第25回日本アカデミー賞優秀作品一覧に戻る
日時: 2002(平成14)年3月8日(金)
場所: 新高輪プリンスホテル 国際館パミール
司会: 関口宏/吉永小百合

優秀作品賞
最優秀賞/優秀賞
(C)2001 二馬力・TGNDDTM

最優秀作品賞 「千と千尋の神隠し」


観客動員数、興行収入ともに日本新記録を打ち立てた宮崎駿原作・脚本・監督のアニメーション作品。いつの間にか迷い込んだ不思議の町で名前を奪われ日本に棲む神々が通う湯屋で働かされる10歳の少女・千尋の冒険を通じ、自信をなくした現代日本人にもう一度自ら生きる力を取り戻し、未来に立ち向かう勇気を与える。(徳間書店・スタジオジブリ・日本テレビ放送網・電通・ディズニー・東北新社・三菱商事)

優秀作品賞 「ウォーターボーイズ」


テレビニュースでも取り上げられた埼玉県立川越高校水泳部の文化祭限定人気演目シンクロパフォーマンスから大きなインスピレーションを得て、学園祭でのシンクロ発表という難問を抱えこんだ男子高校生の切なくもおかしい夏休みの奮闘ぶりを描く。笑えて、感動して、元気になる新しい形の青春映画の傑作。(フジテレビジョン=アルタミラピクチャーズ=東宝=電通)

優秀作品賞 「GO」


発売と同時に若い読者や各方面から絶賛を浴びた直木賞受賞小説「GO」の映画化。日本の普通高校に通う在日韓国人の恋愛と日々の生活を通じ、家族、友人、恋人、国籍、差別、自由など、全ての人への普遍的な問いかけを、テンポ良くスピード感溢れる映像で描く痛快青春恋愛映画の快心作。観る者に明るく爽やかな印象と問題意識を残す。(「GO」製作委員会)

優秀作品賞 「千年の恋 ひかる源氏物語」


日本文学が世界に誇る「源氏物語」を紫式部が執筆し始めてからちょうど昨年で千年。紫式部を主人公に据える斬新な視点から大胆に再構築し、映像化した壮大な歴史恋愛絵巻。豪華キャスト・スタッフが、かつて誰も見たことのない幻想世界を描き出す。光源氏と紫式部=夢とうつつの二つのストーリーが絡み合い、荘厳なスケールで織りなす超大作。(「千年の恋」プロジェクト委員会)

優秀作品賞 「ホタル」


鹿児島の果てで、激動の時代の傷跡を背負って静かに暮らす夫婦。余命いくばくもない妻を力強く支えて生きる特攻隊の生き残りの夫。美しい日本の四季の移ろいを交えて、心に傷を負った二人の出会いと運命をやさしい眼差しで、丁寧かつ重厚に描き出す感動巨編。ひたむきに前へ進もうとする夫婦の姿は、全ての人々に深い共感と感動、勇気を与える。(「ホタル」製作委員会)
優秀監督賞
最優秀賞行定勲「GO」


岩井俊二監督の多数の作品で助監督を務め、昨年度の釜山国際映画祭・国際批評家連盟賞を受賞した「ひまわり」や「閉じる日」での、独特な視点と繊細な映像感覚で、現代という時代を巧みに浮き彫りにしてきた。高い演出力とエンタテイメント精神、優れたバランス感覚を持つ新進の監督としてミニシアター系では既に注目を集めていた。今回「GO」で優秀監督賞初受賞。(1968年 熊本県)
優秀賞滝田洋二郎「陰陽師」


「コミック雑誌なんかいらない!」でニューヨーク映画祭で絶賛され、以降「木村家の人々」「秘密」等、卓越した演出センスと見事なストーリーテリングで日本映画界を代表する演出家として話題作を発表し続けている。「陰陽師」では、初めてCGを多用したアクション時代劇に挑戦。平安京の陰と陽、光と闇が融合した不思議な世界を見事に描き出した。(1955年 富山県)
優秀賞降旗康男「ホタル」


一昨年に最優秀監督賞を受賞した「鉄道員(ぽっぽや)」を含め、今回の「ホタル」で5度目の受賞。鹿児島の南の果てで、お互いに癒しきれない過去を背負い、荒波に漂う一艘の小船のように、時代に翻弄されながらも、ひたむきに生きる夫婦の姿を情景豊かに描き上げる。時代を越えて伝えなければならない想いを、壮大なエンディングとともにフィルムに焼き付ける。(1934年 長野県)
優秀賞三谷幸喜「みんなのいえ」


初監督作品「ラヂオの時間」より4年振り2度目の優秀監督賞受賞。今回の「みんなのいえ」は監督自身の新居建築時の体験をベースに映画化。念願の新居建設を考える夫婦が巻き込まれる騒動を、独特のお笑いの視点で、おもしろおかしくかつ人情味豊かに描き、上質なコメディに仕上げた。次回作では、どんな笑いを観客に提供してくれるのか、期待度の高い監督である。(1961年 東京都)
優秀賞矢口史靖「ウォーターボーイズ」


大学在学中に自主製作した「雨女」がPFFアワード'90でグランプリを受賞。その後、「裸足のピクニック」で劇場監督デビューを飾り、今回「ウォーターボーイズ」で優秀監督賞初受賞。男のシンクロというユニークな題材を、文句なしに笑え、感動できる爽やかで、キュートな青春映画に仕上げた。今後も新時代にふさわしい斬新な作品が期待される新進気鋭監督の一人。(1967年 神奈川県)
優秀脚本賞
最優秀賞宮藤官九郎「GO」


