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日本アカデミー賞とは?
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その年の日本映画界の総決算として前年度最優秀受賞者からブロンズ贈呈の継承を行う意義は大きいと信じ、1978年より続いてきた授賞式を今年も継続。例年とは異なる緊張感が漂うなか、それを打消すかのような受賞者の笑顔輝く入場で授賞式の幕が上がった。
初の無観客での開催となった日本アカデミー賞授賞式。例年より規模や時間が縮小されたが、颯爽と歩く受賞者たちの美しい姿は変わらない。今回初司会となる羽鳥慎一さんと、レッドカーペットから登壇した安藤サクラさんが揃い、例年のように技術部門の最優秀賞発表からスタート。「キングダム」が最優秀美術賞と最優秀撮影賞(最優秀照明賞は対象者なし)を受賞。最優秀録音賞は「蜜蜂と遠雷」に、最優秀編集賞は「翔んで埼玉」が受賞した。俳優部門は最優秀助演男優賞から始まり、まず「キングダム」の吉沢亮さんが受賞。作品を牽引した主演の山﨑賢人さんに感謝を述べた。続く最優秀助演女優賞も「キングダム」の長澤まさみさんが受賞。「世界の中心で、愛を叫ぶ」から15年ぶり2度目の受賞に感極まる場面も。
特別賞のコーナーでは、話題賞、協会特別賞、会長功労賞が贈賞された。ニッポン放送リスナーの投票で決まる話題賞では、俳優部門を「引っ越し大名!」の星野源さん、作品部門を「決算!忠臣蔵」が受賞した。星野さんは「映画ファンの思いが反映される賞で選んでいただき、本当に嬉しいです。日本人のアイデンティティを、日本人のセンスで、日本人にしか作れないエンタテインメントにできたと自負しております。監督、スタッフ、俳優、多くの皆さんに支えられながら作った作品で、このような賞をいただけて本当に嬉しく思います」と挨拶。
作品部門の「決算!忠臣蔵」からは中村義洋監督、岡村隆史さんが登壇。中村監督は、「これまで冬の風物詩と言われていた忠臣蔵ですが、僕らが思う以上に若い方は知らないことが分かり、映画公開前に冷や汗をかきました。話題賞をいただけて感無量です」。岡村さんは、同じくオールナイトニッポンのパーソナリティである星野さんに目配せしながら、「25、6年やっているラジオでリスナーの皆さんに投票を呼びかけ、できれば俳優部門もお願いしますと訴えたのに、見事に源さんに取られてしまいました。でも作品部門でこの場に立てたことは、本当に嬉しく思います」と笑いを誘いつつ挨拶を締めた。
映画製作の現場を支えるスタッフを称える協会特別賞では、金子鉄男さん(オプチカル)、小田部羊一さん(アニメーター)、丹羽邦夫さん(製作担当・ロケーションマネージャー)、山田好男さん(装飾)に、プレゼンターの松坂桃李さんが「日本アカデミー賞には作品作りにはなくてはならない方々を称える場があり、その場に立たせてもらえるのを光栄に思います」と感謝と賞状が贈られた。
そして永年にわたり多大なる功績と実績をあげた映画人を称える会長功労賞では、プレゼンターの役所広司さんが「興奮と感動をありがとうございました」と大先輩の受賞を祝った。受賞スピーチを終えた、高田宏治さん(脚本)、宝田明さん(俳優)、司葉子さん(俳優)、中島貞夫さん(監督・脚本)、若尾文子さん(俳優)<若尾さんはメッセージのみ>を会場にいる全員が立ち上がり拍手で祝い、今ある映画界を築いてきた方々への尊敬と感謝の気持ちを表した。
開演前に別会場で行われた多くの功績を遺した映画人を偲ぶ会長特別賞・追悼上映では、出席者が今日の映画界の礎を作った映画人に想いを馳せ、感謝の面持ちで見入る姿が印象的だった。
新人俳優賞は鈴鹿央士さん、森崎ウィンさん、横浜流星さん、岸井ゆきのさん、黒島結菜さん、吉岡里帆さんが受賞された。プレゼンターの役所広司さんが「我々の仕事である演ずるという行為は、コンテストのためではなく、作品のためにあるもの。今日ここにいるスタッフ・キャストの方々は、全員、我々の芝居をより良い方向へ導いてくれる、皆さんの味方です。失敗を恐れず、勇気を持って、たくさん経験を積んでいってください。いい作品と出会えることを祈っています」とエールを贈った。
最優秀外国作品賞は「ジョーカー」へ。最優秀音楽賞は「天気の子」のRADWIMPSが2度目の受賞。最優秀アニメーション作品賞のブロンズも「天気の子」に手渡され、「君の名は。」で最優秀賞を逃した雪辱を果たした。最優秀脚本賞は「翔んで埼玉」が受賞。
最優秀主演女優賞は、「新聞記者」のシム・ウンギョンさんに。予想外の受賞に感極まり声を詰まらせ涙を流す姿に、司会の羽鳥さん、安藤さんをはじめ会場の多くがもらい泣きする場面も。俳優部門では初となる外国人の最優秀賞受賞となった。最優秀主演男優賞も「新聞記者」の松坂桃李さんへ。「いろいろある情報を自分の意志で判断しよう」という作品のメッセージ性に興味を持ったと出演動機を語り、昨年の助演男優賞に続いての二年連続の最優秀賞受賞の喜びを噛みしめた。最優秀監督賞は「翔んで埼玉」の武内英樹監督へ。受賞を想定していなかったと戸惑いながら、埼玉県民733万8000人に謝辞を述べた。最後の部門となる、最優秀作品賞も「新聞記者」が受賞。受賞タイトルが読み上げられると製作の河村光庸さん、シム・ウンギョンさん、松坂桃李さん、藤井道人監督らが登壇。制作当時のエピソードを交えて受賞の喜びを語った。客席からは今夜を締め括る温かい拍手が贈られた。
振り返れば、「新聞記者」3部門、「翔んで埼玉」3部門、「キングダム」4部門、「天気の子」2部門と拮抗。無観客ではあったが、だからこそ受賞者がお互いを称え合う姿が際立った。
司会の羽鳥さんは「俳優さん、スタッフさんの映画に懸ける思いが、すごく伝わってくる素敵な式でした」と語りかけ、安藤さんも「受賞者の皆さんを特等席で拝見し、素敵な時間を共有できて嬉しかった」とまとめ、シムさんに「来年は司会です!」とバトンを渡した。
無観客での開催となったが、43回を数える授賞式の中でも、映画人の気概に満ちた式典となった。
過去の最優秀賞受賞者の結果は
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