第11回日本アカデミー賞優秀作品一覧に戻る
日時: 1988(昭和63)年2月18日(木)
場所: 東京プリンスホテル
司会: 武田鉄矢/斉藤由貴

優秀作品賞
最優秀賞/優秀賞
(C)伊丹プロダクション

最優秀作品賞 「マルサの女」


脱税摘発のプロ、国税局査察部、人呼んで彼らをマルサという。そのマルサとパチンコ店やラブホテルのオーナーなどの様々な脱税者の金を軸にして空転する人間の欲望の空しさと経済大国日本の裏側をサスペンスタッチで見事に描いて話題を呼んだ。出演者には宮本信子、山崎努等、伊丹作品でお馴染みの面々による第3作目。(伊丹プロダクション=ニュー・センチュリー・プロデューサーズ)

優秀作品賞 「竹取物語」


御存知日本最古の物語文学「竹取物語」を日本映画としては破格の20億円を投じ、壮大なSFX映画に仕上げている。かぐや姫には沢口靖子、その父に三船敏郎、母には今回が実に16年ぶりの映画出演という若尾文子と、他に石坂浩二、中井貴一など豪華なキャストに、壮麗な美術セット、豪華な衣装で、巨匠市川監督により一千年前の愛の物語が今、世界中へ届けられる。(東宝映画=フジテレビ)

優秀作品賞 「ハチ公物語」


亡くなった主人の帰りを10年もの間、毎日渋谷駅の雑踏の中に待ち続けて死んでいった秋田犬……それが“忠犬ハチ公”である。秋田犬保存会約5,000 匹の中から選ばれた”ハチ公”と、飼い主の上野教授に仲代達矢、その妻に八千草薫などの出演で、この実話をもとに人間と動物との愛の交流を爽やかな涙と感動で綴る。(東急グループ=三井物産=松竹グループ)

優秀作品賞 「夜汽車」


宮尾登美子の短編傑作「夜汽車」「岩伍覚え書」をもとに、男女の織りなす激しく悲しい人間模様に仕上げた、華麗にして重厚な愛のドラマである。露子・里子の姉妹に十朱幸代、秋吉久美子、二人が心を惹かれる男・田村征彦を萩原健一が熱演。クライマックスでは、露子が指をつめる衝撃シーンもあるが、山下耕作監督ならではのラブストーリーとして描かれている。(東映)

優秀作品賞 「吉原炎上」


斉藤真一の「絵草紙・吉原炎上」、その実話をもとにした久々の超豪華文芸大作である。江戸から明治終わりまで、絢爛と花咲いた遊興の場――〈吉原遊廓〉を舞台に、身体を売って生きる女のしたたかさ、激しさ、優しさ、そして哀しさを壮絶に描いている。名取裕子、かたせ梨乃、藤真利子、西川峰子、二宮さよ子らの熱演で、吉原の栄華と汚辱、虚飾と真実が浮き彫りにされる。(東映)
優秀監督賞
最優秀賞伊丹十三「マルサの女」


「お葬式」で内外の30余の映画賞を独占し、鮮烈な監督デビューを飾った伊丹氏だが、そのヒットで2億数千万という税金を払い、税金に興味を持つ。そして生まれたのが、第3弾「マルサの女」である。「日本初の本格的プロフェッショナルな犯罪映画」とは、監督自らの弁だが、常にエンターティメントに徹した映画作りは観るものの期待を裏切らない。(1933年 京都府)
優秀賞市川崑「映画女優」「竹取物語」


1978年「悪魔の手毬唄」「獄門島」で第1回優秀監督賞受賞以来、1984年「細雪」から 5年間連続の受賞である。今回も、「田中絹代」の一生と日本映画史を重ね合わせた「映画女優」、日本映画としては破格の20億円を投じた壮大なスペース・ファンタジー「竹取物語」を完成。50年にも亘る監督生活で、常に多くの人々に深い感動を与えてきた。日本を代表する監督である。(1915年 三重県)
優秀賞大森一樹「恋する女たち」「トットチャンネル」


高校時代より8ミリ映画製作に取り組み、16ミリ映画として1975年「暗くなるまで待てない」を発表。その後映画界へ進出、「ユー・ガッタ・チャンス」等で若者の絶大な支持を集め、今回「恋する女たち」「トットチャンネル」で久々の青春映画の傑作と好評を博す。「笑わせて泣かせる」映画の作れる監督として、今後も多くの人々を楽しませてくれるだろう。(1952年 兵庫県)
優秀賞五社英雄「吉原炎上」


「鬼龍院花子の生涯」「陽暉楼」「櫂」の宮尾登美子3部作、「極道の妻たち」など独自の女性映画で見事な演出手腕をみせた五社監督だが、今回の「吉原炎上」でも、男たちに夢を追わせた“吉原遊廓”の華やかさと、そこに生きた様々な女たちの生き様を鮮烈に描いている。目のこえたファンを魅了することのできる技術とパワーを持った貴重な存在である。(1929年 東京都)
優秀賞山下耕作「夜汽車」「竜馬を斬った男」


