートされた。

原題:Killers of the Flower Moon 監督:マーティン・スコセッシ 脚本:エリック・ロス、マーティン・スコセッシ 
配給:東和ピクチャーズ
(C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
優秀賞バービー


【作品紹介】
米マテル社のファッション・ドール“バービー”の世界を初の実写映画化。「レディ・バード」(18)「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」(20)のグレタ・ガーウィグが監督し、主演のマーゴット・ロビーが製作も兼任した。バービーとケンは、完璧な毎日が続くバービーランドで暮らしていたが、身体に異変が起きたため、原因を探ろうと人間世界に足を踏み入れたことから、大騒動を巻き起こしてしまう。ファンタジックな人形の世界と現実世界を交錯させたメタフィクションコメディを通して、男性社会への風刺や多様性を描く。23年公開の映画で世界最大のヒット作となり、米ワーナー映画史上No.1の興行収入も達成した。第81回ゴールデングローブ賞の最優秀主題歌賞含む2部門、第29回クリティクス・チョイス・アワードの脚本賞含む6部門などを受賞。第96回米アカデミー賞では作品賞など7部門にノミネートされた。

原題:Barbie 監督:グレタ・ガーウィグ 脚本:グレタ・ガーウィグ、ノア・バームバック 
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)2022 - UNE HIRONDELLE PRODUCTIONS, PATHE FILMS, ARTÉMIS PRODUCTIONS, TF1 FILMS PRODUCTION
優秀賞パリタクシー


【作品紹介】
セザール賞を獲得するなど俳優としても活躍する人気コメディアンのダニー・ブーンと、国民的人気シャンソン歌手のリーヌ・ルノーという仏の二大スターが共演。「戦場のアリア」(06)で高い評価を受けたクリスチャン・カリオンが監督し、仏本国で大ヒットした感動作。金も休みもなく免停寸前で人生最大のピンチに陥っていたタクシー運転手のシャルルは、92歳のマドレーヌをパリの反対側まで送る依頼を受ける。終活に向かうそのマダムから寄り道を頼まれたシャルルは、パリで生きてきた彼女の思い出の地を巡るうち、その波乱に満ちた生涯を知り、仕事場でしかなかったパリの街を再発見する。観光名所から洒落たビストロまで、美しいパリの街をドライブしていくと、あるマダムの数奇な運命が解き明かされる。人生の転機となる思いがけない一日を過ごす中年男と老女の姿が、笑いと涙の中でドラマティックに綴られる。

原題:Une belle course 監督:クリスチャン・カリオン 脚本:クリスチャン・カリオン、シリル・ジェリー
配給:松竹
(C)2022 FOCUS FEATURES LLC.
優秀賞TAR /ター


【作品紹介】
音楽界の頂点に上りつめたはずの天才指揮者が辿る衝撃的な運命を描くサイコスリラー。「イン・ザ・ベッドルーム」 (02「) リトル・チルドレン」(07)などのトッド・フィールドが監督・脚本・製作を務め、圧巻の指揮を実演するケイト・ブランシェットが主演と製作総指揮を兼任した。世界最高峰のオーケストラの一つ、ドイツのベルリン・フィルで女性初の主席指揮者に任命されたリディア・ターは、重責のプレッシャーなどに苦しむなかである疑惑をかけられ、追い詰められていく。芸術家の欲望と狂気が、濃密かつスリルたっぷりに綴られる。第97回キネマ旬報ベスト・テン外国映画第1位、第88回NY映画批評家協会賞の作品賞と主演女優賞、第79回ヴェネツィア国際映画祭女優賞、第80回ゴールデングローブ賞最優秀主演女優賞(ドラマ部門)、第78回毎日映画コンクール外国映画ベストワン賞などを受賞した。

原題:TÁR 監督・脚本:トッド・フィールド
配給:ギャガ
新人俳優賞
(C)日本アカデミー賞協会
優秀賞アイナ・ジ・エンド「キリエのうた」


【受賞コメント】
お芝居や映画の世界に飛び込むことは不安で仕方がありませんでしたし、私の心はいつもヒリヒリしていたけれど、この作品で「生きていていいんだ」「私の歌はこのまま魂を宿して歌っていければいいんだ」と、岩井俊二監督に教えていただきました。

【受賞者紹介】
15~23年までBiSHのメンバーとして活躍。21年に全曲作詞作曲した初のソロアルバムをリリース以降、個人活動も本格始動。2 2年には、ブロードウェイミュージカル『ジャニス』の東京公演で主演、「SING/シング:ネクストステージ」の吹替版で声優にそれぞれ初挑戦。映画初出演の本作では、圧巻の歌声と叙情的芝居で、強さと儚さを併せ持つ主人公の路上ミュージシャン・キリエ(小塚路花)と姉の一人二役を演じ、観客を魅了した。本作で第97回キネマベスト・テンや第48回報知映画賞などの新人賞も受賞。
優秀賞桜田ひより「交換ウソ日記」


【受賞コメント】
この世界に入って 16年経ちました。ここまで支えてくださった家族、友人、関係者の方々、応援してくださっている皆さん、本当に感謝しかありません。ここからがスタートだと思っています。これからも役と作品に、一つ一丁寧に向き合って生きていきます。

