第34回日本アカデミー賞優秀作品一覧に戻る
日時: 2011(平成23)年2月18日(金)
場所: 新高輪プリンスホテル 国際館パミール崑崙
司会: 関根勤/松たか子

優秀作品賞
最優秀賞/優秀賞
(C)2010「告白」製作委員会

最優秀作品賞 「告白」


【受賞コメント】撮影中に、生徒役の子たちの大半がインフルエンザにかかり、撮影を中止にしなければいけないかと思うほど大変な時もあったんですが、キャスト、スタッフの協力でなんとか作り上げることができました。こういった題材の作品をたくさんのお客さんに見て頂いたことは、今後、日本映画のバリエーションが増えていく役にも立つのかなと思い、この受賞は本当に嬉しいです。(中島哲也監督)

【作品情報】09年本屋大賞に輝いた湊かなえの同名ベストセラー小説を「嫌われ松子の一生」(06)の中島哲也監督が映画化。愛娘を自身が働く学校のプールで亡くし、事故死と判断された中学校教師が、犯人はクラスの生徒の中にいると告発し、容赦なく真相を明らかにしていく衝撃のミステリー。教師が生徒に徹底的に復讐を行うショッキングな内容ながら、エンターテインメントに仕上げR-15指定を受けながら興行収入は38億円を超えるヒットとなった。今回の日本アカデミー賞では11部門において優秀賞を受賞。中島哲也監督が報知映画賞の監督賞を獲得している。
監督:中島哲也
脚本:中島哲也
製作:東宝/博報堂DYメディアパートナーズ/フェイス・ワンダワークス/リクリ/双葉社/ 日本出版販売/ソニー・ミュージックエンタテインメント/Yahoo!JAPAN/TSUTAYAグループ/
(C)2010「悪人」製作委員会

優秀作品賞 「悪人」


【作品情報】芥川賞作家・吉田修一のベストセラー小説の映画化。人を殺してしまった男とその男を愛した女の愛と逃避行を息詰まるリアリティと共に描き、“誰が本当の悪人なのか?”を問いかける渾身のドラマ。吉田氏と「フラガール」(06)で高い評価を得た李相日監督が共同脚本を務め、小説の世界観を見事に映画に昇華させた。第34回モントリオール世界映画祭のワールド・コンペティション部門に出品された。今回の日本アカデミー賞では13部門において15賞の優秀賞を受賞。報知映画賞(邦画部門)、日刊スポーツ映画大賞の作品賞、毎日映画コンクール日本映画大賞、キネマ旬報映画賞日本映画ベスト・テン第1位に選出されたほか、李監督はキネマ旬報ベストテン日本映画監督賞、吉田修一と共に同脚本賞を獲得している。
監督:李 相日
脚本:吉田修一  李 相日
製作:東宝/電通/朝日新聞社/ソニー・ミュージックエンタテインメント/日本出版販売/ ホリプロ/アミューズ/KDDI/Yahoo!JAPAN/TSUTAYAグループ/朝日新聞出版/
(C)2010「おとうと」製作委員会

優秀作品賞 「おとうと」


【作品情報】東京で暮らし、夫亡き後一人娘を女手一つで育ててきた姉・吟子と大阪で破天荒に生きて来た弟・鉄郎の再会と別れ、そして、切っても切れない家族の絆を笑いと涙たっぷりに描き出す。山田洋次監督が「十五才 学校Ⅳ」(00)以来、10年ぶりに手掛けた現代劇で、市川崑監督の「おとうと」(60)にオマージュを捧げた人情味溢れる作品。第60回ベルリン国際映画祭でクロージング上映され、山田洋次監督に特別功労賞に当たるベルリナーレ・カメラ賞が贈られた。(同賞は市川監督も00年に受賞している) 今回の日本アカデミー賞では11部門において優秀賞を受賞。
監督:山田洋次
脚本:山田洋次  平松 恵美子
製作:「おとうと」製作委員会
(C)2010「孤高のメス」製作委員会

優秀作品賞 「孤高のメス」


【作品情報】成島出監督と堤真一が、「フライ,ダディ,フライ」(05)以来、監督、主演の関係としては2度目のタッグを組んだ骨太なドラマ。地方都市の市民病院に赴任し、目の前の患者を救うことを最優先するという信念の元、次々と患者を救ってきた医師・当麻は、日本で禁止されている脳死肝移植に挑む決意をし……。原作は、現役医師の大鐘稔彦によるベストセラー小説。医療現場の実情をリアルに伝え、問題点に鋭く切り込むと同時に何があっても揺らがない当麻の姿は観客を魅了し、勇気を与えた。今回の日本アカデミー賞では5部門において優秀賞を受賞。
監督:成島 出
脚本:加藤正人
製作:「孤高のメス」製作委員会
(C)2010「十三人の刺客」製作委員会

優秀作品賞 「十三人の刺客」


【作品情報】工藤栄一監督による時代劇「十三人の刺客」(63)を三池崇史監督の手によってリメイクしたアクションエンターテインメント大作。江戸時代末期を舞台に、暴虐な明石藩主・松平斉韶を暗殺せよとの命を受けた島田新左衛門が腕の立つ刺客たちを集め、たった13人で数百の兵に向かい、命がけの戦いに挑む。クライマックスの50分に及ぶ壮絶な死闘は圧倒的迫力で強い印象を残した。第67回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に出品された。今回の日本アカデミー賞では10部門において優秀賞を受賞。また、三池崇史監督が日刊スポーツ映画大賞、および毎日映画コンクールの監督賞を受賞している。
監督:三池崇史
脚本:天願大介
製作:テレビ朝日/東宝/セディックインターナショナル/電通/小学館/Recorded Picture Company/ 朝日新聞社/朝日放送/メ〜テレ/九州朝日放送/北海道テレビ/Yahoo! JAPAN/TSUTAYAグループ/東日本放送/静岡朝日テレビ/広島ホームテレビ
優秀アニメーション作品賞
最優秀賞/優秀賞
(C)2010 GNDHDDTW

最優秀アニメーション作品賞 「借りぐらしのアリエッティ」


【受賞コメント】スタジオジブリでいちアニメーターとして仕事をしていた僕が、鈴木(敏夫)プロデューサーから監督に指名された時は、まさかこんな素晴らしい場所に立って喋ることになるなんて思ってもみませんでした。今は今年の夏公開の「コクリコ坂から」という映画でまたアニメーターに戻って日々仕事を頑張っております。この映画に関わってくださった全てのスタッフの皆さんと映画を見てくださった方たちに感謝したいと思います。(米林宏昌監督)

【作品情報】イギリスの作家、メアリー・ノートンのファンタジー小説「床下の小人たち」を、スタジオジブリが映画化。床下で暮らす小人の少女・アリエッティと人間の少年・翔の交流を描く一方、小人たちの暮らしを通じて、人間の生活ぶりを問いかける。「崖の上のポニョ」等の原画を務めるなど、これまでの多くのジブリ作品に参加してきたアニメーター、米林宏昌監督が長編初メガホンを取り、企画・脚本を宮崎駿が担当。幅広い層の観客の支持を集め、興行収入90億円を超える大ヒットとなり、2010年の邦画トップを記録した。アリエッティの声を志田未来が、翔を神木隆之介が演じている。
監督:米林宏昌
脚本:宮崎 駿 丹羽圭子
製作:スタジオジブリ/日本テレビ/電通/博報堂DYMP/ディズニー/三菱商事/東宝/ワイルドバンチ
(C)2010 森絵都/「カラフル」製作委員会

優秀アニメーション作品賞 「カラフル」


【作品情報】「クレヨンしんちゃん」シリーズや「河童のクゥと夏休み」(07)の原恵一監督が、直木賞作家・森絵都の同名ベストセラー小説をアニメ映画化。自殺したばかりの少年の体に入り、人生をもう一度生きることになった“ぼく”を主人公に、思春期の少年の揺れ動く心情と日常生活を丹念に描写。生きることの痛みと喜びを伝えるストーリーが、大きな感動を呼んだ。声優を務めたのは、宮﨑あおい、麻生久美子、原監督とは「河童のクゥ~」に続く2度目のタッグとなる冨澤風斗など。毎日映画コンクールアニメーション映画賞、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を受賞。
監督:原 恵一
脚本:丸尾みほ
製作:フジテレビジョン/サンライズ/電通/アニプレックス/ソニー・ミュージックエンタテインメント/東宝
(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2010

優秀アニメーション作品賞 「映画ドラえもん のび太の人魚大海戦」


【作品情報】「映画ドラえもん」シリーズの通算30作目、30周年記念作品。人気作家の真保裕一が第27作、第29作に続いて3度目となる脚本を担当したオリジナルストーリーで、テレビアニメ版の総監督である楠葉宏三が監督を務めた。ドラえもんやのび太たちが、ドラえもんの秘密道具で作り出された架空の海の世界に迷い込んできた人魚族の王女・ソフィアと出会い、伝説の“人魚の剣”をめぐる人魚族と怪魚族の戦いに参戦するアドベンチャー。ゲスト声優として、真矢みき、ケンドーコバヤシ、さかなクン、温水洋一らが参加し作品を盛り立てた。日本アカデミー賞は3年連続受賞。
監督:楠葉宏三
脚本:真保裕一
製作:藤子プロ/小学館/テレビ朝日/シンエイ動画/ADK/ShoPro
(C)2010 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