“極道”シリーズ、“緋牡丹博徒”シリーズ、最近では「修羅の群れ」等、戦後映画の一大潮流をなす東映任侠映画の旗手として、数々の名作を世に送り出す。今回「夜汽車」「竜馬を斬った男」で初の優秀賞受賞。「人生の裏しか歩けない男と女」を描きたいという監督だが、激しく悲しい男と女の生きざまを見事に描ききっている。(1930年 鹿児島県)
優秀脚本賞
最優秀賞伊丹十三「マルサの女」


脱税を摘発する側から描こうという構想は、始めからたてていたので比較的簡単に書き上げたというが、国税局査察部をはじめ、税務署、税理士、会計士、会社経営者、銀行関係者、不動産業者、経済ヤクザ……等々、相当な時間とエネルギーを使っての徹底した取材結果がリアルなストーリーを生み出している。いつもながら、緻密な人間描写、自然なセリフ回しは絶妙である。(1933年 京都府)
優秀賞大森一樹「恋する女たち」「トットチャンネル」


京都府立医科大学卒業で、医師免許も持つ異色の監督だが、学生時代より実力を認められてメジャー・デビュー。今回「恋する女たち」「トットチャンネル」で初の受賞。誰もが通り過ぎる青春期から大人への移り変わりを瑞々しいタッチで描き、若者の群像をとらえるその新鮮な感覚は、日本映画界でも貴重な存在であり、脚本家としても、その実力を大いに発揮している。(1952年 兵庫県)
優秀賞金子正次/塙五郎「ちょうちん」


「ちょうちん」は、「竜二」で衝撃的にデビュー、その公開直後33歳の若さで急逝した金子正次の書き残された5篇のシナリオのうち最後の作品で、いわば金子の遺言とも言えよう。それを、TV「特捜最前線」等を手掛けている脚本家、塙五郎が手際よくまとめあげている。熱い想いが込み上げてくる作品である。(1949年 愛媛県)(1938年 東京都)
優秀賞新藤兼人「ハチ公物語」


「竹山ひとり旅」「事件」「絞殺」「配達されない三通の手紙」と、第1回から3年連続の優秀賞受賞。「事件」では最優秀脚本賞にも輝いた大ベテランである。これまで手掛けた脚本は200本以上に及び、監督作品も41本を数え、「人間に対する信頼と愛」を一貫したテーマとする製作コンセプトには定評がある。今回も、人間と動物の愛と信頼関係を見事に描いている。(1912年 広島県)
優秀賞那須真知子「別れぬ理由」


「早春物語」「新宿純愛物語」、そして夫君・那須博之監督とコンビを組んだ「ビー・バップ・ハイスクール」シリーズ等、現代の若者の思考、行動を的確に捉えた青春物から、「別れぬ理由」のような大人の愛憎ドラマに到るまで様々なテーマを新鮮なタッチで描いている。今回が一番難しかったとの弁だが、今、乗りに乗っている女流シナリオライターに、大きな期待が集まっている。(1952年 福島県)
優秀主演男優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞山﨑努「マルサの女」


「マルサの女」の「金銭欲のかたまりで女好き」という巨億の脱税者、権堂英樹というキャラクターを、さすが彼ならではの演技で熱演。1980年「夜叉ヶ池」で助演男優賞、1985年、今回と同じく伊丹監督作品「お葬式」と「さらば箱舟」で最優秀主演男優賞を受賞している。その精悍なマスクとは裏腹な、男の弱さ、愚かさをも表現できる、味のある役者だ。(千葉県出身)
優秀賞緒形拳「女衒」


昨年、話題を呼んだ「火宅の人」での最優秀賞受賞が記憶に新しいが、この人の才能とエネルギーは底知れぬものらしい。今回の女性を売買する“女衒”、村岡伊平治も実在の人物であるが、悪党だが何故か憎めない、明治男の波乱万丈の生きざまを精力的に演じている。名実共に、日本映画の顔といえる活躍を示している。(東京都出身)
優秀賞陣内孝則「ちょうちん」


1980年ロックグループ「ロッカーズ」結成、1982年解散後は、歌に芝居にとソロ活動を始める。1986年4月からTVドラマ「ライス・カレー」に出演、味のある演技で話題を集める。其の後の役者活動には眼を見張るものがあり、今回、映画初主演で「彼がいなければ、この企画は具体化できなかった。」とまでスタッフに言わしめたほどのはまり役。若手俳優中、最大の成長株だ。(福岡県出身)
優秀賞津川雅彦「別れぬ理由」


昭和31年、日活「狂った果実」で颯爽とデビュー。以後、甘い二枚目として数々のドラマ等に出演している。今回、「マルサの女」と「夜汽車」により、助演男優賞も併せて受賞。又、舞台も年に一度のペースで脚本、演出を手掛け、マルチ的な才能を発揮している。「別れぬ理由」の主人公のように中年男の円熟味と軽みの絶妙なバランスを表現できる、貴重な存在である。(京都府出身)
優秀賞時任三郎「永遠の1/2」「紳士同盟」「ハワイアン・ドリーム」