劇団「大人計画」に所属し、作家、演出家、俳優として活躍。また、テレビドラマ「池袋ウエストゲートパーク」「ロケット・ボーイ」等の脚本を手掛け、ユーモア溢れるリアルなセリフとスタイリッシュなストーリー構成に定評がある。「GO」では、在日韓国人青年を主人公に、在日や差別などの重いテーマを扱いながら、軽やかで後味の良い青春映画にまとめる。優秀脚本賞初受賞。(1970年 宮城県)
優秀賞竹山洋/降旗康男「ホタル」


特攻隊をテーマに、戦後を懸命に生きた夫婦の人生と愛情を軸にして、いのちを精一杯生きるという事を問いかける完全オリジナルストーリー。今回の「ホタル」で、竹山洋は95年「四十七人の刺客」以来、降旗康男は最優秀脚本賞を受賞した一昨年の「鉄道員(ぽっぽや)」以来ともに2度目の受賞。(1946年 埼玉県)(1934年 長野県)
優秀賞早坂暁「千年の恋 ひかる源氏物語」


日本人が世界に誇る古典であり、時代を超えて愛されてきた“源氏物語”を現代的な解釈で映画化。紫式部が“源氏物語”を書く現実世界と、光源氏が恋愛遍歴を繰り返す虚構世界を重ね合わせながら進行する新しいアプローチで“雅”という言葉に代表される平安文化の美しさを描く。96年「きけ、わだつみの声」以来、今回の「千年の恋 ひかる源氏物語」で3度目の受賞。(1929年 愛媛県)
優秀賞三谷幸喜「みんなのいえ」


「古畑任三郎」「オケピ!」など、数多くの舞台やテレビドラマの脚本家として活躍。優秀脚本賞は前作の「ラヂオの時間」に続き、2度目の受賞。「みんなのいえ」は、自身の新居建設の際に体験したことをアイデアの源にし、誰もが実際に関わりうる「家作り」をテーマに、その個性豊かな視点から一級のエンタテイメント・コメディに仕上げられている。(1961年 東京都)
優秀賞矢口史靖「ウォーターボーイズ」


ふとしたことから学園祭でシンクロを発表する約束をしてしまった平凡な男子高校生たちのひと夏の物語。若い感性で、笑いと感動にあふれる新時代のエンタテイメント作品として書き上げた。ひたすらズッコケて爆笑を誘う前半部と見応えあるシンクロ演技のラストシーンを鮮やかに対比させ、観客に爽やかな感動の余韻を残す。優秀脚本賞初受賞。(1967年 神奈川県)
優秀主演男優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞窪塚洋介「GO」


デビュー以来、次々と話題のテレビドラマに出演し、注目を集める。「溺れる魚」で映画初主演を飾った後に公開された「GO」で優秀主演男優賞及び新人俳優賞のダブル受賞に輝く。両親、親友、恋人との触れあいの中から、何ものにもとらわれない、新しい価値観に目覚める在日韓国人高校生をスマートに演じた。今後も既に次々と話題の公開作品が控えている。(神奈川県出身)
優秀賞竹野内豊「冷静と情熱のあいだ」


94年のテレビドラマ「ボクの就職」でデビュー。以後「星の金貨」「ロングバケーション」「ビーチボーイズ」等、人気テレビドラマで活躍し、若い女性に絶大な人気を誇る。今回の「冷静と情熱のあいだ」が映画初出演・初主演で優秀主演男優賞初受賞。10年間一人の女性を想い続けるストイックでナイーブな美術絵画修復士を志す青年を等身大に演じた。(東京都出身)
優秀賞妻夫木聡「ウォーターボーイズ」


300万人が参加したオーディションマシーン“スタアオーディション”でグランプリ受賞。その後、「池袋ウエストゲートパーク」「カバチタレ!」等で好演、注目を浴びる。今回男のシンクロをテーマに、高校男子生徒たちのひと夏の青春物語を描いた「ウォーターボーイズ」の主人公を演じ、新人俳優賞と優秀主演男優賞をダブル受賞。爽やかな笑顔と感動を残した。(福岡県出身)
優秀賞野村萬斎「陰陽師」


97年NHKの朝の連続ドラマ「あぐり」で望月エイスケ役を好演、数々の賞を受賞。映画出演は、85年「乱」以来で、今回の「陰陽師」が初主演作となる。伝統芸能・狂言で培った賜物を最大限に生かし、誰もが想像し得なかった大きなスケールで、陰陽道を完璧に使いこなす平安時代最強の大陰陽師・安倍晴明を演じた。優秀主演男優賞と新人俳優賞のダブル受賞を飾る。(東京都出身)
優秀賞役所広司「赤い橋の下のぬるい水」


今や日本映画界に欠くことのできない重要な位置を占め、海外でも最も注目される俳優である。今回の「赤い橋の下のぬるい水」でなんと6年連続の優秀主演男優賞受賞。人生に自信を失った男が、能登半島の漁港町に流れ着き、ある秘密を持つ女性と出会い、溺れ、そして再生していく。洒落の効いたエロチック・メルヘンの主役をおおらかに明るく演じた。(長崎県出身)
優秀主演女優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞岸惠子「かあちゃん」


市川崑監督の名パートナーと称され、今回の「かあちゃん」が実に8本目の出演作品となる。この作品の持つ現代性、あたたかさに共鳴し、10年振りの主演作が実現した。飢饉に喘ぐ天保末期の貧乏長屋を舞台に、いつの時代も日本を支えてきた永遠なる母を演じ、映画全体にふっくらとした豊かさを醸し出す。主演女優賞は78年の「悪魔の手毬唄」以来2度目の受賞。(神奈川県出身)
優秀賞小泉今日子「風花」


