第33回日本アカデミー賞優秀作品一覧に戻る
日時: 2010(平成22)年3月5日(金)
場所: グランドプリンスホテル新高輪
司会: 関根勤/木村多江

優秀作品賞
最優秀賞/優秀賞
(C)2009「沈まぬ太陽」製作委員会

最優秀作品賞 「沈まぬ太陽」


(角川歴彦製作総指揮)「映画やってて良かったと思います。すべての人に感謝したいと思います。今回本当に難しい映画だったということは重々わかっていたんですけども、監督も、謙さんも、三浦さんも、全ての人がみんな一生懸命だったので乗り越えることができました。こんなにプレッシャーを感じることは、人生66年、これが初めてです」
(渡辺謙)「木村大作さんすみません。これ(最優秀主演男優賞)より嬉しいです。本当にこれが一番取りたかった賞なので」<木村大作さん客席より「僕も取りたかった!」>
(若松節朗監督)「大作さんすみません。本当にうれしいです。いま山崎先生が一番うれしがってると思います」

<作品情報>
人気作家、山崎豊子による、累計600万部を超えるベストセラー小説の映画化。そのスケールの大きさから映像化不可能と言われたが、原作の刊行から10年の時を経て公開にこじつけた。激動の昭和を舞台に巨大企業の中で冷遇されながらも、自分の信念を貫く男の生き様を描いた壮大な叙事詩。アフリカ、イラン、タイでの海外ロケも敢行した3時間22分の大長編で、骨太なエンタテインメント作品となっている。''09年度の報知映画賞作品賞(邦画部門)、毎日映画コンクール日本映画大賞を獲得。今回の日本アカデミー賞では、12部門において優秀賞を受賞。
<製作>角川映画/東宝/ケイダッシュ/新潮社/日本出版販売
監督:若松節朗 脚本:西岡琢也
(C)2009 フジテレビジョン パパドゥ 新潮社 日本映画衛星放送

優秀作品賞 「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」


09年に生誕100年を迎えた小説家、太宰治。「ヴィヨンの妻」をはじめ、「桜桃」「二十世紀旗手」ほか、いくつかの太宰作品のエッセンスを取り込み、脚本家の田中陽造がヒロインに松たか子をイメージして書き上げた普遍的な愛の物語。モントリオール世界映画祭で高い評価を得て、根岸吉太郎監督が最優秀監督賞を獲得している。太宰を髣髴とさせる放蕩三昧の夫と、そんな夫を健気に支え続ける妻の姿をじっくりと繊細なタッチで映し出し、温かな余韻を残す。今回の日本アカデミー賞では12部門において優秀賞を受賞。
<製作>フジテレビジョン/パパドゥ/新潮社/日本映画衛星放送
監督:根岸吉太郎 脚本:田中陽造
(C)2009 「ゼロの焦点」製作委員会

優秀作品賞 「ゼロの焦点」


松本清張原作の傑作ミステリーの映画化。結婚して間もなく失踪した夫を探すヒロインが、夫の過去を辿るうちに二人の女性と出会い、三人の女の運命が交錯していく。さらに、時を同じくして起こった連続殺人事件の犯人像が徐々に明らかに……。「眉山-びざん―」(07年)の犬童一心監督が、時代に翻弄される登場人物たちの葛藤を重厚な映像で描き、スリリングな人間ドラマに仕上げた。昭和30年代の風景を求め、日本各地で撮影を行った。また、アカデミー女優3人の豪華共演も話題に。今回は、11部門において優秀賞を受賞している。
<製作>電通/東宝/テレビ朝日/木下工務店/朝日新聞社/日販/Yahoo! JAPAN/TOKYO FM/朝日放送/メ~テレ/IMJエンタテインメント/TSUTAYAグループ/FLaMme/九州朝日放送/北海道テレビ/北陸朝日放送/広島ホームテレビ/愛媛朝日テレビ
監督:犬童一心 脚本:犬童一心、中園健司
(C)「劔岳 点の記」製作委員会

優秀作品賞 「劔岳 点の記」


日本映画史に残る名作を撮ってきたカメラマン、木村大作の監督デビュー作。日本地図を完成させるため、前人未到の劔岳に命がけで挑んだ明治の男たちの姿を、空撮やCGに頼らず撮影。大自然をバックにした迫力の映像美で描き出す。日刊スポーツ映画大賞石原裕次郎賞、毎日映画コンクール日本映画優秀賞、ブルーリボン賞作品賞を獲得しているほか、木村監督自身もキネマ旬報ベストテン日本映画監督賞、毎日映画コンクール撮影賞、ブルーリボン賞新人賞を受賞。今回のアカデミー賞では11部門で優秀賞を受賞。
<製作>「劔岳 点の記」製作委員会
監督:木村大作  脚本:木村大作、菊池淳夫、宮村敏正
(C)2009「Dear Doctor」製作委員会

優秀作品賞 「ディア・ドクター」


「ゆれる」(06年)で絶賛された西川美和監督による長編3作目。綿密なリサーチを元に書き下ろしたオリジナル・ストーリー。僻地医療に携わる医師の行動を軸に人間の生き方、存在を鋭く見つめ、強い印象を残した。キネマ旬報映画賞日本映画ベスト・テン1位、日刊スポーツ映画大賞作品賞に選出され、今回の日本アカデミー賞では、10部門において優秀賞を受賞している。また、西川監督は本作にて、キネマ旬報ベストテン日本映画脚本賞、報知映画賞、日刊スポーツ映画大賞、ブルーリボン賞の監督賞を受賞。
<製作>『ディア・ドクター』製作委員会
監督・脚本:西川美和
優秀アニメーション作品賞
最優秀賞/優秀賞
(C)2009 SUMMERWARS FILM PARTNERS

最優秀アニメーション作品賞 「サマーウォーズ」


サマーウォーズという作品は、たくさんの親戚が主人公のアクション映画であります。30人近くの親戚が全部主人公っていうそういう映画なんですけど、映画の内容と同じようにスタッフキャストも、みんな家族親戚のように、みんなで一生懸命頑張って心を合わせて作りました、このたびの賞はそういったスタッフキャストの、優秀なスタッフキャストのみんながもたらしてくれたものだと思います。こうやって見てくださった皆さん、本当にありがとうございます。今日はどうもありがとうございます。(細田守監督)

<作品情報>
インターネット上の仮想世界で謎のアバターが引き起こした混乱が、現実世界にも波及。二つの世界の危機に田舎の大家族が立ち向かう……。「時をかける少女」で高い評価を受けた細田守監督が描く“家族アクション映画”。第24回デジタルコンテンツグランプリにて、最高賞にあたる「経済産業大臣賞」を映画として初受賞したほか、第13回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞、毎日映画コンクールアニメーション映画賞、第42回シッチェス・カタロニア国際映画祭アニメーション部門最優秀長編作品賞など、数多くの賞を受賞。
<製作>「サマーウォーズ」製作委員会
監督:細田守 脚本:奥寺佐渡子
(C)カラー

優秀アニメーション作品賞 「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」


95年から96年にかけて放映されたテレビアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のストーリーを元に4部作予定で製作されている映画シリーズ「新劇場版」の2作目。公開直前までほとんど情報が明かされなかったが、熱狂的なファンの支持を集め、大ヒットを記録。興行収入は約40億円で、07年に公開された第1作「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」の約2倍となった。本作では、新型のヱヴァンゲリオンや、新キャラクターも登場しており、今後の展開も期待される。台湾、韓国、香港など、アジアでも公開された。
<製作>カラー
総監督:庵野秀明 監督:摩砂雪、鶴巻和哉 脚本:庵野秀明

注) 新劇場版では、「ヲ」の表記となる
(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2009

優秀アニメーション作品賞 「映画ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史」


通算第29作目となる、息の長い人気シリーズの新作は、81年に公開された「ドラえもん のび太の宇宙開拓史」のリメイク。地球から遠く離れたコーヤコーヤ星で暮らす少年、ロップルと仲良くなったのび太が、この星の危機を救うため、仲間とともに戦う物語。重力の違う宇宙で、スーパーマンのようになったのび太の活躍が楽しい。人気作家の真保裕一が第27作に続き2度目となる脚本を担当。大人も楽しめる冒険物語に仕上がった。香里奈、アヤカ・ウィルソン、チュートリアルなどが、ゲスト声優として参加し、作品を盛り上げた。
<製作>藤子プロ/小学館 /テレビ朝日/シンエイ動画/ADK/ShoPro
監督:腰繁男 脚本:真保裕一
(C)2009 フジテレビジョン/Production I.G/電通

優秀アニメーション作品賞 「ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~」


人々がホッタラケ=ほったらかしにした宝物でできた「ホッタラケの島」に迷い込んだ高校生・遥と、ホッタラケの島の住民のテオが、遥の宝物を探して繰り広げる冒険ファンタジー。意志が強くて活発なヒロイン、遥を綾瀬はるかが声優として爽やかに演じている。CGアニメーションで制作されたカラフルでポップな世界観や、スリリングなアクションシーンの数々も見どころ。民話を元にしたオリジナル・ストーリーで、「砂時計」(08年)など実写映画も手がける佐藤信介が監督・脚本を務めている。
<製作>フジテレビジョン/Production I.G/電通/ポニーキャニオン
監督:佐藤信介 脚本:安達寛高
(C)2009 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

優秀アニメーション作品賞 「名探偵コナン 漆黒の追跡者〈チェイサー〉」


黒ずくめの男達の取引現場を目撃し、毒薬を飲まされ、小学生の体になってしまった高校生探偵・工藤新一が、江戸川コナンとして数々の難問に挑む人気シリーズ「名探偵コナン」。第13作目の劇場版となる本作では、ファン待望の黒ずくめの男達との対決が描かれ大ヒット。09年6月には観客動員数291万人、興行収入34億円を突破し、シリーズ新記録を達成したことが話題に。第30回より新設された日本アカデミー賞優秀アニメーション部門賞を4年連続受賞。コミックの総発行部数は1億2000万部を突破している。
<製作>小学館/読売テレビ/日本テレビ/小学館集英社プロダクション/東宝/トムス・エンタテインメント
監督:山本泰一郎 脚本:古内一成
優秀監督賞
最優秀賞木村大作「劔岳 点の記」