1983年、TVドラマ「ふぞろいの林檎たち」の好演で注目を集め、1985年の受賞以来、二度目である。「俺は、不器用な役者だから…」と言うが、「永遠の1/2」「紳士同盟」「ハワイアン・ドリーム」で見せたどこにでもいそうな普通の青年から、サギ師、チンピラ、等々…さまざまな役を見事に演じ、その野性味溢れる独特のキャラクターと温かみのある演技で、多くの人を惹付けている。(東京都出身)
優秀主演女優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞宮本信子「マルサの女」


「目つきが鋭く、ずけずけと物を言い、海千山千の男の経営者を相手に一歩も引けをとらぬ反面、意外と女っぽさや可愛気のある女。外見的にはオカッパでチビでブスでソバカスだらけ……。」これが、夫・伊丹監督の注文する「マルサの女」だと言うが、御覧の通りである。1985年「お葬式」でも主演女優賞を受賞しているが、まさに伊丹作品には常に欠くことの出来ない女優である。(北海道出身)
優秀賞斉藤由貴「恋する女たち」「トットチャンネル」


1984年デビュー以来、CF、TVドラマ等で一躍人気アイドルとなり、歌手としてもヒット曲を連発、昨年は舞台でも「レ・ミゼラブル」の主役を演じつつ「恋する女たち」「トットチャンネル」の2本の映画に主演。1987年度の新人俳優賞受賞後の今年、もう主演女優賞に輝くという活躍ぶりである。その瑞々しい演技は一段と魅力を増し、今後も眼が離せない存在である。(神奈川県出身)
優秀賞十朱幸代「極道の妻たちⅡ」「螢川」「夜汽車」


中学在学中、NHK初の連続ドラマ「バス通り裏」でデビュー。以後、順調に大スターの道を歩み続けている。「極道の妻たちⅡ」では、激しく強い、そして優しい極道の妻を、「夜汽車」では哀しい女、「螢川」では母親役と、その芸域の広さを見せている。1984年、「櫂」「花いちもんめ」に続き、二度目の受賞である。(東京都出身)
優秀賞三田佳子「別れぬ理由」


「夫の浮気に気付きながら、そ知らぬフリで自分も不倫、それでも夫と別れられない…。」その美しい容姿で、大人の女の微妙な揺らぎを見事に演じている。 1960年「殺られてたまるか」で映画デビュー。以後、映画、TV、舞台にと活躍を続けている。1986年「Wの悲劇」「春の鐘」により最優秀助演女優賞も受賞している。今、最も輝きを放つ女優として、注目を浴びている。(大阪府出身)
優秀賞吉永小百合「映画女優」


吉永小百合99本記念映画と銘うたれただけに、「映画女優」への期待は大きかったが、女優、田中絹代の16歳から41歳という難しい役どころを見事に演じ、また新たな魅力を引き出している。「動乱」「おはん」「天国の駅」「夢千代日記」と、様々な役に挑戦し続け、1986年以来、4度目の受賞である。今も尚、若者の間に「サユリスト」が激増しているという永遠のスターだ。(東京都出身)
優秀助演男優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞津川雅彦「マルサの女」「夜汽車」


1985年「ひとひらの雪」に続き、二度目の受賞。その端正な顔立ちとナイーブな感性で二枚目役が多かったが、最近は、NHKテレビ小説「澪つくし」の父親役や大河ドラマ「独眼竜政宗」などで人気を博した。「マルサの女」では、国税局査察部の査察官、花村、「夜汽車」では銀行頭取、溝上役で迫力ある演技をみせ、その芸域の広さに、尚一層の活躍が期待される。(京都府出身)
優秀賞小林稔侍「漂流教室」「舞妓物語」「夜汽車」


「漂流教室」「舞妓物語」「夜汽車」での熱演により、初の受賞である。1961年、東映第10期ニューフェイスとして「地獄の波止場」でデビュー。以来、数々の映画に出演しているが、1986年、NHK連続ドラマ「はね駒」の父親役で、一躍全国的人気を集め、その重厚な独特の演技で今、最も期待されている役者の一人である。他に「ちょうちん」等にも出演している。(和歌山県出身)
優秀賞根津甚八「この愛の物語」「吉原炎上」「竜馬を斬った男」


1969年、劇団「状況劇場」に入団、陰影のある二枚目役として大活躍。退団後、TVに映画にと、若手個性派俳優として注目を集める。無類のバイク好きとあって「この愛の物語」ではスタントマンに扮し、さっそうとしたライダーぶりを披露。「吉原炎上」における信輔、「竜馬を斬った男」での坂本竜馬役でも、彼独特の説得力ある演技が光っている。( 山梨県出身)
優秀賞三船敏郎「男はつらいよ 知床慕情」「竹取物語」