優秀アニメーション作品賞 「名探偵コナン 天空の難破船 <ロスト・シップ>」


【作品情報】毒薬により小学生の体になってしまった高校生探偵・工藤新一が、名探偵・江戸川コナンとして難事件を次々と解決していく人気アニメ『名探偵コナン』の劇場版第14作目。原作者・青山剛昌の生んだ人気キャラクター、怪盗キッドが第10作目「探偵たちの鎮魂歌」以来の登場を果たし、世界最大の飛行船に搭載された宝石を狙う。コナンたち少年探偵団も乗り込んだ飛行船はバイオテロに襲われ、東京、大阪間の上空で繰り広げられるスリリングなやりとりが見もの。第30回より新設された日本アカデミー賞優秀アニメーション部門賞を5年連続受賞となる。
監督:山本泰一郎
脚本:古内一成
製作:小学館/読売テレビ/日本テレビ/ShoPro/東宝/トムス・エンタテインメント
(C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビジョン・東映アニメーションc「2009 ワンピース」製作委員会

優秀アニメーション作品賞 「ワンピースフィルム ストロングワールド」


【作品情報】97年より『少年ジャンプ』に連載中の人気漫画「ONE PIECE」シリーズの映画化10作品目。仲間を誘拐された麦わらの一味と伝説の海賊たちとの戦いが、壮大なスケールと躍動感のあるアクションで描かれるアドベンチャー作品。劇場版の第10弾、およびテレビアニメ化10周年を記念し、原作者・尾田栄一郎が製作総指揮を務め、初めて劇場用にストーリーを描き下ろし、大ヒットを記録。興行収入は48億円でシリーズ最高記録を樹立した。竹中直人や五輪金メダリストの北島康介がゲスト声優として参加したほか、主題歌をMr.Childrenが書き下ろしたのも話題に。
製作総指揮:尾田栄一郎
監督:境 宗久
脚本:上坂浩彦
製作:東映/東映アニメーション/集英社/フジテレビ/バンダイ
優秀監督賞
最優秀賞中島哲也「告白」


【受賞コメント】この映画はまず、松たか子さんに森口悠子という役を演じて頂けるかどうか、というお手紙を出すところから始まりました。この時代に、この年齢の松たか子さんという女優さんがいなければ、僕はこの映画を作ってはいなかったと思います。役に果敢に挑戦してくれた松さん、木村さん、岡田さん、それから37人の13歳の子供たち、そしてスタッフ、皆のおかげでこの賞が頂けたと思います。皆の代表のつもりでこの賞を頂きます。

【受賞歴】第30回に「嫌われ松子の一生」で監督賞を初受賞。2年ぶり3度目の受賞。
優秀賞成島出「孤高のメス」


【受賞コメント】何より嬉しいのは堤真一、夏川結衣の男優賞、女優賞です。この二人の俳優でこの映画を撮れたことを誇りに思います。脚本の加藤さんには二年近くこの作品に集中して貰い、加藤家を貧乏にさせてしまいました。評価して貰えてよかった。奥さん、許して下さい(笑)。作品賞と監督賞は、この映画に携わった人、全員に頂いたものと思っています。本当に大勢の方々のご尽力で完成することができた映画でした。改めて感謝します。

【受賞歴】第32回に「クライマーズ・ハイ」で脚本賞を受賞。監督賞は初受賞。
優秀賞三池崇史「十三人の刺客」


【受賞コメント】ありがとうございます。ひとつ、区切りがついたようです。
この度授かりました栄誉は、穏やかな流れに身を任せ緩慢に泳いできた私に対する激励と受け止めています。
心を入れ替え、身に付いた錆や垢を落とし、危険で刺激的な映画を作って行きますので楽しみにお待ちください。

【受賞歴】※初受賞。
優秀賞山田洋次「おとうと」


【受賞コメント】賢い姉と愚かな弟の、可笑しくて哀しい物語である。喧嘩したり、許したりを繰り返す家族を通して現代とこれからの家族の姿を写し出す事ができたと思う。そして、この映画を観た人たちが「家族」が一番安心できる場所だと思ってくれればうれしい。

【受賞歴】第1回に「幸福の黄色いハンカチ」「男はつらいよ」シリーズで最優秀を受賞。15度目の受賞。うち第17回「男はつらいよ 寅次郎の縁談」「学 校」と第26回「たそがれ清兵衛」で最優秀を受賞。
優秀賞李相日「悪人」


【受賞コメント】
誰よりも、作り手である僕たち自身がこんな機会を待ち望んでいた。
簡単に言いたくはないが、骨太なヒューマンドラマ。けれど、エンタメも忘れずに、と上の方から声がする。望むところだった。
役者もスタッフも全員が、映画の引力に憑かれたように撮りまくった。 文字通り灰になるまで。
そんな僕らの灰が、九州の風に舞い水に流れ土となって、そして 今ここに「悪人」があるのだと、僕は思う。

【受賞歴】第30回に「フラガール」で初受賞にして最優秀を受賞。2度目の受賞。
優秀脚本賞
最優秀賞中島哲也「告白」


【受賞コメント】本当に嬉しいです。湊かなえさんの素晴らしい原作があって、僕はそれを2時間に収まるように書いただけでした。これをもらえるってことは、監督賞を頂けないってことですかね(笑)。

【受賞歴】第30回に「嫌われ松子の一生」で初受賞。脚本賞は4年ぶり2度目の受賞。
優秀賞加藤正人「孤高のメス」


【受賞コメント】「孤高のメス」は、最もハードな仕事でした。今まで、これほど長い作業時間を要したシナリオはありませんでしたし、これほど多くの改訂稿を作成したのも初めての経験でした。大変苦労した作品だけに、今回の受賞は喜びもひとしおです。チーム一丸となって力を結集し、素晴らしい作品を完成させた成島組のスタッフとキャストの皆様のおかげで頂戴できた脚本賞です。皆様に深く感謝しております。ありがとうございました。

【受賞歴】第32回に「クライマーズ・ハイ」で初受賞。2度目の受賞。
優秀賞天願大介「十三人の刺客」


【受賞コメント】時代劇は日本人にしか撮れない、日本映画の大きな財産だと思います。我々はそれを継承し次の世代へ橋渡しする義務がある。そんな気負いを勝手に抱いて一気に書き上げました。僕が初めて書いた本格的な時代劇です。その脚本を評価していただき、少し勇気が湧きました。どうもありがとうございます。

【受賞歴】第21回に「うなぎ」で初受賞。12年ぶり3度目の受賞。
優秀賞山田洋次/平松恵美子「おとうと」


【受賞コメント】平松:尊敬する監督の一人である市川崑監督の「おとうと」に山田監督が着想を得ることで出発した企画で、そのことにも度肝を抜かれましたが、そこに吉永小百合さんと笑福亭鶴瓶さんという意外ではあるけれど最高の姉弟役が実現したからこそ、物語に一層の飛躍と膨らみが出たのだと思います。ありがとうございました。

【受賞歴(山田洋次)】第1回に「幸福の黄色いハンカチ」「男はつらいよ」シリーズで最優秀を受賞。14度目の受賞。うち第4回「遥かなる山の呼び声」「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花」、第17回「男はつらいよ 寅次郎の縁談」「学 校」と第26回「たそがれ清兵衛」で最優秀を受賞。

【受賞歴(平松恵美子)】第24回に「十五才 学校Ⅳ」で初受賞。4度目の受賞。
優秀賞吉田修一/李相日「悪人」


【受賞コメント】今回、原作者としてだけではなく、脚本家の一人としてこの作品に関われたことをとても光栄に思っておりますし、「悪人」という自ら書いた小説が、三年という時間をかけ、徐々に化けていく姿を近い場所から見ていられたことは、今後の作家人生でも大きな糧となると思います。選んで頂いたアカデミー会員の方々に心よりお礼申し上げます。

【受賞歴(吉田修一)】※初受賞。
【受賞歴(李相日)】第30回に「フラガール」で初受賞にして最優秀を受賞。2度目の受賞。
優秀主演男優賞
最優秀賞妻夫木聡「悪人」


【受賞コメント】この作品は、自分が12年間役者をやってきた中で、本当に全身全霊を尽くした作品です。一時は個性がないと言われて悩んだ時もありましたが、自分らしさとは何なのか、自分の中で考えて、自分を信じてやってきた、その集大成が詰まった作品だと思っています。監督はじめ、深津さん、スタッフの皆さん、そして今まで育ててくれた家族のみんなに本当に感謝しています。

【解説】98年にデビュー以来、テレビドラマ、映画に多数出演。09年には、NHK大河ドラマ『天地人』に主演し、幅広い人気を獲得した。日本アカデミー賞優秀主演男優賞は、第25回新人賞とのダブル受賞となった「ウォーターボーイズ」(01)以来、4度目の受賞となる。原作を読み、自ら出演を熱望し、企画段階から映画化に関わった「悪人」では、殺人事件を起こしてしまう孤独な青年・清水祐一役に並々ならぬ意気込みで取り組み新境地を開拓している。日刊スポーツ映画大賞、ブルーリボンの主演男優賞を受賞。
優秀賞笑福亭鶴瓶「おとうと」


【解説】落語家やMCとしてテレビ、ラジオ等で活躍する一方、落語界の発展にも取り組み、08年より上方落語協会副会長を務める。また役者としても数々の映画に出演。昨年「ディア・ドクター」(09)で映画初主演にして、ブルーリボン賞、日刊スポーツ映画大賞をはじめとする数多くの主演男優賞を受賞し、高い評価を受ける。「母べえ」(08)に続く山田洋次作品への参加となった本作では、「男はつらいよ」の“寅さん”を彷彿とさせる、破天荒だが憎めない主人公を人情味たっぷりに演じ、日本アカデミー賞主演男優賞を2年連続受賞する快挙となった。
優秀賞堤真一「孤高のメス」