相米慎二監督の遺作となった「風花」で、性格も生活も旅の目的も全く異なる謹慎中のキャリア官僚とともに、五年振りに故郷・北海道に残した一人娘に会いに行く風俗嬢役を熱演。淋しさ、悲しさ、たくましさ、明るさなど数え切れないほどの感情を持つ都会に暮らす女性の複雑な心境を見事なまでに表現し、本格映画女優への第一歩を踏み出す。(神奈川県出身)
優秀賞田中裕子「ホタル」


83年「ザ・レイプ」、84年「天城越え」他以来、今回の「ホタル」で3度目の優秀主演女優賞受賞。腎臓を患い、夫に支えられながら静かに生きる妻を好演。死を覚悟し、夫とともに許嫁であった朝鮮国籍の特攻兵の遺言を伝えに、故郷・韓国へ向かい、人生の最後を飾る。今の穏やかな姿から想像もできない過酷な人生を歩んだ女性の心の葛藤、夫への愛を細やかに表現した。(大阪府出身)
優秀賞安田成美「大河の一滴」


84年の映画デビュー以降、数多くの映画に出演。88年「バカヤロー!」「マリリンに逢いたい」で優秀主演女優賞受賞以来、今回の「大河の一滴」で2度目の受賞。死に直面する父親、幼馴染みの男性、想いを寄せるロシア人青年の間で揺れる微妙な女心を素直に明るく演じた。結婚・出産を経て、より豊かになった表現力に今後の活躍が期待される。(東京都出身)
優秀賞吉永小百合「千年の恋 ひかる源氏物語」


昨年の「長崎ぶらぶら節」での最優秀主演女優賞を含め、実に11度目の受賞となる日本映画界を代表する女優。今回の「千年の恋 ひかる源氏物語」では、数々の伝説に満ち、未だ謎の多い紫式部を演じた。自分で男性を選ぶことすらできない自由のない時代を生きた女性の哀しみと心の叫びを、日本女性が持つたたずまいの美しさとともに見事に表現した。(東京都出身)
優秀助演男優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞山﨑努「GO」


94年「僕らはみんな生きている」以来、今回で4度目の優秀助演男優賞受賞。常に強烈な個性で観る者を圧倒する演技は今回の「GO」でも健在で、独自の哲学を持ち、深みのある言葉で主人公を導く元プロボクサーの父親役を演じ、存在感をしめした。力強さと柔軟さを合わせ持つ演技には信望が厚く、最近は若手監督作品への出演も目立ち、幅広く活躍している。(千葉県出身)
優秀賞小林稔侍「ホタル」


一昨年の「鉄道員(ぽっぽや)」での最優秀助演男優賞を含め、今回の「ホタル」で3度目の受賞。ベテランから若手まで多くの漁師に慕われる良きリーダーであり、主人公の山岡夫婦とはいつも冗談を言い合いながらも、誰よりも気にかけている漁協の組合長役を演じた。シリアスからコミカルな役まで幅広くこなし、高い演技力と個性を発揮し続けている。(和歌山県出身)
優秀賞田中邦衛「みんなのいえ」


57年の映画デビュー以来、数多くの映画、テレビドラマで個性の強いキャラクターを演じ、幅広い活躍を続ける。助演男優賞は、94年「学校」他での最優秀賞を含め、今回の「みんなのいえ」で5度目の受賞。娘夫婦の新居建築の依頼に俄然やる気を出すも、新進のデザイナーとことごとく対立する頑固で昔気質な大工の棟梁を好演。(岐阜県出身)
優秀賞三國連太郎「大河の一滴」


作家・五木寛之原作のベストセラー・エッセイの映画化「大河の一滴」で、肝臓ガンで余命いくばくもない父親役を演じた。顔を細く見せるために歯茎を高くしたり、地元の人のストレートな表現をメモし現場で使う等、役に対するアプローチにも磨きがかかる。過去3度の最優秀主演男優賞に輝き、優秀助演男優賞も今回で5度目の受賞となる日本を代表する俳優の一人。(群馬県出身)
優秀賞渡辺謙「千年の恋 ひかる源氏物語」


99年「絆-きずな-」以来、2度目の優秀助演男優賞受賞。作品ごとに全く違うキャラクターを演じ、常に新しい一面を見せてくれる。今回の「千年の恋 ひかる源氏物語」でも、平凡な官吏のまま人生を終える紫式部の夫・藤原宣孝と時の権力者として思いのままに生きる藤原道長という対照的な役柄を演じ分け、天才作家を愛してしまった男心のとまどいを魅力的に表現した。(新潟県出身)
優秀助演女優賞
(C)日本アカデミー賞協会
最優秀賞柴咲コウ「GO」


一昨年の「東京ゴミ女」で映画初デビュー。引き続き出演した「バトル・ロワイアル」での鬼気迫る演技は記憶に新しい。今回、優秀助演女優賞と新人俳優賞をダブル受賞した「GO」では、一転して、主人公と恋に落ちる自由奔放な性格のヒロイン役をキュートに演じ、全く違う一面を見せつけた。その演技力への評価も高く、今後も映画出演作が数多く続いている。(東京都出身)
優秀賞天海祐希「千年の恋 ひかる源氏物語」