1947年「銀嶺の果て」で東宝ニューフェイスとしてデビュー。翌1948年、黒澤明監督の「酔いどれ天使」で華々しい脚光を浴びる。以来、主演作も 100本を越え、数々の賞を受賞している。「竹取物語」では、かぐや姫の父、「男はつらいよ知床慕情」では居酒屋のおかみに想いをよせる獣医役で、今更ではあるが、日本を代表する国際スター「世界の三船」の実力を見せつけている。(中国・青島出身)
優秀賞村上弘明「極道の妻たちⅡ」


大学在学中、「仮面ライダーシリーズ」の主役に抜擢され、デビュー。其の後、TV、映画、舞台にと活躍、クールな二枚目として人気を集めている。今回、ヤクザ役に初挑戦とあって、とまどいもあったと言うが、一本気で真正直、故にうまく生きられない男……木本燎二を熱演。今までの甘いイメージを捨てた演技は、又、新しい男の魅力を引き出している。(岩手県出身)
優秀助演女優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞かたせ梨乃「極道の妻たちⅡ」「吉原炎上」


昨年の「極道の妻たち」に続き、連続して助演女優賞受賞である。モデルを経て、TVドラマでの時代劇、現代劇、双方にわたって活躍してきた。「吉原炎上」での、倖せ薄い女郎、菊川……。「極道の妻たちⅡ」では、おんなであり母であるという難役を、迫力ある演技に加え、揺れ動く女性心理をきめ細かく演じている。最近の急成長ぶりには、目を見張るものがある。(東京都出身)
優秀賞秋吉久美子「夜汽車」


幼い頃、両親に死に別れ、たった一人の姉と14年ぶりに再会したのも束の間、その姉の胸に抱かれて死んでゆく妹、里子……を熱演。デビュー以来、その鮮烈な個性で人気を集め、以後、着実に演技の幅を広げ1978年には、主演女優賞、1983年「誘拐報道」「制覇」「凶弾」「さらば愛しき大地」により助演女優賞を受賞している。日本映画界にとって、欠かせぬ存在となっている。(静岡県出身)
優秀賞淡路恵子「男はつらいよ 知床慕情」


SKDから1949年、黒澤明監督の「野良犬」で映画デビュー、一躍人気スターとなる。結婚を機に、1966年「父子草」を最後に芸能界を引退したが、「男はつらいよ」シリーズの大ファンという事もあり、今回の「知床慕情」が復帰第1作となる。20年ものブランクがあるとは思えない貫禄ある演技はさすがである。今後、益々、脂の乗りきった演技を期待されている。(東京都出身)
優秀賞泉ピン子「次郎物語」


TV、舞台を中心に活躍。NHK「おんな太閤記」「おしん」「いのち」等で体当たりの演技をみせ、着実に女優としての実力をつけてお茶の間の人気を博してきた。本格的映画出演は、今回の「次郎物語」が初めてという事が信じられないほど、次郎の乳母役を、実に味のある演技で好演している。今後も映画界でどんどん活躍して欲しい女優の一人だ。(東京都出身)
優秀賞桜田淳子「イタズ」


1973年「天使も夢みる」で歌手デビュー。その愛くるしい笑顔と歌い方で、一躍人気アイドルとなり、翌年のTVドラマ「つんつくてん」初出演をきっかけに映画、舞台にも数多く出演している。最近では、NHK大河ドラマ「独眼竜政宗」の愛姫役で全国的人気を得、女優としての活躍が目覚ましい。「イタズ」での母親役も押さえた演技で、しっとりとした魅力をだしている。(秋田県出身)
優秀音楽賞
最優秀賞本多俊之「マルサの女」


本格的な映画音楽は、1985年「ひとひらの雪」以来2度目だが、「マルサの女」ではメインテーマに5拍子を使用するなど、彼ならではの鋭い感覚で非常にクオリティの高い作品として好評を博す。現在は、ジャズプレイヤーとしてだけでなく、プロデューサー、作、編曲者としてCMやTVドラマの音楽等も手掛け、日本を代表するアーティストの一人として最も期待されている。(1957年 東京都)
優秀賞三枝成彰「二十四の瞳」「光る女」


東京芸術大学作曲科を卒業後、現代音楽の分野で数々の受賞作品を持つ。最近は、その端正な容姿と都会的センスの良さで若い女性を中心に人気を集め、TVの司会等でも活躍中である。NHK「はね駒」の主題歌等のTV音楽から、今回の「二十四の瞳」「光る女」の他に「魚影の群れ」等の映画音楽も手掛け、今、一番ホットな作曲家として注目されている。(1942年 東京都)
優秀賞佐藤勝「イタズ」「塀の中の懲りない面々」「吉原炎上」


1978年、第1回受賞以来、ナント、今回で9回目の受賞。その内、1980、1981、1984年は最優秀賞に輝やいている。今回も「イタズ」「塀の中の懲りない面々」「吉原炎上」の3作品での受賞。24歳から映画音楽を手掛け、数十年に亘り映画音楽作家としてトップを走り続けてきたが、今後も日本映画の音楽は、この人をなくしては語れないだろう。(1928年 北海道)
優秀賞谷川賢作「映画女優」「竹取物語」