【解説】87年、NHKドラマスペシャルで主役デビュー。以来、数々の舞台で着実に実力を重ねる一方、テレビドラマや映画でも存在感を発揮し、第29回に「ALWAYS 三丁目の夕日」(05)でアカデミー賞初受賞にして最優秀助演男優賞を獲得。その後も、第31回に助演男優賞をダブル受賞、第32回には主演および助演男優賞に輝くなど、出演作の度に賞にかかわる日本映画界に欠かせない俳優の一人。本作では、信念を貫く孤高の医師の姿を抑えた中にも強い意志を感じさせる演技で表現し、その実力を改めて印象付けた。毎日映画コンクール男優主演賞を受賞。
優秀賞豊川悦司「必死剣鳥刺し」


【解説】日本アカデミー賞主演男優賞は、第20回「八つ墓村」(96)、第26回「命」(02)に続く3度目の受賞。そのほか、第16回新人俳優賞、第19回「Love Letter」(95)で助演男優賞と話題賞、第29回「北の零年」(05)で助演男優賞を獲得している。本作では、悲運の剣豪・兼見三左ェ門役に扮し、運命に翻弄される武士の生きざまを体現。クライマックスでは鬼気迫る殺陣を披露した。10年は、「今度は愛妻家」でも好演を見せ、2作品での演技に対し、報知映画賞の主演男優賞、キネマ旬報映画賞の主演男優賞を受賞している。
優秀賞役所広司「十三人の刺客」


【解説】第14回に日本アカデミー賞主演男優賞を初受賞。今回で13度目(14作品)の受賞となり、男優の歴代受賞回数トップを誇る。第20回「Shall we ダンス?」(96)、第21回「うなぎ」(97)では、最優秀主演男優賞を2年連続受賞という快挙も成し遂げている。本作では、刺客たちのリーダーとなる武士、島田新左衛門を圧倒的な存在感で演じきり、作品に深みをもたらした。「SAYURI」(05)、「BABEL」(07)など海外の作品にも出演し、国際的にも高い評価を受けるほか、09年には「ガマの油」で監督デビューも果たすなど活躍の場を広げている。
優秀主演女優賞
最優秀賞深津絵里「悪人」


【受賞コメント】ありがとうございます。それ以上の言葉が今思いつかないんですが、この賞は、最高の監督と素晴らしいスタッフの皆さん、素敵な共演者の皆さんとこの作品に関わって支えてくれた皆さんの力で頂けたのだと心の底から思っています。感謝しています。そして、妻夫木さんと一緒に闘えたことは、とても大きな財産になりましたし、(相手役が)妻夫木さんでなければこの賞は頂けなかった。後で抱き合って喜びたいと思います。

【解説】88年に映画「1999年の夏休み」でデビュー。以来、舞台、映画、テレビドラマでその実力を発揮してきた。日本アカデミー賞は、第13回「満月のくちづけ」(89)で新人俳優賞を獲得。その後、3作品で助演女優賞を受賞し、うち第27回の「阿修羅のごとく」(03)で最優秀を受賞。主演女優賞は第20回「ハル」(96)で受賞しており、今回が2度目となる。本作では、人との繋がりを渇望してきた孤独な女性の心理を見事に演じきり、第34回モントリオール世界映画祭の最優秀女優賞に加え、報知映画賞、日刊スポーツ映画大賞の主演女優賞に輝いた。
優秀賞寺島しのぶ「キャタピラー」


【解説】日本アカデミー賞優秀主演女優賞は、第27回に「赤目四十八瀧心中未遂」(03)で初受賞にして最優秀を受賞。以来、今回が4度目の受賞となる。常に役柄を自分のものにし、彼女にしかできない役をこなしてきたが、本作では戦争で手足を失って帰還した夫を献身的に支える妻の葛藤と苦悩を生々しくリアルに表現し、見る者に戦争の愚かさを訴えかけた。日本人として、75年の田中絹代以来35年ぶりに、第60回ベルリン国際映画祭の最優秀女優賞(銀熊賞)に輝いたほか、毎日映画コンクール、キネマ旬報映画賞、ブルーリボン賞の主演女優賞も受賞。
優秀賞松たか子「告白」


【解説】93年に初舞台を踏んで以降、数多くの人気テレビドラマ、映画、舞台で活躍を続けている演技派女優。本作で演じたのは、生徒に一人娘を殺され復讐に燃える女教師役。淡々とした中に怒りや狂気を秘めた迫真の演技で圧倒的な存在感を見せた。日本アカデミー賞は、「隠し剣 鬼の爪」(04)で第28回主演女優賞を「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」(07)で第31回助演女優賞を獲得。昨年の「ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~」(09)で最優秀主演女優賞を獲得。2年連続の主演女優賞となる。
優秀賞薬師丸ひろ子「今度は愛妻家」


【解説】78年、「野生の証明」で女優デビュー。日本アカデミー賞は、第9回「Wの悲劇」(85)で優秀主演女優賞、第29回「ALWAYS 三丁目の夕日」(05)で最優秀助演女優賞、第31回「ALWAYS 続・三丁目の夕日」(07)で優秀助演女優賞を獲得しているほか、話題賞も4回受賞している。「大人が楽しめる映画を撮りたかった」と語る行定勲監督が、40代の夫婦のドラマをハートウォーミングに、時にコミカルに描いた本作では、どんな時も大らかさと明るさを失わず、夫を深く愛する妻をチャーミングに演じ、観客を魅了した。
優秀賞吉永小百合「おとうと」


【解説】スクリーンで輝く存在感で、長年にわたり日本映画界を牽引してきた、日本を代表する映画女優。59年のデビュー以来、数多くの映画に出演し、本作が114本目の出演作となる。日本アカデミー賞優秀主演女優賞は、第4回に「動乱」(80)で初受賞以来、14度目(15作品)の受賞で女性最多受賞となる。うち最優秀主演女優賞は4度受賞している。山田洋次監督作品には、34年ぶりのコラボレーションとなった「母べえ」(08)に続く出演。厄介者の弟に手を焼きつつも、面倒を見ずにはいられない、心優しい姉・吟子を凛とした美しさで演じ、物語に温かみをもたらした。
優秀助演男優賞
最優秀賞柄本明「悪人」


【受賞コメント】俳優が賞を頂くには、素晴らしい脚本、共演者、スタッフの方々、そして何といっても監督との巡り合いがなければなりません。今回の監督は、非常にしつこい監督でございました。以前他の作品でご一緒した時も、「この人は未来の巨匠になる」と思ったんですが、それ以上のスピードで本当にしつこくなりました(笑)。撮影現場では、僕だけでなくほとんどの人が皆辛い顔をしておりました。僕も最後の方は腹が立って口もきかなくなりました。でも、心の中ではそんな監督の存在を待ち望んでいた自分もいて、本当にありがたかったです。

【解説】自由劇場を経て、76年に劇団東京乾電池を結成。その後、舞台から映画、テレビに活躍の場を広げ、独特の個性を発揮してきた。日本アカデミー賞は、第22回に「カンゾー先生」(98)で最優秀主演男優賞を獲得。助演男優賞は今回が4度目の受賞。本作で演じたのは、娘が出会い系サイトで出会った男に殺されてしまう、被害者の父親役。切なさと哀しみを滲ませた演技で、作品に陰影をもたらした。10年は、本作のほかにも、「孤高のメス」など出演映画が次々と公開され、報知映画賞、キネマ旬報映画賞の助演男優賞を受賞。
優秀賞石橋蓮司「今度は愛妻家」


【解説】舞台、映画、テレビドラマで活躍し、悪役からコミカルな役まで幅広い役柄を演じきってきたが、本作では主人公の家に出入りする還暦過ぎのオカマ、文太役を熱演。普段は毒舌ながら、根は優しく世話好きの文太をメリハリのある演技で鮮やかに表現し、強いインパクトを残した。日本アカデミー賞は、第5回に「獣たちの熱い眠り」(81)「魔性の夏」(81)で優秀助演男優賞、第14回に「浪人街」(90)ほかで、最優秀助演男優賞を獲得している。今回は20年ぶりの受賞となる。本作および「アウトレイジ」(10)の演技に対し、ブルーリボン賞の助演男優賞を受賞。
優秀賞岡田将生「悪人」


【解説】06年にTVCMデビュー。07年に「天然コケッコー」で鮮烈な印象を残し、テレビドラマ『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス』(TBS)や『太陽と海の教室』(CX)などに出演しブレイク。昨年の日本アカデミー賞では、「ホノカアボーイ」「僕の初恋をキミに捧ぐ」「重力ピエロ」で新人俳優賞を受賞している。本作では、これまでの優しく繊細なイメージとうって変わって、裕福で恵まれた大学生の傲慢さと無神経さをリアルに体現し、新たな一面をスクリーンで披露した。
優秀賞岡田将生「告白」


【解説】「悪人」とともに助演男優賞をダブル受賞。本作で演じたのは、娘を殺されたヒロインの後任となった新米教師“ウェルテル”こと寺田良輝役。熱血ではあるが、周りの空気が読めず、空回りしてしまう鈍感な青年を今までにないハイテンションで演じ、役柄の幅を広げている。10年は、本作「悪人」のほか、「瞬 またたき」「雷桜」と話題作への出演が続くなど、人気若手俳優として着実にキャリアと実力を積んでおり、今後も映画界での更なる活躍が期待される。
優秀賞吉川晃司「必死剣鳥刺し」