97年「クリスマス黙示録」での新人俳優賞受賞以来、今回の「千年の恋 ひかる源氏物語」で優秀助演女優賞初受賞。トップスターだった宝塚を退団して6年ぶりに男役に挑戦。新解釈により、女性遍歴を繰り返す光源氏を凛々しく、妖艶に、美しく演じ、観客を魅了した。現代的なフィーリングで、誰もが知る古典の主人公を現代に甦らせる大きな原動力となる。(東京都出身)
優秀賞大竹しのぶ「GO」


87年「波光きらめく果て」以来、5度目の優秀助演女優賞受賞。今回の「GO」では、明るく粘り強くマイペースな人生を歩みながら、複雑な生い立ちを背負う息子を口うるさく、少々荒っぽく生きる術を教え込む母親役を熱演。出演作品ごとにキャラクターを演じ分ける高い表現力を誇る。最近は、歌手やバラエティ番組など、幅広く活躍。(東京都出身)
優秀賞小泉今日子「陰陽師」


滝田洋二郎監督とは、「病は気から 病院へ行こう2」以来2作目。優秀助演女優賞初受賞となった「陰陽師」では、世が背負う邪悪な世界を見続ける謎の女を妖艶な魅力で演じ、ミステリアスな世界観を十二分にスクリーンに反映させた。女優、歌手、エッセイストと抜群のキャラクターとセンスで活躍し、現代女性のカリスマ的存在として多方面から注目を集める。(神奈川県出身)
優秀賞奈良岡朋子「ホタル」


記念すべき第1回が行われた78年「はなれ瞽女おりん」での優秀助演女優賞受賞以来、今回「ホタル」で、実に24年振りの同賞受賞。私財を投売って自分の子供のように面倒をみた特攻兵から“知覧の母”と慕われる戦時中の国指定食堂の女主人を熱演。歓呼して送り出した特攻兵たちを追憶し、心の底から悔いの言葉を絞り出す姿に多くの人が涙した。(東京都出身)
優秀音楽賞
最優秀賞松田岳二/冷水ひとみ「ウォーターボーイズ」


デビューアルバムが「ニューヨークタイムズ」における有名ライターが選ぶベストミュージックに選出された松田岳二。矢口史靖監督のテレビ作品では既にパートナーシップを組み、多彩な音楽活動を続ける冷水ひとみ。刺激的な二人のコラボレーションが「ウォーターボーイズ」で実現。ともに優秀音楽賞初受賞。(1970年 広島県)(1960年 奈良県)
優秀賞梅林茂「陰陽師」


85年「それから」「友よ、静かに瞑れ」以来、今回の「陰陽師」で2度目の優秀音楽賞受賞。光と闇が交錯する摩訶不思議な世界を大いに盛り上げた。80年「EX」でデビュー。85年解散後、多くの映画音楽を手掛け、95年の「南京の基督」を機に、「不夜城」「花様年華」をはじめとして香港映画への参加も多い。最近は、映画監督や舞台演出等、活躍の場を広げている。(1951年 福岡県)
優秀賞国吉良一「ホタル」


数多くのアーティストの作品に作・編曲家として参加。一昨年の「鉄道員(ぽっぽや)」以来、同じく降旗康男監督作品「ホタル」で2度目の優秀音楽賞受賞。お互いを慈しむように静かに暮らす夫婦の愛情や特攻兵とそれを見送る人、遺族の悲哀を、移ろいゆく日本の美しい大自然に溶け合うような郷愁感溢れるサウンドで表現した。(1948年 山口県)
優秀賞冨田勲「千年の恋 ひかる源氏物語」


世界的なシンセサイザー奏者として、映画、テレビ、アニメ、舞台と幅広いジャンルの音楽を手掛ける。優秀音楽賞は、80年「夜叉ヶ池」、94年「学校」以来、3度目の受賞。今回の「千年の恋 ひかる源氏物語」が作曲活動50周年にあたる。全篇にシンセサイザーを使用し、“夢かうつつか幻か”“かりそめ”などの、ヴェールの向こう側にある世界を妖しく表現した。(1932年 東京都)
優秀賞めいなCo.「GO」


ギター奏者・浦山秀彦とキーボード奏者・熊谷陽子が、86年公開の林海象監督の映画「夢みるように眠りたい」の音楽を担当したことから結成。作曲活動をは じめ、林海象、天願大介、佐野史郎などの映画音楽、UA、永瀬正敏、三上博史、秋吉満ちる等のプロデュース活動、テレビ、舞台への楽曲提供など、さまざま な音楽活動を行っている。今回「GO」で優秀音楽賞初受賞。
優秀撮影賞
最優秀賞柳島克己「GO」


この度、優秀撮影賞受賞となった事に感謝しています。これもひとえに持ち味のある監督に出会え、又、プロデューサー、スタッフ、キャストの皆様のお力添えがあっての事と存じます。これからも様々な作品に携わり、独自の力を発揮できるようベストを尽くしたいと思っています。~あえてトーンを統一せずに挑んだ「GO」で、優秀撮影賞初受賞。(1950年 岐阜県)
優秀賞栢野直樹「陰陽師」


有り難うございます。念願の時代劇でしたが、撮影中は不安ばかり。滝田洋二郎監督始めスタッフ、キャストの皆さんの、大きなエネルギーを意気に感じて撮りました。作り込む面白さ、みんなで創る楽しさ、今さらですが、映画創りの楽しさ、深さを心の底から味わえました。その上、賞まで頂けるなんて、映画って最高!~97年「Shall we ダンス?」以来、2度目の受賞。(1955年 愛知県)
優秀賞木村大作「ホタル」