「劔岳 点の記」は、映画を愛する人たちにとっては最大の映画だと僕は思っています。そういうふうに感じていただいたのを、多くの(映画人の)方の投票ですからね、批評家じゃないんだよね。そういう意味では非常にありがたく喜んでますが、もう一つあるんだよね。欲をかいてですね、ここまで来たら、全員で壇上に立てる作品賞が最後のお願いです。
※優秀監督賞は初受賞
優秀賞犬童一心「ゼロの焦点」


中谷美紀さんと木村多江さんが崖の上で対峙するシーンは恐ろしく緊張を強いる場面にもかかわらず24時間以上ぶっ続けで撮るはめになってしまいました。 朝、終わってすぐ中谷さんは笑顔の中僕の目を真っすぐに見て「極悪ですね」と言われました。すみません極悪です。広末さんの初日は何故か、どうしてなのか、ラストシーンでした。あれは、なんというかしかたがなかったんです。木村多江さんと西島秀俊君のほんとうに素晴らしいワンシーンを編集で切りました。計算がたりませんでした。多くのことを深く反省し、今後またこれを励みに精進致します。
【受賞歴】
第27回に「黄泉がえり」で脚本賞を、第31回に「眉山―びざん―」で監督賞を初受賞。監督賞、脚本賞とも2度目の受賞。
優秀賞西川美和「ディア・ドクター」


まさか私が日本アカデミー賞の壇上に上がらせていただくことがあろ うとは…とても不思議な気分です。「映画」という巨大なものにいつも怯えつつ、自信のないままに筆をとり、現場に立ち、完成のエンドマークを見るまで、悩みながらも一 つ一つ、後悔のないジャッジを下してこられたのはすべて、熱い気持ちで一緒にこの作品を作ってくれたプロデューサーとスタッフ、キャスト、そしてロケ地の方々のおかげです。「監督」をやらせてもらってよかったと思うのは、そういう人たちの、魂のこもった美しい仕事に触れられるときです。みなさん本当にありがとう。こんなに小さな、静かなドラマを評価し、監督賞に選んでくださった 方々に、心から感謝しております。
※初受賞
優秀賞根岸吉太郎「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」


思いがけない受賞です。ありがとうございます。『ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ』ような渋い映画は華やかな舞台には似つかわしくないと思っていたのですが、松たか子、浅野忠信の両主演をはじめ、多くのスタッフ、キャストと共に認めていただいたことを本当に嬉しく思います。原作の太宰治さんもきっと喜んでくれるでしょう。
【受賞歴】
第5回に「遠雷」「狂った果実」で初受賞。28年振り2度目の受賞
優秀賞若松節朗「沈まぬ太陽」


幾多の困難もありましたが、やりがいのある題材と取り組める喜びがこの映画に参加した人々全てにあったと思います。政変があり航空会社の再建問題が取りざたされいるこの時期の公開もタイムリーで驚きました。命の重さと言う普遍的なテーマが観客の胸に刻まれたとしたら作り手として最高です。この映画を成立させる事に執念で立ち向かったスタッフ全員と俳優達の熱き思いに感謝したいと思います。
【受賞歴】
第24回に「ホワイトアウト」で初受賞。2度目の受賞。
優秀脚本賞
最優秀賞西川美和「ディア・ドクター」


(最優秀賞のブロンズを見て)やっぱりいいものですね。一年半以上かけて、じっくり準備をしてたくさんの医療関係者の人に取材に答えていただいて、あとは臨終の時を待つだけというようなお年寄りのお家まであがらせていただいて、そのあり方を見せていただきながら、医療というものは何かということを自分自身も考えながら、脚本を丁寧に作っていきました。筆が遅いので周りのスタッフはとてもやきもきしながら待ってくださっていたんですけども、そうやってこしらえた脚本に力を貸してくださった皆さんと、待ってくださった皆さんに本当に感謝したいと思います。この賞に恥じないようにこれからも自分の手できちんと脚本を書いていきたいと思います。本当にありがとうございました。※初受賞
優秀賞犬童一心/中園健司「ゼロの焦点」


1961年の野村芳太郎監督版の脚本は橋本忍、山田洋次コンビという映画の神様みたいな人たちが書いていていました。一時間四十分でありながら180シーンあるという疾走するようなシナリオでした。それは本当に素晴らしいもので、なんとか、追いつこうと、何かしら2009年の視点を持ち込もうと、頑張ってみたのが今回のものです。優秀賞に選ばれ大変嬉しく、今後もまたこれを励みに精進していきたいと思います。(犬童一心)

多くの方々に感謝しつつ、これを機にさらに良いシナリオを書かなければと、決意しております。ありがとうございました。(中園健司)※初受賞
優秀賞木村大作/菊池淳夫/宮村敏正「劔岳 点の記」


今から三年前、2007年2月、木村大作、菊池淳夫、私の3人は立山連峰を望む富山市内のビジネスホテルで4月から撮影を始めようとしている「劔岳点の記」の台本に向き合っていた。あーだ!こーだ!と喧々諤々、台本を書いているのが監督、撮影、プロデューサー、助監督、現場に直結しているスタッフが書いているにも拘らず途轍もない撮影現場になる事は必至、これから2年に及ぶ「劔岳」と真っ向勝負した日々、すべての人に感謝(宮村敏正)※初受賞

この度は、栄誉ある賞を頂きまして誠にありがとうございました。この映画は、スタッフ・キャストはもちろんのこと、厳しい環境の山中で惜しみない協力をしていただいた富山の山岳関係の方々がいなければ、完成させることができませんでした。この場を借りて、あらためて御礼申し上げます。(菊地淳夫)※初受賞
優秀賞田中陽造「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」


授賞、ありがとうございます。
脚本完成から映画化まで、とんでもなく長い時間が掛っているので、ひとしお自分の中でも愛着があります。撮影現場には一度だけ顔を出しましたが、異常にスタジオ撮影が多い脚本なので、たまに日中スタジオを出ると、陽光にくらっとめまいすると苦情を言われ、笑っていいのかどうか、困りました。
【受賞歴】
第4回に「ツィゴイネルワイゼン」「女の細道濡れた海峡」で初受賞。15年振り5度目の受賞
優秀賞西岡琢也「沈まぬ太陽」


巷間二十回脚本直ししたと伝えられているようですが、正確には十四回です。それも細かい直しばかりで大直しはありません。だからそれ程キツくはなかった。これは決して強がりではありません。本当の話です。
今回僕の我慢強さが評価されたのでしょう。十年前なら机を二、三回ひっくり返していた筈です。辛抱強くなったものです。齢をとりました。老いと引き換えの、賞なのですね。
※初受賞
優秀主演男優賞
最優秀賞渡辺謙「沈まぬ太陽」


「沈まぬ太陽」という映画は“矜持”(きょうじ)というひとつのキーワードが大きなテーマになっていました。山崎豊子先生が社会に強く何かを求めていく、というそういう“矜持”。そしてまた角川歴彦というすばらしい映画人が「この映画をやってやろう」という風に思い定めてくれたという“矜持”。それプラス若松監督をはじめすばらしいスタッフ、すばらしいキャストたちが心をこめて“矜持”に向き合った成果がこのトロフィーなんだと思っています。
本当にありがとうございました。そして、恩地元と同じように長いロケで家で帰りを待ちわびていてくれた妻、子供達ありがとう。そして多くのこの映画を支えてくれたお客様ありがとうございました。

【受賞歴】
日本アカデミー賞は、第22回(「絆―きずなー」)、第25回(「千年の恋 ひかる源氏物語」)、第26回(「陽はまた昇る」)で優秀助演男優賞、「明日の記憶」で、第30回最優秀主演男優賞を獲得。
優秀賞浅野忠信「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」


90年「バタアシ金魚」で映画デビュー後、日本映画界に欠かせない存在として、数多くの作品に出演。08年には主演を務めたセルゲイ・ボドロフ監督作品「モンゴル」が、米アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされるなど日本のみならず海外でも活躍。日本アカデミー賞では第20回話題賞(俳優部門)および第27回(「座頭市」)と第32回(「母べえ」)の助演男優賞を受賞している。本作では、破滅的ながらも憎めない小説家を魅力的に演じきった。
優秀賞浅野忠信「劔岳 点の記」


「ヴィヨンの妻~」とともに主演男優賞をダブル受賞。本作では、劔岳の初登頂と測量の使命を受け、仲間を率いて仕事に挑む測量手、柴崎芳太郎役に扮した。撮影は、約100年前に実際に測量隊が歩いた山々を登って行われ、標高3000メートル、体感温度が氷点下40度を超える地点にも足を運ぶなど過酷を極めたというが、妥協を許さない木村監督のもと、与えられた仕事にひたむきに取り組む寡黙な柴崎を見事に演じ、存在感を示している。
優秀賞大森南朋「ハゲタカ」


96年、市川準監督演出のCM出演をきっかけに本格的に役者の活動を開始し、映画、テレビドラマ中心に活躍。日本アカデミー賞は今回が初受賞となる。本作は、国際番組コンクール「イタリア賞」を受賞するなど高い評価を受けたNHKドラマ「ハゲタカ」(07年放送、全6話)の映画版。ハゲタカと呼ばれるクールな天才ファンドマネージャー、鷲津をテレビ版に引き続き演じた。常に冷静沈着で隙がない鷲津を好演し、スリリングなドラマを牽引している。
優秀賞笑福亭鶴瓶「ディア・ドクター」


