金子正次「竜二」
自分の生活にふと虚しさを覚え、足を洗おうとするヤクザ竜二の“30代の男の迷い”を演じて妙だった「竜二」。脚本も務め、情熱を傾けたこの作品のヒット中に、1983年10月 6 日、33才の若さでガン性腹膜炎のために死去した。次作の準備も進められている際中だったというだけに、その才能が惜しまれる。(愛媛県出身)
杉本哲太「白蛇抄」
ロックバンド「紅麗威蘇」のリードボーカルを担当する彼が、うって変わって、「白蛇抄」では住職の息子という役柄をこなした。テレビではおなじみだが、映画は初出演。胸の奥にくすぶる恋心に悩み、ひとり耐え苦しみ、思いつめる“男”の演技に、未来の大物ぶりがうかがえた。次作が楽しみだ。(神奈川県出身)
宮川一朗太「家族ゲーム」
全くの新人ながら「家族ゲーム」でラッキーな“役者”としてのスタートをきった。落ちこぼれ受験生役での松田優作との絶妙なやりとり、そして現代っ子らしいシラケと繊細を兼ね備えた演技で、ワキを固めた名優陣に一歩もひけをとらなかった。実生活では、今年、早稲田大学に入学が決定しており、充実した日々を送っている。(東京都出身)
仙道敦子「細雪」「白蛇抄」
子役として重ねた経験が「白蛇抄」での少女から女へと移りゆく微妙な心の揺れを見事にものにしたのだろう。一昨年は「鬼龍院花子の生涯」で夏目雅子の少女時代を演じた。持って生まれた素材の良さと、度胸の良さは彼女独得のものがあり、これに経験や女性としての年齢がプラスされれば素晴らしい役者に育つことだろう。(愛知県出身)
原田知世「時をかける少女」
大林監督をして「ジュディ・ガーランドの生まれ変わり」と言わしめた“天性の女優”ぶりが「時をかける少女」でも十二分に発揮され、大人気を博した。歌手としてもヒットチャートに名を連ね、テレビにも主演。また舞台でもミュージカルをこなすといったマルチタレントだ。息の長い女優になって欲しい。(長崎県出身)
渡辺典子「積木くずし」
大変だったけれど、本当に出演してよかったという「積木くずし」での彼女の体当りの熱演は素顔の可愛さからは少しもうかがえない。いしだあゆみとの乱闘シーンでは、脳震盪を起させてしまったほど役にのめり込み、時々ドキリとするほど女を感じさせる視線を見せた。この刺激をバネにもっと伸びていける女優だ。(福岡県出身)