良い映画を観てもらうために、私たちは喜びと誇りを持つ。私たちの仕事が、人々の心に残す映像を、かりそめのものとは考えないから、映画の仕事をしています。「ホタル」に参加できたことに感謝しています。~一昨年の「鉄道員(ぽっぽや)」を含め3度の最優秀撮影賞を受賞しているベテランで、今や日本映画界に欠かすことのできない存在である。(1939年 東京都)
優秀賞鈴木達夫「千年の恋 ひかる源氏物語」


クランクイン前は、大いなる意気込みで準備するのだが、でき上がって半年も経ってみると、ああすれば良かった、こうもすれば良かったと、気になる箇所が痛いほど眼に飛び込んでくるのは、今回も、いつもと同じであった。悲しいかな、どんなに経験を積んでも、この繰り返しからは、抜け出せないまま終わるのだろう。~「千年の恋 ひかる源氏物語」で7度目の受賞。(1935年 静岡県)
優秀賞津田豊滋「冷静と情熱のあいだ」


本当に嬉しいです。ありがとうございます。でも、この賞は私一人の力ではなく、今まで私を応援してくれた方々や、撮影部をはじめ、スタッフの皆さんの支えがあったからこそと、実感しております。今まで頑張ってきてよかったです。皆で喜びを分かち合いたいと思います。~今回「冷静と情熱のあいだ」で嬉しい初受賞。喜びのコメントを寄せてくれた。(1956年 京都府)
優秀照明賞
最優秀賞髙屋 齋「GO」


今回の優秀賞受賞、大変うれしく思います。そして、素晴らしい監督、スタッフ、キャストの皆さんとの出会いと、本作品に参加できたことを感謝し、何よりも、今回の作品「GO」が沢山の人に受け入れられる事ができ、そして評価された事を光栄に思います。~94年「僕らはみんな生きている」、99年「HANA-BI」以来、3度目の優秀照明賞受賞。(1949年 青森県)
優秀賞長田達也「陰陽師」


昨年、上映館で観客の長蛇の列を見た時は、仕事冥利に尽きるものを感じました。でも「陰陽師」で自分が受賞したと通知をいただいた時には、正直申しますと晴明のキツネに摘まれた気持ちでしたが、振り返ってみてここまで来れたのもいろいろな方々のお陰だと思い、心から感謝しています。~97年最優秀照明賞を受賞した「Shall we ダンス?」以来、2度目の受賞。(1952年 山梨県)
優秀賞渡辺三雄「ホタル」


戦後生まれの自分はロケハンで、知覧特攻平和会館を初めて拝見し、特攻死した若者の遺影や遺書を見て、涙が出ました。特攻隊と、夫婦愛をテーマにした「ホタル」に参加でき、日本アカデミー賞優秀照明賞を受賞するなんて最高です!ありがとうございます。~一昨年、最優秀照明賞を受賞した「鉄道員(ぽっぽや)」以来、3度目の受賞。(1947年 福島県)
優秀賞安藤清人「千年の恋 ひかる源氏物語」


リアルな現実世界と幻想的な物語の世界をカラーフィルターで使い分けたり、豪華な衣装をより重厚、絢爛に見せたり、素晴らしい美術セットの奥行き感を出すのに全力を尽くしました。東映50周年の記念すべき作品で、このような賞をいただけたことに、監督はじめ素晴らしいスタッフに心から感謝いたします。~「千年の恋 ひかる源氏物語」で4度目の受賞。(1946年 岡山県)
優秀賞川井稔「冷静と情熱のあいだ」


この世界に入って20年、色々な事がありました。何度辞めようかとも思いました。それでも、やってこれたのは、映画が大好きだから、現場が大好きだから、それと二人の偉大な照明技師、望月英樹氏、下村一夫氏と出会えたからだと思います。私を助手時代、がまん強く使って頂いたお二人に、また今回「冷静と情熱のあいだ」で私を使って下さった津田豊滋さん、感謝します。(1963年 神奈川県)
優秀美術賞
最優秀賞西岡善信/松宮敏之「千年の恋 ひかる源氏物語」


「近頃許されない“映画作りの贅沢さ”を体験させて頂けた幸せを感じています。大勢の美術スタッフ達の力量に対して頂けた賞だと思います」(西岡談)「歴史の壮大さを感じることができるスケールの大きな作品『千年の恋 ひかる源氏物語』に出会えたことを嬉しく思います」(松宮談)(1922年 奈良県)(1959年 和歌山県)
優秀賞西岡善信「かあちゃん」


市川崑監督が、長年あたためて来られた脚本「かあちゃん」で、白黒画調で表現したいとの強い意向がありましたので、モノトーン画像に求められるセットの質感を出すのに苦労しました。又、江戸下町の風情が少しでも画面に滲み出ればと、風俗考証的にも留意したこと等で、受賞させて頂いたものと、大変嬉しく思っています。(1922年 奈良県)
優秀賞福澤勝広「ホタル」


知覧の町並みから開聞岳を望むと「ホタル」の台本を握りしめて押しつぶされそうな自分がいました。映画「ホタル」に美術屋として全力で参加しました。支えてくれたスタッフ、キャストの皆さん本当に有り難うございました。苦労する事が、いい映画につながる素晴らしい降旗組の現場でした。~一昨年の「鉄道員(ぽっぽや)」以来、2度目の優秀美術賞受賞。(1960年 新潟県)
優秀賞部谷京子「陰陽師」


魑魅魍魎の平安時代を舞台とした「陰陽師」は、好きな時代という事もあり、大変やりがいのある作品でした。スタッフ、キャストの皆さまとアイデアを出し合って創り上げて行く喜びを味わえたのは、滝田組ならでは。大勢の方に見ていただいた上に、このような賞までいただき、皆さまに深く感謝致します。有り難うございました。~今回で5度目の優秀美術賞受賞。(1956年 広島県)
優秀賞和田洋「GO」