【受賞者紹介】
子役からキャリアを重ね、14年のドラマ『明日、ママがいない』(NTV)で注目される。翌年の「さいはてにて~やさしい香りと待ちながら~」で本格的に映画初出演。22年にはドラマ『silent』(CX)の出演も話題となる。本作では、主人公・瀬戸山潤と秘密の交換日記をすることになる女子高生・黒田希美を演じ、不器用ながらも愛すべきヒロインを体現した。23年は他に吹替版の声優を務めた「雄獅少年/ライオン少年」や、主演ドラマ『あたりのキッチン!』(THK・CX)『沼る。港区女子高生』(NTV)などがある。
優秀賞原 菜乃華「ミステリと言う勿れ」


【受賞コメント】
こんな素晴らしい賞をいただけるなんて、夢のようです。撮影中はずっと自分なんかでいいのかなという思いもありましたが、松山博昭監督や菅田将暉さんなどのスタッフやキャストの皆様が本当に温かく、何度も助けていただき、何とか演じきることができました。

【受賞者紹介】
09年より子役として活動を始め、映画やドラマ出演の他、キッズモデルや児童番組でも活躍。17年の「はらはらなのか。」で長編映画初主演。キーパーソンを演じた「罪の声」(20)や「すずめの戸締まり」(22)の主演声優などで注目を集める。オーディションで役を掴んだ本作では、主人公・久能整を名家の遺産相続事件に強引に巻き込む高校生・狩集汐路を演じ、確かな演技力を印象付けた。23年は大河ドラマ『どうする家康』(NHK)、主演ドラマ『こむぎの満腹記』(TX)、ドラマ『泥濘の食卓』(EX)など。
優秀賞福原 遥「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」


【受賞コメント】
小さい頃から誰よりも応援してくれ、支えてくれていた大好きな祖母と一緒に夢見ていた日本アカデミー賞でした。この新人俳優賞受賞の報告を、他界する前にできて本当に喜んでもらえたのがすごく嬉しかったです。またこの場に来られるよう精進してまいります。

【受賞者紹介】
05年に子役デビューし、09~13年に子ども向け料理番組『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』(NHK-Eテレ)の主人公役で人気を博した他、声優や歌手としても活動。19年の主演映画「4月の君、スピカ。」「羊とオオカミの恋と殺人」などを経て、22年の連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK)では主演を務めた。本作では、現代から戦時中に迷い込む主人公・加納百合役を体当たりで演じ、少女の恋心と成長が多くの若者の共感を呼んだ。23年は他に主演ドラマ『18/40~ふたりなら夢も恋も~』(TBS)などがある。
優秀賞市川染五郎「レジェンド&バタフライ」


【受賞コメント】
本当に嬉しく思っております。森蘭丸という役を演じさせていただきましたが、この役は個人的には10代のうちにしかできない役なのかなというふうに思っていますので、10代のうちに出合えたことを何より嬉しく思っております。

【受賞者紹介】
07年に歌舞伎座『侠客春雨傘』で初お目見得し、09年に四代目松本金太郎を襲名して歌舞伎座『門出祝寿連獅子』で初舞台を踏む。18年に八代目市川染五郎を襲名し、22年には『信康』で歌舞伎座初主演。歌舞伎以外でも活躍の場を広げ、21年に「サイダーのように言葉が湧き上がる」で声優に初挑戦し、22年には大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK)で源義高を演じて話題を集めた。本作では、織田信長に最期まで忠義を尽くす小姓・森蘭丸を演じ、映画初出演ながら歌舞伎で培った高い表現力を発揮してみせた。
優秀賞黒川想矢「怪物」


【受賞コメント】
僕は今、二つの自分と闘っています。役を演じ切れたのは、監督を始め、沢山の方のサポートや運でしかないと思う僕と、まるで自分の力でやり遂げたと勘違いする自分です。この闘いは長く続くと思いますが、必ず打ち勝ち、常に優しい人間、俳優でありたいと思います。

【受賞者紹介】5 歳より芸能活動を始め、1 8 年のドラマ『トーキョーエイリアンブラザーズ』(NTV)で俳優デビュー。『連続殺人鬼カエル男』(20/KTV)『きよしこ』(21/NHK)『剣樹抄~光圀公と俺~』(21/NHK BS)などTVドラマを中心に活動。オーディションで選ばれた映画初出演の本作では、母子家庭で育った中心人物の小学生・麦野湊を演じ、少年の不安定な心情を繊細に演じた。本作で第66回ブルーリボン賞新人賞も受賞。23年は他に音楽劇『精霊の守り人』や、ドラマ『いちばんすきな花』(23/CX)などがある。
優秀賞高橋文哉「交換ウソ日記」


【受賞コメント】
僕はここにいる人間の中で、自分がいちばんの芝居の赤ちゃんだと思っておりますが、これから伸びしろがたくさんあるし、芝居が好きです。大先輩方が作りあげた映画界の道程を自分らしく、全速力のエンジンフル回転で走り抜け、またここに立ちたいと思います。