映画音楽としては、昨年の「鹿鳴館」以来市川監督作品に参加、今回の「映画女優」「竹取物語」で初の受賞である。市川監督の「常に冒険的な音を!」の注文に確実に応え、両作品とも斬新で豊かなサウンドは、美しい映像を引立て、観る人に大きな夢を与えている。又、若手ジャズ・キーボーディストとして活躍中で、ジャズ・クラブ等のライブ活動も精力的にこなしている。(1960年 東京都)
優秀賞津島利章「夜汽車」


手掛けた映画音楽は、130本以上にも及ぶが、今回の「夜汽車」は 4、5年ぶりの仕事なので「久しぶりの映画で力まないよう、心掛けた」という津島氏。男女の織りなす激しく悲しい人間模様を、哀愁に満ちた素晴らしいサウンドで、より一層盛り上げている。主な作品に、「仁義なき戦い」シリーズ、「柳生一族の陰謀」「地震列島」等がある。(1936年 岡山県)
優秀撮影賞
最優秀賞姫田真佐久「螢川」


「螢川」では、銀蔵爺さんに連れられ川の上流へと歩き続けた竜夫、英子、千代が、遂に伝説の螢の大群、“螢川”に遭遇するという映画でも一番重要であり、感動的なラストシーンの「ほたる」の撮影に、合成だけで一ヶ月もかかり、最も苦労したという。1980年、1983年には最優秀賞、1981年、 1982年にも優秀賞を受賞している大ベテランならではの見事な映像だった。(1916年 兵庫県)
優秀賞五十畑幸勇「映画女優」


1985年「おはん」で初の優秀賞受賞に続き、今回も市川崑監督の期待に応え、二度目の受賞である。「映画女優」は、「伊豆の踊り子」「愛染かつら」「西鶴一代女」等の名作を再現する為、カラー・フィルムで撮って、白黒に焼き、白・黒の昔の画面で見せるなどの細やかなテクニックで、名場面を見事に再現させている。(1941年 東京都)
優秀賞木村大作「夜汽車」


昨年「火宅の人」で、念願の最優秀撮影賞受賞。大作、話題作を数多く手掛けてきたベテランである。特に、1978年「八甲田山」、1981年「復活の日」で見せた、独自の文体ともいうべき圧倒的な自然描写の凄味は、高く評価されている。今回も「夜汽車」においてベテラン山下監督久々の文芸作品に参加。宮尾文学ならではの劇的醍醐味を独特の熱い情感でスクリーンに漲らせている。(1939年 東京都)
優秀賞小林節雄「竹取物語」


1986年「ビルマの竪琴」、昨年の「鹿鳴館」今回の「竹取物語」と、市川崑監督作品により3年連続の優秀賞受賞で、1980年にも「あゝ野麦峠」で受賞している。「竹取物語」は、かぐや姫の数奇な誕生から始まって、満月の夜、月の世界へ戻ってゆくという日本人なら誰もが知っている簡潔な内容だが、それを透徹した美しい映像として仕上げている。(1920年 静岡県)
優秀賞前田米造「マルサの女」


1985年「お葬式」、1986年「それから」「CHECKERS in TAN TANたぬき」での連続受賞以来、3度目の受賞。若手監督、新鋭監督に絶大なる信頼を寄せられている最近の仕事ぶりには目を見張るものがある。「マルサの女」のラストシーンでは、スタッフも役者も寒さで震えあがりながらの撮影だったらしいが、いつもながら、緻密に撮りあげている。(1935年 東京都)
優秀照明賞
最優秀賞島田忠昭「螢川」


1982年、最優秀照明賞を受賞した「泥の河」では、白黒、スタンダードサイズの画面で、見事な腕前を披露してくれたが、今回の「螢川」でも、山の中の夜間ロケの為、 山奥まで機材を運んでの撮影で苦労したらしいが、クライマックスの“ほたる” のシーンなどは、その成果を充分に発揮し、淡く、やわらかい幻想的雰囲気をだしている。(1937年 東京都)
優秀賞斉藤薫「映画女優」


これまでは、市川崑監督の作品の助手をしていて、今回の「映画女優」が初めての本格的作品というとでかなり緊張したらしいが、光量の少ないスタジオでのやわらかい微妙な光などが、実にうまくでている。先輩諸氏のこれまでのやり方をそのまま使ったのではおもしろくないので、どう違いを出すかに専念したという。長い現場での体験と、持ち味が見事に開花したといえるだろう。(1939年 東京都)
優秀賞増田悦章「夜汽車」


昨年「火宅の人」で、その見事な腕前を披露したのが記憶に新しいが、1983年「鬼龍院花子の生涯」1986年「櫂」でも受賞。1984年「陽暉楼」「伊賀忍法帖」では、最優秀賞も受賞している。今回は、山下耕作監督と組み、哀愁に満ちた“夜汽車”のシーンから、姉、露子が指をつめる衝撃シーンに至るまで、その豊かな経験に裏付けられたライティングが、映像に深みを与えた。(1931年 京都府)
優秀賞下村一夫「竹取物語」