何年この仕事をしていても、あまりスマートにはできず毎回悩みながら仕事をしています。予算と時間の条件下の中で一番勝算のある方法を、最後はほとんど本能的に決めていきますが、結果を支えてくれているのは、装置装飾部他、美術に携わったスタッフの力だと思います。この「GO」という作品に美術の仕事として貢献できたならば良かったと思います。(1952年 千葉県)
優秀録音賞
最優秀賞小野寺修/柿澤潔「陰陽師」


「陰陽師」で小野寺修は9度目、柿澤潔は初の受賞となる~「キャストの素晴らしい声に魅せられ現場も仕上げも楽しんでやらせてもらいました。感謝します」(小野寺談)「関係者全てのご協力による受賞だと思います。この作品のスタッフである事を誇りに思い感謝いたします」(柿澤談)(1949年 宮城県)(1958年 神奈川県)
優秀賞郡弘道「ウォーターボーイズ」


この作品に携わった方々にお礼申し上げます。一人の力ではなく皆で作り上げる映画は皆さんの力が必要であると思います。監督の力、撮影の力、俳優さんの力、そしてスタッフの力が融合して初めて作品に力ができてゆく、そう思います。今回の優秀録音賞ありがたくお受けいたします。ありがとうございました。~今回「ウォーターボーイズ」で初受賞。(1954年 長崎県)
優秀賞佐俣マイク/瀬川徹夫「千年の恋 ひかる源氏物語」


「少しでも動きがあると想像できない音のする現場で、最後まで弱気なままでしたが、華やかな画面に助けて頂きました」(佐俣談)「東京撮影所の新設デジタルスタジオでの最初の賞を得られ感激してます。多くの技術者に心から感謝いたします」(瀬川談)~「千年の恋 ひかる源氏物語」で受賞。(1956年 京都府)(1943年 岩手県)
優秀賞柴山申広「GO」


素晴らしい作品に恵まれ、名誉ある賞まで頂き、身に余る光栄に存じます。本当にありがとうございます。監督、キャスト、スタッフの皆様に心から感謝いたします。監督の明確な考え方が、素晴らしいものを引き出し、誰もが無視できない、そして価値のある作品ができたと思います。~今回の「GO」で、優秀録音賞初受賞となる。(1956年 長崎県)
優秀賞本田孜「ホタル」


「ホタル」で受賞できましたことを嬉しく思います。今回は余りデジタルにこだわらず、台詞を中心にして音楽や効果音を控えめにし、現場の緊張感が観る人に自然に伝わるよう音質やレベル等に注意を払いました。また、季節は冬の海のそばのロケ地でしたので、自然音などの処理にも苦労しました。~91年「オーロラの下で」以来、3度目の優秀録音賞受賞。(1942年 長崎県)
優秀編集賞
最優秀賞今井剛「GO」


大変名誉ある賞を頂いて、光栄です。この「GO」という作品に出会ったことを誇りに思います。また監督をはじめ、素晴らしいスタッフ、最高のキャスト陣がいたからこそ完成した作品だと思います。「GO」に関わった全ての人に感謝したいです。~今回優秀編集賞初受賞。初々しいコメントで喜びと感謝の言葉を寄せてくれた。(1969年 静岡県)
優秀賞西東清明「ホタル」


大変うれしく、光栄に思っております。僕自身、節目の年に「ホタル」という作品を担当する事ができ、そして日本アカデミー賞の優秀編集賞を受賞することができ、本当に感無量です。ありがとうございました。~特別賞として編集賞受賞となった 85年「麻雀放浪記」、2000年「鉄道員(ぽっぽや)」に続いての受賞。(1941年 石川県)
優秀賞只野信也「千年の恋 ひかる源氏物語」


クランクインから半年間、長かったけれども、とても楽しい時間を過ごせました。又、特撮・合成も数多く、これらの画作りに初めから参加でき、仕上がりも素晴らしくとても嬉しく思いました。これからも楽しめる仕事をしていきたいと思っています。皆さん、どうもありがとうございました。~今回「千年の恋 ひかる源氏物語」で嬉しい初受賞。(1955年 北海道)
優秀賞冨田功/冨田伸子「陰陽師」


受賞させて頂き皆様、ありがとうございます。この「陰陽師」という作品に呼んでくれた滝田洋二郎監督ありがとうございます。それより観てくれたお客様ありがとうございます。冨田編集室も二人で始めて早10年、これからも頑張ります。~冨田功は4度目、冨田伸子は初受賞。(1957年 東京都)(1964年 香川県)
優秀賞宮島竜治「ウォーターボーイズ」


“優秀編集賞”と字面にしただけでも、とても栄えある賞を頂き、嬉しく思います。自分一人の力で評価された訳ではないと心に刻み、この受賞を励みに日々精進していくのみです。ありがとうございました。~「20世紀ノスタルジア」「ナビィの恋」等話題作に参加した期待の若手編集マン。今回「ウォーターボーイズ」で初受賞となる。(1967年 神奈川県)
優秀外国作品賞
最優秀賞リトル・ダンサー


ストライキに揺れる英国北部の炭坑町、偶然目にしたバレエに強く惹かれ、家族や親友の応援でロイヤル・バレエ学校へ入学。トップダンサーに登りつめていく、そんなひたむきに小さな体で大きな夢に向かって羽ばたく少年のサクセス物語。現代演劇の顔といわれるスティーヴン・ダルドリーの長編監督デビュー作。(角川ヘラルド・ピクチャーズ)
優秀賞A.I.