【受賞者紹介】
18年の舞台で俳優デビューし、19年の特撮ドラマ『仮面ライダーゼロワン』(EX)で主演に抜擢。ドラマ『最愛』(21/TBS)、映画「牛首村」(22)などに出演し、22年のドラマ『君の花になる』(TBS)ではボーイズグループのリーダー役で歌と踊りも披露。本作では、主人公・瀬戸山潤を演じ、高校イチのモテ男子ながら複雑な事情を抱えた姿を巧みに表現した。23年は他に声優を務めた「ブラッククローバー 魔法帝の剣」、主演ドラマ『フェルマーの料理』(TBS)、ドラマ『女神の教室~リーガル青春白書~』(CX)などがある。
優秀賞柊木陽太「怪物」


【受賞コメント】
初出演映画がこの作品で本当に嬉しいし、幸せでした。それと同時に、この先も俳優をやっていく上で越えなければいけない壁だとも感じています。努力を積み重ね、たくさんの方の心を動かせるお芝居をして、またこの場所に戻ってこられるように頑張りたいです。

【受賞者紹介】
キッズモデルなどを経て、21年のドラマ『ボクの殺意が恋をした』(Y T V)で俳優デビュー。連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(21/NHK)『最愛』(21/TBS)『ミステリと言う勿れ』『PICU小児集中治療室』(共に22/CX)『ラストマンー全盲の捜査官―』(23/TBS)など数々のドラマで主要人物の幼少期を演じて注目される。オーディションで選ばれた映画初出演の本作では、麦野(黒川想矢)と共に中心人物となる小学生・星川依里を演じ、多面性を持つ難役に挑んだ。23年は他に「1秒先の彼」などがある。
協会特別賞
(C)日本アカデミー賞協会
(C)日本アカデミー賞協会
(C)日本アカデミー賞協会
(C)日本アカデミー賞協会
優秀賞大村弘二【美粧・床山】


【受賞コメント】
京都の撮影所で目の前の仕事をコツコツやってきた40年で、あっという間でした。そういう仕事に光をあてていただいた感謝と同時に、京都の時代劇の灯を消さないようにという使命もいただいたと感じております。これからも次の世代にいい形で繋いでいけるように、微力ながら努力したいと思います。

【受賞者紹介】
84年に、役者の化粧やヘアメイクを手掛ける東和美粧に18歳で入社。以降、東映京都撮影所を基盤に、かつらを結い上げて役者に被せる【床山】、髪の毛を結い上げる【結髪】、化粧とかつらを担当する【美粧】の分野で、時代劇を中心とした映画制作に長年携わり、役者に一番近いところで撮影に向けて気持ちを盛り上げる役割も担っている。その高い技術力により、日本の時代劇制作に欠かせない存在として、現在では松竹京都撮影所の仕事も一手に担うほか、TVドラマや配信コンテンツでも活躍。現在は東和美粧の代表取締役を務めながら現場に立ち続け、後進の育成も行っている。かつらの境目を目立たないようにするなど、高精細でリアルな画面に耐えられるようにと要求が上がる中、伝統と技術を継承しつつ、京都の時代劇を支え続けている。近年の主な参加作品に、映画「憑神」「茶々 -天涯の貴妃(おんな)-」(共に07)「火天の城」(09)「十三人の刺客」(10)「一命」「忍たま乱太郎」(共に11)「逆転裁判」(12)「無限の住人」(17)「散り椿」(18)「多十郎殉愛記」(19)「大河への道」「漆黒天 -終の語り-」(共に22)「レジェンド&バタフライ」(23)、TVドラマ『三屋清左衛門残日録』シリーズ(16~23/BSフジ)などがある。23年に第1回京都映画賞優秀スタッフ賞を受賞した。
優秀賞空閑由美子【キャスティング】


【受賞コメント】
大変光栄に存じます。制作現場に47年携わっていますが、まだご一緒したことがない、ご一緒できなかった俳優さんたちがたくさんいらっしゃいます。そういう意味ではまだ続けなさいということだと思うので、これからも豊かな色どりがその作品に提供できるようなキャスティングを心掛けていきたいです。

【受賞者紹介】
円谷プロダクションの制作デスクのアルバイトを経て、77年からTVドラマの時代劇シリーズに参加し、俳優の出入りやスケジュール連絡および調整などを担当する演技事務の役割を担う。TVドラマのアシスタント・プロデューサーとして俳優の提案や交渉などにも携わった後、88年にフリーとなり、初の映画「行き止まりの挽歌 ブレイクアウト」(88)に参加し、映画製作会社のプルミエ・インターナショナルに入社。光GENJI主演の「ふ・し・ぎ・なBABY」(88)で初めてキャスティングとしてクレジットされて以降、数多くの映画で同職に携わる。登場人物のイメージにあった俳優の所属事務所に出演交渉を行う他、現場で演技事務がつかない場合はその役割も担う。作品規模を問わず、関わる作品すべての現場に立ち会い、常に演者が良い環境の中で集中できるように尽力している。07年にキャスティングやマネージメントなどを行う会社ウルエを設立。後進育成も行っている。主な参加映画に、「ラヂオの時間」(97)「チルソクの夏」(04)「THE 有頂天ホテル」(06)「チーム・バチスタの栄光」(08)「ガマの油」(09)「スープ・オペラ」(10)「日輪の遺産」(11)「東京難民」(14)「天外者」(20)「大綱引の恋」(21)「大河への道」(22)などがある。
優秀賞百束昭幸【ステインベック編集機の販売・保守・点検・修理】