1980年「あゝ野麦峠」、1986年「ビルマの竪琴」昨年の「鹿鳴館」に続き4度目の受賞。今回も、市川崑監督にその腕をかわれての「竹取物語」であるが、照明一筋40数年という大ベテラン、さすがに見事な仕上がりである。この人の、長年に亘る照明技術の成果が、壮大な美しい映像の完成に結びつけたと言っても過言ではないだろう。(1921年 神奈川県)
優秀賞桂昭夫「マルサの女」


CM界から、伊丹十三監督の「マルサの女」で、今回初めて映画照明を手掛け、もちろん初の照明賞受賞である。目まぐるしく変わるシーンに合わせた色のコーディネートは素晴らしく、ワンカットごとに、光と影のコントラストを醸し出している。視光線は大胆に、補助光線は繊細に出したという。今後の映画界での活躍が期待される。(1938年 東京都)
優秀美術賞
最優秀賞村木忍「映画女優」「竹取物語」


過去の受賞作、1984年「細雪」1985年「おはん」1986年「乱」昨年、最優秀賞に輝いた、「鹿鳴館」、今回の「映画女優」「竹取物語」と、すべて日本映画の巨匠とのコンビである。その作品歴からも分かるように、特に市川監督の絶大なる信頼関係と作品に恵まれた活躍は、彼女の磨き上げられた技術と繊細な美的感覚から生まれた重厚な雰囲気の持ち味を充分生かし、絶妙な効果を上げている。(1923年 東京都)
優秀賞井川徳道「夜汽車」


今回の「夜汽車」は、宮尾作品お馴染みの高知という土地と時代背景、そしてタイトルにある蒸気機関車と客車を復元するという困難な作業を監督の期待通りに再現。又、ワンカット、ワンカットのシーンが多い為セット数も多く、ばらけていて集中作業ができず、シーン毎のバランスを考えるのに苦労したというが、結果は見事にベテランの凄腕を見せている。(1929年 京都府)
優秀賞金田克美「次郎物語」「BU・SU」


大森一樹・吉川晃司コンビ3部作等、現代若者文化のセットには定評があり、今回の「BU・SU」でも大いにその力を発揮している。又、大正時代の地方を舞台にした「次郎物語」の評価も高く、特に小道具1つにも気を配った旧家の超豪華セットはまるで本物を使用した様な錯覚すら覚える。「多くのスタッフのおかげです」と語る彼の活躍が今回の初受賞でますます期待される。(1958年 栃木県)
優秀賞中村州志「マルサの女」「名門!多古西応援団」


「マルサの女」「名門!多古西応援団」で、1985年「天国の駅」「麻雀放浪記」以来、二度目の受賞。「マルサの女」では、これまでにステージセットが多く、ロケセットに慣れていなかったが、伊丹監督の信頼が厚く、非常にやりやすく、苦労と言えば廃屋をピカピカの事務所に見たてたりするぐらいだったという。「名門!多古西応援団」も、完成度の高い見事な仕上がりだ。(1927年 東京都)
優秀賞西岡善信「ハチ公物語」「吉原炎上」「竜馬を斬った男」


時代物を多く手掛け、定評のある彼ならではの今回の仕事ぶりである。「ハチ公物語」の昭和初期の渋谷駅の完全再現、「吉原炎上」における明治末期の吉原遊廓といった時代考証が困難な作業に対し見事に応え、作品の中でも重要な部分を占めた。また「竜馬を斬った男」の幕末の京都など彼が作り出す様式美の世界は、いつもながら完成度の高いものがある。(1921年 奈良県)
優秀録音賞
最優秀賞小野寺修「ハワイアン・ドリーム」「マルサの女」「メイク・アップ」


「ハワイアン・ドリーム」では、現地スタッフを使っての作業ということで非常に苦労したとのこと。1970年日活入社以来、若手監督との作品を中心にした活躍ぶりは今回3度日の受賞ということでもうかがえる。「マルサの女」、「メイク・アップ」でも、その手慣れたチームワークでスムーズに仕事が進んだという。今後もその鋭い感性から生まれたサウンドは期待される。(1949年 宮城県)
優秀賞斉藤禎一/大橋鉄矢「竹取物語」


1986年以来、2度目の受賞となる斉藤氏。1984年、1987年に続き、3度目の受賞の大橋氏である。二人とも市川監督との仕事は長く、確かな技術で厚い信頼を受けている。今回の「竹取物語」も、監督の期待に応え、映像とマッチした壮大なイメージの音に仕上がっている。若い感性の斉藤氏と繊細な音作りの大橋氏の結晶である。(1941年 千葉県)(1927年 群馬県)
優秀賞平井清重「夜汽車」「吉原炎上」


今回の対象作品は、「夜汽車」「吉原炎上」。静と動の見事なコントラストと、リアルな音作りで、映像に圧倒的な緊迫感を与えている。近年における五社監督作品での行き届いた仕事ぶりでも知られるように、彼ならではの音に対する感性は、これらの作品になくてはならない存在となっており、その確かな技術には定評がある。1983年1984年1985年に続き、4度目の受賞。(1941年 滋賀県)
優秀賞紅谷愃一「女衒」「ハチ公物語」