72年、6代目笑福亭松鶴に入門。08年より、上方落語協会副会長を務めるなど落語界の発展に努める一方、近年役者としての活躍も目覚ましく、本作でついに初主演を果たした。日本アカデミー賞は初受賞となる。僻地医療に従事し、村人たちの信頼を集めていたが突然謎の失踪を遂げる医師を、持ち前のユーモラスで人間味溢れる雰囲気を生かし、強烈な存在感で演じきった。本作でキネマ旬報映画賞、日刊スポーツ映画大賞、ブルーリボン賞の主演男優賞を受賞。
優秀主演女優賞
最優秀賞松たか子「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」


いただきました!
ありがとうございます!
すばらしい俳優さんたちとともに受賞させていただいたことだけでも、ありがたく思うべきことだと今日はここにきましたので、光栄に思っています。
(田中)陽造さんがこの役を書いてくださったおかげです。根岸監督が辛抱強く見守ってくれたおかげです。そして現場のみなさん、ここにいないあのすばらしいセットを建ててくれた大工さんたち。セットを見せてくれたときとてもうれしそうな顔をしていました。彼らもきっとよろこんでくれていると思います。まだまだ信じたいことが沢山あるので、お芝居をやっていきたいと思っています。最高の旦那・浅野さん、本当にありがとうございます!
【受賞歴】
日本アカデミー賞では、「隠し剣 鬼の爪」で第28回優秀主演女優賞を、「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」で第31回優秀助演女優賞を獲得。
優秀賞綾瀬はるか「おっぱいバレー」


04年、テレビドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」で一躍注目を浴び、映画、テレビドラマで活躍を続ける。本作では、不器用ながらも真っ直ぐで一生懸命な新任中学校教師、美香子役に扮し、自らとほぼ同年齢のキャラクターを、等身大の魅力で爽やかに演じきった。生徒と向き合う中で、教師としての自信を取り戻し、成長を遂げる姿が、観客に勇気と元気を与えた。本作で、ブルーリボン賞主演女優賞を獲得。日本アカデミー賞は今回が初受賞となる。
優秀賞広末涼子「ゼロの焦点」


日本アカデミー賞では、第21回新人俳優賞を「20世紀ノスタルジア」で受賞し、第23回には主演女優賞(「秘密」)と助演女優賞(「鉄道員(ぽっぽや)」)をダブル受賞。「おくりびと」で第32回の主演女優賞を獲得している。本作では失踪した夫の行方を捜すため一人で金沢へと旅立ち、夫の過去を辿っていくヒロイン役。次々と衝撃的な真相が明らかになる中でも、夫への忠誠心を失わずに前に進み続ける、芯の強い女性の姿をスクリーンに焼き付けた。
優秀賞ペ・ドゥナ「空気人形」


99年に韓国版「リング」で、映画界に進出。「子猫をお願い」で、映画批評家協会賞主演女優賞ほか数多くの主演女優賞を受賞するなど、韓国を代表する実力派女優。日本映画初主演は05年の「リンダ リンダ リンダ」。今回は2本目の日本映画出演で、日本アカデミー賞初受賞となった。カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に公式出品された本作で、ある日突然心を持つ人形という難しいキャラクターを、チャーミングに透明感たっぷりに演じ、その実力を改めて印象付けた。
優秀賞宮﨑あおい「少年メリケンサック」


日本アカデミー賞は今回が初受賞。02年、初主演映画「害虫」で、ナント三大陸映画祭主演女優賞に輝く。08年には、主演したNHK大河ドラマ「篤姫」が高視聴率を記録し、幅広い世代のファンを獲得した。宮藤官九郎の2作目の監督作品となった本作では、個性派揃いのオッサンパンクバンドを担当することになったレコード会社のOLを演じている。周囲に振り回されながらも、エネルギッシュに突き進むキャラクターで、弾けた演技を披露。新たな魅力を開花させている。
優秀助演男優賞
最優秀賞香川照之「劔岳 点の記」


まずは僕が尊敬してやまない山崎努さんからこのトロフィーをいただけましたこと大変光栄でございます。ありがとうございます。
今、会場で劔岳のスタッフが非常に喜んでいてくれている姿をみて、彼らが35mmのキャメラや照明のゼネレーターを背負って1日5時間から多い時で10時間も近くも黙々と歩いている姿を思い出しました。今、私はこのような賞をいただきましたが、このスタッフなくてはこの映画はできませんでした。劔岳の撮影前に数々の辛い映画を乗り越えられてきた西田敏行さんと東宝撮影所で偶然お会いし、「お金をかける映画は多いけど、命をかける映画は少ないよね」とエールを頂いて劔岳に向かったことを思い出しております。それくらいオーバーな表現でなく、われわれは毎日命をかけていました。僕は山岳ガイドの役をやりましたが、今日も富山から現代の山岳ガイドでいろいろアドバイスしてくださった皆さんが駆けつけてくれています。彼らや劔岳の周りのわれわれの命を守ってくれた山小屋のみなさんがいなければ生きて帰ってこられなかったとオーバーでなく思っています。毎日見ていた劔岳、この山が僕たちの撮影を許してくれて、行かしていただいて、ここに生きて帰ってこられて感謝しております。また、僕の横でくじけそうな僕をチームのリーダーとしていつも支えてくれた、年下ではありますが、本当に頼もしかった浅野忠信に最大の尊敬を示したい。そして困難極まりない映画をたとえ一人でもやってのける、客が一人も見にこなくてもやってやると言って最後まで着地させた木村大作監督にも感謝します。
【受賞歴】
日本アカデミー賞では、第28回(「赤い月」)、第29回(「北の零年」)、第30回(「ゆれる」)、第31回(「キサラギ」)で優秀助演男優賞を受賞。
優秀賞瑛太「ディア・ドクター」


02年、「青い春」で映画デビュー。08年NHK大河ドラマ「篤姫」で演じた小松帯刀役で人気を博す。本作では、僻地医療に触れ、医療のあり方を考える都会育ちの研修医を演じ、鮮烈な印象を残した。09年は、連続ドラマ初主演を果たしたほか、舞台にも挑戦し、着実にキャリアを積んでいる。映画は本作を含め「余命1ヶ月の花嫁」「ガマの油」「なくもんか」に出演。報知映画賞とブルーリボン賞の助演男優賞に輝いた。日本アカデミー賞は今回が初受賞となる。
優秀賞堺雅人「ジェネラル・ルージュの凱旋」


昨年、「クライマーズ・ハイ」で日本アカデミー賞助演男優賞を初受賞。2年連続、2度目の受賞となる。「チーム・バチスタ」シリーズの映画化第2弾となった本作では、「ジェネラル・ルージュ」と呼ばれる救急救命センターのセンター長を、クールな中にも熱さを秘めた演技で好演し、ドラマの緊迫感を盛り上げた。09年は、「ラッシュライフ」「南極料理人」「クヒオ大佐」にも出演。舞台で培った演技力で、映画界でも欠かせない存在になっている。
優秀賞玉山鉄二「ハゲタカ」


99年テレビドラマでデビュー。以降、映画、テレビドラマ等で活躍する。人気テレビドラマシリーズの映画化となった本作で、映画版から新たなキャストとして参加。ハゲタカと呼ばれる主人公、鷲津と心理戦を繰り広げる、赤いハゲタカこと劉一華(リュウ・イーファ)を演じた。上昇志向が強く、若き日の鷲津を髣髴とさせるキャラクターを、強気な中にもナイーブさを感じさせる演技で表現している。日本アカデミー賞は今回が初受賞となる。
優秀賞三浦友和「沈まぬ太陽」


日本アカデミー賞は今回が初受賞。74年「伊豆の踊り子」で映画デビュー後、数々の映画、テレビドラマに出演し、長年にわたり幅広く活躍を続けている。本作では、主人公の同僚で友情を結びながらも、やがて対照的な人生を歩んでいく会社員、行天四郎役に扮し、キネマ旬報映画賞と日刊スポーツ映画大賞の助演男優賞を獲得している。出世のために手段を選ばない悪役的存在である行天を、深みのある演技で表現し、物語に陰影をもたらした。
優秀助演女優賞
最優秀賞余貴美子「ディア・ドクター」


アカデミー会員のみなさんありがとう。
もう一度いただけるなんてありえない話だと思って、全く考えていなかったのですが、もう一度スピーチできてうれしいです。私は小劇場の小さな小さな劇団の出身なので、アカデミー賞は現実的ではなかったのですが、嘘のような話ですが、現実になってよかったです。「ディア・ドクター」には“この嘘は罪ですか?”という問いかけがあります。俳優という仕事は何かになりすまして生きている感覚があります。皆さんが楽しくなれるよう、人の役にたてるよう嘘をつきとおして生きられたらいいなぁと思います。
嘘が現実になるように、お芝居を粗末にすることなく誠実にお仕事をしていきたいと思います。この企画をした安田会長(「ディア・ドクター」の企画、エンジンフィルムの会長:故人)、友人たち、家族たち、感謝しています。
【受賞歴】
助演女優賞は第22回に「学校Ⅲ」で初受賞し、今回が3度目となる。昨年は「おくりびと」で、第32回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を獲得した。
優秀賞木村多江「ゼロの焦点」


97年「ひみつの花園」で映画デビュー以来、テレビドラマ、映画で強い印象を残してきた。「ぐるりのこと。」では映画初主演作にして第32回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、およびブルーリボン賞主演女優賞にも輝くなど、高い評価を受けた。本作で扮したのは、ヒロインが夫の過去を探るうちに出会う受付嬢、久子役。心優しく、純粋な女性が、事件に巻き込まれていく様を切なく、繊細に演じきった。09年は「沈まぬ太陽」にも出演している。
優秀賞鈴木京香「沈まぬ太陽」