【受賞コメント】
編集に携わる皆様に支えていただきながら、50年近くこの仕事を続けてこられたことへのご褒美だと光栄に思います。そして、映画のキャメラマンとなった長男、大学で映像学の後進指導にあたる次男という、映像業界に貢献する双子の息子たちを育ててくれた妻に感謝し、この喜びを分かち合いたいです。

【受賞者紹介】
75年にアメリカのデュポン社と西ドイツのステインベック社の商品を扱う商社に入社。販売を担当していたデュポン社の映画用白黒フィルムの販売中止に伴い、ステインベック社のフィルム編集機の販売とメンテナンスを担当するようになる。ステインベック編集機は、画と音を一気に作業できる画期的なフィルム編集機で、フィルム撮影が主流の時代には、市川崑、篠田正浩、伊丹十三、滝田洋二郎など数々の名監督も編集に使用。その機械トラブル時には昼夜を問わず修理に駆け付けるなど、数々の名作の編集マンの作業を陰で支える役割も担った。81年に万永を設立。同社にて、映画制作およびビデオ撮影や編集、映画やTV用撮影機材および編集機材の販売や修理、フィルム編集機を活用したフィルムのデジタル化の開発、アーカイブス事業、8K映像撮影、技術スタッフの派遣などを行う。現在も、映画関係各社の編集室、国立映画アーカイブなどのフィルム保存機関、東京藝術大学などの教育機関他、各所のステインベック編集機を定期的に点検・修理をしている。映画フィルム編集に必要不可欠だった映画編集機ステインベックの保守に、永年にわたって貢献し続けており、フィルム保存と共にその重要性は増している。
優秀賞村瀬継蔵【特殊美術造型】


【受賞コメント】
名誉ある賞をいただき、ありがとうございます。昭和33年から、東宝の円谷組造形部として映画の世界に入り、今日まで現役として続けて参りました。今夏には初監督した新作映画「カミノフデ ~怪獣たちのいる島~」が公開されます。これからもこの賞を励みに、より良いものを作り上げていきたいです。

【受賞者紹介】
東宝の特殊美術のアルバイトを経て、58年に東宝へ入社し、造形助手として「大怪獣バラン」(58)の着ぐるみ造形に参加。「モスラ」(61)「キングコング対ゴジラ」(62)「マタンゴ」(63)などの東宝特撮映画で、怪獣造形に携わる。65年の大映初の怪獣映画「大怪獣ガメラ」への参加を機に独立。66年に造形制作会社のエキスプロダクション設立に参加し、『怪獣ブースカ』(66~67/NTV)『キャプテンウルトラ』(66/TBS)などのTV特撮作品も手掛ける。70年開催の日本万国博覧会では“太陽の塔”の内部の生命の樹に取り付けられた恐竜の制作にも参加。72年に再び独立し、特殊美術造形会社のツエニーを設立。昭和の「ゴジラ」「ガメラ」「大魔神」「ウルトラマン」「仮面ライダー」の各シリーズなど、日本を代表する映画やTVの特撮作品に参加し、日本の怪獣造形の基礎を築いた一人である。また、「大怪獣ヨンガリ」(67・韓国)「北京原人の逆襲」(78)「セブンス・カース」(91)などの海外作品、劇団四季の舞台やテーマパーク他の造形・美術などでも活躍。主な参加映画は、「大魔神怒る」(66)「メカゴジラの逆襲」(75)「帝都大戦」(89)「ゴジラVSキングギドラ」(91)「ゴジラVSモスラ」(92)など。また、特殊造形と初の原作・総監督も務める新作映画「カミノフデ ~怪獣たちのいる島~」が本年公開予定。
会長功労賞
撮影 室井泰孝
(C)日本アカデミー賞協会
(C)日本アカデミー賞協会
(C)日本アカデミー賞協会
(C)日本アカデミー賞協会
優秀賞井川徳道【美術】


【映画人生を振り返って】
私の映画の原点は、やはり大衆の皆様が好きな明るく楽しい映画だと思います。長い間、縁の下の力持ち的な存在の私に温かく協力して頂いたスタッフの皆様に感謝の念でいっぱいです。未来に向かっていく、若き映画人に期待しています。 (WEBインタビューより抜粋)

【受賞者紹介】
49年に京都市立美術専門学校(現・京都市立芸術大学)を卒業後、綜芸プロを経て、近代映画協会へ。新藤兼人監督から徹底した本物志向の美術製作を学び、54年に東映と契約。「江戸の名物男 一心太助」(58)を皮切りに、御本人曰く「ドラマの『状況設定』を具体的に創り出し、過去・現在・未来へと創造を豊かにし、その時代に即応する感性が求められ」、東映京都撮影所の代表的な美術監督、まさに「映像美の仕掛人」として活躍する。入念な美術ロケハンやセットなど、限られた美術予算の中で作品のテーマを大きく膨らませ、「十三人の刺客」(63)「車夫遊侠伝 喧嘩辰」(64)「沓掛時次郎 遊侠一匹」(66)「冬の華」(78)「魔界転生」(81)「序の舞」(84)「東雲楼 女の乱」(94)などで秀れた作品を生み出すことに貢献する。「セットをどんなにうまく作っても、光と影の部分でキャメラの腕がなければ、セットは生かしきれない。美術監督としては、とにかく撮影監督が照明をどう使って、セットをどう撮ってくれるか、美術を生かしてくれるかにかかっている」の発言通り、優秀なスタッフとの連携で観客の心を揺さぶる映画の撮影現場を支えた。