【解説】84年、初主演映画「すかんぴんウォーク」とその主題歌「モニカ」のリリースで鮮烈デビュー。その後音楽活動に専念し、ロックミュージシャンとして活躍する一方、00年より俳優業を再開。09年には、大河ドラマ『天地人』(NHK)の織田信長役が好評を博した。本作では、主人公と死闘を繰り広げる帯屋隼人正役。ほとんどセリフのない役柄ながら、殺陣のシーンではスクリーンから圧倒的な存在感を放ち、強烈な印象を残した。日本アカデミー賞は、「すかんぴんウォーク」で、第8回新人俳優賞を受賞して以来、26年ぶりの受賞となる。
優秀助演女優賞
最優秀賞樹木希林「悪人」


【受賞コメント】(受賞できるとは)毛ほども思っていなくて、困っちゃったなぁ。でも、頂きます(笑)。50年前に私が役者を始めた時、杉村春子さんが「役者っていうのは、定年がないんですよ。ありがたい仕事じゃございませんか」とおっしゃっていました。その時は18歳だったので、「そんなものか」と思っていましたが、今壇上に上がって来て、定年がなくてありがたいなとしみじみ思いました。今は晴天の霹靂という感じです。

【解説】64年にテレビドラマ『七人の孫』(TBS)に出演し話題を集め、70年代に『時間ですよ』『寺内貫太郎一家』(共にTBS)などの人気テレビドラマで個性派女優としての地位を確立し、長年第一線で活躍し続けている。日本アカデミー賞優秀助演女優賞は、第9回「夢千代日記」で初受賞以来、8度目の受賞。また、第31回には、「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」で最優秀主演女優賞を獲得した。本作では、手塩にかけて育ててきた孫・祐一が罪を犯してしまったことに衝撃を受ける祖母のやるせない心情を見事に演じた。
優秀賞蒼井優「おとうと」


【解説】99年、ミュージカル「アニー」で本格的に女優としての活動を始め、「リリィ・シュシュのすべて」(01)で映画デビュー。日本アカデミー賞は、第30回に「男たちの大和 YAMATO」と「フラガール」(共に06)で、助演女優賞をダブル受賞および新人俳優賞を受賞し、「フラガール」で最優秀助演女優賞を受賞。本作では、吉永小百合演じる吟子の一人娘として、家族の固い絆に触れ、成長していく姿を繊細に演じきった。日刊スポーツ映画大賞の助演女優賞を獲得している。
優秀賞木村佳乃「告白」


【解説】96年にNHKドラマで女優デビューを果たす。映画デビュー作となった「失楽園」(97)で日本アカデミー賞第21回新人俳優賞を第29回「蝉しぐれ」(05)で優秀主演女優賞を受賞した。息子を溺愛する過保護な母親役に扮した本作では、息子が不登校になり荒れて行くにつれ、自身も徐々にバランスを失っていく過程を鬼気迫る演技で表現し、新境地を開いた。舞台やテレビドラマでも活躍するほか、米映画の「ブラインドネス」(08)では、流暢な英語を駆使して重要な役柄を演じるなど、幅広い活躍を見せている。本作で、ブルーリボン賞の助演女優賞を受賞。
優秀賞夏川結衣「孤高のメス」


【解説】93年、「空がこんなに青いわけがない」で映画デビュー。以降、着実にキャリアを積み重ね、「DISTANCE」(01)や「歩いても歩いても」(08)などで高い評価を受けた。本作で演じたのは、医療の現場の実情に失望していたが、医師・当麻と出会い、仕事に対する誇りを取り戻していく看護師・浪子役。夫と離婚後、息子を一人で育てて来た浪子の当麻に対するほのかな恋心や揺れ動く心情を細やかに演じ、観客を物語に引き込んだ。日本アカデミー賞は今回が初受賞となる。本作で、毎日映画コンクール女優助演賞を獲得。
優秀賞満島ひかり「悪人」


【解説】ダンスヴォーカルユニット「Folder」でデビュー後、97年「モスラ2 海底の大決戦」で映画デビュー。09年は、「愛のむきだし」などの演技で様々な映画賞を受賞し、10年も「食堂かたつむり」「カケラ」「川の底からこんにちは」など出演作が続いた期待の若手女優。本作では、出会い系サイトで出会った男・祐一のプライドを容赦なく傷つけ、殺されてしまうOL役を潔く演じきり、一筋縄ではいかないドラマを盛り立てた。日本アカデミー賞は今回が初受賞となる。
優秀音楽賞
最優秀賞久石譲「悪人」


【受賞コメント】この映画は本当にいい映画で、参加できて僕も幸せだったので、これで少しはこの作品を作った監督はじめ皆さんに恩返しできたんじゃないかと思います。

【受賞歴】第14回に「カンバック」「タスマニア物語」「釣りバカ日誌2」「ペエスケ ガタピシ物語」で初受賞。11回目の受賞。うち最優秀を6度受賞。
優秀賞遠藤浩二「十三人の刺客」


【受賞コメント】この度はこの様な素晴らしい賞を頂きまして、大変光栄に思っております。私はこの作品の、また三池監督の精神世界に深く共鳴する部分を持っています。何かに依存しない、各個人が衝突した時に突然現れる様々な色。形。そして音。今回も、この部分を大切に作曲いたしました。作品に参加させて頂きました事を、監督及びプロデューサー、スタッフ、キャストの皆様に感謝申し上げます。

【受賞歴】※初受賞。
優秀賞グランドファンク「BECK」


【受賞コメント】このたびの受賞は、ご参加いただいた多くのミュージシャンや作家の方々、そして、とても大きく自由な音楽の場を与えていただいた堤監督を筆頭に、この映画に関わる全てのスタッフの方々との共同受賞だと思っております。皆様と受賞できたことを、誇らしく思います。
最後に、この作品に導いて下さった、松竹吉田、妹尾、両プロデューサーに、この場を借りて心からお礼申し上げます。ありがとうございました。

【受賞歴】※初受賞。
優秀賞冨田勲「おとうと」


【受賞コメント】今回の映画は、ラッシュを見たときに、家族と姉弟の心の奥に潜む、強い絆と愛を感じました。
堅実な姉、仮に母であっても、だいたいその傘下には こういった困ったチャンが家族にいることが
多く、彼は社会通念からはみ出してしまいます。しかし、それでも鉄郎を演じる鶴瓶さんからは、
「今に見ろ。おれにはでっかい青空が あるんやというような心意気も感じられるのですが、
それが ついつい人を騙す結果になり、それは姉を裏切ることにもなってしまう。しかし それが理解できるだけに、哀しい映画でもありました。 鉄郎のテーマはトロンボーンのソロで、最高のおおらかなハイトーンから、最低音部の限界までの広い音域を使用しました。ゆったりしたメロディーのわりには演奏は難しいのですが、中川英二郎さんは すばらしい演奏をしてくれました。

【受賞歴】第3回に「夜叉ヶ池」で初受賞。8度目の受賞。うち「たそがれ清兵衛」で最優秀を受賞。
優秀賞めいなCo.「今度は愛妻家」


【受賞コメント】ありがとうございます。とてもウレシイです。「今度は愛妻家」という、すばらしい作品に参加できて、大変光栄に思います。スタッフ、キャストの皆様に感謝致します。

【受賞歴】第25回に「GO」で初受賞。3度目の受賞。
優秀撮影賞
最優秀賞北信康「十三人の刺客」


【受賞コメント】とにかくこの作品に参加できたことが、自分の中で最優秀賞だったので、その上、賞も頂けて嬉しいです。今後も殿のお言葉に従い、愚かな道をまっすぐ迷わず、記憶に残る映画を作るために頑張ります。

【受賞歴】第27回に「阿修羅のごとく」で初受賞。3度目の受賞。
優秀賞阿藤正一/尾澤篤史「告白」


【受賞コメント(阿藤正一)】「告白」は後味のあまりよくない映画ですが、たくさんの方々に見て頂いて感謝しています。 撮影が進んでゆくにつれて、この映画の持つパワーのようなものを感じました。映画を見た多くの方々も、どこかでそれを感じて頂けたのではないかと思います。

【受賞コメント(尾澤篤史)】「告白」では本隊+セカンドユニット(B班)を担当。今回思い入れ深いのは雲です。撮影に4ヵ月程かかり中々大変でしたが満足してます。また、B班の使用機材は、ノーマルHDカメラ×3、HSカメラ×2、16ミリ、5Dと多彩でした。撮影内容に応じた機材変更に対応してくれた、IMAGICAと撮影助手達、また爆破等の素材撮影を助けてくれたB班のスタッフ。皆に助けられ今回受賞となり、感謝の気持ちで一杯です。ありがとうございました。
【受賞歴(阿藤正一)】第30回に「嫌われ松子の一生」で初受賞。3度目の受賞。
【受賞歴(尾澤篤史)】第32回に「パコと魔法の絵本」で初受賞。2度目の受賞。
優秀賞石井浩一「必死剣鳥刺し」


【受賞コメント】平山監督と初めての仕事で初めての受賞、大変嬉しく思います。
撮影直前のオールスタッフ打ち合わせの際、監督が最後に一言、「みなさんプロフェッショナルな仕事をして下さい。」と仰いました。各パートがその言葉通りの仕事をした結果が今回の受賞につながったと思います。平山監督をはじめ、この作品に携わった全てのスタッフ、キャストの皆様、そして家族に感謝しています。

【受賞歴】※初受賞。
優秀賞笠松則通「悪人」


【受賞コメント】これほど多くのロケ場所を巡る撮影も初めてでした。関東近県から始まって九州北部3県にまたがる旅をスタッフ・キャスト全員がひとつになって乗り切った感があります。ラストの五島列島福江島の大瀬崎灯台に辿り着き、東シナ海から吹き付ける寒風に身を晒しながら、ここに立てていることが信じられない様なそんな思いでした。監督始め全員が熱い思いで作ったこの映画が沢山の人に観てもらえこのような賞まで頂けて本当に嬉しく思います。

