市丸 洋 (イチマル ヒロシ)【装飾・小道具】
映画に登場する生活用品や家具什器、備品陳列品など環境表現の全ての小道具、そして登場人物の身分、生活、職業、趣味などを表わす持道具を扱う市丸氏は、この分野の第一人者として活躍されてきた。フリーランスを経て、74年、東宝美術(現在の東宝映像美術)に入社後、市川崑監督作品「吾輩は猫である」(75)「犬神家の一族」(76)「四十七人の刺客」(94)や「天平の甍」(80)「居酒屋兆治」(83)「海へ~See you~」(88)「あなたへ」(12)などバラエティに富んだ多数の撮影現場に参加。登場人物の印象的なキャラクターづくりに貢献する。キャリアの後半には東宝映像美術、装飾部門の責任者として8万点に及ぶ装飾品、小道具を管理した。長年の撮影で蓄積されてきた品々を新たな作品で再活用させることにも尽力し、後進のスタッフ育成にも力を注いだ。
河東 努(カワヒガシ ツトム)【ドルビーサウンドコンサルタント】
1992年にコンチネンタル ファーイースト社のドルビーフィルム製作部に入社。先任者の森幹生氏と共にDolby Laboratories Inc.認定のドルビーサウンドコンサルタントとして30年以上にわたり実写・アニメを問わず1000本以上の邦画作品の音響制作に関わる。現在はフリーランスとなり、日本で唯一のドルビーサウンドコンサルタントとしてDolby Japanと技術提携して活動中。その仕事は多岐にわたるが、映画制作者の意図した音響演出が映画館の観客に適切に伝わるための技術サポートを信条として、Dolby DigitalやDolby AtmosなどDolbyの映画音響フォーマット採用作品のマスタリング、ダビングステージや映画館の音響特性の維持管理への協力、その他新旧の映画音響技術のコンサルタントとして、日本の映画産業に貢献している。
百瀬達夫(モモセ タツオ)【塗装・エイジング】
セツ・モードセミナー卒業後に吉田美術に入社。東宝映像美術の塗装部に出向となり以降、塗装という仕事の道に入る。1999年にブラシ株式会社を創業し、代表取締役を務める。オープンセットからロケセットまで様々な現場の美術セットにおいて、塗装やエイジングを行っている。脚本を読み込み、美術セットに劇中舞台の時代に沿った建物に見えるよう自然な経年劣化を表現したり、作品の世界観にあった汚しを施し、作品にリアリティを生む仕事ぶりが多くの監督や美術監督から信頼を集めている。主な参加作品に、「顔」(00)「阿弥陀堂だより」(02)「悪人」(10)「舟を編む」(13)「バンクーバーの朝日」(14)「バクマン。」(15)「十一人の賊軍」「正体」(24)など。
森 賢正(モリ ケンセイ)【ラインプロデューサー】
撮影現場での責任者であるラインプロデューサーは現場での撮影が支障なく円滑かつ高率良く進行するよう監督の演出プランに応じて、技術パートとの共同作業でロケ地及び、その候補地の気象条件、交通状況など緻密な調査を行い検討する映画の要となる存在である。その第一線で永年日本映画界を支えてきた森氏は大学卒業後、映画の仕事を希望して近代映協に入り、制作進行としてキャリアをスタート。今はラインプロデューサーとして高いスキルと経験により確かな判断力を発揮している。代表作に「ザ・マジックアワー」(08)「任侠ヘルパー」(12)「進撃の巨人ATTACK ON TITAN」(15)「マスカレード・ホテル」(19)「シン・ウルトラマン」(22)「スオミの話をしよう」(24)などがある。
※映画製作の現場を支える種々の職能に従事する、正賞以外のスタッフの栄誉を讃える賞
※運営・実行委員によって構成される選考委員の合議により選考されます