【受賞歴】第5回「魔界転生」で最優秀美術賞、第18回「東雲楼 女の乱」第17回「わが愛の譜 滝廉太郎物語」第15回「江戸城大乱」「動天」「福沢諭吉」第11回「夜汽車」第9回「最後の博徒」「夢千代日記」第8回「空海」「序の舞」「修羅の群れ」で優秀美術賞受賞の他、第2回「柳生一族の陰謀」「日本の首領 完結編」「冬の華」で技術賞ノミネート
優秀賞上田正治【撮影監督】


【映画人生を振り返って】
いろいろな仕事(撮影)、いろいろな人々に会い、いろいろな場所に行き、長年の仕事でいろいろな事がありました。枠(額)の中に絵を画くのではなく、絵の中に額を嵌める。これが映画の撮影かなと、少し判ってきた所です。

【受賞者紹介】
黒澤明監督作品から、当時のアイドルが主演した娯楽作品まで、ジャンルを問わず一貫した撮影技術の水準の高さは、まさに“匠の技”と呼ばれるべきだろう。日本を代表する撮影監督のひとりである。56年、東宝入社。岡本喜八監督「独立愚連隊」シリーズや、古澤憲吾監督「無責任」シリーズなど多数の作品で研鑽を積んだ後、「だまされて貰います」(71)で撮影技師として一本立ちする。宮川一夫のピンチヒッターとしてBカメラで「影武者」(80)を担当。黒澤組は常時、複数のカメラで撮影していたが、Aカメラはマスターショットで情景描写を受け持ち、Bカメラは主に芝居の流れを写していた。以後、「乱」(85)「夢」(90)「八月の狂詩曲(ラプソディー)」(91)「まあだだよ」(93)の撮影を担当。小泉堯史監督作品は「雨あがる」(00)から、「峠 最後のサムライ」(22)まで全作品の撮影を手掛ける。また、恩地日出夫監督「しあわせ」(74)「生きてみたいもう一度 新宿バス放火事件」(85)「結婚」(93)「わらびのこう 蕨野行」(03)などの誠実な仕事も光る。海外でも、米アカデミー賞や英アカデミー賞などの各撮影賞にノミネートされた他、全米映画批評家協会賞やボストン映画批評家協会賞などの各撮影賞を受賞し、その成果は高く評価されている。

【受賞歴】第24回「雨あがる」第17回「まあだだよ」「虹の橋」第15回「八月の狂詩曲(ラプソディー)」で最優秀撮影賞、第46回「峠 最後のサムライ」第38回「蜩ノ記」第26回「阿弥陀堂だより」第14回「夢」第9回「乱」で優秀撮影賞受賞
優秀賞小林 旭【俳優】


【映画人生を振り返って】
昭和30年春、日活に入社した時、これで自分がやりたいことが出来るのだと大いに胸を膨らませたことを覚えています。子供の頃から夢みた世界。走って斬って泣いて笑って、その映像を社会の人に見せることが出来るのだ、夢を届けることが出来るのだと夢中になった。映画の世界に居られた頃が懐かしい。

【受賞者紹介】
「銀幕のスター」という言葉が、これほど相応しい人はいない。その一挙手一投足は、文字通り観客の視線を釘づけにした。日活第3期ニューフェイスとして、「飢える魂」(56)でデビュー。石原裕次郎に続く新人として期待され、純愛映画「絶唱」(58)を経て、「南国土佐を後にして」(59)を原型とする「渡り鳥」シリーズ(59~62)を大ヒットさせる。ギター片手に全国をさすらうヒーローの姿は、無国籍映画と呼ばれるもファンを熱狂させ、“マイトガイ”として親しまれた。以後、「銀座旋風児」(59~63)「流れ者」(60~61)「暴れん坊」(60~62)「賭博師」(65~66)などの各シリーズで、日活アクションの黄金時代を支えた。72年に東映移籍後は「仁義なき戦い 頂上作戦」や「唐獅子警察」(共に74)などで東映実録路線に異彩を放ち、また「青春の門」(75)「青春の門 自立篇」(77)では演技派としての貫禄を示した。「春来る鬼」(89)では初監督。歌手としても『昔の名前で出ています』『熱き心に』がミリオンセラーとなる。自伝に『さすらい』(01/新潮社)『熱き心に』(04/双葉社)などがあり、今なお現役のスターとして独特の存在感を示している。
優秀賞酒井 賢【美術】


【映画人生を振り返って】
「ヨーイ・スタート」。心地よい緊張感を覚えます。賑やかな〇〇組、静かな〇〇組、どの撮影現場も好きです。セットデザインが演出意図に相応しい被写体として造形できたときが美術のよろこびです。