89年「愛と平成の色男」で映画デビュー。以降数々の映画やテレビドラマで活躍。第18回日本アカデミー賞「119」で優秀助演女優賞、第21回(「ラヂオの時間」)、第23回(「39 刑法第三十九条」)、第26回(「竜馬の妻とその夫と愛人」)で優秀主演女優賞、第28回「血と骨」で最優秀主演女優賞を獲得している。本作では、出世コースを外れても頑なに信念を貫く夫を一歩下がって支え続ける妻の姿を、深い母性を感じさせる演技で表現し、ドラマを盛り立てている。
優秀賞中谷美紀「ゼロの焦点」


日本アカデミー賞は、第27回「壬生義士伝」で優秀助演女優賞、第30回「嫌われ松子の一生」で最優秀主演女優賞、第31回「自虐の詩」で優秀主演女優賞を受賞している。また、「嫌われ松子の一生」では、香港国際映画祭第1回アジアン・フィルム・アワード最優秀女優賞を獲得した。本作では、人生のつらさを背負いながらも、日本初の女性市長選出に向けて、支援活動にいそしむ積極的な女性、佐知子を圧倒的な存在感で演じた。
優秀賞室井滋「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」


81年に「風の歌を聴け」で劇場映画デビューし女優として活躍する傍ら、エッセイストとしても非凡な才能を発揮している。日本アカデミー賞は、第18回「居酒屋ゆうれい」で最優秀助演女優賞、第23回「のど自慢」で、優秀主演女優賞に輝いている。本作では、ヒロインを見守る小料理屋の女将役。戦後間もない混乱の時代に、たくましく生きる女性の姿を、生き生きと体現し、物語に厚みをもたらした。太宰治作品は映画「人間失格」(10年)にも出演している。
優秀音楽賞
最優秀賞池辺晋一郎「劔岳 点の記」


この「劔岳 点の記」は、作曲ではなくて全部の音楽をバッハや、ビバルディやヘンデルのオーケストラの編曲で行いました。映画音楽は、イコール作曲だと思っている方が多いんですけれども、私は昔から、映画音楽というのは、例えば映画の中にパチンコのシーンがあったとしたらそこに流れている音楽を決めるのも、音楽監督の仕事だと思っています。ですから、もしこの賞がいただけたら、そういう映画における音楽の仕事が認められたということだろうと思っておりました。ですからとてもうれしいです。この賞を頂くのは優秀賞は9回目で、この最優秀賞を受賞するのは4回目なんですけれども、今までの中でも、そういう意味ではとても別格の、格別の嬉しさを抱いております。ありがとうございました。
【受賞歴】
第3回に「子育てごっこ」「復讐するは我にあり」で初受賞。6年振り9度目の受賞。うち「瀬戸内少年野球団」「少年時代」「夢」「流転の海」で最優秀を受賞。
優秀賞上野耕路「ゼロの焦点」


このたびは、私の音楽に票を投じていただき誠にありがとうございました。
また、仕事のきっかけを与えてくれた東宝ミュージック社長の岩瀬政雄さん、音楽候補に挙げてくれた監督の犬童一心さん、音楽スタッフの方々には心よりお礼申し上げます。綿密な打ち合わせと根気のいる作業により本格的なドラマのための映画音楽を完成することができました。今後とも日本映画の発展のために尽くして行きたいと思います。
※初受賞
優秀賞住友紀人「沈まぬ太陽」


冒頭1曲目、事故機内のシーンの為の曲作りから溢れ出る涙で何度作業を中断させられたかわかりません。今思えばこの映画に携わったスタッフ、キャストは勿論、この事故で亡くなった方々やご遺族の皆さんのすべての思いが僕に力を与えて下さったのだと感じます。
【受賞歴】
第24回に「ホワイトアウト」で初受賞。2度目の受賞。
優秀賞向井秀徳「少年メリケンサック」


ロックバンドをやっている私がアカデミー賞をいただき大変感激しております。
「真夜中の弥次さん喜多さん」に引き続き、宮藤官九郎さんの監督作品に関わることができたことを光栄に思い、また大変勉強させていただきました。
※初受賞
優秀賞吉松隆「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」


クラシック音楽という狭い世界で30年ほど孤軍奮闘してきましたが、映画の音楽は今回が初めてです。題材となる太宰治はむしろ苦手とする作家ですが、根岸吉太郎監督の熱意と「松たか子さんの初主演映画です」という一言につられて、つい引き受けてしまいました(笑)。精緻で寡黙ながら不思議な風格とユーモアのある映像の世界に出会えたことに、心から感謝しています。
※初受賞
優秀撮影賞
最優秀賞木村大作「劔岳 点の記」


ここの会場にですね、僕は21回来てるんですよ。それで3回最優秀賞を取って、今日が4回目です。内心はうれしいんですが・・・なんかいつもこの会場に来るとね、しーんとしちゃうんだよね。もうお祭りなんだから、わーっとね。本当は撮影賞なんかでは我慢できません!俳優さんと・・・渡辺さんすみませんが、鶴瓶さんすみませんが、俳優さん(の賞)と(最優秀)作品賞をとりたくて……もう決まってるんだよね。封筒開ければ書いてあるので。(封筒の中を)マジックで「劔岳 点の記」と書きたいぐらい。以上!
【受賞歴】
第1回に「八甲田山」で初受賞。うち「火宅の人」「誘拐」「鉄道員」で最優秀賞を受賞。
今回で20度目の優秀撮影賞受賞。
優秀賞柴主高秀「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」


この度、撮影優秀賞を頂けた事をとても光栄に思います。「ヴィヨンの妻」はSETが主な映画であり、太宰が生きた時代をできるだけ正直に表現していきたい、という想いで挑んだ作品です、何よりも根岸監督を始めとしてキャスト、スタッフ一人一人の深いこだわりが「ヴィヨンの妻」の世界を創り上げた結果この様な形で実を結んだのだと思います。この映画に参加された全ての方に感謝いたします。
※初受賞
優秀賞蔦井孝洋「ゼロの焦点」


沢山の上映作品の中から日本アカデミー賞に選ばれた幸運に感謝します。
色々と苦労の多い作品でしたので評価していただき嬉しく思います。ありがとうございました。
【受賞歴】
第31回に「眉山―びざん―」で初受賞にして最優秀を受賞。2度目の受賞。
優秀賞長沼六男「沈まぬ太陽」


三時間を超える長大な話、何カ国もの海外ロケ、長期間に渡っての撮影、不本意ながらCGに頼らなければならない条件、こんな中で全体の統一感、一貫性を如何に保つかを心がけて撮影しました。映像的な派手さも技術的な見せ場もなく、ドラマの展開と俳優の演技を淡々と捉えるだけの正攻法の撮影が評価対象に上げられ光栄です。 
【受賞歴】
第16回に「おろしや国酔夢譚」で初受賞にして最優秀を受賞。「たそがれ清兵衛」「武士の一分」でも最優秀を受賞。2年連続、9度目の受賞。
優秀賞柳島克己「ディア・ドクター」


この度は名誉ある賞を頂き、大変嬉しく思います。素晴らしい脚本を書き演出をした西川監督、いつも嬉々とした鶴瓶さんの撮影現場に対する気遣、そんな雰囲気に引き摺られる様に演じた共演陣、カメラの後ろにいるスタッフや多大な御協力を頂いた地元の方々の御尽力により、この作品はこれまで以上に“自然体”で撮影をする事が出来ました。
作品に携わった全ての方に感謝しています。
【受賞歴】
 第25回に「GO」で初受賞にして最優秀を受賞。「座頭市」でも最優秀を受賞。4度目の受賞。
優秀照明賞
最優秀賞川邉隆之「劔岳 点の記」


木村監督、今日応援に来てくれている、「劔岳 点の記」の仲間たち、東映の皆さん、東宝映画の皆さん、本当に感謝しています。今日はどうもありがとうございました。
※初受賞
優秀賞長田達也「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」


「私たちは、生きていさえすればいいのよ」ラストシーンにある主人公の台詞です。この台詞を頼りに太宰作品の内面と向い合う覚悟を決め終戦直後の空気感を映し込むことに試行錯誤を重ねた仕事でした。そしてこの様な評価を頂けたことに感謝いたします。
【受賞歴】
第20回に「Shall we ダンス?」で初受賞にして最優秀を受賞。5度目の受賞。
優秀賞疋田ヨシタケ「ゼロの焦点」


受賞大変うれしく思います。今回、撮影の蔦井氏とシャープな光・影・大胆なくらい硬めで暗めの世界観でいこうと決め挑戦しました。50年も前に書かれた「ゼロの焦点」映像することの難しさ、色々なハードルを乗り越え各パートのスタッフ、キャストがひとつになって全国各地を飛び回った日々が懐かしく思い出されます。関係各位の皆様、ライティングスタッフに心から感謝いたします。
【受賞歴】
第31回に「眉山― びざん―」で初受賞にして最優秀を受賞。2度目の受賞
優秀賞中須岳士「沈まぬ太陽」


今回の受賞において、助手さん達をはじめ業者やスタジオ、イランやケニア、タイでのスタッフ等、沢山の方々のお力添えをこの様なかたちで評価して頂いた事を心から感謝致します。 そして昨今類を見ない本格的な社会派映画に参加出来たことを嬉しく思います。ありがとうございます。 
【受賞歴】
第30回に「武士の一分」で初受賞にして最優秀を受賞。2年連続、3度目の受賞
優秀賞尾下栄治「ディア・ドクター」


「ディア・ドクター」は常陸太田の山あいの田園風景と、伊野治を演じた笑福亭鶴瓶師匠が、西川監督のオリジナル脚本にピタリとはまり、そして、すばらしいキャスト、スタッフで完成させた作品です。今回の受賞において、沢山の方々のお力添えをこの様な形で評価して頂いた事を心から感謝致します。
※初受賞
優秀美術賞
最優秀賞種田陽平/矢内京子「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」