突然この世を去ったスタンリー・キューブリックが長年温めてきたプロジェクトを、ヒットメーカー、スティーヴン・スピルバーグがその遺志を継いで完成。愛する心をインプットされた人工知能少年ロボットの数千年にもわたる壮大な旅を、最先端の映像技術を駆使し、想像もつかない未来の姿とともに描く愛と感動の SF超大作。(ワーナー)
優秀賞ショコラ


ジョアン・ハリスのベストセラー小説の映画化。すべての人を幸せにしてしまう不思議なチョコレートを売る母娘の物語。チョコレートで村の人々を幸せに導いてきた母娘が、最後は自分達も癒されてしまう。おいしそうなチョコレートに目を奪われている内にいつのまにか暖かく幸せな気持ちに包まれる感動作。(アスミック・エース=松竹)
優秀賞ハリー・ポッターと賢者の石


史上最大のベストセラー「ハリー・ポッター」シリーズの映画化。赤ん坊のときに魔法使いの両親を亡くし、人間の親戚に預けられて育った少年が、11歳の誕生日に送られてきた手紙によって出生の秘密を知り、魔法使いとして成長していく姿を描く。架空世界を忠実に視覚化した映像美が画面一杯に広がるファンタジー映画の傑作。(ワーナー)
優秀賞山の郵便配達


中国湖南省の山間部に散らばる小さな集落に手紙や新聞を届ける郵便配達員の物語。体を患い引退する父と後を継ぐ息子、家で帰りを待つ母の姿を通して家族のあり方、人と人の信頼の絆を、悠久の大自然の中で詩情豊かに描いた感動作。中国のアカデミー賞である金鶏賞の作品賞と主演男優賞を受賞。(東宝東和)
新人俳優賞
優秀賞窪塚洋介「GO」


95年のデビュー以来、「GTO」「池袋ウエストゲートパーク」等、次々と話題のTVドラマに出演。「GO」では、恋や友情に悩み傷つきながらも、しだいに国籍や民族にとらわれない新しいアイデンティティに目覚める在日韓国人青年役をしなやかに演じた。人気・実力・将来性などあらゆる面でトップを走る若手俳優の一人。優秀主演男優賞とのダブル受賞。(神奈川県出身)
優秀賞田中直樹「みんなのいえ」


人気お笑いコンビ“ココリコ”の味のある雰囲気が大うけし、数多くのテレビレギュラー番組で活躍。単独で初の出演映画「みんなのいえ」では、撮影前に2ヶ月間の演技特訓をして挑む。自身の新居建設にからみ対立する人間達の間にはさまれ、うろたえながらも、内心楽しんでいる優柔不断な脚本家役を生き生きと演じた今回の演技に、俳優としての可能性を感じさせた。(大阪府出身)
優秀賞妻夫木聡「ウォーターボーイズ」


「超ビッグオーディション」でグランプリを獲得。98年テレビドラマ「すばらしい日々」でデビュー以降、「池袋ウエストゲートパーク」「カバチタレ!」等、テレビ、CM等各方面で活躍する注目株。男のシンクロをテーマに、高校3年男子たちの青春を描いた「ウォーターボーイズ」の主人公を演じ、爽やかな感動を呼んだ。優秀主演男優賞とのダブル受賞。(福岡県出身)
優秀賞野村萬斎「陰陽師」


狂言師・野村万作の長男として生まれ、3歳の時に初舞台を踏む。現在は、狂言界を象徴する存在として、精力的かつ挑戦的に活躍。「陰陽師」では、伝統芸能の世界で培われた独特の雰囲気、軽やかな身のこなしを惜しげもなく披露し、優秀主演男優賞とのダブル受賞。俳優として初の本格アクションに挑戦し、平安時代の謎のヒーロー・安倍晴明を現代に見事に甦らせた。(東京都出身)
優秀賞加賀美早紀「PlatonicSexプラトニック・セックス」


「Platonic Sex プラトニック・セックス」は、マルチタレント・飯島愛が、今までの人生を包み隠さず、赤裸々に綴った衝撃の大ベストセラー小説の映画化。その主演女優オーディションで約12,000人の応募者の中から選ばれたラッキーガール。初出演作で過激な役柄に体当たりで挑戦、切ないまでの少女の愛を演じ切り、強烈な存在感をスクリーンに残した。(千葉県出身)
優秀賞柴咲コウ「GO」


98年「倶楽部6」でデビュー。その後CMで注目され、一昨年「東京ゴミ女」で映画初出演。さらに「バトル・ロワイアル」での同級生を次々に死に追いやる相馬光子役を演じ、圧倒的な存在感を見せつけた。今回の「GO」では、一転して自由奔放な性格の不思議な美少女を演じ、高い評価を受け、優秀助演女優賞とダブル受賞。今後も公開作が続く映画界期待の若手女優。(東京都出身)
優秀賞真中瞳「ココニイルコト」


テレビバラエティや「ニュースステーション」のスポーツキャスターとして活躍中。本格的女優としてはデビュー作である「ココニイルコト」で、長い髪をバッサリ切って大役に挑む。失意の中、転勤先で出会う同僚や周囲の人との関わりの中で、少しずつ成長していく主人公を好演、新しいヒロイン像を創り上げた。今後も好感度の高い女優としての飛躍に注目したい。(大阪府出身)
優秀賞八木亜希子「みんなのいえ」