【受賞者紹介】
61年、多摩美術大学卒業後、東宝撮影所特殊技術課の美術助手として入社。黒澤明、市川崑、成瀬巳喜男、岡本喜八、森谷司郎、熊井啓、降旗康男など錚々たる監督の作品に参加し、70年には東宝映像美術のデザイン設計部企画デザイン室の美術監督となる。「『さよなら』の女たち」(87)「マイフェニックス」(89)や「ゴ
ジラVSキングギドラ」(91)から「ゴジラVSスペースゴジラ」(94)までのゴジラ作品を担当後、98年に東宝を退社し、フリーに。小泉堯史監督「阿弥陀堂だより」(02)「博士の愛した数式」(06)「明日への遺言」(08)「蜩ノ記」(14)「峠 最後のサムライ」(22)の美術を手掛ける。また洋画家としても知られ、21年には、出身地、岡山県勝山で『油彩画&映画美術グラフィティ・酒井賢展』が開催され、油彩や映画セットのデザイン画が展示された。油彩では幻想的な色遣いが印象的な「伊豆半島『城ケ崎』や『みかん山』」、鉛筆と淡彩による「『さよなら』の女たち」や「蜩ノ記」のデザイン画も好評で、長年にわたる映画製作から「諸監督から受ける映像美、感覚と感性が絵を描く発想の源になっている。懐かしい思い出から新しい絵が生まれる」と述べられた。

【受賞歴】
第38回「蜩ノ記」第26回「阿弥陀堂だより」で優秀美術賞受賞
優秀賞東 陽一【監督】


【映画人生を振り返って】
子供の頃、和歌山県の小さな町に映画館がひとつあった。土曜日の夜になると、そこに行く人達に手を引かれて映画を見るようになった。それが私の映画好きの初めだった。そしてそれが多分、映画というものの面白さを知ったときであった。

【受賞者紹介】
映画作家として半世紀以上もの間、秀れた作品を撮り続けてきた東陽一監督は、58年、岩波映画製作所の演出部に入社。黒木和雄監督らの助監督を務める。62年、フリーになり長篇第一作は、米軍統治下の沖縄を描いた記録映画「沖縄列島」(69)。つづく「やさしいにっぽん人」(71)で日本映画監督協会新人賞受賞。現代の若者の姿をいきいきと描いた青春映画「サード」(78)で芸術選奨文部大臣新人賞、キネマ旬報ベスト・テン日本映画監督賞、ブルーリボン賞作品賞などを受賞する。「もう頬づえはつかない」(79)「四季・奈津子」(80)「ラブレター」(81)「ザ・レイプ」(82)「化身」(86)などの女性映画を手掛けた後、「橋のない川」(92)で毎日映画コンクール監督賞、報知映画賞監督賞などを受賞し、「絵の中のぼくの村」(96)では、ベルリン国際映画祭銀熊賞、芸術選奨文部大臣賞など国内外で多数の映画賞を受賞。以後も「わたしのグランパ」(03)「風音」(04)「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」(10)「だれかの木琴」(16)など精力的に作品を発表する。著書に『午後4時の映画の本』(79/幻燈社)。小玉憲一監督の記録映画「現在地はいづくなりや 映画監督東陽一」(20)では、自身の監督人生について関係者の証言を交え、縦横無尽に語りつくした。

【受賞歴】
第16回「橋のない川」で優秀監督賞受賞
優秀賞矢部一男【照明】


【映画人生を振り返って】
昭和30年に日活撮影所に入社。撮影所システムで鍛えられ育ち、足のつま先から頭のてっぺん迄日活撮影所の色に染まって独創的、美的感覚を持つ照明技師としてやってこれました。素敵な映画人と仕事が出来幸せでした。

【受賞者紹介】
「照明はただ『光を当てる』という訳ではないんです。映画を見たお客さんが感動してくれるように“光で表現・演出をする”事なんです」という自身の発言に偽りなく、撮影現場での矢部氏の動きには一切の無駄がなく、監督の意図を正確に掴んだ上で、各スタッフと連携し迅速に、ここしかないという場所から光を当てる。その鮮やかさには舌を巻くとスタッフの誰もが証言する。55年に入社した日活の撮影現場で多くの作品に関わった後、「青い獣 ひそかな愉しみ」(78)で照明技師となる。59年に設立された日本映画照明新人協会(現・日本映画テレビ照明協会)には、設立時から日活支部会員として参加。以後、「家族ゲーム」(83)「それから」(85 )「A サインデイズ」(89 )「天と地と」(90 )「ミンボーの女」(92 )「渚のシンドバッド」(95 )「月とキャベツ」(96)「日本の黒い夏 [冤enzai罪]」(01)「ハッシュ!」「海は見ていた」(共に02)「天国の本屋~恋火」(04)「ぐるりのこと。」(08)など数多くの作品を担当しつつ、日活芸術学院などで新人の育成にも尽力した。17年には、文化庁映画賞、映画功労部門受賞。

【受賞歴】
第9回「それから」「CHECKERS in TAN TAN たぬき」で最優秀照明賞、第14回「天と地と」「大迷惑トラブルコメディー どっちもどっち」で優秀照明賞受賞
会長特別賞
Photo by Neo Sora (C)2020 Kab Inc.
優秀賞坂本龍一【音楽】 3月28日没 享年71


