緒形直人「優駿」
大ヒット作となった「優駿」でデビューを飾ったラッキー・ボーイ。しかし青年座研究所本科を経て、現在も実習科で研修を続けているという。演技の基本をしっかりと身につけた新人といえるだろう。運と実力を兼ね備えた本物のスターとなっていってくれることを期待したい。デビュー作で共演した緒形拳氏の次男である。(神奈川県出身)
加藤昌也「マリリンに逢いたい」
1988年は、デビュー作「マリリンに逢いたい」に続いて、主演した「クレージーボーイズ」が公開された。モデルとしても海外で高い評価を受けていたルックスに加えて、体当たりで演技に挑んでいくガッツは、上記2作品を製作した奥山和由氏も高くかっている。新しい時代の肉体派大型俳優として、日本映画界に新風を巻き起こしていってほしい。(奈良県出身)
中村橋之助「ダウンタウンヒーローズ」
歌舞伎役者、中村芝翫の次男として生まれ、4歳から舞台を務めてきているが、映画は「ダウンタウンヒーローズ」が初めての出演。しかも40年前の旧制高校生という難しい役どころだった。しかし、プロとして長いキャリアを持っているだけに、不自然さを感じさせることなく、見事に演じきってみせてくれた。今後もさらにスクリーンで活躍してくれることだろう。(東京都出身)
後藤久美子「ラブ・ストーリーを君に」
日本中に美少女ブームを巻き起こし、既に大きな人気を集めていたが、1988年はついに映画の世界でもデビューを飾った。初主演作「ラブ・ストーリーを君に」では、アイドルを演技者として開花させることにかけては定評のある澤井信一郎監督のもと、その大きな存在感を発揮し、映画界の注目を集めている。今後は、どんな女優に成長していってくれるのだろうか?(東京都出身)
中川安奈「敦煌」
超大作「敦煌」のヒロインの座を、海外を含む1万2000人を越す候補者の中から射止め、見事に演じきった。作品に負けないスケールの大きさは、日本映画界に久々に登場した大型女優であることの証明といっていいだろう。画家の中川一政氏、演出家の千田是也氏を祖父に持つという血筋の良さも手伝って、気品と知性も感じさせる新人だ。第二作「Aサインデイズ」も近く完成する。(東京都出身)
宮沢りえ「ぼくらの七日間戦争」
デビュー前からモデルとして活躍していたが、「ぼくらの七日間戦争」の主役を一般公募に勝ち抜いて獲得した。その積極的な姿勢は、中学生の楽しい反逆を描いた、この作品での自然でエネルギッシュな演技からも見てとることができる。1989年は、NHKの大河ドラマ「春日局」に出演するなど、女優として大きく飛躍する年となりそうだ。(東京都出身)