【受賞歴】第29回に「亡国のイージス」で初受賞。3度目の受賞。
優秀賞近森眞史「おとうと」


【受賞コメント】優秀賞の一本に選んで頂き、ありがとうございます。まずは、山田組の亡きキャメラマン髙羽さんに御報告したいと思います。この作品の撮影に関しての評価としては、光の方向性やアップの多さからか、及第点が頂けないなか、一連のアップ処理ゆえにあの狭い空間に一緒にいて、一緒に看取っていく一体感が良かったとの感想をベルリンで聞かせて貰ったのが、唯一の褒められた経験です。なので、今日のこの受賞は本当に嬉しい驚きです。

【受賞歴】※初受賞。
優秀照明賞
最優秀賞渡部嘉「十三人の刺客」


【受賞コメント】三池監督をはじめ、キャストスタッフの皆さん、プロデューサーの方々、僕のわがままを聞いてくれる照明の助手のみんな、家族みんなにお礼を言いたいです。どうもありがとうございました。

【受賞歴】※初受賞。
優秀賞高倉進「告白」


【受賞コメント】この度は、大変名誉ある賞に選考していただき誠に光栄に思います。これも照明部メンバーを始め、スタッフ、キャストの皆さんの気持ちが一つになった結果だと思います。大変感謝しております。辛い現場だったのですが、この『告白』という作品に出会えた事、大変嬉しく思っております。どうもありがとうございました。

【受賞歴】第32回に「パコと魔法の絵本」で初受賞。2度目の受賞。
優秀賞椎原教貴「必死剣鳥刺し」


【受賞コメント】久しぶりの時代劇、ましてや本格的武家ものでした。準備段階では色々小細工など考えましたが平山監督の「暗いところは暗く淡々と積み上げればよい」のアドバイス。三佐エ門の静かで淡々としてしかしどこか緊張感漂う男。それに合致する明り……それを創れたか。作品の風格に合った明りが創れたか。今後の課題も多々あります。この作品に携わった全ての方々に感謝します。最後迄協力してくれた助手さん達に感謝します。

【受賞歴】※初受賞。
優秀賞岩下和裕「悪人」


【受賞コメント】この度は優秀照明賞ありがとうございます。李組では照明以外に現場の雰囲気や空気感を重要視し、監督の表現したい「悪人」の世界をサポートする事を考えていました。撮影中はカメラマンの笠松さんと常に相談し1カット事丁寧に取り組みました。その結果が今回の受賞につながり、照明部並びにスタッフ関係者に感謝するとともに、改めて私を育てくれた諸先輩方に感謝致します。

【受賞歴】※初受賞。
優秀賞渡邊孝一「おとうと」


【受賞コメント】すばらしい賞を頂きありがとうございます。山田組の参加は初めてで独特の雰囲気そして緊張感の中「タフ」な撮影の連続でした。他の現場では味わえないスケジュールで、多くの反省点はありますが、ゆとりを持って納得の行く仕事ができたと思います。今回の作品で沢山の事を勉強させて頂き、又忘れかけていた事も再認識できました。監督はじめ、スタッフ、キャストの皆様ありがとうございました。

【受賞歴】第26回に「ピンポン」で初受賞。3度目の受賞。
優秀美術賞
最優秀賞林田裕至「十三人の刺客」


【受賞コメント】こういった賞をもらったことがないので、非常に緊張しています。大好きな時代劇で選んで頂いて本当に嬉しく思っております。スタッフ、キャストの皆さん、ありがとうございました。

【受賞歴】※初受賞。
優秀賞桑島十和子「告白」


【受賞コメント】この度は素敵な賞を頂きましてありがとうございます。
「告白」は台本を読んだ時から、観ている人たちが美術に気が付かなければいいなぁ、と思っていました。
ところが、気が付かれてしまった様で何だか複雑な思いです。
気が付いて下さったたくさんの皆様に感謝いたします!
ありがとうございました!

【受賞歴】第30回に「嫌われ松子の一生」で初受賞。第32回に「パコと魔法の絵本」で最優秀を受賞。3度目の受賞。
優秀賞種田陽平/杉本亮「悪人」


【受賞コメント(種田陽平)】この映画に関わることができてよかったと思います。「悪人」は一見地味な世界観の作品ですが、こうして作品そのものが評価され、美術部門も優秀賞を頂きました。大変嬉しく、また光栄に感じています。ありがとうございました。美術スタッフ、監督はじめ全スタッフ全キャストに感謝します。
【受賞コメント(杉本亮)】過酷な建て込み、撮影の日々。苦楽を共にした装飾の田口さん始め装飾部の皆さん、美術、大道具、塗装、そして佐賀、福岡、長崎、福江島スタッフの皆様、本当にお疲れさまでした。苦労した皆と共にこの受賞の喜びを分かち合いたいと思います。ありがとうございました。

【受賞歴(種田陽平)】第20回に「スワロウテイル」で初受賞。3年連続、6度目の受賞。第33回に「ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~」で最優秀を受賞。
【受賞歴(杉本亮)】杉本/※初受賞。
優秀賞花谷秀文「大奥」


【受賞コメント】この作品を共にしたスタッフ、キャストの皆さまに御礼申し上げます。時代劇のデザインは長年の夢でした。その念願叶った「大奥」でこの様な賞をいただき、喜びもこの上ありません。
特に初コラボとなった京都撮影所の皆さま。一体となってアイデアを搾り、皆でそれを越す答えを出すことができました。京都の愉快な仲間達と一緒に頂いた賞だと思います。ありがとうございました。

【受賞歴】※初受賞。
優秀賞松宮敏之「桜田門外ノ変」


【受賞コメント】大雪に見舞われた幕末の江戸城「桜田門外ノ変」。この当時の状況を少しでも感じてもらいたいと思い臨みました。多くの方々の支えと協力の元、造り込んでいけたことを幸せに思います。今回の受賞にあたり監督はじめスタッフ、キャストの皆様に深く感謝いたします。ありがとうございます。

【受賞歴】第20回に「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」で初受賞。4度目の受賞。うち第25回「千年の恋 ひかる源氏物語」と第30回「男たちの大和 YAMATO」で最優秀を受賞。
優秀録音賞
最優秀賞中村淳「十三人の刺客」


【受賞コメント】(「十三人の刺客」の受賞が)続いていたのでプレッシャーがありました。もらえないのではないかと思っていたので、頂けてほっとしています。三池監督とは、もう15年ぐらい一緒にやっていて、三池さんの作品で受賞できたということがすごく嬉しく思っています。

【受賞歴】第23回に「金融腐蝕列島 呪縛」で初受賞。3度目の受賞。
優秀賞岸田和美「おとうと」


【受賞コメント】今回「おとうと」において日本アカデミー賞優秀録音賞をいただき、スタッフの皆様に感謝申し上げたいと思います。山田組の厳しく温かいチームワークに支えられ心地よい緊張感を味わいながら参加できた作品でした。今回の作品は家族の絆、姉弟そして死という作品でした。笑福亭鶴瓶さんの役に対する姿勢に感動しました。キャストの全員が声がいいので録音しやすく最高でした。関係者の皆様に深く感謝しております。

【受賞歴】第24回に「十五才 学校Ⅳ」で初受賞。6度目の受賞。うち「たそがれ清兵衛」で最優秀を受賞。
優秀賞白取貢「悪人」


【受賞コメント】この度、優秀録音賞に選んでいただき誠にありがとうございます。
この作品をたくさんの方に観て頂き、数々の賞も貰い、そして、この日本アカデミー賞という晴れ舞台で、スタッフ、キャストで喜びを共有出来る事を、たいへん嬉しく思います。
この映画を支えてくれた皆さん、ありがとうございます。

【受賞歴】第30回に「フラガール」で初受賞。2年連続3度目の受賞。
優秀賞田中靖志「必死剣鳥刺し」


【受賞コメント】平山監督、スタッフ、キャストの皆様のおかげで受賞することができました。ありがとうございます。
セリフはできるだけ現場処理でいきたいという監督の意向があったので、極力同時録音できるよう、また時代劇という事で、現代音が入らないように努力しました。
他のパートの皆さんには随分ご協力頂き、感謝しています。
監督が意図するリアリズム、空気感を表現できるように努力しましたが、評価して頂き大変嬉しいです。

【受賞歴】※初受賞。
優秀賞矢野正人「告白」


【受賞コメント】この度は名誉ある優秀録音賞を頂き、ありがとうございます。監督を始めキャスト・スタッフ(仕上げスタッフ)の皆様に感謝いたします。「告白」、この作品が写し出す世界観を大切に生かせる音作りを心掛け仕上げていきました。R-15指定という作品でありましたが、大勢の方に観て頂き、大変うれしく思います。

【受賞歴】第32回に「クライマーズ・ハイ」で初受賞。2度目の受賞。
優秀編集賞
最優秀賞小池義幸「告白」


【受賞コメント】監督から「ありがとう」という大きな声を頂いてすごく嬉しいです。ただ、この映画はとても暗い作品なので、映画が少し嫌いになった一面もありますが、このような賞を頂けて、またこれからも前を向いて頑張っていきたいと思います。

【受賞歴】第30回に「嫌われ松子の一生」で初受賞にして最優秀を受賞。3度目の受賞。
優秀賞石井巌「おとうと」


【受賞コメント】「おとうと」で名誉ある優秀編集賞を頂き大変嬉しく思っております。この作品に携わったスタッフの皆さんと、現像所の皆さんのご尽力、そして編集部の仲間の支えがあって、主に仕上げの編集を集中して出来たと思います。その皆々様に感謝しつつ、今回の受賞を共に喜びたいと思います。誠にありがとうございました。