ドキュメンタリータッチの迫力あるシーンにリアルな音を作り上げることに定評のあるこの人が「楢山節考」に引き続き組んだ今村監督作品「女衒」と、話題作「ハチ公物語」で今回7度目の受賞。さすがベテランらしい仕事ぶりで、監督の意図する音作りに見事に応える形となった。様々な場面に登場する鋭くリアルな臨場感のあるサウンドは、独自の世界を形成している。(1931年 京都府)
優秀賞本田孜「イタズ」「刑事物語5 やまびこの詩」「星の牧場」


「イタズ」「刑事物語5/やまびこの詩」「星の牧場」で初の優秀賞受賞。やはり、秋田の山奥で一年間の長期ロケとあって、「イタズ」が最も苦労したらしい。子熊の声作りから、川の音、鳥の声、吹雪の音などは、秋田の特色がでる様、現地録音のものを用いたりと、キメ細かい作業の成果があらわれている。過去に「パンツの穴」「熱海殺人事件」などの作品がある。(1942年 長崎県)
優秀編集賞
最優秀賞鈴木晄「永遠の1/2」「光る女」「マルサの女」


1986年、特別賞として編集賞を受賞している。主な作品に、「お葬式」「たんぽぽ」「人間の約束」「それから」「植村直己物語」などがある。「マルサの女」では、ワンシーンで真ん中のシーンをスッポリとってしまったりと、素人目には分からない難しい技を使い、リズムを大切に編集したという。「永遠の 1/2」「光る女」でも、見事なテクニックぶりを見せている。(1928年 大阪府)
優秀賞市田勇「極道の妻たちⅡ」「吉原炎上」「竜馬を斬った男」


これまでの主な作品は、「空海」「鬼龍院花子の生涯」「魔界転生」「蒲田行進曲」と、名作、話題作が多い。「吉原炎上」では、火事のラストシーンのフィルムが少ないので、それを如何に多く見せるかに苦労したというが、見事な“炎上” ぶりであった。「極道の妻たちⅡ」「竜馬を斬った男」でも、巧みな編集技術でバランスよく仕上げている。(1932年 京都府)
優秀賞長田千鶴子「映画女優」「竹取物語」


壮大なシーンが見せ場の「竹取物語」だけに、宇宙船の上昇していくシーンが一番苦労したというが、それだけに、やはり素晴らしい仕上がりである。SFXスタッフと普通のスタッフとのコミュニケーションを計りながらの進行も難しかったらしい。又、「映画女優」も同じく市川崑監督だが、不幸にも撮影中にお母様を亡くされ、一生忘れ得ぬ作品になったという。(1942年 福岡県)
優秀賞玉木濬夫「恐怖のヤッちゃん」「夜汽車」


「監督をはじめスタッフが皆若いので、その若さについていくのが大変でした。」とは、あの「恐怖のヤッちゃん」撮影後の玉木氏の弁だが、恋に笑いにアクションと、めまぐるしいシーンを実にうまくまとめ上げている。「夜汽車」では、ロサンゼルスでの飛行シーンを高知での空中アクロバットショーに合成するのが苦労したという。主な作品に、「夢千代日記」などがある。(1939年 愛媛県)
優秀賞鍋島惇「イタズ」「次郎物語」「螢川」


“ほたる”のシーンの編集だけで半年もかかったという「螢川」の須川監督とは初仕事。TV出身の森川監督とも「次郎物語」で初顔合わせで、そのアメリカ風の撮影には勉強させてもらったとの弁。「イタズ」は、オールシーズンの長丁場で、やはり苦労したらしい。「人間の証明」「野性の証明」「あゝ野麦峠」など、これまでの作品からもその編集技術の確かさが伺える。(1936年 東京都)
優秀外国作品賞
最優秀賞プラトーン


1960年代、アメリカがアジアで敢行した10余年に及ぶドロ沼のような戦闘。全世界の非難と、そして何よりも国内世論によって撤退を余儀無くされたベトナム戦争……。監督のオリバー・ストーンは、自らベトナム戦争の体験者で、その“狂気の悲劇”を大衆に公表しなければという義務感からこの作品を発表したという。その真実の眼に「プラトーン現象」が巻きおこった。(ワーナー)
優秀賞アンタッチャブル


禁酒法の下、影でアメリカを支配し、力こそ正義と信じる男、アル・カポネ。大いなる理想に燃え、愛する人々のため巨悪に挑む男、エリオット・ネスがいた。1930年代のアメリカを舞台に、永遠に語り継がれるであろう二人の男にスポットをあて、血と涙と愛が織りなす凄絶なバイオレンスの中に、悲壮な男のロマンチシズムを見事に謳い上げていく。(UIP)
優秀賞スタンド・バイ・ミー


成人して人気作家となった主人公の回想で綴られるこのドラマは、失われた少年期のノスタルジーとともに、誰もが経験したであろう少年期の友情、それへの訣別の姿を情感豊かに描いた傑作である。原作はホラー小説の第一人者、スティーブン・キング、監督は新鋭ロブ・ライナー。主演の少年たちの個性と自然体の演技が、この作品の大きな魅力である。(コロムビア)
優秀賞トップガン