元フジテレビの人気アナウンサーとしてバラエティ、情報ワイドショー、報道番組と第一線で活躍し、現在はフリーアナウンサー。「みんなのいえ」では、一生暮らす家を建てることに夢を膨らます姉さん女房役を天性の温かい空気感で熱演。怒ることが多い役を嫌みなく演じた。今回が映画デビュー作となるが、今後、女優としての活躍にも期待したい。(神奈川県出身)
協会特別賞
優秀賞宇野一朗「音楽コーディネーター」


1946年、現武蔵野音楽大学に入学。在学中よりトランペッターとして演奏活動を展開。1962年に音楽事業マネージメントに転身。以来、長年に亘って映 画音楽の制作に携わり、数多くの作曲家を支えて今日に至る。主な参加作品は「どですかでん」「食卓のない家」「心中天網島」「復讐するは我にあり」「影武 者」「楢山節考」「泥の河」「瀬戸内少年野球団」「夢」「うなぎ」「雨あがる」等多数。
優秀賞木村弓「主題歌賞 対象作品『千と千尋の神隠し』」


大阪生まれ。高校一年の時、神戸女学院から米国へ単身留学。カルフォルニア州立大学に進み、ピアノを専攻する。帰国後、声楽家を志すが脊椎を害し歌を一時 断念。やがて再起の過程で(祈りと癒し)の歌に目覚める。1988年、堅琴ライアーと出会い、独自のスタイルで弾き語りを確立し全国的な演奏活動を展開。 「千と千尋の神隠し」では、透明感あふれる美声の魔力で人々を魅了した。
優秀賞松本好子「結髪」


1910年、大阪生まれ。1927年に女優を志して京都大映に入社。1930年、結婚と同時に結髪を独学で修得。1954年には東宝に入社。主な担当作品 は「国定忠治」「白夫人の妖恋」「蜘蛛巣城」「雪国」「どん底」「用心棒」「天国と地獄」「赤ひげ」「山本五十六」「伊豆の踊子」「吾輩は猫である」「春 琴抄」「乱」等多数。映画全盛期から今日まで結髪ひとすじ。現在も撮影現場に立って現役を通す。
優秀賞丸山澄江


1923年、静岡県生まれ。1946年に大映多摩川撮影所に入社し、日活多摩川撮影所を経て東宝に移る。1956年より「社長」シリーズ、「サザエさん」 シリーズ、「お姐ちゃん」シリーズをはじめ、「雪国」「私は貝になりたい」「独立愚連隊」「香港の星」「女体」「エレキの若大将」「阿寒に果つ」「あゝ野 麦峠」「天平の甍」「利休」、数多くの「ゴジラ」作品を担当。実に結髪ひとすじ半世紀に亘って、今なお現役で活躍中。
会長功労賞
優秀賞宮崎駿


10歳の少女が不思議な町に迷い込み、そこでさまざまな困難に出会いながら、自力で切り抜けて生還するファンタジー「千と千尋の神隠し」。この作品で世代 を超えて多くの人々を魅了し、動員・興行収入の日本新記録を樹立、大きな感動を全国に拡げる。第52回ベルリン国際映画祭でアニメーション映画初の栄えあ る金熊賞を受賞。高校3年の時、日本初のカラー長編動画「白蛇伝」を見てアニメーションに興味を持ち、63年に東映動画に入社。「太陽の王子 ホルスの大冒険」「長靴をはいた猫」などに参加。71年に東映動画を退社。78年には「未来少年コナン」の演出を務める。79年に「ルパン三世 カリオストロの城」で劇場公開作品を初監督。84年に徳間書店製作「風の谷のナウシカ」で原作・脚本・監督を担当。以後、スタジオジブリで「天空の城ラ ピュタ」「となりのトトロ」「もののけ姫」などから「千と千尋の神隠し」まで一貫して劇場用アニメーションを発表している。なお昨年、三鷹の森ジブリ美術 館を開館。
会長特別賞
優秀賞俊藤浩滋「プロデューサー」


1916年、神戸生まれ。故マキノ雅弘監督と出会って映画界入り。1962年「アイ・ジョージ物語 太陽の子」を初プロデュース。64年以降「日本侠客 伝」「昭和残侠伝」「緋牡丹博徒」ほか多くのヒット・シリーズをはじめ数々の任侠映画を連打。鶴田浩二、高倉健、若山富三郎、菅原文太、藤純子などのス ター陣を率いて、日本映画界に一大路線を作った。生涯製作本数は実に300本に及び、比類ない実績を誇る。
優秀賞相米慎二「監督」


1948年、盛岡市生まれ。72年に日活の助監督に。80年に「翔んだカップル」で監督デビュー。以来「セーラー服と機関銃」「ションベン・ライダー」「魚影の群れ」「台風クラブ」「光る女」「お引越し」「夏の庭/The Friends」「あ、春」等を発表。きびしい演技指導とワンシーン・ワンショットの演出に独自の才能を発揮した。若手俳優を育てる名手としても定評があり、数々の映画賞を独占。2001年の「風花」が遺作となった。
優秀賞勅使河原宏「監督」


1927年、草月流初代家元・勅使河原蒼風の長男として生まれる。東京芸術大学を卒業、62年に「おとし穴」で長編劇映画デビュー。以後「砂の女」「他人 の顔」「燃えつきた地図」「サマー・ソルジャー」など実験的手法で脚光を浴びる。72年以降、映画を一時離れるが89年「利休」、92年「豪姫」を発表。 特に「砂の女」では国際的にも高い評価を得ている。
話題賞

作品部門:「プラトニック・セックス」


俳優部門:田中直樹「みんなのいえ」