【受賞歴】第15回に「男はつらいよ 寅次郎の告白」「息子」で初受賞。8度目の受賞。うち「たそがれ清兵衛」で最優秀を受賞。
優秀賞今井剛「悪人」


【受賞コメント】力強い映像と世界観。
オーラを感じる役者陣の演技。
現場から送られてきたフィルムに、その想いが強烈に焼き付けられていたのを記憶しています。
「悪人」という作品に参加できた事が、何よりも幸せです。
ありがとうございました。

【受賞歴】第25回に「GO」で初受賞にして最優秀を受賞。6度目の受賞。
優秀賞洲﨑千恵子「必死剣鳥刺し」


【受賞コメント】優秀編集賞受賞者に選ばれ大変光栄です。能舞台、所作、殺陣、又昨今減少しているフィルム編集であること等、自分にとっては課題の多い作品でしたが数々の時代劇を見直すことで諸先輩方の編集技術を改めて学ばせて頂きました。そして今作に私を導いてくださった、平山秀幸監督に心から感謝しております。 この受賞を励みに今後一層、精進してまいります。ありがとうございました。

【受賞歴】※初受賞。
優秀賞山下健治「十三人の刺客」


【受賞コメント】この度、賞を頂き大変嬉しく思います。「十三人の刺客」では、そう遠くない昔の私達の先祖の生き様を見せつけられました。現場には、これを表現すべく奮闘するキャストやスタッフの方々の熱き思いがありました。一緒に仕事をさせて頂いた三池崇史監督を始め、関係者の方々には感謝したいと思います。また今回の受賞は、島村泰司先輩の築いてこられた功績とご指導があってのことだと感じています。皆様、本当にありがとうございます。

【受賞歴】※初受賞。
優秀外国作品賞
(C)2009 Twentieth Century Fox
最優秀賞アバター


【受賞コメント】最優秀賞ありがとうございます。本当に感謝しております。「アバター」は、興収の世界記録を更新したと共に3D映画の歴史を塗り替えた作品だと自負しております。キャメロン監督の熱意と飽くなき探究心により、この素晴らしい映画は完成しました。「アバター2」、「3」の公開も2014年、15年に決定しておりますので、更に素晴らしい映像を皆様にご提供できると思います。(20世紀フォックス映画 浮島敏之)

【作品情報】ジェームズ・キャメロン監督が構想14年、製作4年をかけて生み出した12年ぶりの新作は、自らが「タイタニック」(97)で打ちたてた世界歴代興行収入1位の記録を塗りかえる大ヒット。22世紀、地球から遠く離れた惑星“パンドラ”を舞台に、自らの分身(アバター)を操る主人公の成長と冒険を圧倒的なスケールで描き、リアル3D技術を駆使した映像も大きな話題となった。第67回ゴールデングローブ賞において作品賞(ドラマ部門)と監督賞を受賞。第82回アカデミー賞において9部門ノミネート、撮影賞、美術賞、視覚効果賞の3部門受賞。報知映画賞の海外部門作品賞を受賞している。
監督:ジェームズ・キャメロン
脚本:ジェームズ・キャメロン
配給:20世紀フォックス映画
優秀賞インセプション


【作品情報】「ダークナイト」が絶賛されたクリストファー・ノーラン監督がオリジナル脚本も務めたSFアクション大作。人の潜在意識に潜入してアイディアを盗み、国際指名手配犯となった産業スパイが、起死回生のため、“インセプション”と呼ばれるミッションに挑むが……。独創的でスタイリッシュな映像と先の読めないストーリー展開に引き込まれる。主人公をレオナルド・ディカプリオが演じる他、昨年「沈まぬ太陽」で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞した渡辺謙が、主人公にミッションを依頼する大企業のトップ役で出演しているのにも注目だ。
監督:クリストファー・ノーラン
脚本:クリストファー・ノーラン
配給:ワーナー・ブラザース映画
優秀賞インビクタス 負けざる者たち


【作品情報】95年、南アフリカで開催されたラグビーワールドカップ。94年に南アフリカ初の黒人大統領となったネルソン・マンデラは、代表チームの白人キャプテンとともに、弱小だった代表チームを初出場、初優勝に導く。感動の実話を、これが記念すべき監督30作目となるクリント・イーストウッド監督が映画化。ネルソン・マンデラを演じるのは、マンデラ自身の希望でもある名優、モーガン・フリーマンで、本作のプロデュースも務めている。不可能に思われたチャレンジにもあきらめることなく、優勝を成し遂げ、国を団結させたスポーツマンたちの姿が熱い感動を呼ぶ。
監督:クリント・イーストウッド
脚本:アンソニー・ペッカム
配給:ワーナー・ブラザース映画
優秀賞トイ・ストーリー3


【作品情報】96年と99年に日本公開され大ヒットした「トイ・ストーリー」シリーズの第3作目で、3D版も製作された。主人公、アンディの大学進学を前に、保育園に寄付されてしまったおもちゃたちの冒険、心の葛藤などが描かれ、「1」で編集、「2」では共同監督として関わっていたリー・アンクリッチが監督を務めている。声優には、トム・ハンクスをはじめ、過去2作でもキャラクターの声を担当した役者陣が再結集しており、アンディの声を演じていた子役ジョン・モリスが成長したアンディの声を演じているのも話題に。ジブリへのオマージュとして、トトロも出演を果たしている。
監督:リー・アンクリッチ
脚本:マイケル・アーント 
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
優秀賞ハート・ロッカー


【作品情報】04年、戦時下のイラクを舞台に、日々危険と隣り合わせで爆発物処理に従事する特殊部隊の兵士たちの過酷な任務と極限の心理状態をリアルに描き、戦場の実態をあぶり出す問題作。脚本は、「告発のとき」の原案提供者であり、脚本家兼ジャーナリストのマーク・ボールが取材をもとに手掛けたオリジナル。イラクの隣国のヨルダンでロケを敢行したリアリティ溢れる映像も、作品に一層の緊迫感をもたらす。第82回アカデミー賞の作品賞、監督賞など計6部門を受賞。監督のキャスリン・ビグローは、史上初の女性によるアカデミー監督賞受賞となった。日刊スポーツ映画大賞の外国映画賞を受賞。
監督:キャスリン・ビグロー
脚本:マーク・ボール
配給:ブロードメディア・スタジオ
新人俳優賞
優秀賞芦田愛菜「ゴースト もういちど抱きしめたい」


【受賞コメント】素晴らしい賞を頂いて、今とてもドキドキしています。これからも一生懸命お芝居頑張ります。

【解説】昨年のテレビドラマ『Mother』(NTV)で視聴者の涙を誘い一躍注目を浴びる。新米ゴーストとなった主人公に様々な事柄を教える少女ゴースト役で出演した本作では、離れ離れになった母親を恋しがる泣きの演技が、観客の涙を誘った。「告白」にも、ヒロインの殺されてしまう娘・愛美役で出演。04年生まれの6歳で、日本アカデミー賞史上最年少での新人賞受賞となる。
優秀賞大野百花「きな子~見習い警察犬の物語~」


【受賞コメント】ここに私がいるのは自分一人の力だけではないと思っています。私を支えてくださった全ての方々に感謝いたします。

【解説】幼稚園の頃から芸能活動を始め、数々のTVドラマ、映画、CMなどで活躍。警察犬試験に落ちてばかりのラブラドール・リトリーバー「きな子」の実話をもとにした本作では、警察犬訓練所の所長の娘・新奈役。周囲に鋭い突っ込みを入れる、勝気でしっかり者の少女を、自身は東京都出身ながら見事な讃岐弁を操って演じきり、鮮烈な印象を残した。
優秀賞仲里依紗「ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲」「時をかける少女」


【受賞コメント】対照的な二つの作品で、この賞を頂けたことが本当に嬉しいです。これからも頑張りますので、応援よろしくお願いいたします。

【解説】ティーン誌のモデルとして活動後、女優デビュー。初のヒール役となった「ゼブラーマン~」では、パワフルな歌、ダンスを披露するほか、ワイヤーアクションにも挑戦し新境地を開いた。一方、「時をかける少女」で、70年代にタイムリープしてしまう清純な女性高生役を、伸びやかに演じている。この2作品での演技で、日刊スポーツ映画大賞の新人賞も受賞。
優秀賞永山絢斗「ソフトボーイ」


【受賞コメント】いろいろな作品でご一緒した方々、皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。また、違った形でこの場所に戻ってこられるように日々精進していきたいと思います。

【解説】07年に俳優デビューを果たし、「フレフレ少女」(08)で映画デビュー。以降、テレビドラマ、映画に次々と出演。10年は本作のほか、「ソラニン」「悪人」など、5本の出演映画が公開された。映画初主演映画となった本作では、幼なじみに押し切られ、ソフトボールを始める主人公役。振り回されてばかりの頼りない高校生が成長していく過程を繊細に表現し、作品を牽引した。
優秀賞三浦翔平「THE LAST MESSAGE 海猿」


【受賞コメント】キャストの皆様、監督をはじめとするスタッフの皆様、「海猿」をご覧になってくださった皆様に、心から感謝しております。

【解説】07年、「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でフォトジェニック賞ほかを受賞し芸能界入り。08年テレビドラマ『ごくせん』(NTV第三シリーズ)で俳優デビューを果たし、注目を集める。人気シリーズの映画三作目である本作では、主人公の新たなバディ(相棒)役に抜擢され、体を張った熱演を披露。新米潜水士が一人前に育っていく姿をエネルギッシュに演じきった。
優秀賞三浦貴大「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」