【受賞者紹介】
東京藝術大学大学院在学中の75年からスタジオ・ミュージシャンとしての活動を始め、78年にソロアルバム『千のナイフ』を発表してメジャーデビュー。同年、細野晴臣、高橋幸宏とイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)を結成し活動開始。79年に発表したYMOの2作目のアルバム『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』が世界的に大ヒットし、注目を浴びる。83年に「戦場のメリークリスマス」で俳優として初出演すると共に初の映画音楽を担当。同作で日本人初の英アカデミー賞作曲賞を受賞。『Merry Christmas Mr. Lawrence』は全世界で知られる代表曲となった。88年の「ラストエンペラー」でも出演と音楽を務め、米アカデミー賞作曲賞を日本人として初受賞。「シェルタリング・スカイ」(91)ではロサンゼルス映画批評家協会賞やゴールデングローブ賞の作曲賞を受賞。音楽活動以外に環境や平和問題への言及も多く、活動は多岐に渡った。14年、癌を公表してもなお「母と暮らせば」(15)「レヴェナント:蘇えりし者」(16)などオファーが絶えず「怪物」(23)に至るまで生涯現役を貫いた。主な映画音楽担当作に、「子猫物語」(86)「王立宇宙軍~オネアミスの翼」(87)「ハイヒール」(92)「御法度」(99)「ファム・ファタール」(03)「トニー滝谷」(05)「シルク」(08)「一命」(11)「怒り」(16)「MINAMATA-ミナマタ-」(21)「アフター・ヤン」(22)などがある。

【受賞歴】
第47回「怪物」第10回「子猫物語」第7回「戦場のメリークリスマス」で優秀音楽賞受賞
優秀賞阿部秀司【プロデューサー】 12月11日没 享年74


【受賞者紹介】
広告代理店でコピーライター、CMディレクター、クリエイティブディレクターなどで活躍した後に独立し、86年に制作会社ロボット(ROBOT)を設立。CM制作などを経て、93年に映画部を併設し、エグゼクティブプロデューサーを務めた95年公開の「Love Letter」で念願だった映画製作事業に進出。その後も映画プロデューサーとして岩井俊二、本広克行、山崎貴、森淳一、羽住英一郎、小泉徳宏などの初監督作にも携わり、多数の新人監督輩出に貢献した。特に、山崎貴監督とのタッグは強く、デビュー作の「ジュブナイル」(00)から最新作「ゴジラ-1.0」(23)まで全監督作の製作に参加した。なかでも自身が少年時代を過ごした“昭和”の映画を作りたいと企画を立ち上げた「ALWAYS 三丁目の夕日」(05)は大ヒットし、第29回最優秀作品賞を含む12賞を受賞したほか自身も2006年エランドール賞プロデューサー賞・田中友幸基金賞や第25回藤本賞特別賞を受賞。10年にロボットを退職して同社の創業者・顧問に就任すると映画製作に専念するために阿部秀司事務所を設立。興行とエンターテインメントの質に拘り、映画製作の陣頭をとった。その他の参加作に、「パラサイト・イヴ」(97)「スペーストラベラーズ」(00)「明日があるさ THE MOVIE」「Laundry」(共に02)「海猿 ウミザル」(04)「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」(10)「嘘を愛する女」(18)などがある。
特別追悼
優秀賞中島貞夫【監督脚本】


6月11日没 享年88
第43回会長功労賞
優秀賞川本征平【アニメーション美術背景】


10月15日没 享年84
第46回協会特別賞

三谷 昇
【俳優】
1月15日没 享年90
小沼 勝
【監督】
1月22日没 享年85
高橋 章
【美術監督】
2月10日没 享年84
手塚 治
【東映㈱代表取締役社長/製作】
2月11日没 享年62
松本零士
【漫画家】
2月13日没 享年85
山根貞男
【映画評論/翻訳】
2月20日没 享年83
扇 千景
【政治家/俳優】
3月9日没 享年89
団 時朗
【俳優】
3月22日没 享年74
奈良岡朋子
【俳優/声優/ナレーター】
3月23日没 享年93
飯塚定雄
【光学合成技師】
3月24日没 享年88
黒土三男
【監督/脚本】
3月25日没 享年76
竹山 洋
【脚本】
4月12日没 享年76
尾関龍生
【装飾】
4月26日没 享年71
佐々木志郎
【プロデューサー】
5月22日没 享年86
髙山由紀子
【監督/脚本】
6月2日没 享年83
牛尾治朗
【ウシオ電機㈱設立者】
6月13日没 享年92
井手洋子
【監督】
8月13日没 享年68
山本二三
【アニメーション美術監督】
8月19日没 享年70
榎 望
【プロデューサー/脚本】
8月20日没 享年62
橋爪謙始
【絵コンテ】
8月23日没 享年60
鶴橋康夫
【テレビディレクター/監督】
10月9日没 享年83
財津一郎
【俳優/コメディアン】
10月14日没 享年89
犬塚 弘
【俳優/ベーシスト】
10月26日没 享年94
千葉一彦
【美術】
11月12日没 享年91
鈴木瑞穂
【俳優/声優】
11月19日没 享年96
山田太一
【脚本】
11月29日没 享年89
薩摩剣八郎
【俳優/スーツアクター】 12月16日没 享年76
中村メイコ
【俳優】
12月31日没 享年89