(種田陽平)皆様のおかげです。根岸さんありがとうございました。松さん、浅野さん、室井さんありがとうございました。あと、スタッフみんな、美術部、矢内さん、装飾の杉村さん、みなさんありがとうございました。ここにいないんですけど、衣装の黒沢さん、すごいいい仕事でした。一緒にできてよかったです。ありがとうございました。
【受賞歴】
第20回に「スワロウテイル」で初受賞。5度目の受賞。

(矢内京子)この作品は戦後の東京の単なる再現ではなくて、ヴィヨンの妻ならではの世界を表現したいなと思って、参加していました。その世界を一緒に作ってくれたたくさんの美術の仲間たちに感謝したいと思います。その仕事を評価していただき、本当にうれしく思います。ありがとうございました。
※初受賞
優秀賞小川富美夫「沈まぬ太陽」


二年にわたる資料調べ、ロケハン、撮影と長い作品でしたので、嬉しさもひとしおです。今回の受賞は、美術部と装飾部との十年以上仕事を供にしてきたチームワークの成果だと思います。もちろん角川大映撮影所の力は絶大でした。
【受賞歴】
第18回に「ヤマトタケル」で初受賞。2年連続、5度目の受賞。
優秀賞瀨下幸治「ゼロの焦点」


優秀美術賞ありがとうございます。準備期間を含め約7ヶ月間きびしいスケジュール及び予算の中、美術部装飾部そして美術製作の皆が努力しがんばりました。特に雪の表現は予算面で特殊効果の依頼はむずかしく窓ガラスの結露や樹木の積雪など皆で考えテストし、塩や粉にまみれながら作っていく毎日でした。 
※初受賞
優秀賞西岡善信/吉田孝「火天の城」


「火天の城」で賞を貰えて特にうれしいです。戦国時代で「戦い」のシーンではなく、城を作り上げた男たちの話で、丁度映画作りの中の「美術」の仕事の様で、自分達の物語りと思いつつ、創りました。
宮大工の熱い思いは私達と共通したものでした。
この作品で活力を頂きました。ありがとう!!
製作者・監督・協力下さった皆様に感謝します。(西岡善信)
【受賞歴】
第6回に「鬼龍院花子の生涯」「怪異談生きてゐる小平次」で初受賞にして最優秀を受賞。「豪姫」「たそがれ清兵衛」などで最優秀賞を9度受賞。17度目の受賞。

はじめ、「安土城を作らなあかん!」と聞かされたときは腰が抜ける程驚き、本当にできるだろうか不安になりました。でも近年にないスケールの大きなとてもやりがいのある仕事でした。沢山の人達の力の集結ですばらしい作品になりました。このような作品に出会い参加出来たことをとてもうれしく思います。ありがとうございました。(吉田孝)
【受賞歴】
第31回に「大奥」で初受賞。2度目の受賞。
優秀賞福澤勝広/若松孝市「劔岳 点の記」


「誰かが行かなければ道は出来ない!」を合言葉に、仲間たちと全力でやり遂げた仕事を評価していただきありがとうございます。撮影が全てクランクアップし、完成公開された時の喜びは何物にもかえられぬものでした。『劔岳点の記』は、私や仲間たちにとってかけがえのない大切な『仕事の記』です。(福澤勝広)
【受賞歴】
第23回に「鉄道員」で初受賞。2年連続、5度目の受賞。

木村大作初監督作品で受賞が出来て大変嬉しく思います。木村さんとの付き合いは過去9作品を装飾、“剣岳”が2作目の美術担当でした。剣岳は準備から完成まで3年という長い道程セットは使わずオールロケ加工とOPセットしかも順撮りでの撮影という始めての経験。これが“映画だ”という事を改めて教わりました。今回山頂関係は若いスタッフに任せ、主にセット関係を担当致しました。3年間もの長い苦闘に協力頂いた全関係者に感謝致します。(若松孝市)※初受賞
優秀録音賞
最優秀賞石寺健一「劔岳 点の記」


ここでこのような挨拶をすることは全く想像していませんでした。頭が真っ白です。劔岳にひたすら登って、木村さんの背中をひたすら追いかけてきて、いろんなことがありましたけども、こういう形になったことを非常に嬉しく思っております。劔岳に関わっていただいた皆様、本当にありがとうございました。そして、映画を見ていただいた方々、本当にありがとうございました。本当にうれしく思っております。
※初受賞
優秀賞柿澤潔「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」


根岸監督と初めて仕事をした作品で優秀録音賞を頂けることに大変嬉しく思います。プロデューサー、キャストとすべてのスタッフに感謝致します。ありがとうございました。ロケーションの撮影では時代物の作品なので、現代の音の処理で苦労した事を思い出します。また音の構成では台詞と効果音を意識して広げず、音楽のダイナミックレンジを広くとり、全体に小さなレベルでスクリーンに集中できる様にミックスしました。
【受賞歴】
第25回に「陰陽師」で初受賞にして最優秀を受賞。3度目の受賞
優秀賞郡弘道「沈まぬ太陽」


このたびは録音賞を頂ました ありがとうございます。監督さんはじめスタッフみなさんの賜物であると思っております。また録音に携わっていただいた皆さんに感謝いたします。ありがとうございました。
【受賞歴】
第25回に「ウォーターボーイズ」で初受賞。「スウィングガールズ」で最優秀賞を受賞。4度目の受賞。
優秀賞志満順一「ゼロの焦点」


今回の受賞は感慨深いものが有ります、作品が50年前の日本を舞台にしていて、その景色を映画にする事に大変な苦労をした事を昨日の事のように思い出します、冬の日本海側の厳しい風景を追いかけるロケでした。又、スタッフの中で、50年前に生を受けていたのは、私だけでした、その僅かな記憶(6歳でした)を遡りつつ音を選び、作っていきました。その想いが皆さんに届いていれば幸せです。
【受賞歴】
第30回に「嫌われ松子の一生」で初受賞。3度目の受賞。
優秀賞白取貢/加藤大和「ディア・ドクター」


このたび優秀録音賞に選らんでいただき有難うございます。
はからずもこのように晴れがましい栄誉を得ましたことは、ひとえに、西川監督をはじめ皆様のご指導、励ましの賜物と心から感謝しております。(白取貢)
【受賞歴】
第30回に「フラガール」で初受賞。2度目の受賞

この度は大変名誉ある賞に選考していただき誠に光栄に思います。これも西川監督はじめスタッフ、キャストの皆様の協力のおかげであると共に、私の拙い音を仕上げでまとめて下さった白取さん、音響効果の北田さん、仕上げスタッフの皆さんに心より感謝しています。ありがとうございました。(加藤大和)※初受賞
優秀編集賞
最優秀賞新井孝夫「沈まぬ太陽」


このような栄誉ある賞を頂いて大変うれしく、そして身の引き締まる思いがしています。ただ、「沈まぬ太陽」という非常に重厚で壮大な作品のバックグラウンドにある、非常に大変な出来事であったりとか、等々考えますと、ただ喜んでばかりもいられず、この賞を真摯に受け止めて、今後も映画の仕事に携わっていけたらと思っています。そして製作していただいた角川のプロデューサーの方々を始め、スタッフキャストの皆さん、そしてこの作品に呼んでいただいた若松監督に心より御礼を申し上げます。ありがとうございました。
※初受賞
優秀賞板垣恵一「劔岳 点の記」


30年あまり、予告編の編集をしてきましたが、この度このような賞をいただき、驚いています。撮影中に、標高2000メートルの山荘で編集の直しをしていたのを思い出します。木村大作監督、スタッフ、キャストの皆様、お疲れ様でした。
※初受賞
優秀賞上野聡一「ゼロの焦点」


先人たちの残した作品に触れると、あまりの違いに落ち込むことばかりですが、この仕事が好きで、仕事ができることに幸せを感じています。この幸せを自己満足で終わらせないよう、先人たちに少しでも近づけるよう、身の丈にあった精進をしていきたいと思います。選出していただいたみなさん、ほんとうにありがとうございます。
【受賞歴】
第26回に「突入せよ『あさま山荘』事件」と「ピンポン」で初受賞。4年連続、5度目の受賞。
優秀賞川島章正「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」


根岸監督とは「雪に願うこと」以来の作品です。念頭においたのは、太宰治の世界観を大切にし、静かさの中に激しく描かれている夫婦の愛の葛藤を、作品のリズムを乱さない様慎重に整えて、編集をしている事を気づかせないよう注意しました。 
【受賞歴】
第15回に「大誘拐」で初受賞にして最優秀賞を受賞。「愛を乞うひと」「金融腐蝕列島 呪縛」「おくりびと」でも最優秀を受賞。2年連続、9度目の受賞。
優秀賞宮島竜治「ディア・ドクター」


映画の中にぽつんと入る風景にどのような表情をつけるか、苦心した映画だった気がします。物語を繋ぐ方は皆さんの素晴らしいお芝居に身を委ねていればいいだけだったので楽をしました(笑)
デビュー作からずっと一緒の西川監督と受賞できたことを嬉しく思います。どうもありがとうございました。
【受賞歴】
第25回に「ウォーターボーイズ」で初受賞。「スウィングガールズ」「ALWAYS三丁目の夕日」で最優秀を受賞。4度目の受賞。
優秀外国作品賞
(c) 2009 Warner Bros. Entertainment Inc. and Village Roadshow Films!BR!(BVI) Limited. All Rights Reserved.
最優秀賞グラン・トリノ


今日はクリント・イーストウッド監督からメッセージを頂いておりますので、この場をお借りしてメッセージを読まさせていただきます。
『このたびは、日本アカデミー賞、優秀外国作品賞を頂きまして、誠にありがとうございます。「グラン・トリノ」の製作に携わった優秀なスタッフ全員を代表して、感謝を申し上げます。特にこの作品を高く評価してくださった日本の方々、この権威ある賞に選んでいただいたアカデミー会員の皆様、心より御礼を申し上げます。主人公の老人と少年の心の絆を描く物語を日本の皆様に楽しんでいただけて、本当にうれしく思っております。本当に素晴らしい賞をありがとうございました。クリント・イーストウッド』本当にありがとうございました。(ワーナーブラザース映画 山田邦雄)