【受賞コメント】本当に素晴らしい方々に出会えたからこそ、頂けた賞だと思っています。これからもこの賞に恥じないような俳優になっていきたいと思います。

【解説】俳優デビュー作となった本作で、怪我のためプロ野球選手になる夢をあきらめローカル線の運転手になった青年・宮田を演じた。ぶっきらぼうだった青年が、主人公と関わり仕事に目覚めていく様を爽やかな魅力で好演し、注目を集めた。10年は、「FLOWERS-フラワーズ-」「SPACE BATTLESHIPヤマト」にも出演。報知映画賞の新人賞を獲得している。
協会特別賞
優秀賞上野隆三「殺陣」


【受賞コメント】東映には、昭和29年から東映剣会という、斬られ役専門の集団があるんですが、その人たちに助けて頂いて、今日まで来ました。先輩、同僚、そして後輩たちの代表として、こんな素晴らしい席に送って頂いたと思っています。これからも頑張ります。

【解説】映画ファンならば時代劇映画の大きな魅力が殺陣にあることを誰もが知っている。永田哲朗氏の名著「殺陣」によれば「歌舞伎では闘争形式を『タテ』いう。闘争の演技そのものは『立回り』であり、その型が『タテ』だ。タテは立回りの立の字をとって略称された」とか。東映剣会特別会員であり重鎮である上野氏は、56年に東映京都撮影所に演技者として入所。59年に恩師、足立伶二郎氏の推薦で殺陣師に転向。伊藤大輔監督や内田吐夢監督に助手として就き、「鷹天皇飄々剣・吉野の風雲児」(59)で殺陣師としてデビュー。「忍者狩り」(64)「十一人の侍」(67)「藪の中の黒猫」(68)「仁義なき戦い」シリーズ(73~74)「柳生一族の陰謀」(78)など時代劇、現代劇を問わず、現在に至るまで映画だけでも170本の作品を担当。TBS『水戸黄門』などのテレビ時代劇や近年ではNHK『聖徳太子』『大化の改新』『大仏開眼』などにも活躍の場を広げている。50年以上の長きに亘り、現在も現役の殺陣師として第一線で活躍しながら、若手の育成にも尽力。れっぱく裂帛の気合いで白刃を一閃!鮮やかな殺陣に映画の魂が込められている。
優秀賞久世浩「殺陣」


【受賞コメント】こんな素晴らしい賞を頂いて、本当にありがとうございました。

【解説】三船敏郎と仲代達矢の対決場面の凄まじさで、従来の殺陣に革命的な衝撃をもたらした黒澤明監督「椿三十郎」(62)の殺陣を担当したのが久世浩氏の師、久世竜氏であり、その合理的なリアリズムは観客の度肝を抜いた。門下生として久世竜氏に就いたのが67年。研讃を積み、「青春の門」(75)で殺陣師として独立。武家の作法や所作に深い造詣を持ち、時代劇映画には欠かせぬ存在だが、現代劇にも手腕を発揮してきた。「人間の証明」(77)「野性の証明」(78)「四谷怪談より・魔性の夏」(81)「乱」(85)「鑓の権三」(86)「敦煌」(88)「満月」(91)「おろしや国酔夢譚」(92)「虹の橋」(93)「岸和田少年愚連隊」(96)「雨あがる」(99)「たそがれ清兵衛」「海は見ていた」(共に02)「武士の一分」(06)「ICHI」(08)「大奥」「必死剣鳥刺し」「桜田門外の変」(共に10)など数多くの作品の殺陣にオリジナルな工夫を盛り込み、その活動領域を映画のみならず舞台やテレビドラマに広げ活性化させている。新人たちを養成し、自ら主催する久世七曜会は、殺陣に、剣、槍、小太刀、薙刀、棒、縄、素手の七つを使うことから命名されたという。
優秀賞松本良二「装飾」


【受賞コメント】このような賞を頂いて大変ありがたいと思っています。ありがとうございました。

【解説】
映画における装飾とは、映画に必要な全ての諸道具――家具、生活用品、趣味娯楽用品、備品、陳列用品、種々雑多な大小の物品、環境表現のための品を用意し、飾り込み、そして出演者が身につける大小用具を選択し、集荷し、購入することからはじまる。そこで選ばれる品は登場人物の身分や職業、性格、趣味、さらに健康状態や経済状態まで表現する。脚本を読み込み、美術を含めた映画全般に対する知性と教養が要求されるが、松本氏はその第一人者である。68年からテレビ局で美術装飾の経験を積み、70年に大御所・西村伸明氏に師事し、装飾係となる。75年から装飾責任者として、日活、東宝、円谷プロなどの作品を担当し、80年に独立。主に日活撮影所をフィールドとして、「山下少年物語」(85)「ドグラマグラ」(88)「ひかりごけ」(92)「居酒屋ゆうれい」(94)「君を忘れない」(95)「学校の怪談」シリーズ(95~99)「愛を乞うひと」(98)「仄暗い水の底から」(01)「OUT」(02)「油断大敵」(03)「しゃべれどもしゃべれども」(06)など60本を越える映画作品を担当。日活芸術学院美術コースの生徒の現場研修にも積極的に関わり、美術助手、装飾を希望する後進の熱心な指導者としても知られる。
優秀賞矢島信男「特技監督」


【受賞コメント】今までは、今は亡き深作監督の作品に多く関わってまいりました。特撮のスタッフにとって(この賞は)非常に励みになると思います。ありがとうございました。

【解説】映画の夢の力を担う象徴が特撮だと思えば、話は早い。独創的な視点と発想が、そしてそれを形にする情熱が常に要求され、豊かなイメージは映像の夢として具体化される。その担い手である矢島氏は49年、松竹大船撮影所特殊技術課へ入社し、元・東宝特撮キャメラマンの川上景司氏に師事、松竹時代には「君の名は 第三部」(54)「修禅寺物語」(55)などで特撮キャメラマンを担当。59年、大川博社長に招かれ、東映東京撮影所へ移籍。60年代はテレビ特撮作品も数多く手がけ、東映特撮の基礎を築く。65年、株式会社特撮研究所を設立。70年代には『人造人間キカイダー』(NET)などのヒット作を送り出すが、当時は『特技監督』というクレジットは円谷プロのもの、という印象が定着していたため、タイトルから名前が外されていたという事情があった。「宇宙からのメッセージ」(78)を機に東映でも特技監督表記が解禁され、以後「魔界転生」(81)「里見八犬伝」(83)「空海」(84)などを担当し、精力的な活動が続く。90年代からは後進に特技監督の座を譲り、監修的な立場に回るが、その技術は脈脈と受け継がれている。06年には第4回文化庁映画賞・映画功労表彰を受賞。
優秀賞野上照代「記録・黒澤組プロダクションマネージャー」


【受賞コメント】長生きをするとこういう良いこともあるのかなと。それと、とにかく運のいい一生でしたから、間にあって良かったなという感じもあります。どうもありがとうございました。

【解説】スクリプターとして、プロダクションマネージャーとして、そしてエッセイストとして、日本映画の黄金時代の一翼を担い、巨匠や精鋭スタッフとの交流の日々を鮮やかに照射し、伝承していく役割を積極的に果たしている野上氏は、伊丹万作監督との縁で49年に大映京都撮影所にスクリプター見習いとして採用され、50年黒澤明監督「羅生門」にスクリプターとして参加する。51年、東宝に移り、「白痴」(51)以外の全ての黒沢作品に記録、編集、製作補として関わることになる。その間、CM制作も手がけるが、黒沢映画の創作の秘密の貴重な証言者として知られるようになる。84年には自らの少女時代を描いた「父へのレクイエム」が第5回読売女性ヒューマン・ドキュメンタリー大賞の優秀賞を受賞。08年1月には同作を原作とした山田洋次監督「母べえ」が公開された。著書に「天気待ち 監督・黒澤明とともに」「蜥蜴の尻っぽ とっておきの映画の話」などがあり、84年山路ふみ賞功労賞、05年文化庁映画賞・映画功労表彰部門、10年第28回川喜多賞などの受賞歴がある。
岡田茂賞
優秀賞映像京都株式会社


【受賞コメント】代表の西岡善信さんのコメントを専務取締役・西村維樹さんが来場し、代読した。
「この度、映像京都株式会社が栄えある岡田茂賞を頂きました。私たちは、「最後の忠臣蔵」の製作協力をもって終止符を打つことになりましたが、数多くの時代劇作品を作り続けてまいりました。今は、解散の惜別の思いでいっぱいです。この受賞を機に次の世代が、さらなる高品質の作品を京都から送り続けていければと願っております。本日はありがとうございました」

【解説】旧大映のメインスタッフが集う映像京都は72年に設立されたが、テレビ映画に進出する一方で、「浪人街」(90)や「御法度」(99)「どら平太」(00)「たそがれ清兵衛」(02)などの映画にも意欲的に製作協力し、日本映画の伝統を守り通すと共に、その底力をも示したと言える。長く代表取締役として映像京都を牽引してきた西岡善信は美術監督の第一人者。48年に大映京都撮影所美術部に入社し、「天保水滸伝」(52)で美術監督に昇進。カンヌ国際映画祭グランプリを受賞した衣笠貞之助監督「地獄門」(53)などの文芸作品から、市川雷蔵、勝新太郎主演のプログラムピクチュアまで、大映時代に手がけた作品は180本。映像京都設立後も美術監督として「鬼龍院花子の生涯」(81)「陽暉楼」(83)「瀬戸内少年野球団」(84)「豪姫」(91)「助太刀屋助六」(02)など数多くの作品に参加する。重厚にして清新な感覚に充ちた美術は、巨匠たちの作品をグレードアップさせ、自らプロデュースした映画も多い。映像京都が関わった名作が、日本映画をより豊饒に彩ったことは確実であり、その独特の映像美と技術は映画の可能性を無限に切り拓いていった。
会長特別賞
優秀賞井上梅次(いのうえ うめつぐ/監督 1923.5.31~2010.2.11 享年86歳)