映画界に多大なる功績を残され2023年に逝去された映画人(没日順)

話題賞
(C)2023 Kyrie Film Band

作品部門:「キリエのうた」


監督・脚本:岩井俊二
製作:東映/KDDI/ロックウェルアイズ/ジェイ・ストーム/関西テレビ放送/テレビ新広島/北海道テレビ放送/宮城テレビ放送/FM802/ニッポン放送/OORONG-SHA/CHOCOLATE
(C)原 泰久/集英社 (C)2023映画「キングダム」製作委員会 (C)2023 TOHO CO., LTD. (C)和久井健/講談社 (C)2023 フジテレビジョン ワーナー・ブラザース映画 講談社 (C)2023 映画「BLUE GIANT」製作委員会 (C)2013 石塚真一/小学館

俳優部門:山田裕貴


対象作品
「キングダム 運命の炎」
「ゴジラ-1.0」
「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-/-決戦-」
「BLUE GIANT」
第47回特別賞
(C)日本アカデミー賞協会
優秀賞シネバザール


【受賞コメント】
映画を作る現場にはここにはいないスタッフ(撮影現場の後ろで、車両からお弁当まで、毎日陰で頑張っている人)がたくさんいて、制作プロダクションというのはそういう人達をまとめ上げるのも仕事で、今回は我社というよりも映画の仕事に関わっている全ての人達を代表していただいた賞なのだと思っております。全てのスタッフに代わって御礼申し上げます。[和田倉和利/代表]

【受賞会社紹介】
1994年に設立、96年に制作プロダクションとして法人化。プロデューサーである和田倉和利と甘木モリオが各々の持ち味を活かし、作り手の主張を尊重しつつ、徹底した予算管理で作品を作り上げた。その映画製作の姿勢にスタッフはもちろん、映画各社やテレビ局各社からの信頼を集めた。代表作に「スワロウテイル」(96)「茶の味」(04)「ザ・マジックアワー」(08)「20世紀少年」3部作(08~09)「鍵泥棒のメソッド」(12)「劇場版 コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」(18)「マスカレード・ホテル」(19)「リボルバー・リリー」(23)などがある。他にも「冷静と情熱のあいだ」(01)「のだめカンタービレ 最終楽章」前後編(09・10)「杉原千畝 スギハラチウネ」(15)などの邦画の海外ロケーション作品を制作する一方、「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」(06)「ウルヴァリン:SAMURAI」(13)などの外国映画の日本ロケーションパートを請け負うなど海外作品との関わりも深い。またVFXが加わる撮影も得意とし、「シン・ゴジラ」(16)「いぬやしき」(18)「シン・仮面ライダー」(23)なども制作した。作家性の強いインディペンデント作品からエンターテイメント大作までジャンルを問わず、シネバザールとして存続した30年で手掛けた数は約90本になる。二人に共通するのは“人間力”と“バランスの良さ”。その手腕は作品群が証明している。
(C)日本アカデミー賞協会
優秀賞東京現像所


【受賞コメント】
68年という歴史を数えました、全ての従業員を代表して、厚く御礼申し上げます。そして何より長年に亘り、東京現像所の技術を信頼して、大切な作品をお任せいただいた全てのお客様に御礼を申し上げます。東京現像所はなくなりましたが、技術スタッフは東宝スタジオに移動し、その技術と経験は生きておりますので、是非、ご用命ください。[矢部勝/代表取締役社長]

【受賞会社紹介】
カラー映画の需要が高まっていた1955年に誕生。市川崑監督作「おとうと」(60)では宮川一夫キャメラマンの要望によって、映画史に残るフィルムの現像手法“銀残し”に成功。同作で61年カンヌ国際映画祭フランス映画高等技術委員会賞を受賞した。更に、小津安二郎監督のカラー作品、山田洋次監督の「男はつらいよ」シリーズ、キタノブルーと世界から評価された北野武監督作品、オプチカル合成を駆使した東宝の特撮作品、スタジオジブリ作品、「映画ドラえもん」シリーズなどのアニメーション作品など数多くのポストプロダクションを担い、フィルム映画全盛期におけるそのオールマイティな高い技術力は必要不可欠であった。80~90年代には候孝賢、張芸謀、陳凱歌、そして2000年以降はポン・ジュノなどアジアの巨匠がこぞって訪れ、ポスプロ作業を行った。その他、外国映画の日本語字幕制作、デジタル化が進んでからは、劇場上映用デジタルデータDCP(デジタルシネマパッケージ)の制作、デジタル技術を用いた映画の色彩などの調整を行うD(I Digital Intermediate)事業や映像編集事業に加え、4Kによるデジタルリマスター事業にも精力的に取り組んだ。“トウゲン”の名で親しまれ、名だたる監督やスタッフが一度は訪れた現像所は23年11月に全事業の営業を終了。誕生から約70年間、日本の映像界に残した功績は大きい。