<作品情報>
次々と名作を世に送り出してきたクリント・イーストウッドが、「ミリオン・ダラー・ベイビー」(04年)以来、4年ぶりに主演も務めた監督作品。イーストウッドが扮したのは、朝鮮戦争の帰還兵で、他人に心を許さず生きてきた頑固な老人。愛車「グラン・トリノ」を盗もうとしたアジア系移民の少年と不思議な師弟関係を築き、生きる喜びを見つけていく姿を熟練した演出と演技で見せる。キネマ旬報外国映画ベスト・テン1位、報知映画賞作品賞(海外部門)、毎日映画大賞外国映画ベストワン賞、ブルーリボン賞外国映画賞を受賞。配給:ワーナー・ブラザース映画
監督:クリント・イーストウッド 脚本:ニック・シェンク
優秀賞スラムドッグ$ミリオネア


「トレインスポッティング」(96年)「28日後…」(03年)のダニー・ボイル監督がインドを舞台に描き出す感動作。脚本は「フル・モンティ」(97年)のサイモン・ビューフォイ。「クイズ$ミリオネア」で番組史上最高額の賞金を手に入れるチャンスを摑んだスラム街出身の少年のサクセスストーリー。過酷な人生の中でも夢をあきらめずに生きる彼の姿が、観る者に勇気を与えた。第81回アカデミー賞では作品賞を含む8部門を受賞したほか、第66回ゴールデン・グローブ賞(ドラマ部門)および、第62回英国アカデミー賞の作品賞も獲得した。配給:ギャガ
監督:ダニー・ボイル 脚本:サイモン・ビューフォイ
優秀賞チェンジリング


1928年に、ロサンゼルス市警を揺るがした衝撃の実話の映画化。9歳の一人息子が突然行方不明になったシングルマザーのもとに、5ヵ月後、警察が連れてきた息子は、まったくの別人だった……。誰も自分の言い分を信じない中、息子を取り返すため、腐敗する警察組織と闘い続ける母親を、私生活で6人の子供を持つアンジェリーナ・ジョリーが迫真の演技で熱演。第61回カンヌ国際映画祭に出品され、監督のクリント・イーストウッドが特別賞を受賞。第81回アカデミー賞では、主演女優賞をはじめ3部門にノミネートされた。配給:東宝東和
監督:クリント・イーストウッド 脚本:J・マイケル・ストラジンスキー
優秀賞レスラー


第65回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した作品。落ち目の中年プロレスラーの生き様を描いた人間ドラマ。「レクイエム・フォー・ドリーム」(01)のダーレン・アロノフスキー監督が、スタジオの反対を押し切り、制作費の削減を受け入れてまで、ミッキー・ロークを主演に起用。その思いに応え、プロレスラーの悲哀を全身全霊で演じきったミッキーは、ゴールデン・グローブ賞(ドラマ部門)主演男優賞に輝いたほか、第81回アカデミー賞で主演男優賞にノミネートされ、長年の低迷から見事復活を遂げた。配給:日活
監督:ダーレン・アロノフスキー 脚本:ロバート・シーゲル
優秀賞レッドクリフ PartⅡ -未来への最終決戦-


「フェイス/オフ」(98)「M:I‐2」(00)などでハリウッドでも成功を収めたアジアの巨匠、ジョン・ウー監督が18年の構想を経て、『三国志』の“赤壁の戦い”を描き、2部作として公開された超大作「レッドクリフ」」。昨年「パート1」が、第32回日本アカデミー賞優秀外国作品賞を受賞したのに続き、「パート2」も同賞に輝いた。アジアを代表するスターが繰り広げる男たちのドラマはもちろん、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのスタッフがVFXを施したスペクタクルシーンや男たちを助ける女性陣の活躍も強い印象を残した。配給:東宝東和/エイベックス・エンタテインメント
監督:ジョン・ウー 脚本:ジョン・ウー、チャン・カン、コー・ジェン、シン・ハーユ
新人俳優賞
優秀賞岡田将生「ホノカアボーイ」「僕の初恋をキミに捧ぐ」「重力ピエロ」


新人賞は一生に一度しかもらえない賞なので、頂けたことがすごく嬉しいです。これからも精進していきたいと思っています。

09年は、対象作品を含め4本の作品に主演級で出演し、報知映画賞、日刊スポーツ映画大賞、ブルーリボン賞で新人賞を獲得。心優しく不器用な青年(「ホノカアボーイ」)から、重い病気を抱えた高校生(「僕の初恋をキミに捧ぐ」)、複雑な内面を抱えた弟(「重力ピエロ」)まで、幅広い役柄を繊細に演じ、高い評価を受けている。
優秀賞水嶋ヒロ「ドロップ」


これを糧に頑張っていくのはもちろんですが、これからは出演する側だけではなく、もっと違った角度からもコンテンツ作りに励んでいきたいと思っています。そうすることでファンの皆様、そして、ぼくがこの賞を受けとる運びとなった背景にいる全ての方々に、何か少しでも恩返しできれば幸いです。

学生時代からモデルとして活躍し、テレビドラマ「ごくせん」(05年)で役者デビュー。以降、テレビドラマ、映画に次々と出演する。初主演映画となった本作では、髪を金色に染め、初の不良少年役に挑んだ。男も憧れるようなカッコよさを持つカリスマ不良の井口達也を説得力たっぷりに演じ、ケンカのシーンでは、生身のアクションも披露している。
優秀賞溝端淳平「赤い糸」


本当に素晴らしい賞を頂けて心から嬉しいです。この作品で、朝早くから夜遅くまで僕を支え導いてくれたスタッフの皆さんのおかげです。この春で俳優を始めて3年目になります。人との出会い、作品との出会いに感謝し、この気持ちを忘れずにいたいと思います。

06年、「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリを受賞。40社の芸能事務所から所属オファーを受け、芸能界デビュー。映画と連続テレビドラマが同時期に公開されたことでも話題を集めたケータイ小説の映像化「赤い糸」で、自分の気持ちを表に出さないクールな青年が、大切な女性と出会い心を開いていく過程を好演した。
優秀賞渡辺大知「色即ぜねれいしょん」


バンドをやっている僕がこんな賞を頂けるとは思っていませんでした。監督、スタッフのおかげだと思います。この作品に参加できてよかったです。バンドやっていてよかったです。この作品で自分が経験したことのない1970年代を生きた気がして嬉しかったです。

現役高校生当時、2000人を超える候補者の中から主人公役に選ばれ、映画初出演にして初主演を果たす。ロックに憧れるモテない文科系高校生男子が、人との出会いや旅、そして音楽を通して成長していく姿をナチュラルに演じ、豊かな表情で観客を魅了した。09年春にファーストアルバムをリリースしたバンド「黒猫チェルシー」でヴォーカルを務めている。
優秀賞榮倉奈々「余命1ヶ月の花嫁」


この映画は、キャスト、スタッフの皆さんに助けて頂いてなんとか乗り越えることができました。関わってくれた全ての皆さんに感謝の気持ちを伝えたいです。この作品を通して、たくさんの出会いや素晴らしい経験ができました。それが今の私にとって一番の宝物です。廣木監督には感謝しています。出会えて本当によかったです。

04年、「ジイジ~孫といた夏~」でテレビドラマデビュー。NHK連続テレビ小説「瞳」でヒロインを務めたほか、映画、テレビドラマで活躍し、存在感を発揮している。本作では、乳がんのため24歳の若さでこの世を去った実在の女性役に扮した。病魔と闘いつつも、どんなときも前向きさを失わないヒロインの懸命な姿が、観客の涙を誘った。
優秀賞志田未来「誰も守ってくれない」


素晴らしい賞を頂けて嬉しく思います。ひとつの作品を終えるごとにお芝居の難しさや深さを実感しています。これからも初心を忘れずに頑張りたいです。

00年に女優デビュー。06年、14歳の母」で連続ドラマ初主演。妊娠する中学生の役を演じ、若き演技派として注目を浴びる。モントリオール世界映画祭で最優秀脚本賞を受賞した本作では、兄が殺人の容疑者となり、突然マスコミから追われることになった15歳の少女役。その複雑な心情を、芯の強さを感じさせる演技で表現した。
優秀賞平愛梨「20世紀少年 〈第2章〉最後の希望」「20世紀少年 〈最終章〉ぼくらの旗」


20世紀少年に出会い、一生に一度しかないこのような賞を頂けてありがたく、嬉しいです。お天道様や私に関わる全ての皆様、ファンと言ってくださる皆様に心から感謝します。私をカンナとして受け止めてくださってありがとうございます。
99年に芸能界デビューし、映画「笑う大天使(ミカエル)」(06年)、テレビドラマ「花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~」(07年)等に出演していたが、3部作からなる本作の鍵を握るカンナ役に、3000人の中からオーディションで抜擢され、一躍注目を集める。喜怒哀楽がはっきりとして、強い意志を持つヒロインをはつらつと演じきり、鮮烈な印象を残した。
協会特別賞
優秀賞羽田澄子「記録映画作家」