【受賞コメント】監督は生前たくさんの映画を撮らせて頂きました。そしてまた今日はこんなに素晴らしい賞まで頂いて。皆さんのおかげです。ありがとうございました。いつも心で感謝しております。監督も私も、長い間、日本映画界で仕事をさせて頂いたことは、本当に嬉しいことだったといつも思っております。これからの日本映画界を、今日おいでの皆様方でどうぞ盛り上げてください。(代理:奥様で女優の月丘夢路さん)

【解説】アクションやサスペンス、メロドラマなど娯楽映画のあらゆるジャンルを手がけ、その確かな職人芸で常に水準以上の作品を送り出してきた井上梅次監督は47年新東宝入社。自作の脚本で実績を示し、52年助監督歴僅か5年で監督に昇進(「恋の応援団長」)。日活に移籍後は、当時売り出し中の石原裕次郎主演「嵐を呼ぶ男」(57)を大ヒットさせる。石原裕次郎とは「鷲と鷹」(57)「夜の牙」「明日は明日の風が吹く」(共に58)などでも組み、大スターとしての地位を確立させた。新東宝からキャリアをスタートし、日活、東宝、大映、松竹、東映と全ての大手映画会社で活躍。日本映画の黄金時代を支える存在であった。日本国内だけに留まらず、黎明期のショウ・ブラザーズに招聘され、香港でも作品を発表し、多くの技術者を育てた。劇場用映画のみならず多くのテレフィーチャーを監督し、脚本家、作詞家としても活躍。「娯楽映画とは何か」を徹底的に追求し、飽くなき好奇心で様々な題材に挑み、後進にも強い影響を与えたことで、戦後の日本映画史を語る上では欠かせぬ功績を残したと言える。
優秀賞北林谷栄(きたばやし たにえ/女優 1911.5.21~2010.4.27 享年98歳)


【受賞コメント】北林谷栄さんは、1950年、つまり今から60年前、滝沢修、清水将夫、宇野重吉と一緒に劇団民芸を創立した優れた俳優であり、僕ら劇団民芸の劇団員にとっては強烈な個性を持った指導者であり、先輩でありました。 (代理:俳優の大滝秀治さん)

【解説】老若男女に親しまれ、日本を代表する『おばあちゃん』役者であると同時に、筋金入りの演劇人でもあった。31年に創作座の研究生になり、35年の初舞台「温室村」で初主演。50年には劇団民藝の創立に加わり、幹部女優として舞台のみならず、映画やテレビドラマなど幅広いジャンルで活躍し、紀伊国屋演劇賞など数々の受賞歴に輝く。映画初主演は「禍福」(37)。若い頃から老け役を得意とし、市川崑監督「ビルマの竪琴」(56)では物売りの老婆役で出演し、85年に同監督でリメイクされた「ビルマの竪琴」でも同じ役で出演している。約130本の映画に出演したが、今井正監督「キクとイサム」(59)では黒人との混血児を育てる祖母役、山本薩夫監督「華麗なる一族」(74)では台詞は「あっ、そう」の一言と笑い声だけという総理夫人役、そして「大誘拐RAINBOW KIDS」(91)では権力を手玉にとる痛快なヒロインとし子と刀じ自役をそれぞれ演じ、絶賛された。03年4月11日から13日まで世田谷パブリックシアターで催された舞台「北林谷栄の世界」が公の場に出た最後になった。「蓮以子八〇歳」や「九十三歳春秋」などの著書があり、78年には紫綬褒章を受章。
優秀賞木村威夫(きむら たけお/美術 1918.4.1~2010.3.21 享年91歳)


【受賞コメント】父は華やかなこと、賑やかなことが大好きでしたので、天国にいるにはちょっと遠すぎます。今日はこの辺までふわふわと出てきていると思います。どうもありがとうございました。(代理:お嬢様の宮本苑生さん)

【解説】舞台美術家の重鎮である伊藤喜朔の門下生となり41年、日活多摩川撮影所へ入社。のち大映に所属し、「海の呼ぶ声」(45)で美術監督に昇進。54年、日活に移籍し、「黒い潮」(54)「警察日記」(55)「陽のあたる坂道」(58)を経て、「悪太郎」(63)で鈴木清順監督に出会う。以後「春婦伝」「刺青一代」(共に65)「東京流れ者」「けんかえれじい」(共に66)など一連の清順作品で、大胆かつ独創的な空間デザインに個性を発揮する。その一方でリアルな造形にも執念を燃やし、72年フリーになってからも「忍ぶ川」(72)「サンダンカン八番娼館 望郷」(74)「ツィゴイネルワイゼン」(80)「未完の対局」(82)「火まつり」(85)「夢みるように眠りたい」(86)「少年時代」(90)などの名作を手がける。04年には初の監督作品となる短編「夢幻彷徨」を公開、次いで08年には長編「夢のまにまに」を公開。これが長編映画デビュー作としては世界最高年齢(90才)であるとしてギネス・ワールド・レコーズに登録され、監督第二作目「黄金花」(09)も発表した。著書に「わが本籍は映画館」「映画美術擬景・借景・嘘百景」などがあり、映画美術の秘儀を披露する。
優秀賞小林桂樹(こばやし けいじゅ/俳優 1923.11.23~2010.9.16 享年86歳)


【受賞コメント】このような賞を祖父に頂きありがとうございます。長い間ご一緒して頂いた皆さんと応援し続けてくださった皆様に、今祖父も感謝を申し上げていると思います。本当にありがとうございました。(代理:お孫さんの宮川素実さん)

【解説】その生涯に出演した映画は実に253本に及ぶ。学生時代から映画好きで、日活演技研究所の研究生を経て「微笑の国」(42)の工員役で映画デビュー。招集され復員後は二枚目でも三枚目でもない独特の演技が、しだいに周囲に認められ、東宝のサラリーマン喜劇「ホープさん」(51)で主役を務め、注目される。翌52年に東宝と契約し、「三等重役」(52)から「社長」シリーズ(56~71)の全てに出演。庶民的で平凡なサラリーマンを演じて右に出る物はなく売れっ子になるが、役柄の守備範囲は広い。出演作100本記念映画「裸の大将」(58)では実在の天才画家・山下清を、「黒い画集・あるサラリーマンの証言」(60)では小市民的な課長、「名もなく貧しく美しく」(61)では高峰秀子と共に逆境に生きる夫婦、「江分利満氏の優雅な生活」(63)では原作者の山口瞳そっくりの戦中派の中年男、「けものみち」(65)では悪徳刑事、「首」(68)では真実の追究に執念を燃やす弁護士、「日本沈没」(73)では科学者・田所博士をそれぞれ絶妙に演じて、映画ファンを唸らせた。85年、紫綬褒章、87年、放送文化賞、94年勲四等旭小綬章など受賞(章)歴も多数。
優秀賞西河克己(にしかわ かつみ/監督 1918.7.1~2010.4.6 享年91歳)


【受賞コメント】本日はどうもありがとうございます。父の作品は地味ですけれども、本人は目立ちたがり屋なので今日はとても喜んでいると思います。どうもありがとうございました。(代理:お嬢様の西河ゆあみさん)

【解説】日中戦争真っ只中に大学卒業後、招集されて旧満州やビルマへ出征。捕虜収容所も経験した青春時代の過酷な経験が逆に作用したのか、西河作品は文芸、アクション、青春映画、歌謡映画、メロドラマと多種多様なジャンルを横断しつつ、登場人物への眼差しは穏やかであり、一貫して心優しい作風だった。渋谷実、原研吉、中村登らの名匠に師事した後、助監督待遇のまま、松竹で「伊豆の艶歌師」(52)を初監督。54年に日活移籍後は「青い山脈」「伊豆の踊子」(共に63)「帰郷」(64)など吉永小百合主演作品で、その才能を遺憾なく発揮する。70年代前半はテレビ界に進出していたが、半ばからは映画界に復帰し、山口百恵、三浦友和のゴールデンコンビで「伊豆の踊子」(74)をリメイクして大ヒットさせ、以後「潮騒」「絶唱」(共に75)「春琴抄」(76)「霧の旗」(77)などリメイク作品を連打する。60才を過ぎてからも秋吉久美子、森昌子、小泉今日子、富田靖子らの主演作を手がけ、単なるアイドル映画としてではなく、女優へのステップとして彼女たちの魅力を存分に引き出したことも特筆に値するだろう。91年には勲四等瑞宝章を受章。

登川直樹
<評論家>
つかこうへい
<劇作家/脚本家>
南 美江
<俳優>
池内淳子
<俳優>
星野哲郎
<作詞家>
藤田まこと
<俳優>
松尾昭典
<監督>
今 敏
<アニメ監督>
池部 良
<俳優>
渡辺三雄
<照明>
佐藤 慶
<俳優>
早乙女 愛
<俳優>
谷 啓
<俳優>
野沢那智
<声優>
高峰秀子
<俳優>
中村公彦
<美術>
長谷川裕見子
<俳優>
橘 祐典
<監督>
西崎義展
<プロデューサー>

映画界に多大なる功績を残され2010年に逝去された映画人(没日順)

話題賞

作品部門:「SP野望篇」


監督:波多野貴文
脚本:金城一紀
製作:フジテレビジョン/ジェイ・ストーム/東宝/ROBOT/FNS27社

俳優部門:岡村隆史「てぃだかんかん~海とサンゴと小さな奇跡~」


監督:李闘士男 脚本:鈴木 聡、林 民夫
製作:「てぃだかんかん」製作委員会