アメリカ、サンディエゴの海軍航空隊基地を舞台に、世界最高のパイロットを養成するエリート学校と、別名“トップガン”と呼ばれる訓練生たちの、愛と青春のすべてをかけて大空に飛び立つ姿を描いている。最新鋭のジェット戦闘機や攻撃機が、高度3万フィートの上空で繰り広げるダイナミックなスカイアクションも見ものである。(UIP)
優秀賞ハンナとその姉妹


一見無為に見える人生なのに、人間はなぜ生に執着するのだろうか?また、同じ家の中で不倫な関係を結びたくなったらどうなるのか――という二つの長年興味を持ってきたテーマを、ウッディ・アレンが例によって彼自身の脚本と監督により、見事なコメディに昇華している。様々なメンタリティをミックスさせたユーモアは、アメリカでも称賛された。(ワーナー)
新人俳優賞
優秀賞高嶋政宏「トットチャンネル」「BU・SU」


大森一樹監督作品「トットチャンネル」で斉藤由貴の相手役としてデビュー。その後「BU・SU」の「邦彦」役を好演している。高島忠夫、寿美花代夫妻の長男というだけに演技力もさることながら、甘さと精悍さをそなえたマスクとスポーツ万能の肉体にスケールの大きさを感じさせる。将来は外国作品にも出演したいという次代を担う若手のホープ。(東京都出身)
優秀賞森山潤久「親鸞 白い道」


「イカルガの祭り」(本多劇場)他、主に舞台俳優として活躍してきたが、三國連太郎監督作品「親鸞白い道」の主役に、約1,600名の中から抜擢される。他に、「塀の中の懲りない面々」「塀の中のプレイボール」にも出演、TVにも進出している。舞台出身だけに、その新人とは思えない落ち着いた演技で、今後の映画界での活躍が楽しみな、実力派である。(東京都出身)
優秀賞渡辺正行「ちょうちん」


「コント赤信号」のリーダーとしてTV、ラジオ、CFで活躍中。過密スケジュールの中、自ら志願した「ちょうちん」では、陣内孝則扮する千秋を裏切る弟分「幸三」役を熱演。普段のひょうきんな要素を一切排除した役作りと演技は、本格的な俳優として新境地を切り拓き今後の活躍が大いに期待できそうである。(千葉県出身)
優秀賞秋吉満ちる「光る女」


ヒロイン探しに8ヶ月もかかったという「光る女」だが、相米監督がやっとの思いで見つけてきたのが彼女である。オペラ歌手“芳乃”を期待通り、見事に演じている。ロスでOLをしながら歌の勉強をしていたと言うが、今後は日本で、歌に映画に活躍したいという。母は世界的ジャズピアニストの秋吉敏子。これからも、その溢れる才能から、目が離せないようだ。(東京都出身)
優秀賞小高恵美「竹取物語」


クラシックバレエ、エレクトーンが特技という彼女は、現在、中学3年生という若さだが、そのあどけなさの中にも、芯の強さをうかがわせる演技で注目を集めている。第2回東宝シンデレラ・ガールとして、36,116名の中から選ばれての芸能界入りだが、映画初出演が市川崑監督の「竹取物語」という、文字通りのシンデレラ・ガールである。今後の活躍が楽しみだ。(東京都出身)
優秀賞南野陽子「スケバン刑事」


人気マンガ「スケバン刑事」の映画化で主人公「麻宮サキ」を好演。原作の和田慎二氏も「彼女の重厚な存在感は、あの若さで立派なものだ。」と、彼女の演じる麻宮サキに大満足といったところだ。連日のアクションシーンで、スリ傷だらけになりながらも、泣き言ひとつ言わなかったという粘り強さもある。歌手としても活躍中だが、今後の演技に注目したい。(兵庫県出身)
特別賞特殊技術賞
優秀賞特技監督中野昭慶をはじめとする「首都消失」「竹取物語」の特殊技術スタッフ中野昭慶(特技監督) 「首都消失」「竹取物語」


日本の特殊技術を世界のレベルにと、日夜研鑚を続けているスタッフが、上記両作品に於いて種々の試みに挑みSFの興味を一段と高めた功績が評価された。
優秀賞江口憲一(撮 影)「首都消失」「竹取物語」


  
優秀賞三上鴻平(照 明)「竹取物語」


 
優秀賞白川弘(照 明) 「首都消失」


 
優秀賞井上泰幸(美 術) 「首都消失」「竹取物語」


 
優秀賞宮西武史(合 成) 「首都消失」「竹取物語」


 
優秀賞三瓶一信(合 成) 「首都消失」「竹取物語」


 
優秀賞浅田英一(助監督) 「首都消失」「竹取物語」


 
会長特別賞
優秀賞石原裕次郎


優秀賞鶴田浩二


話題賞

作品部門:「ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎行進曲」


俳優部門:原田知世「私をスキーに連れてって」