私はこの日本アカデミー賞のお知らせを頂いた時本当にびっくりいたしました。記録映画の仕事を続けて50数年ですけれども、記録映画の世界というのは日本アカデミー賞の世界と全くご縁がありませんでした。だからどうしたんだろうと思ったんですが、いま映画の世界というか、映像の世界というのは、非常な勢いで変わってきていると思います。今まで、記録映画と劇映画にはしっかりした境界があるように思われていたと思うんです。だからおそらく日本アカデミー賞の方が、記録映画のほうに目を配るなんてことはまったく考えの外だったけども、いま映像の世界がこれだけ変化してくると記録映画の世界と劇映画の世界のはっきりした境界というのがなくなっていくのではないか…つまり作品によって、非常にいままでにない世界を描くようなものができてくるのではないか…そんな気が私はしています。私はある意味で純粋な記録映画を作ってきましたが、ずっと記録映画と劇映画の境というのは、溝とか塀とかそういうものはなくて、なんらかの形でつながっていって、いろんな表現の映像ができてくるだろうと長い間思っていました。おそらくその世界は、これから開けてくるんじゃないか。そういう思いを今回の日本アカデミー賞を頂いたことで本当に思っているんです。こんなことで私が賞を頂けるようになったというのは、本当に思いがけないことで嬉しいんですけども、この50何年間いろんなスタッフの方が私の作品を支えてくれてきました。その人たちのことを思って、今回本当にうれしくて、心から感謝しています。ありがとうございました。

半世紀もの歳月を越え、自らの戦争体験をバネにして監督した「嗚呼 満蒙開拓団」は09年度のキネマ旬報ベストテン文化映画部門第1位をはじめ文化映画賞など数々の賞に輝いた。80歳を過ぎて、なお旺盛な創作活動を続ける羽田澄子監督のドキュメンタリーはさらに深化し、それ以上に人間への暖かい視点を忘れてはいない。旧満州大連に生まれ、岩波写真文庫の編集に携わったが、映画部門に移り、57年、因習から脱却しようとする婦人たちの行動を捉えた「村の婦人学級」を初監督。77年の自主製作作品「薄墨の桜」で注目を集め、引き続き、岩手県の霊山早池峰の麓の村々に伝承される神楽に魅せられ、82年に3時間を越える「早池峰の賦」を発表。女性監督として初の芸術選奨文部大臣賞を受賞する。老人福祉の問題に意欲的に取り組んだ「痴呆性老人の世界」(86)「安心して老いるために」(90)を経て、92年から94年にかけては「歌舞伎役者・片岡仁左衛門」全5巻、そして「歌舞伎役者・片岡仁左衛門—登仙の巻—」を発表して、大きな話題を集めた。これは仁左衛門翁が94年に90歳で亡くなるまでに密着取材した合計10時間を超える大作。以後も「住民が選択した町の福祉」(97)「続・住人が選択した町の福祉—問題はこれからです−」(99)「あの鷹巣町のその後」(06)などで地域行政、老人問題、市町村合併問題などに切り込み、新作発表するごとに映画賞を独占してきた。
優秀賞帆苅幸雄「音響効果」


音楽や台詞以外の自動車の音や足音など全ての臨場音が音響効果と呼ばれるが、その膨大な作業の積み重ねが、映画全体の印象を大きく左右することがある。すべての音を整理し、加工し、新に作り出す工程で、演出意図に応えられるよう準備するには、繊細な感性が常に要求される。62年、日活撮影所に入社、その後、73年に東洋音響グループに入り、現在も第一線で活躍中の帆苅氏は、東映、東宝、松竹、日活各社の数多くの映画作品に音響効果技師として参加。長編映画およそ250本、短編映画100本以上で、その手腕を発揮している。代表作に「その男、凶暴につき」(89)「浪人街」(90)「3-4×10月」(90)「あの夏、いちばん静かな海」(91)「ソナチネ」(93)「キッズ・リターン」(96)「スリ」(00)「たそがれ清兵衛」(02)「美しい夏キリシマ」(02)「HANA-BI」(98)「隠し剣 鬼の爪」(04)「おとうと」(10)などがあり、そのフィルモグラフィからもわかるように、山田洋次監督や北野武監督からの信頼も厚い。
優秀賞松下潔「背景」


20歳から45年間、背景の仕事をやってきまして、こういう賞には縁遠いと思っていましたが、今回美術監督協会の推薦で、賞を頂くことになりました。どうもありがとうございました。

セットの近景や遠景、植込み、空などをバックに描く背景は、映画には欠かせぬ要素のひとつだ。窓外の書き割りや環境表現で映画に生命が吹き込まれ、観る者に感情移入させることが可能になるからだ。65年、東映東京撮影所背景部に契約者入社した松下氏は、75年、背景技師として独立、助手時代から現在まで約500本の作品製作に従事してきた。スタジオセットでは土手や草原など、いわゆる“野づら”セットや、窓外セットの背景処理で、長年培われた豊富な経験と才能による秀逸な技術力を発揮し、スタッフから信頼され、画面効果を支えてきた。代表作に「野獣死すべし」(80)「汚れた英雄」(82)「不夜城」(98)「リング」(98)「鉄道員」(99)「バトルロワイアル」(00)「半落ち」(04)「ゼブラーマン」(04)「北の零年」(05)「劔岳 点の記」(09)などがある。03年には(有)松下美術背景を設立。塗装からエイジング、背景を一貫した作業で遂行し、CG合成では表現不可能な独特の空気感を醸し出すことに成功している。
優秀賞松田孝「衣裳」


東映の京都撮影所で衣裳をやっております松田です。よろしくお願いします。本日はどうもありがとうございました。

クランクイン前の準備期間に、出演者が役柄で着用する和・洋の衣裳をシーンごとに分類検討し、その役柄、時代、環境で衣裳の形状画面の色調を他の共演者とのバランスを含めて考慮しつつ、スタッフと入念な打ち合わせを重ねて、衣裳を選択、決定する作業は、登場人物の個性を描くうえで、最も大切な仕事といえるだろう。60年に東映京都撮影所に入社した松田氏は、時代衣裳の第一人者として「緋牡丹博徒」(69)「仁義なき戦い 広島死闘篇」(73)「柳生一族の陰謀」(78)「魔界転生」(81)「鬼龍院花子の生涯」(82)「北の螢」(84)「極道の妻たち」(86)「吉原炎上」(87)「長崎ぶらぶら節」(00)「千年の恋―ひかる源氏物語―」(01)「男たちの大和YAMATO」(05)など数々の名作を担当し、長年の経験に基づく卓越した技術で、映画を支え続けてきた。2009年ではインターネット配信の異色時代劇「メタル侍」も手がけ、その活躍の場をさらに広げている。
会長功労賞
優秀賞西田敏行「釣りバカ日誌シリーズ」


どうもみなさま、ありがとうございました。このような栄えある賞を頂きました。功労賞というと、もうこれを頂いたら後は引退するしかないのかなというような気持ちではございますが、まだまだ現役の俳優として頑張ってまいりたいと思います。みなさま、お並びのこのコンペティションに参加したかったです。優秀主演男優賞とかね。そういうふうなことで呼ばれてみたかったなっていう気持ちもあるんですが、やっぱり映画のタイトルっていうのも大事だなと思いました。「釣りバカ日誌」っていうのは、どうも、作品賞という感じにはなりにくいのかなと。まあ、「おっぱいバレー」も同様ですけれども(笑)。
三國さんがスクリーンに初めて登場されたのが、28歳の年でらっしゃって、私はその時4歳でございまして。木下惠介監督の「善魔」という映画でデビューされたということをついこの間知りました。その役名がそのまんま三國連太郎さんの芸名になったということも知りましたし、そのあと日本映画をどんどんどんどん牽引されて、すばらしい作品に、あまたの名作に主演されている三國さんと22年の長きにわたって、プログラムピクチャーでご一緒できたこと、本当に幸せに思っております。そして初代妻・みちこさんの役を演じてくださった石田えりさん、そして2代目の浅田美代子さん本当にありがとうございました。そして3人の監督、栗山監督、本木監督、そして朝原監督ありがとうございました。そしてずっと22年支えてくれたスタッフの皆さん、本当にありがとうございました。まだ現役でやりますので仕事をください。よろしくお願いします。

「釣りバカ日誌」シリーズは88年12月「男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日」の併映作品として第1作が製作された。昭和を代表する人気シリーズが「男はつらいよ」ならば平成という時代に、その産声を上げた「釣りバカ日誌」は、まさしく平成の日本映画を代表する長寿シリーズとして、22年間にわたり、番外編を含めて計22作品が作られ、計2300万人を動員する偉業をなしとげた。
 自分の道を突き進み、趣味の釣りと家庭をこよなく愛する万年平社員ハマちゃん(西田敏行)と、一流企業の経営者であり、時代の現実に直面しながらも、釣りの師匠であるハマちゃんの存在に心癒されるスーさん(三國連太郎)の名コンビも、これでファイナル、見納めになる。会長職から引退を宣言し、「会社は社員のもの」とスーさんが社員たちに演説する最終作のラストシーンに涙した人も多いだろう。そして華やかなカーテンコール!
 北海道から沖縄まで日本全国でロケーションし、豊かな大自然の中で笑いと涙を22年間巻き起こしてきたが、多彩なゲストも見どころのひとつだったし、すっかり息の合ったレギュラー陣とも、これでお別れになると、熱烈なファンならずとも寂しくなるところ。栗山富夫監督をはじめ、森崎東、本木克英、朝原雄三ら才気ある監督たちの演出も冴え、シリーズ中では時代劇版「花のお江戸の釣りバカ日誌」まで飛び出して、ファンを喜ばせてくれたのも幸福な記憶のひとこまだろう。
 本シリーズが終了することで、定番の良さを最大限に生かした日本映画黄金時代以来の伝統的なプログラム・ピクチャーもひとまず幕を下ろすことになる。「ハマちゃん、スーさん、お疲れさま」と暖かい拍手を送りたい。

【日本アカデミー賞受賞歴】
1982(第5回) 優秀助演男優賞 「北斎漫画」
1985(第8回) 優秀助演男優賞 「天国の駅」
1987(第10回)優秀主演男優賞  「植村直己物語」
1989(第12回)最優秀主演男優賞 「敦煌」
1993(第16回)優秀主演男優賞 「寒椿」「釣りバカ日誌5」
優秀助演男優賞 「おろしや国酔夢譚」「天国の大罪」
1994(第17回)最優秀主演男優賞 「学校」「釣りバカ日誌6」
1997(第20回)優秀主演男優賞 「学校Ⅱ」
2003(第26回)優秀主演男優賞 「陽はまた昇る」
2004(第27回)優秀主演男優賞 「ゲロッパ!」
※第13回、第19回、第20回に総合司会を務める
優秀賞三國連太郎「釣りバカ日誌シリーズ」


どうも、本日は、ご推薦いただきましてありがとうございました。大変な栄誉だと思って、これからも大事にこの賞を見つめながら、私の後半生を演じていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。

【日本アカデミー賞受賞歴】
1978(第1回) 優秀助演男優賞 「霧の旗」「八甲田山」
1980(第3回) 優秀助演男優賞 「復讐するは我にあり」
1987(第10回)優秀主演男優賞 「人間の約束」
1990(第13回)最優秀主演男優賞「釣りバカ日誌」「利休」
1991(第14回)優秀助演男優賞 「釣りバカ日誌2」「釣りバカ日誌3」
1992(第15回)最優秀主演男優賞「釣りバカ日誌4」「息子」
1994(第17回)優秀主演男優賞「大病人」「釣りバカ日誌6」
1995(第18回)優秀助演男優賞「釣りバカ日誌7」
1996(第19回)最優秀主演男優賞「三たびの海峡」
2002(第25回)優秀助演男優賞 「大河の一滴」
 ※第16回より日本アカデミー賞協会役員を務める
協会栄誉賞
優秀賞森繁久彌「俳優」


本日は本当にありがとうございました。父は今まで数多くのいろんな賞を頂きましたが、本日のこの協会栄誉賞が最後の賞になると思います。長い間父を育ててくださった日本の映画界の皆様方に心から御礼を申し上げます。日本の映画界がますます発展されますよう心から祈念いたしましてお礼の言葉にさせて頂きます。ありがとうございました。(代理:森繁建さん)

映画、演劇、放送の各分野で活躍を重ね、出演映画は300本を越える。まさしく、その歩み自体が昭和の芸能史といえる巨星だった。東宝劇団を経て、満州新京放送(NHK)アナウンサーの職に就いた後、終戦時はソ連での抑留経験などで辛酸を嘗め、帰国後、30代半ばにして、衣笠貞之助監督「女優」(47)で映画デビュー。苦労の年輪の中で鍛えられた即興の喋り、歌や演技力が花開き、コメディから文芸映画まで、人間の喜びや悲しみを痛烈なリアリズムで浮き彫りにして、トップスターの座に就く。「夫婦善哉」(55)や「恍惚の人」(73)、そしてシリーズ映画もの「次郎長三国志」「社長」「駅前」など代表作は数多く、舞台でも67年から86年まで900回の公演を重ねた「屋根の上のヴァイオリン弾き」でテヴィエを演じて当たり役とし、芸術選奨文部大臣賞を受賞した他、多くの演劇賞を受賞した。独特の森繁節は『知床旅情』などのヒット曲、またエッセイの分野でも縦横無尽に発揮され、64年度放送文化賞、75年度菊地寛賞、76年度毎日芸術賞、76年度紀伊国屋演劇賞、76年度第1回菊田一夫演劇大賞をはじめ、64年に紺綬褒章、75年に紫綬褒章、84年に文化功労賞、87年に勲二等瑞宝章、91年に文化勲章を受章。更に97年には、東京名誉都民となる。第1回目の日本アカデミー賞でのホスト役やプレゼンターとしての存在感は絶大なるもので、日本俳優連合の理事長として日本アカデミー賞発足時より協会役員として多大なる貢献をいただいた。日本映画界の重鎮的存在だった。2009.11.10没
【日本アカデミー賞での受賞歴】
1983(第6回) 特別賞 第1回都民文化栄誉章受賞に対し
1984(第7回) 優秀主演男優賞 「小説吉田学校」
1991(第14回)優秀主演男優賞 「流転の海」
1992(第15回) 栄誉賞 文化勲章受章に対し
 ※協会役員として第1回に顧問、第2回以降副会長を務める。
会長特別賞
優秀賞中岡源権「照明」


本日はこのような素晴らしい賞を頂きまして、中岡源権も喜んでいると思います。改めて偉大な照明技師だったなと思います。本日はありがとうございました。(代理:堀場優さん)

画家がキャンバスに鉛筆を持って絵を描くように、光と影や色彩によって映像を表現し、微妙な空気のニュアンスを半世紀以上照明という仕事を通して伝えてきたが、そのフィルモグラフィは当然、日本映画の歴史を支え形作っている。45年、大映京都撮影所照明部に入社。53年、照明技師として独立後「朱雀門」(57)「弁天小僧」(58)「薄桜記」(59)「手討」(63)「不知火検校」(69)「沓掛時次郎」(61)「中山七里」(62)「女系家族」(63)など数々の名作を手がけ、100本近い作品に携わってきた。71年、大映倒産後は翌年の映像京都設立に参加。02年、山田洋次監督に招聘され「たそがれ清兵衛」では蝋燭の灯りだけで時代色を再現し、時代劇映画を革新することに貢献した。04年には文化庁映画功労賞を受賞。長年、日本映画照明協会理事も務めた。2009.3.8没
【日本アカデミー賞での受賞歴】
1990(第13回) 優秀照明賞 「226」「利休」
1992(第15回) 優秀照明賞 「陽炎」
1993(第16回) 優秀照明賞 「女殺油地獄」「豪姫」
2003(第26回) 最優秀照明賞 
「たそがれ清兵衛」
2005(第28回) 優秀照明賞 「隠し剣 鬼の爪」
優秀賞松林宗惠「監督」


父は、40年間で70本近い映画を作ってまいりました。「映画は大衆娯楽だ」というのがモットーで、「感謝、感謝」が口癖でした。今日は、生前父の映画に出演して頂いた宝田明さん、星由里子さん、司葉子さん、そして父の最期の作品になりました「勝利者たち」に出て頂いた三國連太郎さんがお越しです。父は天国からきっと皆さんに「感謝、感謝でございます」と言っていると思います。(代理:松林天平さん)

生家は西本願寺の浄土真宗寺院。本願寺派の僧籍に入り得度したが「仏法伝道の精神を映画にも活かしたい」と日大芸術学部在学中に、東宝撮影所演出助手部に入社する。ルネ・クレールやフランク・キャプラ・ジュリアン・デュヴィヴィエの映画に影響されて映画の道を志す。戦争中は海軍予備学生として学徒出陣、少尉に任官する。終戦後は東宝に復帰したのち、新東宝グループに参加。52年の新東宝作品「東京のえくぼ」で監督デビュー。55年の「人間魚雷回天」は、仏門の出であること、そして海軍での体験を生かし、仏教的無常観を湛えた出撃シーンなどを高く評価され、代表作の一本とする。以後、コメディからサスペンス、青春映画まで60本以上の監督作を発表するが、中でも特筆されるのは、東宝の看板喜劇「社長」シリーズだろう。58年の「社長三代記」正続編から、70年の「社長学ABC」正続編まで、シリーズ37本中23本を手がけ、50年代から60年代にかけて「駅前」シリーズと共に東宝の興行的支柱だったドル箱シリーズをヒットさせた功績は大きい。また「太平洋の嵐」(60)や「世界大戦争」(61)「太平洋の翼」(63)「連合艦隊」(81)などの戦争映画では、あくまでもヒューマニズムを基調とし、絶叫型の好戦映画とは一線を画して、独自の境地を示した。テレビ作品も数多く撮ってきたが、晩年は自作が上映されている劇場や会場にも足を運び、ファンとも積極的に交流したことでも知られる。2009.8.15没
優秀賞村木与四郎「美術」


今日はこのような賞をいだたき本当にありがとうございました。(代理:村木与志さん)

豪奢な邸宅から懐かしい長屋の路地、盛り場の看板から焼け跡の風景まで、画面に写し出される印象的な数々の情景は、そのデザインから生み出された。46年に師・松山崇が黒澤明監督作品「酔いどれ天使」(48年)の美術監督を担当していたので助手として参加。54年に独立し、55年「生きものの記録」で黒澤作品に美術監督として参加。以降は旧ソ連で撮影された「デルス・ウザーラ」を除いて、全ての黒澤作品の美術を担当した。黒澤作品以外でも「上意討ち 拝領妻始末」(67)「日本沈没」(73)「嵐が丘」(88)「雨あがる」(00)など数多くの話題作を手がけ、「用心棒」(61)「トラ!トラ!トラ!」(70)「影武者」(80)「乱」(85)で米アカデミー賞美術賞にノミネートされた。94年に紫綬褒賞、99年に勲四等旭日小綬章を受章。2009.10.26没
【日本アカデミー賞での受賞歴】
1986(第9回)  優秀美術賞(ペア受賞) 「乱」
1991(第14回) 優秀美術賞(ペア受賞) 「夢」
1992(第15回) 最優秀美術賞 「八月の狂詩曲」
1994(第17回)最優秀美術賞 「虹の橋」「まあだだよ」
1995(第18回)最優秀美術賞 「四十七人の刺客」
2001(第24回) 最優秀美術賞「雨あがる」
2003(第26回)優秀美術賞(ペア受賞) 「阿弥陀堂だより」
話題賞

作品部門:「アマルフィ 女神の報酬」


監督 西谷弘
製作 フジテレビジョン/東宝/電通/ポニーキャニオン/日本映画衛星放送/
アイ・エヌ・ピー/FNS27社

俳優部門:綾瀬はるか「おっぱいバレー」


綾瀬はるかです。最初に「おっぱいバレー」というタイトルを聞いたときは、私自身もすごくいやらしいタイトルだなと(笑)。なんか、どうなんだろうと思ったんですが、(シナリオを)読んでみるとすごく爽やかな、青春映画で、おっぱいバレーというタイトルで良かったんだなと……思いました。ありがとうございました。